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二十四、一晩限りの恋人

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「ねぇ論理くん!」
「うん?」
ふーちゃんの顔に、ニヤーッとした笑いが浮かぶ。また何か言ってくるぞこの子は。でもいいか、こうして笑ってくれたんだから。
「抱っこ、してよぉ。ベッドの上で」
「ベッドで、抱っこ?」
「そうだよぉ」
そう言って文香は、なんと事もなげに服を脱ぎ始める。
「ちょっ、ちょっと!」
あわててその手を止めた。
「抱っこするんでしょ。何も服脱がなくてもいいじゃん」
「あはは、何言ってんの論理くんったら。男と女がベッドの上で抱っこしあうんなら、裸でするにきまってるでしょぉ」
そう言いつつ、するするっとワンピを脱いでしまう文香。
「ちょっ!ふーちゃん!」
手で顔を覆う俺。でも指の間からふーちゃんの下着をしっかり見る。服に合わせた、ボルドー赤のブラとショーツだった。
「さあ、論理くんも脱ぐもん」
「お、俺も、脱ぐのか?」
「当たり前じゃん」
「ううぅ…」
すっかり文香にペースを握られ、俺はTシャツとジャージを脱いで、パンツ一枚になった。
「うん、論理くん、そんな身体してたのか。色白のぽっちゃりさんだもんねぇ」
ニヤニヤ笑いながら、文香が俺の身体を見つめてくる。その言葉通り、俺は男にしては色が白いし、筋肉よりも脂肪が多めだ。百六十八センチで八十五キロもある。腹もかなり出ている。あまり女の子に見られたい身体ではない。
「うぅ…、あまり、見るな」
「うふふ、気にしないんだよ。私だって論理くんと同じ体型だもん。色白のぽちゃぽちゃさん」
少し気を落ち着かせて、俺は文香の身体を見た。質感と脂質感のある、滑らかで白い皮膚。それに覆われた肉体は、確かにボリュームがある。肩も胸もお腹も、豊かな脂肪に覆われていた。そのせいで、体線のくびれはあまりない。BWHは同じような数字だろう。ブラのカップは…Dか?この肉感に相応しい。
「ねえ、私体重何キロに見えるぅ?ちなみに身長は百五十八センチだもん」
ふーちゃん、答えづらいことを無邪気に聞いてくるなぁ。ちょっと少なめに言ってあげないと。
「五十五キロ」
「あはははは、バッカじゃーん!」
文香は大声で笑った。
「この身体のどこ見たら五十五なんだよぉ。六十九キロだもん。胸はD。この体重だからFはほしいところだけどねー」
やっぱり体重と胸、それくらいあったか。見たところ通りだな。
「さあさあ、下着も脱ぐもん!」
「おいっ」
たまらず、文香を呼び止める俺。
「ほんとに裸どうしになるのか俺たち…。だって、恋人でもなんでもないのに」
そういうことは…、そういうことは、ひーちゃんとやりたい。
「論理くん…」
でも文香は、小さな目を見開いて俺を見つめてくる。そして、俺のほうへ向かって両腕を突き出すと、低い少年声を一層低くして、ぼそりと言う。
「今夜だけ…、恋人で、いて」
「そんな…」
文香の瞳が縋ってくる。
「お願いだもん、ね…」
俺は文香から目をそらした。ひーちゃんの愛らしい顔が浮かぶ。なのにふーちゃん、都合のいいことばっかり言って…。でも、泣き叫んでいたふーちゃんの心の傷が、俺で少しでも癒えるのなら…。
「…わかった」
「ありがと!ありがと論理くん!」
花を散らすような笑みをこぼす文香。はあ…、かわいいよな…。まあいいや、今夜は特別で。ひーちゃんの手前、罪悪感はあるけれど。

お互い一糸纏わぬ姿になって、ベッドで抱き合う。俺の胸に顔を埋めている文香。その熱い背中を抱く。肩と背中の息づかいが、俺の両腕にダイレクトに伝わり、熱っぽい刺激を与えてくる。やばい、さっきからドキドキが止まらない。
「うふふ、論理くん」
胸の中で文香が笑う。
「胸が高鳴ってるもん。ばりばり聞こえてくるよ」
「う、うん…」
いきなり女の子と裸どうしで抱き合っていれば、嫌でも胸が苦しくなってくる。こんなの初めてだ…。それに、俺のもびんびんに勃っている。俺の腕の中に、文香の胸式呼吸があるんだ。
「ねえ、論理くんも、胸と肩で息してるんだね。こうしてると伝わってくるもん」
そう言って文香が、俺の背中をまさぐる。
「ああ。息すると胸がふくらむ。男にしては珍しいみたいだけど」
「私も、胸と肩で息してるもん。胸式呼吸。お揃いさんだもんね」
文香は俺の胸から顔を上げた。乱れた前髪の向こうにある細い瞳に、なぜか寂しげな光があった。
「昔と…、一緒だぁ」
「昔?」
「うん。昔、付き合ってた男の子。論理くんとちょっと似てるもん。胸式呼吸ってとこまで」
「昔って、いつ?」
「中二の春から、高一の夏までの、二年半くらい。中二中三と同じクラスだったんだもん。正田真理(しょうだしんり)くんって言うの。名前もちょっと似てるでしょ論理くんと」
太田論理と正田真理か。確かに響きが似てるな。それにしてもふーちゃんの前彼か。どんなやつなんだろう。
「顔、似てたの、俺と」
「二重瞼で瞳が黒くって大きくって、口がおちょぼ口ってとこが似てるもん。でも真理くんのほうが論理くんよりかっこいい。ごめんねぇ」
どうせ…。
「どんなとこが好きだったの?」
そう問われた文香が、大きく口を開けて「すはあああっ」と息を吸い込む。肩と胸の息吹き。一層ドキドキ、一層びんびん。恥ずかしい。ひーちゃん、助けて…。
「音楽の時間にねぇ、私と真理くん、一緒に思いっきり口開けて、肩上げて背中と胸膨らませて、息吸い込んで歌うの。私も真理くんも胸式呼吸だからね。声と息揃えて気持ちよかったもん。んで、歌いながら目が合うの。そのときの真理くんの顔、かっこよかったなぁ…」
中学生の男の子の胸式呼吸か。それはそれで萌えるものがあるかもしれない。
「二年半も続いたのなら、相当アツアツだったんだろうね」
「うん!真理くん、私のこと一生懸命に想ってくれたもん。私の後ろ姿に感じるって言って、いつも私を後ろから抱きしめてくれたんだもん。お互いの部屋で、キスして、手握りあって、セックスして、幸せなことばっかりだったもん」
中学生のふーちゃんが、セックス…。どんなことをしていたんだろう。大きく股を開いた文香が思い浮かぶ。そしてそんな股が、俺のすぐそばにある…。だめだ、勃ち過ぎて痛い。勃つならひーちゃんだって思ってたのに。ふーちゃんはそんな俺の気持ちなど知らん顔で、また「すはあああっ」と息を吸い込む。
「体育の時間にも、私の泳いでるとこや走ってるとこ、真理くんに見つめてもらえて幸せだったもん。私身体動かすの苦手でさぁ、飛び込みやればお腹打って派手に水しぶき上がるし、五十メートル測ると、ドタドタ走って十三秒もかかるんだよぉ。でも真理くん、そんな私見て、それ思い出して何度もオナニーしてくれたんだもん」
「泳いでるふーちゃんや、走ってるふーちゃんか…。俺もそれ、想像すると萌えるかも」
「ほんと?嬉しぃ」
文香は俺の腕の中で身体を揺すった。
「えへへ、論理くんが私でまた萌えてくれてるもん。論理くん、胸はドキドキ、あそこはびんびんだもんね。こうしててもモロ感じるもん」
そう言って俺を遠慮なしに見つめてくる文香。ああ…、また思うがままにイジられてるよ。ひーちゃんへの萌えがかき消されかけている。ちょっと…、話題、変えなきゃ。
「だけどさふーちゃん」
「うん?」
「かなり仲良かったみたいだけど、なんで別れちゃったんだ?」
「ううん…」
文香はそう唸って、再び俺の胸に顔を埋めた。
「高校、真理くんと同じ明立(めいりつ)受けたんだけど、私は落ちて尾風女子に行くことになって、真理くんは受かって進学したんだもん」
明立高校は、まあまあ高いレベルの県立高校だ。
「学校、別々になっちゃったのか。それも、ふーちゃんは女子校で、真理くんは共学」
「うん。なんかね」
文香の肩と胸が大きくふくらむ。「すはあああっ」という音も相変わらずだ。ふーちゃん、なんでこんな目立つ音立てて胸式呼吸するんだろう。俺…。
「それまで同じクラスで、毎日当然のように隣にいた真理くんが学校にいないってだけで、私すごく心配になっちゃったんだもん。んで、しょっちゅうラインしまくったり携帯かけまくったりしてたもん。『クラスにどんな女の子がいるの、どんな子とどんな話したの、残らず教えて!』みたいな…」
「ちょっと重い女だな」
「だよねぇ…」
俺の腕の中でため息をつく文香。息を吐くのと同時に、素肌の肩がしぼむのが愛らしい。話の内容にもかかわらず、俺はまたドキドキする。
「真理くんはそうされて嫌がらなかったのか」
「ううん、真理くん、私のしつこいラインや電話にも、丁寧に応えてくれてたもん。誠実な人だったんだよぉ…」
「それじゃあ別に、別れることになんかならなかったと思うけど」
「それがさぁ…」
文香は再び顔を上げた。うんざりした表情が浮かんでいた。
「私、高一の夏にねぇ、アニメにハマりまくったんだもん。知ってる?『進撃の巨人』」
「進撃か。もちろん知ってる」
「最初ちょっと見ただけだったんだけど、『何これ!めちゃおもろいじゃん!』ってなって。それから動画サイトで見まくって、朝から晩まで見たもん」
進撃は、俺はあまり見たことはなかったけれど、ハマる人はめちゃくちゃハマるアニメだと聞いたことはある。
「でも、そんなアニメ見てばっかりになったら、真理くんはどうなった?」
「全然連絡取らなくなっちゃったもん。真理くんなんかとラインしたり通話したりする暇があるんなら、一分でも長く進撃見てたいって思ったんだもん」
「真理くん『なんか』ってひどくない?」
「ひどいよねぇ…」
また文香が、俺の中で大きなため息。
「きっとね、そのときの私、真理くん追いかけ回すのに疲れちゃってたんだと思うんだよぉ。だから、他に夢中になれて、私を不安にさせないものが欲しかったんだもん」
「なるほどなぁ…。それで、真理くんとは終わっちゃったんだ」
視線を泳がせる文香。後悔の念が顔にあった。
「連絡取らないようになって、それっきりだったもん」
「その後は進撃に夢中か」
「でもね、半年くらいで冷めた」
そう言って文香が苦笑いする。
「えー、それだけで冷めたの?そんなら真理くんと続けてればよかったじゃん」
「そうだよぉ、その通りだもん」
「真理くんとはよりを戻せなかった?」
文香は首を横に振ると、また「すはあああっ」と口を開けて息を吸い込んだ。俺のすぐ近くで、独特のブレス音。また反応する俺の。ひーちゃんよりも輝くふーちゃん。だめだ!俺はひーちゃんに萌え続けるんだ。でも俺のが素直すぎる。
「進撃冷めた後、私めちゃ後悔してね、真理くんに会いに行ったんだもん。そしたらもう…、真理くんの隣には新しい彼女がいた。私なんかより、ずっとかわいい人…。後悔先に立たずの言葉通りだもん」
「そうか。それではもう元には戻らないな」
「うん…」
乱れた前髪の向こうから、文香が俺を見つめる。悲しげな瞳をしていた。
「一人で泣いたもん。なんでこんなことになったのって、自分を責めたよ。だけどいくら泣いてもどうしようもなくて」
「だろうな…。んで、高校時代はどうだったの?ろくな恋できなかったって聞いてるけど」
「うん。真理くんの穴を塞ぎたくて、何人かと付き合ったけど、真理くん以上の人は見つからなかったもん。大学入ってやっと、夢中になれる人と出会えた…のに…」
文香が唇を噛んで、俺の胸に顔を埋める。大泣きしていたさっきのふーちゃんが思い起こされる。俺はふーちゃんの背中を抱く手に力をこめた。
「ふーちゃん…。なんかさ、今夜ふーちゃんのこと、いろいろ見聞きしちゃったよね俺。よかったのかな」
「うん、いいよ」
俺の胸の中でふーちゃんが応える。
「連休前の英会話で言ったじゃん。論理くんと仲良くなったら、私の頭の中教えてあげるって」
「じゃあ、ふーちゃんと俺、仲良くなれてるのかな」
「当たり前だもん。仲良くなかったら、今私ここにいないもん」
そう言って文香は、日本人形の瞳に熱い光を込めて、俺を見つめた。
「論理くん、今夜だけは私と論理くん、仲良しの恋人どうしなんだよねぇー」
「あ、ああ…。そうだな」
「じゃあさぁ」
また息を吸い込む文香。「すはあああっ」が耳に張り付く。
「論理くん、私とえっちなことしようよぉ!」
ああ…。やっぱ、そうきたか。ひーちゃん、俺どうしたら…。
「ふーちゃん…、そんなこと言っても、俺…」
「ん?どうしたかな論理くん」
「俺…」
文香の瞳をまともに見られない。俺は目をそらした。そんな俺を文香はじーっと見つめていたけれど、いきなり「ぷぷっ」と吹き出して笑った。
「あはは、論理くんってセックスしたことないでしょ」
「う…」
顔にさーっと血が上ってくるのを感じる。
「そんなの…、言わすなよ…」
「あは、あはは、あはははははは」
ふーちゃんの高笑い。伸びやかな笑い声。悔しいけれど、やっぱかわいい。
「そうだよねぇ、論理くん童貞だもんねぇー。そうじゃなかったら、私に刺激されてこんなに感じないもんねぇー、あはははは」
「う、ううぅ…」
うなるのがやっとの俺の背中を、ふーちゃんがぽんぽんとたたく。
「大丈夫論理くん。ビビらなくていいもん。じゃあまず…」
文香は目を閉じて、唇をすぼめて突き出した。え…これ…。キス、だよな。
「ふーちゃん…」
「早くぅ」
そ、そんなこと言っても…。俺、キス初めてなのに。ひーちゃん!俺、ひーちゃんの恋愛対象外だけど、それでもひーちゃんとキスしたいよ。それなのに俺、ファーストキス、ふーちゃんでいいのか。付き合っているわけですらないのに。でも…、目の前でふーちゃんがキスをねだってる。応えないのか俺。だけど俺、だけど…。ひーちゃん!ふーちゃん…。ええい、もういい!
「いくぞふーちゃん」
文香が小さくうなずく。俺は文香の頭を抱いた。そして唇を近づける。いよいよだ、俺のファーストキス。唇が…、ふーちゃんと重なる!肉感──。その身体と同じ豊かな肉感にあふれた唇だ。
「んっ、んんんっ!」
「んんーっ」
文香と俺の小さなうめき声が重なる。お互い唇を熱く押し付けあう。だけどそのうち、文香の唇が開き、舌が俺の口をこじ開けてきた。
「……………っ!」
ふーちゃん!いきなりディープキスなの。そんな、俺…、初めてなのに。でもふーちゃんの舌が俺を責める。やむなく唇を開くと、ふーちゃんがぐいぐいと俺に入ってきた。
「んっ…んんっ」
「んっ…」
俺はやっとのことでふーちゃんについていく。ぎこちなく絡む俺の舌。ふーちゃんはそんな俺を吸ったり、甘噛みしたりする。ふーちゃん、ひーちゃん、俺…。胸が高鳴りっぱなしだ。かれこれどれくらいそうしていただろう。やっと俺たちの唇が離れた。
「はあ…はあ…」
息を弾ませる俺の前で、ふーちゃんはあっけらかんとこう言った。
「キスしちゃったあ」
この人は…。俺はふーちゃんを軽く睨む。
「…ファーストキスだったんだけど」
そんな俺に、あのニヤーッとした笑いを見せるふーちゃん。そして言う。
「だと思ったよ?」
ふーちゃん…。なんで俺の前ではそんなに余裕綽々なの。坂口先輩の前では必死だったくせに。
「よし論理くん、よくキスしてくれました」
俺の頭をなでるふーちゃん。
「じゃあ次はこれだもん。足開いて」
言われるままに足を開くと、文香はひらりと俺の股間に身体を持ってきた。
「ふーちゃん、何するの」
「うふふ、論理くん、よく勃ってるねぇ。真っ赤っかだもん。今にも破裂して血が飛び散りそう」
そしてふーちゃんは俺のを両手の平で握った。あ、あぅ…。
「論理くん…」
ふーちゃんが、俺のに頬擦りする。
「論理くんの、かわいいもん…。私にこんなに感じてくれてるんだね…」
ふーちゃんはうっとりとそう言うと、やにわに大きく口を開いて、俺のをくわえてしまった。
「え、あ、ふ、ふーちゃん!そんな、そんな…」
口でくわえるというのがあるのは知ってたけれど、ふーちゃんがそうするなんて思わなかった。ああ…、ふーちゃんとのプレイが進んでいく。ひーちゃん…。
「んふふ」
ふーちゃんの口──魔性の口だ、まったく。吸い込む、言う、歌う、泣く…──が、俺のを余すところなくしゃぶっていく。その舌、その歯、その唇、それらみんなが、俺のを熱く刺激する。そして先から根元にかけて、しこしことストロークしていくふーちゃん。オナニーのときの右手とは全然違う、柔らかくて優しい、温かくて粘っこい感触が俺を包んだ。気持ちいい…。なんだよこの気持ちよさ…。だめだよふーちゃん、これ以上…!
「うっ、うぐうっ…ふー…ちゃん、ふーちゃん!」
喘ぐ俺。でもふーちゃんの口はストロークをやめない。あっという間に昇ってきた。ふーちゃんの名前を呼ぶごとに、夥しい快楽が突き上がる。
「ふー、ちゃん…っ!ぐうっ、あっ、ぐっ、ぐぐうっ!」
身体をのけぞらせる俺。溢れ出る精液が、ふーちゃんの口に入っていく。脳髄すべてがふーちゃんの快楽で染まった。
「んふふ、論理くん早ぁい、もうイっちゃったもん」
ふーちゃんが俺の股から顔を上げ、またニヤーッと笑う。
「うぐ…はぁ…そんなこと、言ったって…」
「えへ。気持ちよかったぁ?」
俺は大きく何度もうなずいた。でもそのとき、ハッと気づく。
「ふーちゃん!俺の…、飲んだの?」
「うん、もちろんだもん」
至極当然と言うばかりのふーちゃん。かたや、イったばかりで上気した顔を、一層赤くする俺。俺のが…、ふーちゃんの胃に…、入った…。
「ふーちゃん!そんな…、飲むなんて…、飲むなんて…」
「えー当然じゃん。論理くんが私の中に出してくれたものだもん。飲むの当たり前だよ」
「うわぁ…」
両手で顔を覆う俺。でも、そうしつつも嬉しい。ふーちゃんが俺の精液、吐き出さずに飲んでくれた。
「論理くん、じゃあ次は私を気持ちよくしてくれないかなぁ」
「あ、ああ…」
ふーちゃんと俺は、体を入れ替え、俺がふーちゃんの股間に来た。俺の目の前で大きく股を広げるふーちゃん。あ…、目の前にふーちゃんの大事なところが…。俺は思わず目をそらした。俺、ひーちゃんのあそここそ、見たかった…。それにしてもふーちゃん、ちょっとは恥じらえよ。俺だって男だぞ。
「論理くん、どこ見てんのよぉ」
そんな俺をふーちゃんが責める。
「見てよ、私の」
「そんなこと…、言ったって。俺女の子のあそこ、見るの初めてだし…」
「怖気づいたら嫌だもん。ちゃんと見てよぉ。今夜は私たち、恋人どうしなんでしょぉ」
ふーちゃんがなおも俺を急きたててくる。ひーちゃん…。でもここにひーちゃんはいない。いるのはふーちゃんだ。そ、それなら…。俺は勇気を出して、視線をゆっくりと前に向けた。
「ふーちゃん…」
生唾を飲む俺。これが…、女の子の大事なところか。中学生の頃、女子生徒の水着が股間を覆う様子に熱くなったことがあった。あの、幅四センチの布の向こうは、こうなっていたんだ。
「論理くん、どう…かなぁ。萌える?」
そう言われて素直に萌えている俺が悲しい。ひーちゃん…。だけどふーちゃんの、かわいい。
「ああ。これがふーちゃんのなんだね。なんか…、すべすべじゃない?」
「触っていいよぉ」
「う、うん」
俺、初めて女の子のあそこに触る。手が震えた。ぴくぴくした指で俺は、ふーちゃんの少し黒ずんだ秘部に、ついに触れた。ふわりとした皮下脂肪が、俺の指を包む。さっきイったばかりなのに、俺のがまた大きく硬くなる。
「毛、剃ってあるの?」
「うん、三日に一度くらい、お風呂で剃ってるもん」
今まで「剃る」と言えば、もちろんお風呂でうなじを剃るひーちゃんだった。でもふーちゃんも、股を大きく広げて大事なところをちまちまと丁寧に剃っているという。そんなふーちゃんの姿…。だめだ萌える。
「論理くん…。広げて」
ふーちゃんの少年声が熱っぽい。
「え…?広げ、るの?」
「当たり前じゃん。さわさわしてるだけじゃ嫌だもん」
「う…うん…」
急かされて俺は、震える指でふーちゃんの割れ目を広げた。
「ふーちゃん…」
見えてきた。ふーちゃんの、秘部中の秘部が、楕円形に広がる。その中に、赤く充血した筋肉が、上下ぴったりと重なりあっている。女の子って…、こうなってたんだ…。胸が高鳴る。俺のはさっきから破裂寸前だ。
「論理くん…。広げたとこの、上の…ほうにさぁ、小さな、ボッチみたいなものが…見えない?」
「え…」
広げた割れ目の上のほうを見る。ん?確かにある。肉の襞に埋もれるように、大きさ四ミリくらいの、丸いボッチがあった。
「あったよ」
「そこを…」
ふーちゃんは、はっ、と息を吐いた後、胸を大きく膨らませて「すはあああっ」と呼吸し、熱っぽくこう言った。
「触って!優しく」
「う、うん…」
優しく触るの?よ、よし…。俺は人差し指を、立て、ボッチにそっと押し当てた。すると──。
「あああああああああっ‼︎…す、すはあああっ、あううううっ」
いきなりふーちゃんが大声を出し、身体をよじる。
「ふ、ふーちゃん!どうしたの!」
驚いて指を離す俺。
「やめないでっ!もっと、ぐりぐりして!」
「そ、そんなこと言ったって…」
「早くぅっ!」
そう叫んでふーちゃんが身体を震わせる。何が起こってるのかよくわからない。でも、言われるままにとりあえずボッチを触る。
「ああっ…、ああっ、あああっ…、すはあああっ、あううーーっ」
俺の下宿に、ふーちゃんの叫び声が満ちる。激しい胸式呼吸で、胸が大きく上下する。ふーちゃん、急にそんなに熱く叫んで…。このボッチが、そんなに感じるというのか。よし、それなら。俺は人差し指と親指でボッチを摘んだ。それにしても俺何やってんだ。ひーちゃんの顔が浮かぶ。でも、俺の本能が俺を止めない。
「ああああああっ‼︎論理くんっ…す、すはああああっ、論理くーーんっ‼︎すはあああっ、あっ、ああっ、あああっ‼︎」
摘む指に力を加えるごとに、ふーちゃんの叫び声のボルテージが上がる。女の子って、こんなふうに感じるんだ…。俺はなおも、ふーちゃんのボッチを責め、ふーちゃんはそれに高らかな声で応える。でもやがて、ふーちゃんが、荒い息をつきながらこんなことを言った。
「論理…くん…。はぁ…すはあっ、そこ…舐めてぇ」
「えっ、舐めるの?」
驚いた俺だったけれど、ふーちゃんだって俺のを舐めてくれたんだから、俺だってふーちゃんの舐めないとと思った。
「わ、わかった。行くよ」
「うんっ」
俺はふーちゃんの秘部を、両の人差し指で広げるだけ広げた。見れば、筋肉層がしとどに濡れ、液体がいく筋もお尻のほうに垂れてきている。
「ふーちゃん…、なんか、めちゃ濡れてるけど、大丈夫?」
「いいよ。そこ、感じると濡れるもんなんだもん。それより…、早く舐めて!私…イっちゃいたいもん!」
イく?イくって、ふーちゃんどうなっちゃうんだろう。で、でも…。とりあえずはふーちゃんの舐めるしかないようだ。肉の襞が広がり、ふーちゃんのボッチが一層露わになっている。そこに口を近づける俺。ふーちゃんの熱気が唇に伝わってくる。酸っぱい強い匂いがした。梅の匂い?俺、ふーちゃんを感じてる。全身が熱く火照る。俺は舌を出し、ふーちゃんのボッチに触れた。
「あうううううううっ‼︎」
俺は舌を上下左右に動かす。そのたびに、ふーちゃんが声高に叫ぶ。なんか面白くなってきた。ふーちゃん、俺のなすがまま?
「あああっ、論理…くんっ、論理くんっ、すはああっ、ああうっ、あうっ…うっ…うううーっ」
ふーちゃんのボルテージが、今までより一層上がる。腰を浮かし、身をのけぞらせるふーちゃん。
「ああっ、論理くん…、ダメ、ダメ…す、すはああっ、イく…イく…イっちゃう…」
熱いその声に導かれるように、俺はもっと激しく舌を動かし続ける。ふーちゃん!ふーちゃん!そしてやがて──。
「すはあああああっ‼︎」
胸と肩だけじゃない、全身を袋にして、ふーちゃんは思いきり息を吸い込んだ。
「イくうううううううううっ‼︎」
ふーちゃんの絶叫。ふっくらした身体全部にぎゅっと力がこもり、体躯が一層のけぞる。肉厚な白い肌がじっとりと湿る。ふーちゃん、これが女の子が「イく」というものなの?なんて激しい…。
「はああっ…すはああっ、はああっ…すはああっ」
ふーちゃんの胸が、荒く上下する。俺はそんなふーちゃんを、しばし呆然と見つめた。
「すはああっ、論理…くん、ありがと…、すはああっ、気持ち、よかったもん」
ふーちゃんが身体を起こす。まだ肩が大きく上下している。
「あのボッチ、そんなに感じるんだ」
「うふふ、あれね、」
いたずらっぽく笑うふーちゃん。
「『クリトリス』って言うんだよぉ。大学生にもなって、論理くんそんなことも知らないのぉ?重要単語だから、覚えておいてね」
「クリトリス…」
「うん。女の子がいちばん感じる場所だもん。ここイジられたらイっちゃう」
そうか。何も知らない俺だけど、ふーちゃんに教えてもらって、一つ利口になれた。
「よし、次はねぇ…」
「え?まだあるの?」
驚いた。イったんだから、これで終わりだと思った。でもふーちゃんはニヤニヤ笑っている。
「決まってんじゃん。だって論理くんの、まだ私の中に出してもらってないもん」
「え、だってさっきふーちゃん、俺の飲んでくれたじゃない」
それを聞いたふーちゃんが、ケラケラと笑う。
「あはは、バカじゃん論理くん、口がフィニッシュなんてあるはずないもん。論理くんがね、論理くんの私に挿し込んで、論理くんがイって、出すの。そうしなきゃセックスじゃないもん」
ごくり、と俺は唾を飲み込んだ。俺が、ふーちゃんに、出す…。さっき俺の精液がふーちゃんの胃に入っただけでも顔が真っ赤になったのに、俺のをふーちゃんに挿れるの?そんな…。胸がはち切れそうにドキドキする。そして遠慮なしに勃ち、脈打つ俺の。だけど…、俺、挿れるならひーちゃんに挿れたかった。
「それじゃあ論理くん」
高鳴る胸の中で返事もろくにできない俺を置いて、ふーちゃんは俺に背を向けると、身体を曲げ、そのままうつ伏せにうずくまった。ふーちゃんの白くてもっちりしたお尻が俺に突き出される。
「ふ、ふーちゃん、どうしたの?そんな姿勢とって」
「えへへ、論理くん、私これから芸するもん。私のお尻の穴見てて」
「う、うん…」
言われるままに、ふーちゃんのお尻の穴を見た。放射線状の細かいシワが固く寄って、穴を閉じている。
「いくよ、んっ」
ふーちゃんが軽くりきむ。すると、放射状のシワが緩み、穴の口がぬっと開いた。直径三センチはある、赤黒い口だ。この穴、こんなに開くんだ。まあ、ぶっというんちするときもあるからな…。でも自力でこんなに開けられるものか?
「論理くん、もっと近くで見てよぉ、私の穴ぁ」
「あ、ああ…」
ふーちゃんの穴のすぐ近くまで目を近づける。穴の向こうはふーちゃんの内臓だ。なんか…、生命感を感じる。また一層に勃ってくる俺の。俺、お尻の穴でも勃つのか。そう思った瞬間、ふーちゃんの穴が、いきなり「すはあああっ」と空気を吸い込んだ。
「え?」
声を漏らす俺の顔に、ふーちゃんの穴から「ぶーーっ」と勢いよくガスが噴き出る。ふーちゃんの強い匂い。ふーちゃんの、生命の匂い。嫌だよ熱くなる。
「あはは、どう論理くん。私の芸だもん」
おならを顔に吹きかけられたことになるのだけれど、なぜかふーちゃんがかわいく見えた。
「ふーちゃん…。こんなことできるんだ。でも珍しくない?穴こんなに開けられる人」
「穴開けられる人はけっこういるみたいだけど、穴で息できる人は、たぶん日本で私だけかもね」
ふーちゃんは、得意そうにそう言った。
「それってさ、ほんとに呼吸できるの?お尻で酸素取り入れられるとか」
「あはは、さすがにそれはないもん。上の口で息止めて、下で息してても苦しくなるから」
一瞬、ふーちゃんがプールで水中逆立ちをして、水の上で大きく股を広げている様子を想像した。ふーちゃんのを覆う幅四センチの水着越しに、「すはあああっ、ぶーーっ」と音がしてふーちゃんが呼吸する。それにつれて下腹がふくらみ、すぼまる。ふーちゃんの匂いが、あたり一面に漂う…。いけない、想像したらめちゃ熱くなる。勃ちすぎて痛いくらいだ。…でもいくらなんでも、ふーちゃんこんなことできないよな。
「ふーちゃん、生まれつきそんなことできるの?」
「ううん、真理くんに開発してもらったんだもん」
「開発?」
「そう。真理くん、私のお尻大好きでねぇ、いろいろイジってくれたんだもん。んで、いっぱいイジってもらってるうちに、こんなのできるようになったもん」
イジられるうちに、三センチも穴開けられるようになって、あまつさえ息もできるようになる?真理くん、ふーちゃんに何をやったんだ?なんか興味深いな。でもそれより、俺のがふーちゃんの穴に勃ちまくってる。この、ふーちゃんの穴を、もっと感じたい!
「ふーちゃん…、ここでもう一度、息して」
俺はもう一度、ふーちゃんの穴に顔を近づけた。
「うん、いいよ。じゃあいくもん」
ふーちゃんはそう言って、「んっ」とりきみ、穴を一層広げた。「くちゃっ」という、ふーちゃんの肉の音。そしてそんな穴から、「すはあああっ」と息が吸い込まれる。ふーちゃん、こっちの口でも、息吸うとそのブレス音が出るんだ。そして「ぶーーっ」と噴き出るガス。今度はそんなに匂わないけれど、ふーちゃんの高い体温で温められていて熱い。ふーちゃん…。俺…。その穴を感じたい。だけど…!俺のひーちゃんが、俺の中でもがいている。いいのか俺。こんなことして。こんな感じて。でもそう思う一方、指がひとりでに動いて、ふーちゃんの穴の粘膜に触れた。ねちょっとする生温かい感触。そのとき、ふーちゃんの少年声が響いた。
「嫌だもん」
指を止める。
「嫌?」
「指じゃ嫌だもん。論理くんのを、ここに挿れて」
ふーちゃんの言葉には、はっきりした意志があった。俺のを、ふーちゃんの穴に、挿れる?どくどくと脈打つ俺の。ひーちゃん…。俺の中のひーちゃん。そんな悲しそうな顔するなよ。でも…。今すぐにでも、たぎり立つものを発射したい。
「ここならさ論理くん、コンドームせずに中出しできるもん」
そ、そうだな…。穴だったら、赤ちゃんができる心配は要らない。俺の精液、存分にふーちゃんに受け取ってもらえる。だけど罪悪感が…。
「わ…わかった。それじゃふーちゃん、いくよ」
だめだ…。俺の欲求が、俺の中のひーちゃんを押さえつけてしまう。
「うん!あ、でもその前に」
ふーちゃんは、何かを気にかける表情を見せる。
「論理くん…ローションないと挿れられないかも…持ってる?」
「持ってない。それに、ローションって何?」
ローション?マジで知らなかった。俺のそんな返答を聞くと、ふーちゃんは口をへの字に歪める。
「論理くん、ローションも知らないのぉ…。まあ、経験ないもんね、しかたないっかぁ。じゃあサラダ油でいいもん!サラダ油塗って!」
「サラダ油?塗る?どこに?」
「もぉ…」
困り果てたふーちゃんの顔。
「論理くんのと、私のお尻の穴にサラダ油塗るんだよ。そうやってヌルヌルさせないと、うまく挿れられないもん」
「う、うん…」
まだわけがよくわからないけれど、とりあえず俺は、台所からサラダ油を持ってきた。
「じゃあそれを手に取って。まず論理くんのにまんべんなく塗るの」
言われるまま、俺はサラダ油を俺のに塗った。テカテカヌルヌルになる俺の。
「次は私の穴に塗って。奥のほうまでね」
「わ、わかった」
油を指に付け、ふーちゃんの穴の周囲から塗り始める。そして穴の中に指を突っ込み、中側にもサラダ油を塗った。
「あん!ああうっ、ああっ…、すはああああっ、論理くぅん!」
指を穴の中でぐりぐりと回すと、ふーちゃんがまた激しい声を上げた。
「ふーちゃん、感じてるの?」
「うん、うん。私の穴の中…敏感だもん」
ふーちゃんは何度もうなずく。
「よし論理くん、お互い充分塗ったね。いよいよだもん論理くん。私の穴に挿れて」
「挿れる…のか、ふーちゃん」
「そうだよ。論理くんの童貞、これから私がもらうもん!」
ああ。とうとうそう言われた。俺の初体験がふーちゃんか。付き合ってもいないのに。俺、初体験はやっぱひーちゃんがよかった。あの耳たぶおかっぱと存分に交わりたかった。でも…、さっきのふーちゃんの大号泣が俺の胸に張り付いている。あんな胸式呼吸で、あんな泣き声で、あんなブレス音で、俺の萌えポイント、全部押さえてて…。そんなの感じさせられたら、もういくしかないじゃないか!
「ふーちゃん!」
俺は、俺のをそそり立たせて、ふーちゃんの穴に近づく。いくぞ俺。とうとういくぞ。俺のの先端が、ふーちゃんの赤黒い直径三センチに、するっと触れた。体温と肉感を、熱く感じる。
「挿れるよ、ふーちゃん」
「うん。論理くん、来て!」
鉄より固く、炎より熱くなった俺の。それを今、俺はふーちゃんの穴に重ね合わせ、ずるりとその中に挿れていった。ふーちゃんの穴も俺のもサラダ油で覆われ、少し力を入れるだけで、俺のはふーちゃんの穴に沈み込んでいく。ふーちゃんの穴の熱さと、勃ちきった俺のの熱さ。その二つが激しく交わりあう。
「ふーちゃん、挿れてるよ…」
「うん…、論理くん…、もっと来て。もっと奥まで」
ふーちゃんのそんな声に導かれるように、俺はなおもふーちゃんの穴の中を進む。
「うっ!論理くんっ」
ふーちゃんがそう小さく叫ぶと、穴がぎゅっと締まって、俺のを押さえつけた。
「ぐぐうっ」
その刺激に、思わず溢れ出しそうになる。
「だめ!まだイかないで論理くん。奥まで行ったら、腰を振って私を気持ちよくさせて」
「わ、わかった…」
吹き出しそうになる精液を堪えつつ、俺はとうとう、根元までふーちゃんに挿れた。口のときと同じ、温かくて粘っこい感触があるけれど、口に比べて中は固い。ふーちゃんの括約筋だ。
「うっ、くうっ…、論理くん…」
また締まる。ダメだふーちゃん、俺…。でもまだだ。イきかけるのを抑え、自分の脳内で懸命にバランスをとりながら、俺はストロークを始める。ゆっくりやるつもりだったけれど、本能が溢れ出して、いきなりスピードアップした。
「あっ…ああっ…うぐっ…す、すはああっ、論理…くんっ、気持ち…いいもん…」
俺の動きに合わせて、ふーちゃんの白いもっちりお尻が揺れる。そして叫び声が漏れる。
「ふー…ちゃんっ、ぐうっ…ふーちゃん!」
「論理、くんっ、論理くんっ…、ああっ、すはああっ、あうううっ」
ふーちゃんのボルテージが上がってきた。ベッドに突っ伏した背中が激しく膨らむ。俺はストロークに更に勢いを込めた。俺の腰と、ふーちゃんのお尻が当たって、パンパンと音を立てるのも淫らだった。もう限界が近い。燃えたつ。燃えたっていく…。俺もふーちゃんも、裸にじっとりと汗をかいている。ふーちゃんの穴からは粘液が吹き出し、俺のにも、周りにも、ぎらぎらと粘りつく。そんな様子が、俺を一層燃やした。溢れてくる。いけない、もう止まらない!
「ふーちゃんっ、ふーちゃんっ!俺っ…俺っ…」
「論理くんっ!論理くぅんっ!」
叫ぶふーちゃん。穴が一段と締まる。
「ふーちゃん‼︎出るっ、出るっ‼︎」
「論理くんっ、私もイくっ、イくもんっ…、すはあああああっ‼︎イくううううううっ‼︎」
ふーちゃんの穴が、力の限り締まる。その刺激が、俺の全身を撃った。
「あうぐっ‼︎ぐうっ、ぐっ、ぐぐうっ‼︎」
激しく腰を振りつつ、ふーちゃんの穴に俺は、余すところなく精液を注ぎ出す。
「論理くんっ‼︎うううっ、あうっ、すはああっ、あああううっ」
ふーちゃんもまだ快楽が止まらない。俺たちはかなり長い間、雄と雌になって淫らな交尾を続けた。
「はあっ…、はあああっ、はあっ…」
「はあっ…、すはああっ、はあっ…」
快楽の津波がようやく去り、俺たちは息を荒く弾ませる。俺もふーちゃんも汗みどろだ。やがて俺はふーちゃんの穴から俺のを抜く。穴から、どろりと白い俺の精液が流れ出してくる。俺の、一生一度の初体験は、ふーちゃんの穴。ひーちゃんじゃなかった。これで俺、ほんとによかったんだろうか…。

ようやく息も落ち着いた。俺たちはまた全裸で、ベッドの上で抱き合っている。ふーちゃんは俺の胸に顔を埋めていたけれど、やがて顔を上げ、乱れた前髪越しに俺を見つめた。相変わらずニヤーッと笑っている。
「どうだったかなぁ、論理くん。初体験の感想はぁ?」
童貞はひーちゃんにこそ捧げたいと思ってた。けれど、今日のふーちゃん見てたらそうも言えない。
「楽しかったよ。いろんな体験できたし、有意義だったと思う」
「そか。そう感じてくれてるならよかったもん」
ふーちゃんはそう言って、にっこり(今度はニヤーッじゃなかった)と笑ってくれた。
「ふーちゃんは、ちなみに何回目なの?」
「私ぃ?真理くんとはもう、数え切れないくらいだし、高校時代の男の子たちとも次々とやってたもん。百回くらいいってたりしてネ」
とんでもない武勇伝を、いたずらっぽく語るふーちゃん。そういえば、女の子のあそこ、回数を重ねると黒ずんでくるって聞いた覚えがある。きっとふーちゃんもなんだな。ひーちゃんは、どうなんだろう。赤ちゃんピンク?いやそうだ、赤ちゃんピンクに違いない。だってひーちゃんだから。
「そんな経験してるんだったら、俺みたいな童貞相手じゃ、めちゃ物足りなかったろう」
「ううん、そんなことないもん」
俺の胸の中でかぶりを振るふーちゃん。
「論理くんの初々しさが素敵だったもん。私に一生懸命感じてくれてて。得難いひとときだったもん」
ふーちゃんはそう言って、ニコニコと笑ってくれる。よかった。ふーちゃん、俺と過ごすことで、立ち直ってくれたみたい。
「ねえ論理くん。私さぁ、今日誕生日だったんだもん。十九歳の」
「あ、そういえばそうだったね。『ハルマゲドン』に書いてあった。おめでとうふーちゃん」
「ありがと論理くん。でもね、今日の誕生日、私…」
ふーちゃんは瞳を伏せる。
「十九年間生きてきた中で、いちばんつらくて、いちばん泣いた誕生日になったって思ったもん…」
「そりゃそうだよな…」
「だけどね!」
パッと顔を上げるふーちゃん。表情が輝いていた。
「論理くんのおかげで、最後は救われたもん!これからまた私、新しい恋に向かって走り出せるもん」
「新しい恋?」
ふーちゃんの新しい恋。その相手に俺はなれないか。俺の萌えはひーちゃんだけど、目の前にふーちゃんがいると、気持ちが盛り上がってくる。でも今夜一晩って言われたしなぁ。だけど聞いてみよう。
「その相手は、俺ってことにならない?」
「論理くん?あはははは」
遠慮なしに笑い飛ばすふーちゃん。
「そうだねぇ、これから先、学部や文芸部で、論理くんと仲良く過ごして、『あ、論理くんでもいいかな』ってもし私が思ったら、ひょっとしたらそうなるかもねぇ」
なんか、望み薄そうだな。俺は小さくため息をつく。でもふーちゃんは、「すはあああっ」と大きく息を吸い込むと、続けてこんなことを言った。
「だけど、今夜一晩で、論理くんの優しさ、充分に感じたもん。論理くん、その優しさで、これからも私を見つめてね。論理くんに見つめられると、私、元気になれるもん」
「でも俺のことはすぐには好きにならないんだろ」
「ううんっとねぇ」
いたずらっぽく笑うふーちゃん。
「今ちょっとね、目星つけてる人がいるんだもん。秀馬先輩ダメだったらこの人って思ってるんだよ。まずはその人からだね。論理くんはもうちょっと待ってて」
先輩に振り飛ばされてあんなに大号泣したくせに、その一方でもう次の人意識してたのか。この人はまったく…。でもふーちゃん、なんか憎めない。駅前でぶつかったときからそう。息を吸って肩の上がる子には、何をさておいても萌えてしまう俺だった。
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