46 / 77
第45話 竜
しおりを挟む
豊が笑っていた理由がわかった。
フランソワーズに案内された屋台には、動物の肝や脳みそを焼いたり煮たりした物が売っていた。珍味だな。
「これなんかオススメです~」
俺は肝に飴をコーティングしたものを食べることになった。
「だから、断ったんだ」
カルメは顔を青くしながら、煮詰めた脳みそを食べていた。リンは平気そうだし、ノジャは嬉しそうに食べている。
「リンはこういうの大丈夫なのか?」
「僕は旅が長いのでよく食べますから」
リンはおかわりをしている。もちろん、ノジャも。
俺とカルメはげっそりしながらも、完食した。不味くはないが、見た目が受け入れられなかった。おかわりはしていない。
「食べ終わったので、宿屋でも探しましょうか」
フランソワーズは満足したのか嬉しそうに提案してきた。
俺たちは同意して、宿屋探しを始めた。
手持ちのお金はあまりないので、安い宿にした。中心街から遠く離れた宿だ。
俺とカルメ、リンは同じ部屋で、ノジャだけが別部屋だった。
そしたら、ノジャがむくれた。
「なんで、わしだけ違うのじゃ~!」
「女子とは一緒にならないでしょ」
カルメがそういうと、ノジャはぷくりと頬を膨らませた。
「女子ではないのじゃ」
「え、男の子だったの?」
「男でもないのじゃ!」
カルメが疑問符を出していると、リンはハッとしたような顔をした。
「リン、どうかしたか?」
俺が聞くと、リンは何でもないと言った。気になるが、あまり詮索するのも悪いので、それ以上聞くのはやめた。
俺たちは一晩休み、次の日に備えることにした。
「リンはウォーターフォールには帰っているのか?」
ウォーターフォールとはカルメとリンの出身地だ。カルメが所属しているマジックナイトというギルドもそこにあるらしい。
「半年くらい前に帰りましたね」
「もっと帰ったらどうだ? 彼女も待ってるだろ~」
カルメはニヤリとしながら言った。
「彼女がいるのか?」
俺がそう聞くと、リンはサラッと、いると答えた。
面白くない。もう少し照れたりしてもいいのにな。
「ルルーとは、よく手紙を交わしていますから大丈夫です」
彼女の名前はルルーというのか。
「どのくらい?」
「三ヶ月に一度」
「少ないな」
俺は想像した。もし、俺に彼女がいたとして、三ヶ月も音信不通になったら心配する。
「前よりは、よく会えますから」
リンは目を伏せて、そう言った。
俺たちは会話もそこそこ、寝ることにした。
ドシンと大きな重い音がして、俺は飛び起きた。
「な、なんだ!」
カルメとリンも飛び起きて、カーテンを開けた。
土煙で外の様子がわからない。
「とりあえず、外に出るか?」
俺がそう言うと、リンは首を横に振った。
「ノジャさんを部屋に呼んで、部屋で待機していましょう」
ノジャも起きたみたいで、部屋で合流した。
土煙は少しおさまったようだが、道に人が出ていて道の先を見ているのしか見えない。
すると、部屋をノックされて、答えた。
「ネバー!」
ネバーが廊下に立っていた。
「竜が出た」
それだけ言って去ろうとしたので、カルメが腕を掴んだ。
「どこに?」
「中央闘技場」
中央闘技場とは、街で一番大きい闘技場のことだ。
「避難する必要ない」
ネバーはカルメの手を腕から離して、歩き始めた。俺たちはそれに続く。
「避難しなくていい」
「でもよ」
「豊とペパーミントが出ている」
カルメとリンは立ち止まった。
「それなら、大丈夫か?」
カルメはリンに聞く。
「どの竜種になるかによりますが」
「竜ってそんなに強いのか?」
俺が聞くと、ネバーが立ち止まり、振り返った。
「今回の竜は豊が五人必要」
フランソワーズに案内された屋台には、動物の肝や脳みそを焼いたり煮たりした物が売っていた。珍味だな。
「これなんかオススメです~」
俺は肝に飴をコーティングしたものを食べることになった。
「だから、断ったんだ」
カルメは顔を青くしながら、煮詰めた脳みそを食べていた。リンは平気そうだし、ノジャは嬉しそうに食べている。
「リンはこういうの大丈夫なのか?」
「僕は旅が長いのでよく食べますから」
リンはおかわりをしている。もちろん、ノジャも。
俺とカルメはげっそりしながらも、完食した。不味くはないが、見た目が受け入れられなかった。おかわりはしていない。
「食べ終わったので、宿屋でも探しましょうか」
フランソワーズは満足したのか嬉しそうに提案してきた。
俺たちは同意して、宿屋探しを始めた。
手持ちのお金はあまりないので、安い宿にした。中心街から遠く離れた宿だ。
俺とカルメ、リンは同じ部屋で、ノジャだけが別部屋だった。
そしたら、ノジャがむくれた。
「なんで、わしだけ違うのじゃ~!」
「女子とは一緒にならないでしょ」
カルメがそういうと、ノジャはぷくりと頬を膨らませた。
「女子ではないのじゃ」
「え、男の子だったの?」
「男でもないのじゃ!」
カルメが疑問符を出していると、リンはハッとしたような顔をした。
「リン、どうかしたか?」
俺が聞くと、リンは何でもないと言った。気になるが、あまり詮索するのも悪いので、それ以上聞くのはやめた。
俺たちは一晩休み、次の日に備えることにした。
「リンはウォーターフォールには帰っているのか?」
ウォーターフォールとはカルメとリンの出身地だ。カルメが所属しているマジックナイトというギルドもそこにあるらしい。
「半年くらい前に帰りましたね」
「もっと帰ったらどうだ? 彼女も待ってるだろ~」
カルメはニヤリとしながら言った。
「彼女がいるのか?」
俺がそう聞くと、リンはサラッと、いると答えた。
面白くない。もう少し照れたりしてもいいのにな。
「ルルーとは、よく手紙を交わしていますから大丈夫です」
彼女の名前はルルーというのか。
「どのくらい?」
「三ヶ月に一度」
「少ないな」
俺は想像した。もし、俺に彼女がいたとして、三ヶ月も音信不通になったら心配する。
「前よりは、よく会えますから」
リンは目を伏せて、そう言った。
俺たちは会話もそこそこ、寝ることにした。
ドシンと大きな重い音がして、俺は飛び起きた。
「な、なんだ!」
カルメとリンも飛び起きて、カーテンを開けた。
土煙で外の様子がわからない。
「とりあえず、外に出るか?」
俺がそう言うと、リンは首を横に振った。
「ノジャさんを部屋に呼んで、部屋で待機していましょう」
ノジャも起きたみたいで、部屋で合流した。
土煙は少しおさまったようだが、道に人が出ていて道の先を見ているのしか見えない。
すると、部屋をノックされて、答えた。
「ネバー!」
ネバーが廊下に立っていた。
「竜が出た」
それだけ言って去ろうとしたので、カルメが腕を掴んだ。
「どこに?」
「中央闘技場」
中央闘技場とは、街で一番大きい闘技場のことだ。
「避難する必要ない」
ネバーはカルメの手を腕から離して、歩き始めた。俺たちはそれに続く。
「避難しなくていい」
「でもよ」
「豊とペパーミントが出ている」
カルメとリンは立ち止まった。
「それなら、大丈夫か?」
カルメはリンに聞く。
「どの竜種になるかによりますが」
「竜ってそんなに強いのか?」
俺が聞くと、ネバーが立ち止まり、振り返った。
「今回の竜は豊が五人必要」
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説

ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

貧弱の英雄
カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。
貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。
自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる――
※修正要請のコメントは対処後に削除します。

2回目の人生は異世界で
黒ハット
ファンタジー
増田信也は初めてのデートの待ち合わせ場所に行く途中ペットの子犬を抱いて横断歩道を信号が青で渡っていた時に大型トラックが暴走して来てトラックに跳ね飛ばされて内臓が破裂して即死したはずだが、気が付くとそこは見知らぬ異世界の遺跡の中で、何故かペットの柴犬と異世界に生き返った。2日目の人生は異世界で生きる事になった
セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~
空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。
もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。
【お知らせ】6/22 完結しました!

異世界転生ファミリー
くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?!
辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。
アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。
アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。
長男のナイトはクールで賢い美少年。
ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。
何の不思議もない家族と思われたが……
彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

魔王を倒したが、無実の罪を着せられた俺は、これから好きに生きる
竹桜
ファンタジー
勇者召喚され、魔王を倒した飛山 翼は、無実の罪で、牢獄にいれられた。
この世界に召喚した者達は、俺を用済みと判断したようなので、主人公は、これからは、好きに生きることにした。

ぽっちゃり女子の異世界人生
猫目 しの
ファンタジー
大抵のトリップ&転生小説は……。
最強主人公はイケメンでハーレム。
脇役&巻き込まれ主人公はフツメンフツメン言いながらも実はイケメンでモテる。
落ちこぼれ主人公は可愛い系が多い。
=主人公は男でも女でも顔が良い。
そして、ハンパなく強い。
そんな常識いりませんっ。
私はぽっちゃりだけど普通に生きていたい。
【エブリスタや小説家になろうにも掲載してます】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる