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おぼろ豆腐料理店 10
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「初めまして。あたしの名は月下。お気付きの通り、掛け軸に取り憑いている幽霊さ。飾ってある家の敷地内なら、普通の人間と同じようにふるまえるんだよ」
「そ、そうなんだ」
いつきの言葉やら、美女の艶っぽいほほ笑みやらで、小宮はゆでられた海老(エビ)の
ように真っ赤になった。
深呼吸して、早鐘を打つ心臓をなんとかなだめようとする。
「つまり、この店には豆腐小僧と掛け軸の幽霊がいるってこと?」
「ええ、そうよ」
月下は驚いている小宮の反応を楽しんでいるようにくすくすと笑った。
「あれ? じゃ、じゃあ、いつきさんは?」
「ああ、いつきはただのいつきよ」
くすくすと月下は笑った。
(つまり、いつきさんはただの人間なのか)
「この店はみんないい人と、いい妖怪ばかりです」
良吉が何とも可愛らしいほほ笑みを浮かべた。
「松さんも人間だけど、とっても優しいんですよ」
月下は軽く肩をすくめた。
「松さんは私たちの正体を知ってはいるけど、あんまり気にしていないみたい。自分の料理をよろこんでくれるなら、相手が妖怪だろうが犬だろうがなんでもいいのよ、あの人は」
「ははは、料理人ってそういうものなのかも知れないね」
「そ、そうなんだ」
いつきの言葉やら、美女の艶っぽいほほ笑みやらで、小宮はゆでられた海老(エビ)の
ように真っ赤になった。
深呼吸して、早鐘を打つ心臓をなんとかなだめようとする。
「つまり、この店には豆腐小僧と掛け軸の幽霊がいるってこと?」
「ええ、そうよ」
月下は驚いている小宮の反応を楽しんでいるようにくすくすと笑った。
「あれ? じゃ、じゃあ、いつきさんは?」
「ああ、いつきはただのいつきよ」
くすくすと月下は笑った。
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月下は軽く肩をすくめた。
「松さんは私たちの正体を知ってはいるけど、あんまり気にしていないみたい。自分の料理をよろこんでくれるなら、相手が妖怪だろうが犬だろうがなんでもいいのよ、あの人は」
「ははは、料理人ってそういうものなのかも知れないね」
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