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vs. 過去の女。

場違いな。

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双子が街から居なくなり。
ちょっとだけ落ち着いたカンジのサンタンジェロ。

まぁ、平常通りとは行かなくても、それなりに平和に日々が過ぎて。
ある日のこと。
組合に、あんまり会いたくはなかったヤツがやってきた。



その日は。
ちょっといい天気で、なんか暑いかな? ってカンジの日で。
まぁそれなりに薄着の人が街に溢れていて。
おやじ殿は、近隣の村に新人研修を兼ねて害獣駆除の依頼を受けて、新人どもを引率して村に行ってて。
私は普通に組合で、お仕事おシゴト……。

そこにやって来たのは。

「……まあ確かに賑わっているけど、田舎クサい街よねぇ……。こんなところに、銀狼が居るなんて、ね……」

と、組合にやって来ての開口一番。
いきなり文句を言い出した、チョイとトウの立った女冒険者だった。



たまたまだけど。
その時、私は受付業務中。
おねーさまの隣りに居た。

その女冒険者は……まあ、客観的に見れば、そこそこ美人かな?
明るい茶色の髪を伸ばして背中に垂らし。
メリハリのきいた身体を惜し気もなく晒し──。
さらしてるんだよ。
踊り子の人じゃあるまいし。
申し訳程度に胸と腰を覆った、それ以外の肌もアラワな格好で平然と立ってるんだよ。

アンタそんな格好でここまで来たの?
悪いヤカラに狙われるよ?
簡単に持ってけそーな、お手軽な女と思われてさ。

ちょっと正気を疑った。



この国は、奴隷禁止だ。
でも他国の奴隷商人とかは、紛れ込んでるんだよ。
奴隷商人じゃなくても、適当に他人(女子供)をかっさらっていろんなトコロに売り飛ばす、後ろ暗い商売しているヤカラも居る。
たまに、そんなヤカラの捕獲そして被害者保護の仕事なんかも飛び込んでくるからね。
何回か、囮役やったことあるもの私。
……犯人どもは、もれなくおやじ殿にボッコボコにされてたけど。
私もボコり祭りに参加したけどな。
ありがとう、良い実験台でした。
おかげで、ちょっと嫌がらせの腕が上がったよ。
ふふふふふ。

……ま、いいや。
とにかく。
そんな場違い感満載な女冒険者はニヤニヤと、どこかだらしない笑みを浮かべながら。
周囲──時間的に、少人数の野郎どもと更に少数の女子──の注目を浴びながら、まっすぐスタスタと受付にやってきて。

「ちょっと。この街の組合に銀狼が居るって聞いてきたんだけど。……あの人、今どこに居るのよ。教えなさいよ」

ニヤニヤ笑いのまんま、すっごい上から目線で言ってきた。



ってゆーか、うん。
この女、私の事にはまったく、これっぽっちも気付いてないよね。
……まぁ、10年近く前の事だし。
私、当時本当にお子様だったし。

……こんにゃろめが。









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