【完結】イマジン 準備号〜仲間が強すぎるので、俺は強くならなくて良いらしい〜

夜須 香夜(やす かや)

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第37話 アカツキ現れる

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 火を操る人、リチャイナと対峙した火の人だ。
「杏奈、こいつは火を操るぞ」
 俺は杏奈に警告した。
「ああ? あー。この前の無能人間か」
 火の人は俺を見下ろして、言った。
「無能で悪かったな」
 俺は倒れ込んだ状態から、立ち上がりノジャを後ろに隠した。
「そこのチビを出しな」
 火の人が近づいてこようとすると、杏奈が前に立ち塞がった。
「悪いけど、捕まえさせてもらう」
「女に何ができるんだよ!」
 杏奈が手を上にかざすと、手首と足首にある輪が光り輝いた。
「杏奈! ここでするの?」
 ギルドの人、金髪ロングヘアーの女性が叫んだ。
「ビーナス。大丈夫。加減はするし、かするだけにするから」
 ビーナスと呼ばれた金髪の女性はため息を吐いた。
「なんだ? 女に何ができるんだよ!」
「男尊女卑反対……パーンチ!」
 杏奈がそう叫ぶと、火の人に当たらない距離から拳を突き出した。それと同時に、光線が手から出た。
「は?」
 光線は火の人の顔を掠めて、壁に穴を開けた。
 火の人は後ろを振り返って、再び杏奈の方を見た。
「次は風穴を開けるわよ」
「へえ。やるじゃん」
 火の人は臆することなく、手から火を出した。交戦的だった。
「俺はアカツキ。お前の名前を覚えててやるよ! 殺してやる!」
 狭いギルドの中で、戦いを始めようとした。
「私は杏奈。殺されないし、殺させもしないから!」
 杏奈は火の人……アカツキの手から出た火を避ける。杏奈は拳を納めて、光線をいつ放つか考えているのだろう。
 ギルドの人たちは壁際まで離れて、杏奈たちの戦いを見ていた。
 アカツキは建物の中なのか、杏奈を見下してなのか、全身には火をまとっていなかった。
「逃げ足の速い……」
 アカツキはイライラしているようだった。杏奈はアカツキの攻撃を簡単に避けているように見えた。
「逃げてばっかりいるんじゃねえよお!」
 アカツキは全身に火をまとった。
「ギルドが火事になるわ!」
 ビーナスが叫んだ。
 すると、壁の近くにいた人たちが杖などを取り出した。
 各々呪文を唱えると、周りから一斉に水が飛び出し、アカツキに降りかかった。
「な!」
 アカツキの火は消えて、びしょ濡れになっていた。
「……お、お前らぁ」
 アカツキは震え始めた。
「今よ! 杏奈!」
 ビーナスが叫んだと同時に杏奈は拳を突きつけた。
「おいたはいけません、パーンチ!」
 さっきと技の名前が違った。
 拳から出た光線はさっきより小さく、アカツキの肩に穴を空けた。
「あああああ! いてええええ!」
 血が吹き出す。
「何すんだあああ!」
 アカツキは穴の空いた肩を抑える。
「ノジャには手を出させないし、ギルドに危害も出させないわよ」
「くそ! くそ! うぜええええ!」
 アカツキは後退りをする。
 アカツキの体から泥が出て、溶け始めた。
「次は、次こそはお前らごと殺してやるからなああああ!」
 そう言って、泥になったアカツキは地面に溶け込んで消えてしまった。
「これは逃げられるわ」
 杏奈はそう言って、泥が消えたとこをを見た。
「ビーナス。みんな、ありがとう」
「良いのよ。ここにいたの、非戦闘員だけだったから、助かったわ」
 杏奈がお礼を言うと、ビーナスを含めてギルドの人たちが杏奈を取り囲んだ。
 俺は後ろを向き、ノジャの方を見た。
「大丈夫か?」
「うん。伊吹は怪我してないかの?」
「俺は大丈夫。杏奈たちが守ってくれたからな」
 ノジャは安心したのか笑顔を見せた。
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