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vs. お貴族サマ。
その頃、某所。
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コールがナガツキへの興味を更に強くしてる頃。
サルファー王国、王都にあるセリス伯爵家のタウンハウス。
コール──コーラルの母クララ──本名、クラウディアの生家である。
そこに居るのは、セリス伯爵にその夫人。
今は亡きクラウディアの両親だ。
つまり、コールの祖父母だな。
母方の、な。
ついでに、クラウディアの兄の次期セリス伯爵とその家族が一同に会していた。
セリス伯爵一家は、家族揃ってお怒りだった。
……ただし、次期伯爵の妻とその子供は除く。
そこには微妙な温度差があった。
そりゃそうだ。
見た事も無い、ほぼ他人の小娘の事なんか、ぶっちゃけどーでもいいわな。
「……で? ブランシェット侯爵テオドール殿はオンタリオ皇国に向かわれた、と……」
「はい。お嬢様……コーラル様を、父自ら迎え入れてあげよう……と妙にわくわくしながら向かわれたそうにございます」
報告しているのは、セリス家の影働きの者である。
クラウディアがあんな事になった時点で、セリス伯爵家とブランシェット侯爵家の交流は途絶えていた。
クラウディアの失踪の真実が明るみに出て、犯人が確定したところで、相手が公爵家の人間である限り伯爵家程度では何の抗議も出来ず。
ヒタヒタと蓄積していたモヤモヤしたモノが、テオドールの行動で溢れそうになっていた。
「いまだにブランシェット侯爵家にはあの夫人とその子供が居座っているというのに、クラウディアの娘を引き取る……? 我らが孫を、どうするつもりなのか?」
「あのような男に、わたくしの孫を引き取らせるつもりはありませぬ!」
「……姪っ子か~……。確か、クラウディアに生き写しだそうだね?」
嫡男の言葉に、滾っていたセリス伯爵夫婦は落ち着きを取り戻した。
コーラル。
年は15。
黒髪に、鮮やかな緑の瞳。
母に似て、美しく育っているだろうまだ見ぬ孫は。
上級冒険者の上、迷宮探索者。
今は、冒険者組合で職員として働いているという……。
「15歳か。我らが保護して、完璧な令嬢として教育してやらねば」
「わたくしの孫娘です。ブランシェット侯爵家などには渡しませぬ」
また滾り出した夫婦を、嫡男は少し冷めた眼で見ていた。
「……15年間一庶民として暮らしてきたのに、今さら貴族階級に入れ、と言われても……。迷惑なだけだろうに」
ブランシェット侯爵が娘を連れて帰ってきたところを横からかっさらう気マンマンな2人の様子に。
嫡男はため息をひとつ。
やれやれ……と、何度か頭を振った。
ちなみに。
嫡男の妻とその子供は空気と化していた。
サルファー王国、王都にあるセリス伯爵家のタウンハウス。
コール──コーラルの母クララ──本名、クラウディアの生家である。
そこに居るのは、セリス伯爵にその夫人。
今は亡きクラウディアの両親だ。
つまり、コールの祖父母だな。
母方の、な。
ついでに、クラウディアの兄の次期セリス伯爵とその家族が一同に会していた。
セリス伯爵一家は、家族揃ってお怒りだった。
……ただし、次期伯爵の妻とその子供は除く。
そこには微妙な温度差があった。
そりゃそうだ。
見た事も無い、ほぼ他人の小娘の事なんか、ぶっちゃけどーでもいいわな。
「……で? ブランシェット侯爵テオドール殿はオンタリオ皇国に向かわれた、と……」
「はい。お嬢様……コーラル様を、父自ら迎え入れてあげよう……と妙にわくわくしながら向かわれたそうにございます」
報告しているのは、セリス家の影働きの者である。
クラウディアがあんな事になった時点で、セリス伯爵家とブランシェット侯爵家の交流は途絶えていた。
クラウディアの失踪の真実が明るみに出て、犯人が確定したところで、相手が公爵家の人間である限り伯爵家程度では何の抗議も出来ず。
ヒタヒタと蓄積していたモヤモヤしたモノが、テオドールの行動で溢れそうになっていた。
「いまだにブランシェット侯爵家にはあの夫人とその子供が居座っているというのに、クラウディアの娘を引き取る……? 我らが孫を、どうするつもりなのか?」
「あのような男に、わたくしの孫を引き取らせるつもりはありませぬ!」
「……姪っ子か~……。確か、クラウディアに生き写しだそうだね?」
嫡男の言葉に、滾っていたセリス伯爵夫婦は落ち着きを取り戻した。
コーラル。
年は15。
黒髪に、鮮やかな緑の瞳。
母に似て、美しく育っているだろうまだ見ぬ孫は。
上級冒険者の上、迷宮探索者。
今は、冒険者組合で職員として働いているという……。
「15歳か。我らが保護して、完璧な令嬢として教育してやらねば」
「わたくしの孫娘です。ブランシェット侯爵家などには渡しませぬ」
また滾り出した夫婦を、嫡男は少し冷めた眼で見ていた。
「……15年間一庶民として暮らしてきたのに、今さら貴族階級に入れ、と言われても……。迷惑なだけだろうに」
ブランシェット侯爵が娘を連れて帰ってきたところを横からかっさらう気マンマンな2人の様子に。
嫡男はため息をひとつ。
やれやれ……と、何度か頭を振った。
ちなみに。
嫡男の妻とその子供は空気と化していた。
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