推しの隣に転生してしまった

夢への入口

　時は前世に遡る。

「橋本さん、鈴木さんの対応に当たって下さい」

「はい…！」

　福祉施設で働く私の日々は多忙だ。朝から晩まで利用者さんの介助。噛みつかれたり引っ掻かれたりすることもある。でも、笑みを絶やしてはいけない。そう、ハルトのように。

　私は収入の大部分を、私の推しである声優、清水遥人の活動に費やしている。
ハルトは、声優界でもかなり高身長の185cmで手足がすらりとのびてスタイルが良い。
また、優しい目に薄い唇、色気のある低音ボイスが特徴で一見俳優かアイドルのような出立ちをしている。

　私はリアコじゃないと言い張っているけど、もし「結婚しました」と発表されたらモヤモヤしてしまう気がする。