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第32話 伊吹、ブリュアと合流する
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ギルドに戻るとブリュアさんが受付の前にいた。
「ブリュア。戻っていたのか」
「まあね。伊吹、ウルイァと合流できたみたいだね」
「そうですね」
俺とブリュアさんが会話していると、ウルイァが俺の顔を覗き込んできた。ウルイァさんの方が頭一つ分俺より背が高い。
「ブリュアには敬語なのか」
「え?」
「俺も結構年上だと思うんだけどな」
「え? え?」
「なんてな。タメ口でいいけどな」
「私への敬語はやめてもらいたいんだけどね」
俺は困惑しながらも、ブリュアさんへの敬語はやめられないと言っておいた。
「今日は休んでおくか?」
ウルイァの提案にブリュアさんは同意した。
「火星のギルドに聞いたら、ツトムは金星に行ったみたいだから、また天界経由かな」
ブリュアさんがそう言うと、ウルイァは否定して、山の洞窟から行くのを勧めた。
「天界に行って、厄介な奴に捕まったら大変だろ」
「あ。確かに。この前行った時もおつかい頼まれたよね」
俺は頷いた。
「特にエートランスは仕事を押し付けてくるぜ」
「そうだねえ」
俺たちは今日は休むことにして、ここから普通の人で二日かかる場所にある魔法陣を目指すことになった。
なぜか、普通の人で二日かかると強調された。
俺は今日もなかなか寝付けなかった。
少し外に出てみると、肌寒くて目がさらに冴えそうだった。
「伊吹!」
声をかけられた方を振り向くとクキヤがいた。こちらに歩いてくる。長い銀髪が揺れていた。
「クキヤもこの街に来ていたんだな」
「うんうん。伊吹もいたとはねー。偶然」
ギルドの外壁にもたれて、俺はクキヤと話をした。
「ブリュアさんの仕事はなんだったんだろ」
俺が疑問に思っていたことを話すと、驚くことに回答が返ってきた。
「最近、モンスターが進化していてね。暴れていたんだよ。それをギルドで討伐したみたい」
「それに参加していたのか」
「参加というか、一箇所はブリュアだけで討伐したと思うよ」
相変わらず、だな。最近、やっと慣れてきたが、杏奈たちのギルドの人は強い人しかいないのかも。
「同時に四箇所で現れたみたいだから、四人で対応したって聞いた。ブリュアと総司とマーキュリーとサターン」
「知らん人の名前がたくさん出てきたな」
「だろうね。他の惑星から助っとが来るくらい火星のギルドには人がいないんだよね」
「クキヤはその総司って人と知り合いなんだろ?」
「うん。今回のことも総司から聞いたの。僕も討伐に協力するって言ったのに、仲間外れだよ! 酷くない?」
「もしかして、クキヤも有り得んくらい強いのか?」
「僕は普通だよ。ギルドにも入っていないし」
「そうか」
ほっとした。普通の人にも会いたいものだったからだ。強い人に囲まれると、自分の無力さが浮き彫りになる。
まあ、クキヤが普通と言っても、異世界人の普通なんだろうけれど。生粋の日本人の俺は無力すぎる。
クキヤと話していると、時間が経つのが早い。
「もう二時だし、俺はそろそろ寝るよ」
「うん。風邪引いたら大変だしね。またね」
「またな」
俺はクキヤと別れて、ギルドの中に戻った。
「ブリュア。戻っていたのか」
「まあね。伊吹、ウルイァと合流できたみたいだね」
「そうですね」
俺とブリュアさんが会話していると、ウルイァが俺の顔を覗き込んできた。ウルイァさんの方が頭一つ分俺より背が高い。
「ブリュアには敬語なのか」
「え?」
「俺も結構年上だと思うんだけどな」
「え? え?」
「なんてな。タメ口でいいけどな」
「私への敬語はやめてもらいたいんだけどね」
俺は困惑しながらも、ブリュアさんへの敬語はやめられないと言っておいた。
「今日は休んでおくか?」
ウルイァの提案にブリュアさんは同意した。
「火星のギルドに聞いたら、ツトムは金星に行ったみたいだから、また天界経由かな」
ブリュアさんがそう言うと、ウルイァは否定して、山の洞窟から行くのを勧めた。
「天界に行って、厄介な奴に捕まったら大変だろ」
「あ。確かに。この前行った時もおつかい頼まれたよね」
俺は頷いた。
「特にエートランスは仕事を押し付けてくるぜ」
「そうだねえ」
俺たちは今日は休むことにして、ここから普通の人で二日かかる場所にある魔法陣を目指すことになった。
なぜか、普通の人で二日かかると強調された。
俺は今日もなかなか寝付けなかった。
少し外に出てみると、肌寒くて目がさらに冴えそうだった。
「伊吹!」
声をかけられた方を振り向くとクキヤがいた。こちらに歩いてくる。長い銀髪が揺れていた。
「クキヤもこの街に来ていたんだな」
「うんうん。伊吹もいたとはねー。偶然」
ギルドの外壁にもたれて、俺はクキヤと話をした。
「ブリュアさんの仕事はなんだったんだろ」
俺が疑問に思っていたことを話すと、驚くことに回答が返ってきた。
「最近、モンスターが進化していてね。暴れていたんだよ。それをギルドで討伐したみたい」
「それに参加していたのか」
「参加というか、一箇所はブリュアだけで討伐したと思うよ」
相変わらず、だな。最近、やっと慣れてきたが、杏奈たちのギルドの人は強い人しかいないのかも。
「同時に四箇所で現れたみたいだから、四人で対応したって聞いた。ブリュアと総司とマーキュリーとサターン」
「知らん人の名前がたくさん出てきたな」
「だろうね。他の惑星から助っとが来るくらい火星のギルドには人がいないんだよね」
「クキヤはその総司って人と知り合いなんだろ?」
「うん。今回のことも総司から聞いたの。僕も討伐に協力するって言ったのに、仲間外れだよ! 酷くない?」
「もしかして、クキヤも有り得んくらい強いのか?」
「僕は普通だよ。ギルドにも入っていないし」
「そうか」
ほっとした。普通の人にも会いたいものだったからだ。強い人に囲まれると、自分の無力さが浮き彫りになる。
まあ、クキヤが普通と言っても、異世界人の普通なんだろうけれど。生粋の日本人の俺は無力すぎる。
クキヤと話していると、時間が経つのが早い。
「もう二時だし、俺はそろそろ寝るよ」
「うん。風邪引いたら大変だしね。またね」
「またな」
俺はクキヤと別れて、ギルドの中に戻った。
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