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第46話 竜2
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俺とカルメとノジャは中央闘技場が見える建物の屋上にいる。野次馬がたくさんいる中で、闘技場を眺める。
「本当に大丈夫なのか?」
俺は闘技場から見える大きな竜を見て言った。
竜は銀色の鱗を纏い、羽をばたつかせている。闘技場の中心の空いている部分を埋め尽くすくらいの大きさだ。
東京ドームくらいかも。
羽には大きな穴が空いていて、そのせいで飛び立てないのだろう。
「大丈夫かもしれない」
カルメが自信なさげに答えた。
「竜は初めて見たのじゃ」
「俺も本物は初めてだな。リンも本物は初めてだろうに……」
リンは竜退治に加勢しに行っている。
竜の鱗はどんな魔法でも跳ね返し、どんな剣も通らない。
そう聞いた。
「リンの魔法は効くのか?」
「やってみないとわからないな」
見ていると、闘技場の周りにキラリと光る膜が張られたように見えた。
「あれは?」
「バリアだな。誰か大きな魔法を使う気だ」
カルメが答えて、身を乗り出す。
ここからだと見えにくいが、竜の周りを人が飛んでいる。人から、光線や炎などが出ているが、効いているようには見えない。
一向に竜は暴れるのをやめない。
竜の周りを飛んでいる人たちが、バリアの外に出始める。
俺たちもそうだが、周りにいる野次馬たちも息を呑む。
その時、バリアの中が大きな火柱に包まれた。空高々に火柱が燃え上がる。竜は完全に包まれて、見えなくなった。
「ギギャアアアアア!」
竜の叫びなのか、大きな悲鳴が闘技場から聞こえた。
ドンという大きな音と共に、建物が揺れる。
「お、終わったか?」
俺がそう言うと、カルメは首を横に振る。
火柱が消えると、竜が姿を現した。竜はぐったりと闘技場の端に顎を乗せている。
「これで終わっていないのか?」
「ああ。竜は竜核を貫かないと……」
カルメは拳をグッと握った。
「自分の体を相手に好きなようにさせないように、自爆する」
「ええ!」
「でも、瀕死にする攻撃をしたってことは竜核の場所がわかったんだ!」
カルメや野次馬が指をさす。
バリアが剥がれ、闘技場の周りを飛んでいた人たちが竜の正面に固まっていた。
そこに光が集まり始める。
「来るぞ……!」
その人たちから光線が竜に向かって放たれた!
光線は竜の額を貫いた。俺は光線の先を見ると、山に穴が空いていた。
辺りはしんと静まりかえる。
すると、突然、闘技場の方から歓声が上がる。それに釣られて、ここでも歓声が上がった。
「やったぜ! 倒したんだ!」
カルメが俺の方を向き、喜んだ。
「す、すごいな」
俺は驚くことしかできなかった。
「見た感じだと、聖星ドラゴンだ。かなりの上位種だぞ」
「聖星ドラゴン?」
ノジャがカルメに聞いた。
「銀の鱗が特徴的なドラゴンだよ。ザサツ界では昔は神の使いだと言われていたんだ。竜の中でもかなり強くて……そんなドラゴンの羽を貫くやつがどこかにいたってことか?」
カルメは空を見上げた。
何もいない。
「今のドラゴンより強いのがいるのかの! すごいのう」
ノジャはこんなことがあったのに、相変わらず呑気だった。
「本当に大丈夫なのか?」
俺は闘技場から見える大きな竜を見て言った。
竜は銀色の鱗を纏い、羽をばたつかせている。闘技場の中心の空いている部分を埋め尽くすくらいの大きさだ。
東京ドームくらいかも。
羽には大きな穴が空いていて、そのせいで飛び立てないのだろう。
「大丈夫かもしれない」
カルメが自信なさげに答えた。
「竜は初めて見たのじゃ」
「俺も本物は初めてだな。リンも本物は初めてだろうに……」
リンは竜退治に加勢しに行っている。
竜の鱗はどんな魔法でも跳ね返し、どんな剣も通らない。
そう聞いた。
「リンの魔法は効くのか?」
「やってみないとわからないな」
見ていると、闘技場の周りにキラリと光る膜が張られたように見えた。
「あれは?」
「バリアだな。誰か大きな魔法を使う気だ」
カルメが答えて、身を乗り出す。
ここからだと見えにくいが、竜の周りを人が飛んでいる。人から、光線や炎などが出ているが、効いているようには見えない。
一向に竜は暴れるのをやめない。
竜の周りを飛んでいる人たちが、バリアの外に出始める。
俺たちもそうだが、周りにいる野次馬たちも息を呑む。
その時、バリアの中が大きな火柱に包まれた。空高々に火柱が燃え上がる。竜は完全に包まれて、見えなくなった。
「ギギャアアアアア!」
竜の叫びなのか、大きな悲鳴が闘技場から聞こえた。
ドンという大きな音と共に、建物が揺れる。
「お、終わったか?」
俺がそう言うと、カルメは首を横に振る。
火柱が消えると、竜が姿を現した。竜はぐったりと闘技場の端に顎を乗せている。
「これで終わっていないのか?」
「ああ。竜は竜核を貫かないと……」
カルメは拳をグッと握った。
「自分の体を相手に好きなようにさせないように、自爆する」
「ええ!」
「でも、瀕死にする攻撃をしたってことは竜核の場所がわかったんだ!」
カルメや野次馬が指をさす。
バリアが剥がれ、闘技場の周りを飛んでいた人たちが竜の正面に固まっていた。
そこに光が集まり始める。
「来るぞ……!」
その人たちから光線が竜に向かって放たれた!
光線は竜の額を貫いた。俺は光線の先を見ると、山に穴が空いていた。
辺りはしんと静まりかえる。
すると、突然、闘技場の方から歓声が上がる。それに釣られて、ここでも歓声が上がった。
「やったぜ! 倒したんだ!」
カルメが俺の方を向き、喜んだ。
「す、すごいな」
俺は驚くことしかできなかった。
「見た感じだと、聖星ドラゴンだ。かなりの上位種だぞ」
「聖星ドラゴン?」
ノジャがカルメに聞いた。
「銀の鱗が特徴的なドラゴンだよ。ザサツ界では昔は神の使いだと言われていたんだ。竜の中でもかなり強くて……そんなドラゴンの羽を貫くやつがどこかにいたってことか?」
カルメは空を見上げた。
何もいない。
「今のドラゴンより強いのがいるのかの! すごいのう」
ノジャはこんなことがあったのに、相変わらず呑気だった。
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