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vs. 使いっぱ。

つい、うっかり。

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東輝蘭出身の冒険者の1人、ナガツキさんは。
サンタンジェロの海岸付近にわいて出た、四ツ俣カガチをバッサリ殺って。
昇格するからって皇都キカの冒険者組合に呼び出されてたんだっけ?

単なるカガチ──人1人丸呑みにする大きさの大蛇が一匹湧いた? んじゃ、まぁ自分だけでもいいかな?──と、軽い気持ちで海岸部に行ったところ。
現場に居たのは、頭が4つある四ツ俣カガチだったってゆー……。

それが判明した時点で、一旦戻ってくりゃあいいモノを。
本来なら、カガチ退治って1人でやるモンじゃないし。
四ツ俣カガチとか、少なくとも5人以上で討伐……ってハズなのにね?
面倒だから殺ってしまえって、殺っちゃったモンだから、昇級する羽目になったんだよね。
ヘンなところで微妙に生真面目な人だから、仕方ないね。

おやじ殿は、そのあたり上手いコトのらりくらりと逃げまくって、いまだに上級に居るのにね。
……理由が、昇級するといろんなシガラミが面倒ってゆー……。
まぁ実際、指名依頼を受けたくないって理由は分かる。
けど、さ?
ワガママっつーか、お子サマっつーか……。

ちなみに。
四ツ俣カガチは、最終的に首が九つある九ノ俣(クノマタ)の大カガチに……。
……。
なったら、大変だな。
ちょっとした山が一つ、うぞー……って動きながら、九つある首でもって目についた人やら動物やらパクパクと……。
中には、樹木バリバリ食うとか岩石鉱石ガリガリいくとかって、特殊個体も居るらしい。
……組合長の岩切りって、小山サイズの大カガチぶった切ったからついた二つ名なんじゃ?



そんな、あんまし現状とは関係ないコトを考えつつ。
とにかくお仕事……と、組合長に、おにーさまからのメモ書きを渡す。
と、組合長は。

「おやまぁ……。ナガツキの話してた連中が、今、受付のところに来てるのぅ」

ウチの庭に、近所の猫がこっちの想定以上に集まってきて、猫だまり作っちゃって困ったわ~……って顔で、軽くため息をついた。
緊張感のカケラもない。
いーんだろーか。

私は、階下の招かれざる客について、ちょっと……かなり気になったけど。
それと同時にヒシヒシと厄介事の予感がした。
早退しちゃおーかな? などとタクラみつつ組合長の元を辞去し──「コール」損ねた。
くそ。



「下に──受付んトコに居るのは、茶色の髪の、パっと見軽薄そうなクセに妙にエラそうなおっさん従僕と、金髪の、シブいおっさん執事の2人組だろう?」

ナガツキさんが、ちょっとメンドくさそーに言った。

え、知り合い?
つか、あの茶髪、執事じゃなくて、従僕?
……何がどう違うのやら。
お貴族サマの関係者は、区別つかないね。
私にとっては、どーでもいい知識だからかな?

「……下でおにーさま……リカルドさんが、手のひらの上に乗せてコロコロ転がしてますね」

そりゃもう、コロコロと。







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