笑顔でナニ言ってんですか?

庭にハニワ

文字の大きさ
上 下
23 / 381
vs. 過去の女。

場違いな。

しおりを挟む
双子が街から居なくなり。
ちょっとだけ落ち着いたカンジのサンタンジェロ。

まぁ、平常通りとは行かなくても、それなりに平和に日々が過ぎて。
ある日のこと。
組合に、あんまり会いたくはなかったヤツがやってきた。



その日は。
ちょっといい天気で、なんか暑いかな? ってカンジの日で。
まぁそれなりに薄着の人が街に溢れていて。
おやじ殿は、近隣の村に新人研修を兼ねて害獣駆除の依頼を受けて、新人どもを引率して村に行ってて。
私は普通に組合で、お仕事おシゴト……。

そこにやって来たのは。

「……まあ確かに賑わっているけど、田舎クサい街よねぇ……。こんなところに、銀狼が居るなんて、ね……」

と、組合にやって来ての開口一番。
いきなり文句を言い出した、チョイとトウの立った女冒険者だった。



たまたまだけど。
その時、私は受付業務中。
おねーさまの隣りに居た。

その女冒険者は……まあ、客観的に見れば、そこそこ美人かな?
明るい茶色の髪を伸ばして背中に垂らし。
メリハリのきいた身体を惜し気もなく晒し──。
さらしてるんだよ。
踊り子の人じゃあるまいし。
申し訳程度に胸と腰を覆った、それ以外の肌もアラワな格好で平然と立ってるんだよ。

アンタそんな格好でここまで来たの?
悪いヤカラに狙われるよ?
簡単に持ってけそーな、お手軽な女と思われてさ。

ちょっと正気を疑った。



この国は、奴隷禁止だ。
でも他国の奴隷商人とかは、紛れ込んでるんだよ。
奴隷商人じゃなくても、適当に他人(女子供)をかっさらっていろんなトコロに売り飛ばす、後ろ暗い商売しているヤカラも居る。
たまに、そんなヤカラの捕獲そして被害者保護の仕事なんかも飛び込んでくるからね。
何回か、囮役やったことあるもの私。
……犯人どもは、もれなくおやじ殿にボッコボコにされてたけど。
私もボコり祭りに参加したけどな。
ありがとう、良い実験台でした。
おかげで、ちょっと嫌がらせの腕が上がったよ。
ふふふふふ。

……ま、いいや。
とにかく。
そんな場違い感満載な女冒険者はニヤニヤと、どこかだらしない笑みを浮かべながら。
周囲──時間的に、少人数の野郎どもと更に少数の女子──の注目を浴びながら、まっすぐスタスタと受付にやってきて。

「ちょっと。この街の組合に銀狼が居るって聞いてきたんだけど。……あの人、今どこに居るのよ。教えなさいよ」

ニヤニヤ笑いのまんま、すっごい上から目線で言ってきた。



ってゆーか、うん。
この女、私の事にはまったく、これっぽっちも気付いてないよね。
……まぁ、10年近く前の事だし。
私、当時本当にお子様だったし。

……こんにゃろめが。









しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

城で侍女をしているマリアンネと申します。お給金の良いお仕事ありませんか?

甘寧
ファンタジー
「武闘家貴族」「脳筋貴族」と呼ばれていた元子爵令嬢のマリアンネ。 友人に騙され多額の借金を作った脳筋父のせいで、屋敷、領土を差し押さえられ事実上の没落となり、その借金を返済する為、城で侍女の仕事をしつつ得意な武力を活かし副業で「便利屋」を掛け持ちしながら借金返済の為、奮闘する毎日。 マリアンネに執着するオネエ王子やマリアンネを取り巻く人達と様々な試練を越えていく。借金返済の為に…… そんなある日、便利屋の上司ゴリさんからの指令で幽霊屋敷を調査する事になり…… 武闘家令嬢と呼ばれいたマリアンネの、借金返済までを綴った物語

【完結】それはダメなやつと笑われましたが、どうやら最高級だったみたいです。

まりぃべる
ファンタジー
「あなたの石、屑石じゃないの!?魔力、入ってらっしゃるの?」 ええよく言われますわ…。 でもこんな見た目でも、よく働いてくれるのですわよ。 この国では、13歳になると学校へ入学する。 そして1年生は聖なる山へ登り、石場で自分にだけ煌めいたように見える石を一つ選ぶ。その石に魔力を使ってもらって生活に役立てるのだ。 ☆この国での世界観です。

新しい聖女が見付かったそうなので、天啓に従います!

月白ヤトヒコ
ファンタジー
空腹で眠くて怠い中、王室からの呼び出しを受ける聖女アルム。 そして告げられたのは、新しい聖女の出現。そして、暇を出すから還俗せよとの解雇通告。 新しい聖女は公爵令嬢。そんなお嬢様に、聖女が務まるのかと思った瞬間、アルムは眩い閃光に包まれ―――― 自身が使い潰された挙げ句、処刑される未来を視た。 天啓です! と、アルムは―――― 表紙と挿し絵はキャラメーカーで作成。

【完結】男爵令嬢は冒険者生活を満喫する

影清
ファンタジー
英雄の両親を持つ男爵令嬢のサラは、十歳の頃から冒険者として活動している。優秀な両親、優秀な兄に恥じない娘であろうと努力するサラの前に、たくさんのメイドや護衛に囲まれた侯爵令嬢が現れた。「卒業イベントまでに、立派な冒険者になっておきたいの」。一人でも生きていけるようにだとか、追放なんてごめんだわなど、意味の分からぬことを言う令嬢と関わりたくないサラだが、同じ学園に入学することになって――。 ※残酷な描写は予告なく出てきます。 ※小説家になろう、アルファポリス、カクヨムに掲載中です。 ※106話完結。

愚かな者たちは国を滅ぼす【完結】

春の小径
ファンタジー
婚約破棄から始まる国の崩壊 『知らなかったから許される』なんて思わないでください。 それ自体、罪ですよ。 ⭐︎他社でも公開します

冤罪で山に追放された令嬢ですが、逞しく生きてます

里見知美
ファンタジー
王太子に呪いをかけたと断罪され、神の山と恐れられるセントポリオンに追放された公爵令嬢エリザベス。その姿は老婆のように皺だらけで、魔女のように醜い顔をしているという。 だが実は、誰にも言えない理由があり…。 ※もともとなろう様でも投稿していた作品ですが、手を加えちょっと長めの話になりました。作者としては抑えた内容になってるつもりですが、流血ありなので、ちょっとエグいかも。恋愛かファンタジーか迷ったんですがひとまず、ファンタジーにしてあります。 全28話で完結。

私と母のサバイバル

だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。 しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。 希望を諦めず森を進もう。 そう決意するシャリーに異変が起きた。 「私、別世界の前世があるみたい」 前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?

【完結】不協和音を奏で続ける二人の関係

つくも茄子
ファンタジー
留学から戻られた王太子からの突然の婚約破棄宣言をされた公爵令嬢。王太子は婚約者の悪事を告発する始末。賄賂?不正?一体何のことなのか周囲も理解できずに途方にくれる。冤罪だと静かに諭す公爵令嬢と激昂する王太子。相反する二人の仲は実は出会った当初からのものだった。王弟を父に帝国皇女を母に持つ血統書付きの公爵令嬢と成り上がりの側妃を母に持つ王太子。貴族然とした計算高く浪費家の婚約者と嫌悪する王太子は公爵令嬢の価値を理解できなかった。それは八年前も今も同じ。二人は互いに理解できない。何故そうなってしまったのか。婚約が白紙となった時、どのような結末がまっているのかは誰にも分からない。

処理中です...