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第28話 伊吹、魔法研究所へ
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道中は困る事なく、山頂までついた。
山頂はいつの間にか曇り空になっていて、良い景色は見られなかった。
山頂で少し休憩した後に、反対側へ降りることになった。
「二人とも体力はまだあるか?」
「あるのじゃ!」
「あ、ある」
「じゃあ、少し急ぐ」
そう言って、慎助は歩くスピードを早めた。
着いて行くのに必死で、周りの景色を見ている暇はなかった。
一時間ほど早足で歩くと、斜面が終わり平坦な獣道になった。その間、何度かモンスターに出会ったが、相変わらず慎助と謎の剣たちで薙ぎ払って行っていた。
「モンスターをちぎっては投げ! じゃな!」
ノジャは嬉しそうに慎助に話しかけた。
「まあ、このくらいはギルドの人間なら簡単にできる」
「すごいのう。……これだと、神を倒せるというのも嘘ではなさそうだのう」
「嘘か本当か思うのは、任せる」
この世界では神という存在が身近なのだろうか。オーディンも簡単に姿を現していたし、ブリュアさんとは旅をしてしまっている。
俺がいた世界では、神はいるのかいないのか、わからないからな。熱心に信仰している人たちは神はいると信じているだろうけど。
「俺はとりあえず信じるかな」
森を抜けた後は楽勝だった。大きな外壁で囲まれた街が見えた時には、喜んだものだ。
「街にあるギルドに行けば、ウルイァにも会えるだろう。ブリュア殿も、もう少ししたら仕事を終えてくるはずだ」
慎助にそう言われて、俺たちは街に入るための大きな門をくぐった。
途中で、旅行許可証を見せて、すんなりと街に入れた。
火星で初めて見た建物と同じように、レンガと土でできた建物が並んでいる。
違うことがあるとすれば、祭りが行われているみたいで街中は賑わっていた。また、中心地に魔法研究所というものがあるらしく、そこを目指す人たちのせいでも人が多いらしい。
ギルドは街の中心地の近くで、一際賑わっている広場に面していたが、ギルドの周りだけ誰もいなかった。
「この街には魔法研究所があるから、あまりギルドは使われていないんだ。というより、魔法研究所に使われていると言うかも」
慎助に連れられて、俺たちはギルドに入った。どこのギルドもやはり同じ作りなのか、ロビーに受付があった。昼間なのに受付には誰もいなかったが。
「これだと、ウルイァって人がいるか確認できないよな?」
「みんな、魔法研究所にいるかもしれないな」
そういう事なので、俺たちは魔法研究所に向かった。城のような魔法研究所には、多くの人が出入りしていた。
「もう少ししたら、さらに混む」
「なんと! 早くウルイァとやらを探すのじゃ」
人混みに揉まれながら、俺たちは魔法研究所に入った。中も混んでいて、受付にはたくさんの人が並んでいた。
「ギルド専用の受付があるから、そこに行こう」
ギルド専用の受付は、中央の受付からずっと離れた端にあった。
「慎助さん。いらっしゃい」
受付の女性の背中から、蝶の羽が生えていた。アゲハ蝶だ。
「どうも。ウルイァはいるか?」
「いますよ~。暇だったんですよう。案内しますね」
女性はそう言って、受付から出た。
「後ろの方々は?」
「依頼人のようなものだ。伊吹殿とノジャ殿だ」
「依頼人だったんですね! 私はユイリン。よろしくお願いいたします~」
そう言われたので、俺とノジャも挨拶をした。
山頂はいつの間にか曇り空になっていて、良い景色は見られなかった。
山頂で少し休憩した後に、反対側へ降りることになった。
「二人とも体力はまだあるか?」
「あるのじゃ!」
「あ、ある」
「じゃあ、少し急ぐ」
そう言って、慎助は歩くスピードを早めた。
着いて行くのに必死で、周りの景色を見ている暇はなかった。
一時間ほど早足で歩くと、斜面が終わり平坦な獣道になった。その間、何度かモンスターに出会ったが、相変わらず慎助と謎の剣たちで薙ぎ払って行っていた。
「モンスターをちぎっては投げ! じゃな!」
ノジャは嬉しそうに慎助に話しかけた。
「まあ、このくらいはギルドの人間なら簡単にできる」
「すごいのう。……これだと、神を倒せるというのも嘘ではなさそうだのう」
「嘘か本当か思うのは、任せる」
この世界では神という存在が身近なのだろうか。オーディンも簡単に姿を現していたし、ブリュアさんとは旅をしてしまっている。
俺がいた世界では、神はいるのかいないのか、わからないからな。熱心に信仰している人たちは神はいると信じているだろうけど。
「俺はとりあえず信じるかな」
森を抜けた後は楽勝だった。大きな外壁で囲まれた街が見えた時には、喜んだものだ。
「街にあるギルドに行けば、ウルイァにも会えるだろう。ブリュア殿も、もう少ししたら仕事を終えてくるはずだ」
慎助にそう言われて、俺たちは街に入るための大きな門をくぐった。
途中で、旅行許可証を見せて、すんなりと街に入れた。
火星で初めて見た建物と同じように、レンガと土でできた建物が並んでいる。
違うことがあるとすれば、祭りが行われているみたいで街中は賑わっていた。また、中心地に魔法研究所というものがあるらしく、そこを目指す人たちのせいでも人が多いらしい。
ギルドは街の中心地の近くで、一際賑わっている広場に面していたが、ギルドの周りだけ誰もいなかった。
「この街には魔法研究所があるから、あまりギルドは使われていないんだ。というより、魔法研究所に使われていると言うかも」
慎助に連れられて、俺たちはギルドに入った。どこのギルドもやはり同じ作りなのか、ロビーに受付があった。昼間なのに受付には誰もいなかったが。
「これだと、ウルイァって人がいるか確認できないよな?」
「みんな、魔法研究所にいるかもしれないな」
そういう事なので、俺たちは魔法研究所に向かった。城のような魔法研究所には、多くの人が出入りしていた。
「もう少ししたら、さらに混む」
「なんと! 早くウルイァとやらを探すのじゃ」
人混みに揉まれながら、俺たちは魔法研究所に入った。中も混んでいて、受付にはたくさんの人が並んでいた。
「ギルド専用の受付があるから、そこに行こう」
ギルド専用の受付は、中央の受付からずっと離れた端にあった。
「慎助さん。いらっしゃい」
受付の女性の背中から、蝶の羽が生えていた。アゲハ蝶だ。
「どうも。ウルイァはいるか?」
「いますよ~。暇だったんですよう。案内しますね」
女性はそう言って、受付から出た。
「後ろの方々は?」
「依頼人のようなものだ。伊吹殿とノジャ殿だ」
「依頼人だったんですね! 私はユイリン。よろしくお願いいたします~」
そう言われたので、俺とノジャも挨拶をした。
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