31 / 31
コントローラー
しおりを挟む
ボクは、コントローラーのボタンを押しまくった。画面の真ん中にある的型のカーソルが点滅する。撃たれたエイリアンは、緑色の血を流しながら倒れていった。画面の端に表示された点数が増えていく。今日の最高得点だ!
「アンドリュー、ご飯よ!」
ママが声をかけてくる。もう! 今いいところなのに!
物かげにかくれていた子供のエイリアンをやっつける。床に寝ている赤ん坊エイリアンは、銃弾の威力で体が粉々に飛び散った。赤ん坊は攻撃してこないから、点数が低いけど、こういった細かいところでトータルポイントに差が出てくるんだ。
怒った母親エイリアンが、キイキイと鳴き声をあげ、すばやい動きで襲ってきて、かなりライフを削られてしまった。でも、なんとか倒せた。父親エイリアンは、なぜか動かず立ち尽くしていて、いい的になってくれた。
「アンドリュー、いい加減にしなさいよ!」
ママはだいぶ怒っているようだ。
「わかってるよ! 今終わるから!」
エイリアンの町を半分ほど攻略したところで、ライフがゼロになった。急いでキッチンへ行く。
「まったく。ゲームするのはいいけれど、時間を決めてやりなさい!」
ママはやっぱり怒っている。
「それに私、あのゲーム嫌いだわ。子供がやるには残酷すぎると思うの」
しかめっつらするママに、パパが微笑みかける。
「いいじゃないか。ゲームくらい」
さすがはパパだ。理解がある。
「上位の者には賞金が出るんだろ? 努力に対する報酬がもらえるのはいいことだよ」
「でも……」
「それに、国のためになっているんだ。愛国心を養うのはいいことだ」
ボクの××国は、銀河のすみっこにある星を発見した。そのままでは無理だけど、少し空気と土地を改良すれば人間が住める星だった。けれど、そこにはもうエイリアンが住んでいたんだ。
そのエイリアンは、頭が悪くて、交渉なんかできそうにない。それに、重力の関係で地球人より力が弱いから、働き手として奴隷にするのも無理だ。
だから、××国の偉い人は、遠隔操作できるロボットをたくさん宇宙船に詰め込んでその星に送り込んだ。四輪駆動のその機械には銃もついていて、コントローラーで動かす事ができる。
そのコントローラーは、希望者に配られる。そしてたくさんエイリアンを殺した者には賞金が出るってわけ。もちろん、ゲームオーバーになったところで、遠い星でロボットが一つ壊れるだけだ。プレイヤーが痛い思いをすることはない。
そういえば、本当のエイリアンはもっとずっと人間に近い姿をしていて、血も赤いのだという噂があるけど本当かな? 映像が家に送られて来る時に、体全体昔のポリゴンみたいに作りモノっぽくされて、血も緑色にされるんだって。ボクみたいな子どもがやってもショックを受けないように。
まあなんにしても、これでエイリアンがいなくなったら、土地を改良することができる。ボクが大人になるころには、パパとママとあの星で暮らしているかもしれない。そう考えるとドキドキする。
「はい、どうぞ」
ママがボクの前にステーキの乗ったお皿を置いてくれた。ボクの大好物!
「いただきます!」
ボクは元気よくあいさつをして、ステーキにフォークを突き刺した。
「アンドリュー、ご飯よ!」
ママが声をかけてくる。もう! 今いいところなのに!
物かげにかくれていた子供のエイリアンをやっつける。床に寝ている赤ん坊エイリアンは、銃弾の威力で体が粉々に飛び散った。赤ん坊は攻撃してこないから、点数が低いけど、こういった細かいところでトータルポイントに差が出てくるんだ。
怒った母親エイリアンが、キイキイと鳴き声をあげ、すばやい動きで襲ってきて、かなりライフを削られてしまった。でも、なんとか倒せた。父親エイリアンは、なぜか動かず立ち尽くしていて、いい的になってくれた。
「アンドリュー、いい加減にしなさいよ!」
ママはだいぶ怒っているようだ。
「わかってるよ! 今終わるから!」
エイリアンの町を半分ほど攻略したところで、ライフがゼロになった。急いでキッチンへ行く。
「まったく。ゲームするのはいいけれど、時間を決めてやりなさい!」
ママはやっぱり怒っている。
「それに私、あのゲーム嫌いだわ。子供がやるには残酷すぎると思うの」
しかめっつらするママに、パパが微笑みかける。
「いいじゃないか。ゲームくらい」
さすがはパパだ。理解がある。
「上位の者には賞金が出るんだろ? 努力に対する報酬がもらえるのはいいことだよ」
「でも……」
「それに、国のためになっているんだ。愛国心を養うのはいいことだ」
ボクの××国は、銀河のすみっこにある星を発見した。そのままでは無理だけど、少し空気と土地を改良すれば人間が住める星だった。けれど、そこにはもうエイリアンが住んでいたんだ。
そのエイリアンは、頭が悪くて、交渉なんかできそうにない。それに、重力の関係で地球人より力が弱いから、働き手として奴隷にするのも無理だ。
だから、××国の偉い人は、遠隔操作できるロボットをたくさん宇宙船に詰め込んでその星に送り込んだ。四輪駆動のその機械には銃もついていて、コントローラーで動かす事ができる。
そのコントローラーは、希望者に配られる。そしてたくさんエイリアンを殺した者には賞金が出るってわけ。もちろん、ゲームオーバーになったところで、遠い星でロボットが一つ壊れるだけだ。プレイヤーが痛い思いをすることはない。
そういえば、本当のエイリアンはもっとずっと人間に近い姿をしていて、血も赤いのだという噂があるけど本当かな? 映像が家に送られて来る時に、体全体昔のポリゴンみたいに作りモノっぽくされて、血も緑色にされるんだって。ボクみたいな子どもがやってもショックを受けないように。
まあなんにしても、これでエイリアンがいなくなったら、土地を改良することができる。ボクが大人になるころには、パパとママとあの星で暮らしているかもしれない。そう考えるとドキドキする。
「はい、どうぞ」
ママがボクの前にステーキの乗ったお皿を置いてくれた。ボクの大好物!
「いただきます!」
ボクは元気よくあいさつをして、ステーキにフォークを突き刺した。
0
お気に入りに追加
5
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/horror.png?id=d742d2f035dd0b8efefe)
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
本当にあった怖い話
邪神 白猫
ホラー
リスナーさんや読者の方から聞いた体験談【本当にあった怖い話】を基にして書いたオムニバスになります。
完結としますが、体験談が追加され次第更新します。
LINEオプチャにて、体験談募集中✨
あなたの体験談、投稿してみませんか?
投稿された体験談は、YouTubeにて朗読させて頂く場合があります。
【邪神白猫】で検索してみてね🐱
↓YouTubeにて、朗読中(コピペで飛んでください)
https://youtube.com/@yuachanRio
※登場する施設名や人物名などは全て架空です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/horror.png?id=d742d2f035dd0b8efefe)
扉の向こうは黒い影
小野 夜
ホラー
古い校舎の3階、突き当たりの隅にある扉。それは「開かずの扉」と呼ばれ、生徒たちの間で恐れられていた。扉の向こう側には、かつて理科室として使われていた部屋があるはずだったが、今は誰も足を踏み入れない禁断の場所となっていた。
夏休みのある日、ユキは友達のケンジとタケシを誘って、学校に忍び込む。目的は、開かずの扉を開けること。好奇心と恐怖心が入り混じる中、3人はついに扉を開ける。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/horror.png?id=d742d2f035dd0b8efefe)
【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】
絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。
下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。
※全話オリジナル作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる