笑顔でナニ言ってんですか?

庭にハニワ

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vs. お貴族サマ。

ためらいは無いのか。

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こちらの情報は持ってるんだろーけど、初対面だから庶民相手でもちゃ~んと名乗った紳士。
どーやら今は亡き母の実の兄、らしい伯爵サマ。
涼しげな目元の、明るい翠の瞳が印象的な紳士だ。

それに対する、なみなみ貴族。
………。
なんだかゆるゆるで、ふわふわしてる。
今までの言動を見るに、なんとなく残念な……。



「……ねぇ。貴族って言っても、ピンからキリまで居るんだね」
「言ってやるなよ。……その通りだが」
「………ふっ」

私とおやじ殿が小声でさわさわ。
それを聞いて、ナガツキさんが鼻で笑う。

そんな私らを見て、また滾ってきたらしいなみなみ貴族。
ナニか叫ぼうと口を開いたところで。

「ダニエル。アレクシア」
「「は、」」
「っ……むーっ!?」

………。

えーと。

紳士──シル何とかセリス伯爵が、ダニエルともう1人、どっかから湧いて出た黒髪青目のこれまた黒いお仕着せを着た兄さんに、短く端的に。

「話が進まない。静かにさせて」
「「は」」

命令して。

結果。

なみなみ貴族は、ダニエルともう1人の兄さんに取り押さえられて。
ついでに口封じ──猿ぐつわ的な?──されていた。

……もしもし?
ダニエルよ。
それ、アンタの主人じゃないの?
なんか、思いっ切りよく取り押さえたけどさ。
……まったく、ためらわなかったよね?

私の疑問満載な視線に気付いたダニエルは、しれっとした顔で言った。

「私、元はセリス伯爵家にお仕えさせていただいておりまして。クラウディア様がブランシェット侯爵家にお輿入れされました時、共に侯爵家に入りました次第でございます」

あー。

元々は、セリス伯爵さん家の人だったから、セリス伯爵さんの言う事聞いたってコトか。
なみなみ貴族って、あんなだしな。
他国であんな醜態晒すよーじゃねぇ。
人望なんか、カケラも無いわな。



とりあえず。
なみなみ貴族はイモムシ状態で、むーむー言ってるけどさ。
さっきと比較して、かなり静かになった。

「さて。じゃ、改めて……と言っても」

紳士──シル何とかセリス伯爵サマが、この場を取り仕切る。

マトモそーな紳士に、ギャラリーと化していた組合員達も。
何故か、全員、私を庇う立ち位置に居た組合職員達も。
ついでに、おやじ殿とナガツキさんも。
我に返ったよーに、落ち着いた表情になっていた。

……うん。
ついさっきまで、なんとなく物騒な気配が組合中あちこちから……ね?

特に、おやじ殿。
せっかく討伐依頼を利用して、モヤモヤを発散してきてすっきり爽やか~♪ に帰ってきたのに。
いきなりの、なみなみ貴族による数々の暴言だ。

うちのおやじ殿、これで結構沸点低いんだよね。
すぐにブチ切れそーになるのを、頑張ってガマンするからモヤモヤとか溜まるんだろーね。
しゃーないか。
脳筋ぎみだものな、おやじ殿。



なみなみ貴族を物理的に大人しくさせて。
ぐるーり、と周囲を見やった紳士こと伯爵サマは。
ふ……と軽く息を吐いて。

「……この場で深い話は……ちょっと出来そうにないね」
「おや。では、この婆の部屋を提供しようか、の?」

組合長……。
さては、出てくるタイミング、見計らってたな?







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