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vs. 使いっぱ。

迷宮。

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なんか、こー。
妙に暴れたい気分になったので、何か都合の良い依頼はないか? と、職員(仮)の権限を使って、依頼の選り好みをしてみたり。
ま、そんなたいした権限はないんだけどさ。
せいぜい掲示板に告知が出される前に、良さげな依頼を確保するくらいかね。
で。
ざっと見たんだけど、なんとなく気分がノらなくて、おやじ殿とひそひそと話し合って。
久しぶりに、迷宮探索に出かける事になった。
迷宮関係の常駐依頼は、迷宮産の魔力が満ち満ちた魔石や鉱石の納品……ってコトになるかな。
ついでに、ある程度の魔物の間引きか。
さ~て、どこの迷宮に行こうか。

サンタンジェロから行くとすると、海沿いの“海洋神殿跡”、“海賊の後悔”、本気で海の中にある“珊瑚の森”……。
陸地、つか内陸部だと“水仙の沼”、“鈴掛け山”、あるいは“カサンドラ城趾”か……。
“死霊達の集い”には行きたくないかな。
出てくるのが、死霊系統ばかりだし。
基本的に、実体化してないヤツばかりだし。
あんまりうま味も無いしな。
間引き目的以外じゃ、あんまし近寄りたくない迷宮だ。
“カサンドラ城趾”も似たようなモノだけど、こっちはまた違うんだよね。



待ち合い室で、おやじ殿と2人。
さて、どこの迷宮に行く? と、あーだこーだと話していたら。
“カサンドラ城趾”で水晶花の採集してきてくれないかな? と、おねーさまに頼まれた。
水晶花って、状態異常の特効薬の材料の1つじゃないか。
え? 在庫不足?
ある程度、在庫に余裕持ってなきゃなんないんじゃなかったっけ?
キョトンとする私とおやじ殿に、おねーさまは。

「……組合長がね? 今よりも在庫増やしておいた方がいいって。ついでに迷宮に美味しくいただかれちゃった脱落者達の遺品とか、いろいろ諸々回収してきてちょうだいねぇ……って言ってたわ」

って、ため息混じりに言った。

あー。
組合長がそう言うんじゃ、しょーがないよね。
それを聞いたおやじ殿。

「……あそこ行くと、こっちの予定より長引くんだよな~……」

ちょっとだけ、イヤそーだった。
ちょっとだけ、納得した。



迷宮“カサンドラ城趾”。
サンタンジェロから北に馬車で2日の所にある。
オンタリオ皇国成立以前からあるその古い、朽ち果てた城跡は、如何にも高貴な身分の者が名付けました~……ってカンジの名前だったそうなんだけどさ。
この迷宮の核となったのが、この地に恨みツラミを残してお亡くなりになった、亡国の姫カサンドラ様だと判明した時点で、簡単に、しかも分かりやすい、と“カサンドラ城趾”と呼ばれるようになったとか。
いまだに元気(?)に自縛霊してるカサンドラ姫と、迷宮最奥の玉座の間でうっかりご対面しちゃった時。
姫様ってば私を見て。

「……妹の、コッペリア?」
「違います」

……。
この頃から、誰かに間違われてたんだな~私……。










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