13 / 62
第13話 ブリュア、代理となる
しおりを挟む
今日は、もう休んだ方が良いとリチャイナに言われて、俺とノジャは部屋で夕食を取り、寝ることにした。
空いている部屋がないから、ノジャと同室になった。
ベッドで横になっていると、ノジャに話しかけられた。
「巻き込んで、すまないのじゃ」
「俺が異世界にいるのは、ノジャのせいではないだろ」
「そうじゃが……」
ノジャはベッドに座りながら、俺をじっと見ている。
「わしと一緒にいたから、こんな事になったのかと思っての」
「もし」
俺は起き上がり、あぐらをかいて、ノジャを見た。
「そうだったとしても、ノジャは悪くない。俺はそう思うよ」
本心だ。
ノジャと出会ってから色々な事が起きたが、俺はノジャに助けられている。
時止めというので、トラックから守ってくれたのだ。
お礼をすることはあっても、責める必要はないと思う。
「伊吹。すまないのじゃ」
ノジャは頭を下げた。
「気にすんなって。いつもの呑気な感じでいけよ」
「……わかったのじゃ」
ノジャは顔を上げて、少し申し訳なさそうに笑った。
朝になり、寝ぼけながらも、運ばれてきた朝食を腹に入れた。
ノジャは昨日とうってかわって、元気そうだった。
「やあ。おはよ~」
朝食を終えて、部屋でノジャと話していたら、リチャイナが部屋に入ってきた。
「おはよう。眠そうだな」
「僕は朝が苦手なんだよね~。それで、杏奈とリンは手が離せなくなったみたいだから、とりあえず代理」
先ほどから、ずっと気になっていた。リチャイナの後ろに隠れているつもりなのかもしれないが、リチャイナよりかなり背が高くて、はみ出ていた。
青く長いパーマのかかった髪。腰までの長さだ。右側だけ水色の仮面を付けている。全身が真っ青だ。肌は健康的なのに、服も髪の毛も瞳も青だと、不健康に見えるんだなと感心した。
「私はブリュア。よろしく。代理という事だが、本当に私でいいのだな? リチャイナ」
「いいよ~。目立つし」
「目立って良いのかはわからんが、頼まれた」
ブリュアさんの声は、思ったよりも低く、がっしりとした体躯から男性だと考えた。
「僕は仕事がたんまりあるから、行くね~」
リチャイナはそう言って、手を振って部屋から出ていった。
残ったブリュアさんは、俺たちの近くに歩いてきた。
近づくとわかるが、すごく背が高い。迫力がある。
リチャイナと俺は背が同じくらいの175センチだろう。それと比べると、二メートルはあると思った。
「リンの考えで、私ならモンスターにも、ノジャという少女を襲う刺客にも対応できるだろうということだ」
「わしがノジャじゃ。よろしくのう。助かるのじゃ」
ノジャはお辞儀をした。
「それと、耳に入れておいてやりたい事があるんだ」
「何ですか?」
「ノジャを狙う刺客を一人捕まえた」
「え! 捕まえられたのかの?」
ノジャは身を乗り出した。
「捕まえたんだけどね~。自爆というか、多分捕まったら爆発するような何かが施されていたんだろうね。殺されてしまった」
「そうなのか……。なんとむごい事をするのじゃ」
ノジャは拳を握って、震えた。
「……そうだね」
ブリュアさんは少し笑った。
俺はそれを見て、ゾッとした。なぜか寒気が走ったのだ。
いや、ノジャの発言で、薄ら笑いを浮かべた意味がわからなかったのだ。
空いている部屋がないから、ノジャと同室になった。
ベッドで横になっていると、ノジャに話しかけられた。
「巻き込んで、すまないのじゃ」
「俺が異世界にいるのは、ノジャのせいではないだろ」
「そうじゃが……」
ノジャはベッドに座りながら、俺をじっと見ている。
「わしと一緒にいたから、こんな事になったのかと思っての」
「もし」
俺は起き上がり、あぐらをかいて、ノジャを見た。
「そうだったとしても、ノジャは悪くない。俺はそう思うよ」
本心だ。
ノジャと出会ってから色々な事が起きたが、俺はノジャに助けられている。
時止めというので、トラックから守ってくれたのだ。
お礼をすることはあっても、責める必要はないと思う。
「伊吹。すまないのじゃ」
ノジャは頭を下げた。
「気にすんなって。いつもの呑気な感じでいけよ」
「……わかったのじゃ」
ノジャは顔を上げて、少し申し訳なさそうに笑った。
朝になり、寝ぼけながらも、運ばれてきた朝食を腹に入れた。
ノジャは昨日とうってかわって、元気そうだった。
「やあ。おはよ~」
朝食を終えて、部屋でノジャと話していたら、リチャイナが部屋に入ってきた。
「おはよう。眠そうだな」
「僕は朝が苦手なんだよね~。それで、杏奈とリンは手が離せなくなったみたいだから、とりあえず代理」
先ほどから、ずっと気になっていた。リチャイナの後ろに隠れているつもりなのかもしれないが、リチャイナよりかなり背が高くて、はみ出ていた。
青く長いパーマのかかった髪。腰までの長さだ。右側だけ水色の仮面を付けている。全身が真っ青だ。肌は健康的なのに、服も髪の毛も瞳も青だと、不健康に見えるんだなと感心した。
「私はブリュア。よろしく。代理という事だが、本当に私でいいのだな? リチャイナ」
「いいよ~。目立つし」
「目立って良いのかはわからんが、頼まれた」
ブリュアさんの声は、思ったよりも低く、がっしりとした体躯から男性だと考えた。
「僕は仕事がたんまりあるから、行くね~」
リチャイナはそう言って、手を振って部屋から出ていった。
残ったブリュアさんは、俺たちの近くに歩いてきた。
近づくとわかるが、すごく背が高い。迫力がある。
リチャイナと俺は背が同じくらいの175センチだろう。それと比べると、二メートルはあると思った。
「リンの考えで、私ならモンスターにも、ノジャという少女を襲う刺客にも対応できるだろうということだ」
「わしがノジャじゃ。よろしくのう。助かるのじゃ」
ノジャはお辞儀をした。
「それと、耳に入れておいてやりたい事があるんだ」
「何ですか?」
「ノジャを狙う刺客を一人捕まえた」
「え! 捕まえられたのかの?」
ノジャは身を乗り出した。
「捕まえたんだけどね~。自爆というか、多分捕まったら爆発するような何かが施されていたんだろうね。殺されてしまった」
「そうなのか……。なんとむごい事をするのじゃ」
ノジャは拳を握って、震えた。
「……そうだね」
ブリュアさんは少し笑った。
俺はそれを見て、ゾッとした。なぜか寒気が走ったのだ。
いや、ノジャの発言で、薄ら笑いを浮かべた意味がわからなかったのだ。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
〈完結〉この女を家に入れたことが父にとっての致命傷でした。
江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」アリサは父の後妻の言葉により、家を追い出されることとなる。
だがそれは待ち望んでいた日がやってきたでもあった。横領の罪で連座蟄居されられていた祖父の復活する日だった。
十年前、八歳の時からアリサは父と後妻により使用人として扱われてきた。
ところが自分の代わりに可愛がられてきたはずの異母妹ミュゼットまでもが、義母によって使用人に落とされてしまった。義母は自分の周囲に年頃の女が居ること自体が気に食わなかったのだ。
元々それぞれ自体は仲が悪い訳ではなかった二人は、お互い使用人の立場で二年間共に過ごすが、ミュゼットへの義母の仕打ちの酷さに、アリサは彼女を乳母のもとへ逃がす。
そして更に二年、とうとうその日が来た……
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
「不細工なお前とは婚約破棄したい」と言ってみたら、秒で破棄されました。
桜乃
ファンタジー
ロイ王子の婚約者は、不細工と言われているテレーゼ・ハイウォール公爵令嬢。彼女からの愛を確かめたくて、思ってもいない事を言ってしまう。
「不細工なお前とは婚約破棄したい」
この一言が重要な言葉だなんて思いもよらずに。
※約4000文字のショートショートです。11/21に完結いたします。
※1回の投稿文字数は少な目です。
※前半と後半はストーリーの雰囲気が変わります。
表紙は「かんたん表紙メーカー2」にて作成いたしました。
❇❇❇❇❇❇❇❇❇
2024年10月追記
お読みいただき、ありがとうございます。
こちらの作品は完結しておりますが、10月20日より「番外編 バストリー・アルマンの事情」を追加投稿致しますので、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。
1ページの文字数は少な目です。
約4500文字程度の番外編です。
バストリー・アルマンって誰やねん……という読者様のお声が聞こえてきそう……(;´∀`)
ロイ王子の側近です。(←言っちゃう作者 笑)
※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。
断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた
兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる