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vs. お貴族サマ。

帰っていい?

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何気なくさりげなく。
美味しいところで出てきた組合長に、ナガツキさんが一言ツッコむ。

「ばーちゃん……狙ってたな?」
「何のことかのぅ? ……さて」

組合長は、しれっとした顔でちょっと強引に話を進め、とりあえず当事者と思われる人間がぞろぞろと組合長の部屋へと移動した。

ミノムシ化したなみなみ貴族とダニエルの、ブラ何とか家の人々。
紳士なセリス伯爵と、そのお付きのアレ……クセイ? だっけ? の、セリス家の人々。
私とおやじ殿。
組合側として、組合長と何故かナガツキさん。

おにーさまとおねーさまが、自分達も参加したい……と言いたげに私ら親子をじーっ……と見てるけど。
組合長の執務室って、そんな大人数入れないから。
物理的に無理だから。
うん。



さて。

組合長の執務室にて。
まぁ一応、他国からの客人──別に呼んでないけどな──が居るので、それ相応にもてなさなければ……と。
この場じゃ一番下っぱになる私が、どれちょっと茶の用意でも……と、食堂の厨房にお願いしに行こうとした、ら。

ドアがノックされて。

組合長に頼まれまして、お持ちしました~……と、組合員の1人がお茶セットと茶菓子を持ってきた。

……準備万端だな?

組合長、こんな細かいコトまで指示してから、満を持しての登場だったわけ?

思わず半目になった私は悪くないと思う。



組合長の執務室は、大きな窓を背に、執務用の机と椅子があって。
その他に、5~6人座れるくらいのソファーセットとローテーブルが置いてあり、ちょっとした秘密のお話に使われるコトもしばしば……。
あんまし関わりたくない話し合いが、この部屋で行われている、らしい。
上の方の立場の人達のするコトだから、詳しいコトは知らないけど。
つか、むしろ知らずに生きていきたいけど。

まぁ、今回は仕方ないか。



むやみやたらに叫び出さない、と約束させて。
よーやくイモムシ状態から解放されたなみなみ貴族は。

「コーネリア、コーネリア! お父さんの隣りにおいで」

さっさとソファーに座って、自分の横をタシタシと叩いている。

懲りてないな?
それに、横になんか行くワケないよね?

私は、なみなみ貴族の正面、ではなく。
丁度斜め前──はすかいに座った。
なみなみ貴族の暴走を警戒してか、紳士がなみなみ貴族の横に座り、ダニエルとアレク……シア? セイ?どっちだ?──が、2人の背後に立つ。
私の横には、当然おやじ殿。

なみなみ貴族がおやじ殿を睨んでるけど、まったく怖くない。
年齢一ケタの子供が、癇癪起こしてるよーなモンだ。
いい大人のクセにな。

ちなみに。
組合長は、いわゆるお誕生席に座り、ナガツキさんがその傍らに立っている。
何らかの意味を込めて、特級冒険者を側に置いている……のかな?

私とおやじ殿はただの上級冒険者だしね。
組合として、貴族の圧力に対抗するには上級じゃ、ちょ~っと役不足だし。
物理でなら余裕で勝てるけど、こう、法的に、と言うか。
……他国の貴族サマ相手だから、国の問題になりかねないし。
うん。
よく分からないめんどくさい政治関係の話になるね。

帰っていい?







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