笑顔でナニ言ってんですか？

vs. 使いっぱ。

胃袋わしづかみ・その２。

魔物化した山鳥の唐揚げ。

これ、以前の天空魚狩りの時に、ついでに狩りまくったヤツでさ。
今日──っつーか、今朝、組合の方でお買い上げしてもらった。
料理長に。

「お前、こんな良いモン持ってんなら、さっさと出せや」

と、言われたけどさ。

……組合にも、買い取り予算ってモンがあってね？
料理長が、良い食材使いたいってゆー気持ちは分からないワケじゃないけどさ。
上を見たらキリが無いと思うんだ、私。
まぁ、狩ってきた私らは、美味しい高級食材使いたい放題だけどね。
私の魔法収納袋の中には、天空魚以外にも美味しい食材がわんさかわんさか……。
ふふふふふ。



さて。
わざわざ黒服おっさんズと私兵どもを別々に隔離したのは、情報収集しやすくする為……でもある。
まとめて一つにしとくと、話の流れ次第じゃ黒服どもが、余計なコトはしゃべるんじゃねぇよって私兵どもを威圧するだろーし。

今回は、懐柔するのに一番手っ取り早い方法を使った。
すでに私兵どもは、ほとんどこっちに取り込み済みだが。
本格的に、美食による胃袋わしづかみを決行。
軽く印象付ける為に、三角牛とか魔物化した山鳥使ったんだし。

この土地では、美味いモノが普通に食えると刷り込みして。
こっちの言うコト聞けば、いつでも高級食材使った美食が食い放題になるぞ、こっちに付いた方がお得じゃね？　と、揺さぶりをかけた。
お貴族サマの私兵ってったって、あんまし良いモン食べてないみたいだし。
……上手いコト転がせば、あの黒服どももこっちに付くかも。
そのあたりの事は、おにーさまに丸投げよう。
コロコロと転がして欲しい。
美味いモノ食べて怒り狂う人って、あんまし居ないしね。



そして。
12人の私兵どもと２人の黒服は、思いの外簡単に堕ちた。
黒服どもは。

「天空魚介食べ放題……なんて囁いたのが効いたね」

と言いながら、おにーさまが笑ってた。
その隣りで、ナガツキさんが不敵な顔して笑ってた。
……２人掛かりでやっつけたワケか……。
なんつーか……御愁傷様で……。

で。

12人の私兵どもは、黒服より簡単だったよーで。
ヤツらは本気で河岸替えして、サンタンジェロで冒険者として再出発……を、ものすご～く前向きに検討中とか。
一から手取り足取り教える必要のない、即戦力の増加は職員(仮)としては嬉しい限りだ。
是非とも登録していただきたいモノだ。
ふふふふふ。