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第42話 イーファスとガンズ
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ザサツ界の神様がどこにいるかわからないときた。
でも、場所を知っているかもしれない人たちの場所はわかるらしい。
「転移点が合っているなら、ここは黄昏の森でしょうね。近くに街があります」
「慎重に行こうぜ」
リンとカルメにそう言われて、俺たちは出発することにした。
苔に覆われた地面で少し歩きにくい。ノジャは歩きにくかったからなのか、浮いている。こういう時に便利で良いなと思った。
「そういえば、ここに来る前にツトムが竜に気をつけろって言ってたんだ」
「あー。竜か。竜の住処には近づかないから、気にしなくて良いと思うけどな」
「そうなのか?」
「辺境じゃないといないし、竜の住処の近くに街なんか作らないだろ?」
確かにそうだ。でも、少し残念だった。異世界といえば、竜だろう。見てみたかった気持ちもある。
そんな話をしていると、先頭を歩くカルメが立ち止まった。リンはどこからか長い杖を取り出した。前にも見た先端に赤い石が付いている杖だった。
「つけられている」
「そうですね。何人かわかりますか?」
「うーん。二人かな」
カルメは人の気配がわかるのか。すごく近くにいれば俺でも気づけるだろうが、見回しても誰もいないのに気配をたどれるのは単純にすごかった。
「当たり! 二人でした!」
「わ!」
俺は突然、後ろから話しかけられて、飛び上がってしまった。
「な! 伊吹!」
俺が後ろを振り向く前に、カルメが飛び出して、俺の近くに寄った。
「あ。イーファス!」
カルメが声を上げた。
俺は後ろを振り向くと、深緑のショートヘアで三角のピアスをした男が立っていた。その後ろにも人がいる。
カルメもリンも目を丸くしている。
「そんなに驚かなくても良いだろ」
深緑の髪の男の後ろにいた人がそう言った。黒髪でショートのセンター分けの髪にバンダナを額にしている。
「イーファスとガンズじゃないか。なんでここに?」
「それはこっちのセリフでしょ。ザサツ界に用事があるなんて珍しいね」
イーファスと呼ばれた深緑の髪の男がそう言った。
カルメはイーファスとガンズに事情を話した。
「もしかして、俺たちに会いに来た?」
「そうです。ザサツ界の神について詳しいのはあなた方ですからね」
イーファスに聞かれて、リンは答えた。
「偶然会えて、良かったぜ」
カルメがそう言うと、イーファスはまだ後ろにいるガンズの方を見た。ガンズは頷く。
「あー。喜んでいるところ悪いんだけど、俺たちも知らないんだよ」
イーファスは頭を掻きむしりながら言った。
「え。知らない? いつもわかっているだろ?」
「それは毎回タイミングが良かっただけ! ちょうど今はどこにいるかわからないんだよね」
カルメとリンは俺の方を見た。
「これは、また探しに行くために旅をする必要があるってこと?」
俺がそう聞くと、カルメとリンは頷いた。
「目星はついてるから、多くても三箇所を回るだけだと思うよ」
イーファスは励ますように言ってくれた。
「まずは神殿だろうな。次に、教会本部とイータの所」
ガンズの発言にリンは顔を曇らせた。
「ここから神殿は遠いですよね」
「協会本部も遠いけどな」
「そうですね……。仕方ないです。地道に探すしかないですね」
俺たちは目標を変更することになったが、とりあえず街には行くことにした。夜に黄昏の森を歩くのは危険だから早めに行くことになった。
でも、場所を知っているかもしれない人たちの場所はわかるらしい。
「転移点が合っているなら、ここは黄昏の森でしょうね。近くに街があります」
「慎重に行こうぜ」
リンとカルメにそう言われて、俺たちは出発することにした。
苔に覆われた地面で少し歩きにくい。ノジャは歩きにくかったからなのか、浮いている。こういう時に便利で良いなと思った。
「そういえば、ここに来る前にツトムが竜に気をつけろって言ってたんだ」
「あー。竜か。竜の住処には近づかないから、気にしなくて良いと思うけどな」
「そうなのか?」
「辺境じゃないといないし、竜の住処の近くに街なんか作らないだろ?」
確かにそうだ。でも、少し残念だった。異世界といえば、竜だろう。見てみたかった気持ちもある。
そんな話をしていると、先頭を歩くカルメが立ち止まった。リンはどこからか長い杖を取り出した。前にも見た先端に赤い石が付いている杖だった。
「つけられている」
「そうですね。何人かわかりますか?」
「うーん。二人かな」
カルメは人の気配がわかるのか。すごく近くにいれば俺でも気づけるだろうが、見回しても誰もいないのに気配をたどれるのは単純にすごかった。
「当たり! 二人でした!」
「わ!」
俺は突然、後ろから話しかけられて、飛び上がってしまった。
「な! 伊吹!」
俺が後ろを振り向く前に、カルメが飛び出して、俺の近くに寄った。
「あ。イーファス!」
カルメが声を上げた。
俺は後ろを振り向くと、深緑のショートヘアで三角のピアスをした男が立っていた。その後ろにも人がいる。
カルメもリンも目を丸くしている。
「そんなに驚かなくても良いだろ」
深緑の髪の男の後ろにいた人がそう言った。黒髪でショートのセンター分けの髪にバンダナを額にしている。
「イーファスとガンズじゃないか。なんでここに?」
「それはこっちのセリフでしょ。ザサツ界に用事があるなんて珍しいね」
イーファスと呼ばれた深緑の髪の男がそう言った。
カルメはイーファスとガンズに事情を話した。
「もしかして、俺たちに会いに来た?」
「そうです。ザサツ界の神について詳しいのはあなた方ですからね」
イーファスに聞かれて、リンは答えた。
「偶然会えて、良かったぜ」
カルメがそう言うと、イーファスはまだ後ろにいるガンズの方を見た。ガンズは頷く。
「あー。喜んでいるところ悪いんだけど、俺たちも知らないんだよ」
イーファスは頭を掻きむしりながら言った。
「え。知らない? いつもわかっているだろ?」
「それは毎回タイミングが良かっただけ! ちょうど今はどこにいるかわからないんだよね」
カルメとリンは俺の方を見た。
「これは、また探しに行くために旅をする必要があるってこと?」
俺がそう聞くと、カルメとリンは頷いた。
「目星はついてるから、多くても三箇所を回るだけだと思うよ」
イーファスは励ますように言ってくれた。
「まずは神殿だろうな。次に、教会本部とイータの所」
ガンズの発言にリンは顔を曇らせた。
「ここから神殿は遠いですよね」
「協会本部も遠いけどな」
「そうですね……。仕方ないです。地道に探すしかないですね」
俺たちは目標を変更することになったが、とりあえず街には行くことにした。夜に黄昏の森を歩くのは危険だから早めに行くことになった。
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