【完結】イマジン 準備号〜仲間が強すぎるので、俺は強くならなくて良いらしい〜

夜須 香夜(やす かや)

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第45話 竜

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 豊が笑っていた理由がわかった。
 フランソワーズに案内された屋台には、動物の肝や脳みそを焼いたり煮たりした物が売っていた。珍味だな。
「これなんかオススメです~」
 俺は肝に飴をコーティングしたものを食べることになった。
「だから、断ったんだ」
 カルメは顔を青くしながら、煮詰めた脳みそを食べていた。リンは平気そうだし、ノジャは嬉しそうに食べている。
「リンはこういうの大丈夫なのか?」
「僕は旅が長いのでよく食べますから」
 リンはおかわりをしている。もちろん、ノジャも。
 俺とカルメはげっそりしながらも、完食した。不味くはないが、見た目が受け入れられなかった。おかわりはしていない。
「食べ終わったので、宿屋でも探しましょうか」
 フランソワーズは満足したのか嬉しそうに提案してきた。
 俺たちは同意して、宿屋探しを始めた。
 手持ちのお金はあまりないので、安い宿にした。中心街から遠く離れた宿だ。

 俺とカルメ、リンは同じ部屋で、ノジャだけが別部屋だった。
 そしたら、ノジャがむくれた。
「なんで、わしだけ違うのじゃ~!」
「女子とは一緒にならないでしょ」
 カルメがそういうと、ノジャはぷくりと頬を膨らませた。
「女子ではないのじゃ」
「え、男の子だったの?」
「男でもないのじゃ!」
 カルメが疑問符を出していると、リンはハッとしたような顔をした。
「リン、どうかしたか?」
 俺が聞くと、リンは何でもないと言った。気になるが、あまり詮索するのも悪いので、それ以上聞くのはやめた。

 俺たちは一晩休み、次の日に備えることにした。
「リンはウォーターフォールには帰っているのか?」
 ウォーターフォールとはカルメとリンの出身地だ。カルメが所属しているマジックナイトというギルドもそこにあるらしい。
「半年くらい前に帰りましたね」
「もっと帰ったらどうだ? 彼女も待ってるだろ~」
 カルメはニヤリとしながら言った。
「彼女がいるのか?」
 俺がそう聞くと、リンはサラッと、いると答えた。
 面白くない。もう少し照れたりしてもいいのにな。
「ルルーとは、よく手紙を交わしていますから大丈夫です」
 彼女の名前はルルーというのか。
「どのくらい?」
「三ヶ月に一度」
「少ないな」
 俺は想像した。もし、俺に彼女がいたとして、三ヶ月も音信不通になったら心配する。
「前よりは、よく会えますから」
 リンは目を伏せて、そう言った。
 俺たちは会話もそこそこ、寝ることにした。

 ドシンと大きな重い音がして、俺は飛び起きた。
「な、なんだ!」
 カルメとリンも飛び起きて、カーテンを開けた。
 土煙で外の様子がわからない。
「とりあえず、外に出るか?」
 俺がそう言うと、リンは首を横に振った。
「ノジャさんを部屋に呼んで、部屋で待機していましょう」
 ノジャも起きたみたいで、部屋で合流した。
 土煙は少しおさまったようだが、道に人が出ていて道の先を見ているのしか見えない。
 すると、部屋をノックされて、答えた。
「ネバー!」
 ネバーが廊下に立っていた。
「竜が出た」
 それだけ言って去ろうとしたので、カルメが腕を掴んだ。
「どこに?」
「中央闘技場」
 中央闘技場とは、街で一番大きい闘技場のことだ。
「避難する必要ない」
 ネバーはカルメの手を腕から離して、歩き始めた。俺たちはそれに続く。
「避難しなくていい」
「でもよ」
「豊とペパーミントが出ている」
 カルメとリンは立ち止まった。
「それなら、大丈夫か?」
 カルメはリンに聞く。
「どの竜種になるかによりますが」
「竜ってそんなに強いのか?」
 俺が聞くと、ネバーが立ち止まり、振り返った。
「今回の竜は豊が五人必要」
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