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序章
03:ビーズで腕輪を作ろう
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おもちゃ屋で由美ちゃんと一緒にビーズを選んでいる。
そういえば、わたしはあんまりこっちのファンシーな感じのコーナーはあまり見てこなかったな。
小岩井達と来ると、なんか変形するロボットのところや車の走るやつのところばっかり連れて行かれちゃうから。
あれはあれで変なの多くて見てて面白いけどさ。
「玲美ちゃん、これなんてどう?」
いろんな色のビーズが入ってるビンだ。
透明だからいろんな色がまじりあってるみたいで綺麗。
「これならたくさん入ってるからいっぱい作れそうだね」
「そうだね。これだけたくさんなら里奈の分も作れそうだし、わたし、これにする!」
里奈ちゃんの分もって考えるところが、やっぱりお姉ちゃんだね。
わたしはどれを買おうかな。
「こっちに光ってるのもあるよ」
「光ってるのはとがってるからチクチクするよ?」
「そっか、じゃあやめた」
光ってるのもかっこいいと思ったんだけどなー。
とりあえず、初めてだし大粒のが入ったのを買っていこうかな。
最初は簡単そうなものから始めないと。
*****
「お、玲美ちゃん。今日は珍しく女の子と一緒なんだね」
「そう、小学生になって初めての友達。由美ちゃんって言うんだよ」
おもちゃ屋のおじさん。
わたしが物心ついてからおもちゃ屋さんと言えばいつもここ。
病院に連れていかれるときのバス停もこの近くにあるから、お母さんが笑顔でおもちゃ屋さんに行こうかと言ってくるときは注意が必要だ。
「君もよく来てくれてるね。おじさん覚えてるよ」
「そうなんだ、嬉しい!」
由美ちゃんにっこにこ。
おじさんに知っててもらって嬉しいんだね。
「くじ引きやってるの?」
ふと、レジの横にあるポップが目に入った。
「ああ、1回300円で最新のゲームも当たるんだよ。やっていくかい?」
「今日は由美ちゃんとビーズ買いに来ただけだから、くじ引きはまた今度ね」
お会計を済ませていると、後ろに男の子達が並んでいた。
同じクラスの男の子達だ。
幼稚園が一緒だった飯塚くんと、もう一人は高橋くんだっけ。
「日高さん、君もくじひきに来たの?」
「違うよ。わたしは由美ちゃんとビーズ買いに来たの」
「明川さん、日高さんと友達になったんだね」
「……」
黙っちゃってる。
由美ちゃん男の子は苦手って言ってたもんね。
「日高さんとは同じ幼稚園だったんだ。
いい子だから、仲良くしてあげてね」
「……うん!」
飯塚くんもいい子なんだよね。
男の子が苦手な由美ちゃんでも、飯塚くんなら友達になれるんじゃないかな。
「おじさん、とりあえず3回分。
ぼくはこの1000円を生贄に捧げるぜ!」
なんかどっかで聞いたことを言いながらお会計する飯塚くん。
さっそく出した生贄から100円が返ってきてるけど。
「高橋くんは引かないの?」
「おれはこいつの決闘を見に来ただけだ」
「……そっか。じゃあ、わたし達は帰るよ。いこ、由美ちゃん」
「うん」
あの子達にはあの子達の、なんかそういう世界があるんだろう。
邪魔しないように、わたし達はさっさと退散しましょ。
*****
いよいよ由美ちゃんの家で腕輪づくり。
保育園から帰ってきていた里奈ちゃんも一緒。
わたし達がビーズを出したのを見て、自分もやりたいって思ったみたい。
由美ちゃんは里奈ちゃんが興味を持ってくれて嬉しそう。
言われた通りゴム糸に通していくと、大きいビーズにしたせいか、わたしのはお坊さんが持ってるあの玉がいっぱいついたやつみたいになっていた。
これってなんだっけ……じゅず?
「……かわいくないのができそう」
「じゃあ、わたしの買ったビーズと交互にしてみる?」
「いいの? じゃあ、由美ちゃんもわたしのビーズ使っていいよ」
「ほんと? じゃあ、せっかくだしお揃いにしようよ」
「いいね、おそろだね」
「わたしもお姉ちゃんたちとおそろにするー」
妹いいなー。
由美ちゃんに似てかわいいし、わたしのこともお姉ちゃんって言ってくれるし。
よーし、お姉ちゃんいっぱいなでちゃうぞー。というか、すでになでてます。
「ふぁああ……」
なにこれ天使?
ふぁああってかわいいにもほどがあるでしょ!
妖精と天使が目の前にいるんだけど、わたしどうしたらいい?
「玲美ちゃん、里奈のこと甘やかしすぎ」
「だって、かわいいんだもん」
「かわいいんだもん!」
「お姉ちゃんの玲美ちゃんだよ?」
「わたしもほしい!」
妖精と天使がわたしを取り合っている。
ハーレムってこういうこと?
行ったことないけど、もし天国が本当にあるならこういうのなんじゃないの?
「ほら、里奈のもできたよ。付けてあげるからおいで」
「わーい!」
なんだかんだ言って里奈ちゃんの分も作ってあげてる由美ちゃんは優しいね。
妹がほしいなって思ったけど、由美ちゃんみたいな優しいお姉ちゃんもほしいよ。
……ということは、3姉妹の挟まれっ子が最強ということか。
「由美ちゃんのおかげで綺麗なのができた。これはわたしの宝物にしよう」
「わたしも宝物にするね」
その後、由美ちゃんとおしゃべりしてたらいつの間にか夕方になっていた。
お店も忙しくなってくるし、そろそろ帰らなきゃね。
「また明日ね」
「うん、また明日」
帰り道、作った腕輪を夕暮れの空に透かすと、赤や青の透明色に映る空の色がきれいでいつまでも眺めていたくなった。
そして、上ばっか見てたら電柱にぶつかった。
鼻が痛いです。
そういえば、わたしはあんまりこっちのファンシーな感じのコーナーはあまり見てこなかったな。
小岩井達と来ると、なんか変形するロボットのところや車の走るやつのところばっかり連れて行かれちゃうから。
あれはあれで変なの多くて見てて面白いけどさ。
「玲美ちゃん、これなんてどう?」
いろんな色のビーズが入ってるビンだ。
透明だからいろんな色がまじりあってるみたいで綺麗。
「これならたくさん入ってるからいっぱい作れそうだね」
「そうだね。これだけたくさんなら里奈の分も作れそうだし、わたし、これにする!」
里奈ちゃんの分もって考えるところが、やっぱりお姉ちゃんだね。
わたしはどれを買おうかな。
「こっちに光ってるのもあるよ」
「光ってるのはとがってるからチクチクするよ?」
「そっか、じゃあやめた」
光ってるのもかっこいいと思ったんだけどなー。
とりあえず、初めてだし大粒のが入ったのを買っていこうかな。
最初は簡単そうなものから始めないと。
*****
「お、玲美ちゃん。今日は珍しく女の子と一緒なんだね」
「そう、小学生になって初めての友達。由美ちゃんって言うんだよ」
おもちゃ屋のおじさん。
わたしが物心ついてからおもちゃ屋さんと言えばいつもここ。
病院に連れていかれるときのバス停もこの近くにあるから、お母さんが笑顔でおもちゃ屋さんに行こうかと言ってくるときは注意が必要だ。
「君もよく来てくれてるね。おじさん覚えてるよ」
「そうなんだ、嬉しい!」
由美ちゃんにっこにこ。
おじさんに知っててもらって嬉しいんだね。
「くじ引きやってるの?」
ふと、レジの横にあるポップが目に入った。
「ああ、1回300円で最新のゲームも当たるんだよ。やっていくかい?」
「今日は由美ちゃんとビーズ買いに来ただけだから、くじ引きはまた今度ね」
お会計を済ませていると、後ろに男の子達が並んでいた。
同じクラスの男の子達だ。
幼稚園が一緒だった飯塚くんと、もう一人は高橋くんだっけ。
「日高さん、君もくじひきに来たの?」
「違うよ。わたしは由美ちゃんとビーズ買いに来たの」
「明川さん、日高さんと友達になったんだね」
「……」
黙っちゃってる。
由美ちゃん男の子は苦手って言ってたもんね。
「日高さんとは同じ幼稚園だったんだ。
いい子だから、仲良くしてあげてね」
「……うん!」
飯塚くんもいい子なんだよね。
男の子が苦手な由美ちゃんでも、飯塚くんなら友達になれるんじゃないかな。
「おじさん、とりあえず3回分。
ぼくはこの1000円を生贄に捧げるぜ!」
なんかどっかで聞いたことを言いながらお会計する飯塚くん。
さっそく出した生贄から100円が返ってきてるけど。
「高橋くんは引かないの?」
「おれはこいつの決闘を見に来ただけだ」
「……そっか。じゃあ、わたし達は帰るよ。いこ、由美ちゃん」
「うん」
あの子達にはあの子達の、なんかそういう世界があるんだろう。
邪魔しないように、わたし達はさっさと退散しましょ。
*****
いよいよ由美ちゃんの家で腕輪づくり。
保育園から帰ってきていた里奈ちゃんも一緒。
わたし達がビーズを出したのを見て、自分もやりたいって思ったみたい。
由美ちゃんは里奈ちゃんが興味を持ってくれて嬉しそう。
言われた通りゴム糸に通していくと、大きいビーズにしたせいか、わたしのはお坊さんが持ってるあの玉がいっぱいついたやつみたいになっていた。
これってなんだっけ……じゅず?
「……かわいくないのができそう」
「じゃあ、わたしの買ったビーズと交互にしてみる?」
「いいの? じゃあ、由美ちゃんもわたしのビーズ使っていいよ」
「ほんと? じゃあ、せっかくだしお揃いにしようよ」
「いいね、おそろだね」
「わたしもお姉ちゃんたちとおそろにするー」
妹いいなー。
由美ちゃんに似てかわいいし、わたしのこともお姉ちゃんって言ってくれるし。
よーし、お姉ちゃんいっぱいなでちゃうぞー。というか、すでになでてます。
「ふぁああ……」
なにこれ天使?
ふぁああってかわいいにもほどがあるでしょ!
妖精と天使が目の前にいるんだけど、わたしどうしたらいい?
「玲美ちゃん、里奈のこと甘やかしすぎ」
「だって、かわいいんだもん」
「かわいいんだもん!」
「お姉ちゃんの玲美ちゃんだよ?」
「わたしもほしい!」
妖精と天使がわたしを取り合っている。
ハーレムってこういうこと?
行ったことないけど、もし天国が本当にあるならこういうのなんじゃないの?
「ほら、里奈のもできたよ。付けてあげるからおいで」
「わーい!」
なんだかんだ言って里奈ちゃんの分も作ってあげてる由美ちゃんは優しいね。
妹がほしいなって思ったけど、由美ちゃんみたいな優しいお姉ちゃんもほしいよ。
……ということは、3姉妹の挟まれっ子が最強ということか。
「由美ちゃんのおかげで綺麗なのができた。これはわたしの宝物にしよう」
「わたしも宝物にするね」
その後、由美ちゃんとおしゃべりしてたらいつの間にか夕方になっていた。
お店も忙しくなってくるし、そろそろ帰らなきゃね。
「また明日ね」
「うん、また明日」
帰り道、作った腕輪を夕暮れの空に透かすと、赤や青の透明色に映る空の色がきれいでいつまでも眺めていたくなった。
そして、上ばっか見てたら電柱にぶつかった。
鼻が痛いです。
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