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vs. おじょーサマ。
……地味だな。
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私の感じた事を、とうとうと語ってみた。
それを聞いて、おじょーさまは。
「お前はわたくしのモノなのだから、わたくしの言うがままになるのが当然と言うモノでしょう!」
ツン、と顎を上げて。
胸を張って声高に言いきった。
……まったく反省してないよね、これ。
おじょーさまは、勢いのままに組合についてもグチグチと文句を垂れ流そうとして──。
「お嬢様?」
執事の人がじんわりとかもし出す、ひんやりとした威圧感にようやく気付いた。
威圧の矛先が自分に向けられてるとは思わなかったのか、単にまったく気付かなかったのか……。
「残念なおじょーさまだね」
「コール、しっ」
素直に見たままの感想を述べたら、おねーさまにたしなめられた。
何故。
「分かりきった事を、今更口にするものじゃないわよ」
「そうそう。当人達だけが知らない、周知の事実なんだからね」
おねーさまとおにーさまが、きっぱりと言いきった。
さりげなくヒドいな、アンタ達。
「……まぁ、関係無いからどーでもいいんだけどね。ってゆーか、また私の周りに湧いて出たら、何かしますよ」
こー、物理的……でもまあいいんだけど、何らかの責任問題になりそうだからな。
ここはあえて魔法的に。
精神及び肉体操作的に、あるいは呪術的に。
「毎日毎日、地味で些細な嫌な事が起きるとか。大事な時だけ確実に大失敗するとか。好きだって思った相手にだけ絶対に嫌われるとか」
「最後ヒドいな」
「爪を切ったら確実に深爪したり。1日一回必ず舌を噛んだり。3日に一回歯が痛くなったり」
「地味にイヤだわ」
「うん、地味だ」
「あと~……7日に一回足の小指をナニかの角にぶつけたり。毎日毎日違う指にささくれが出来たり……」
思い付いた地味にイヤなコトを、つらつらっと並べ立ててみた。
聞いてたおねーさまが、話の途中で。
「そんな些細で地味な呪い、何の役に立つのよ!」
突っ込みをガマン出来なくなったらしい。
周りの組合員達も、うんうん頷いている。
あ、組合長まで。
なので。
「ささやかな嫌がらせ、という名の私の気晴らし」
きっぱり、と言いきってみた。
「ちなみに。一回発動させた後は、対象になった人物のコトなんか、キレイさっぱり忘却の川へと流します」
メンドクサイコトは、ゴメンです。
ロクでもない人物に関わる気はまったくありません。
とっとと連れて帰って下さい。
言外にそう言いきった私に、執事の人は。
「……。何がそこまで……とも思いますが。確かに地味です。地味に、イヤですな。……仕掛けられた当人以外、まったく分からないというあたりが特に」
半ば呆れながらも、理解してくれたらしい。
この先、一切関わる気は無い、という事を──。
それを聞いて、おじょーさまは。
「お前はわたくしのモノなのだから、わたくしの言うがままになるのが当然と言うモノでしょう!」
ツン、と顎を上げて。
胸を張って声高に言いきった。
……まったく反省してないよね、これ。
おじょーさまは、勢いのままに組合についてもグチグチと文句を垂れ流そうとして──。
「お嬢様?」
執事の人がじんわりとかもし出す、ひんやりとした威圧感にようやく気付いた。
威圧の矛先が自分に向けられてるとは思わなかったのか、単にまったく気付かなかったのか……。
「残念なおじょーさまだね」
「コール、しっ」
素直に見たままの感想を述べたら、おねーさまにたしなめられた。
何故。
「分かりきった事を、今更口にするものじゃないわよ」
「そうそう。当人達だけが知らない、周知の事実なんだからね」
おねーさまとおにーさまが、きっぱりと言いきった。
さりげなくヒドいな、アンタ達。
「……まぁ、関係無いからどーでもいいんだけどね。ってゆーか、また私の周りに湧いて出たら、何かしますよ」
こー、物理的……でもまあいいんだけど、何らかの責任問題になりそうだからな。
ここはあえて魔法的に。
精神及び肉体操作的に、あるいは呪術的に。
「毎日毎日、地味で些細な嫌な事が起きるとか。大事な時だけ確実に大失敗するとか。好きだって思った相手にだけ絶対に嫌われるとか」
「最後ヒドいな」
「爪を切ったら確実に深爪したり。1日一回必ず舌を噛んだり。3日に一回歯が痛くなったり」
「地味にイヤだわ」
「うん、地味だ」
「あと~……7日に一回足の小指をナニかの角にぶつけたり。毎日毎日違う指にささくれが出来たり……」
思い付いた地味にイヤなコトを、つらつらっと並べ立ててみた。
聞いてたおねーさまが、話の途中で。
「そんな些細で地味な呪い、何の役に立つのよ!」
突っ込みをガマン出来なくなったらしい。
周りの組合員達も、うんうん頷いている。
あ、組合長まで。
なので。
「ささやかな嫌がらせ、という名の私の気晴らし」
きっぱり、と言いきってみた。
「ちなみに。一回発動させた後は、対象になった人物のコトなんか、キレイさっぱり忘却の川へと流します」
メンドクサイコトは、ゴメンです。
ロクでもない人物に関わる気はまったくありません。
とっとと連れて帰って下さい。
言外にそう言いきった私に、執事の人は。
「……。何がそこまで……とも思いますが。確かに地味です。地味に、イヤですな。……仕掛けられた当人以外、まったく分からないというあたりが特に」
半ば呆れながらも、理解してくれたらしい。
この先、一切関わる気は無い、という事を──。
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