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最終話 ただいま地球
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次の日、目が覚めると、氷龍はもう起きていた。
「おはよう。体調はどう?」
「もう大丈夫よ」
氷龍は、服を着替え始めたので、私も着替えることにした。
私たちは着替え終わり、食堂へと行った。
皆、もう食事をしていた。
「姉さん。おはよう。今日は少し遅かったな」
「昨日は色々あって疲れたからね」
「今日で旅行も終わりだな」
座って食事をしているアキラがそう言って、私を見上げる。
「火星では、観光らしいことはできなかったけどね」
食事を終えた後、荷物を準備して、クヌードさんの後について門の前に行った。
「火星から、地球に帰るための洞窟へと向かいます。火星では、観光ができなくて、申し訳ありませんでした」
「クヌードさんのせいではないですよ」
「ありがとうございます。河川さんたちには、事件を解決していただきましたしね」
「大したことではないですよ。救えなかった命もありました」
「一人の人ができることは、多くはないです。それでも、何かを成し遂げようとしたのは大切なことです」
クヌードさんはにっこりと笑った。
馬車に乗った後、私は今回の旅行を振り返っていた。
氷龍、セイライ、セイア、ラミハルとの出会い。ラミハルは最初はあんなに噛み付いていたのが懐かしい。
水星では、オーロラと空と会い、お祭りを楽しんだ。モンスターが出た時は驚いたけど、オーロラが戦えたことにもすごく驚いたな。
マーキュリーにイヴだと言われた時は、やっぱり何のことだがわからなかったが、マーズに色々聞けて良かった。ビーナスも何も教えてくれないのだもの。
金星では、灯子と恵に会えて、種族の違いについて考えたなあ。私たちが、種族差を感じていなくても、たくさんの人たちはそうではないのね。
火星でも色々あったな。佐乃によって、たくさんの人たちが傷つき、亡くなり、宇治原さんは化け物に変えられて亡くなってしまった。
イヴ……自分がイヴだとは今でも思わないけれど、イヴの力は欲しい。火星での出来事も、今までもの事もイヴの力があれば、私にも何かできたんじゃないかと思う。地球に帰ったら、イヴの力を探らないと。
火星の洞窟につき、私たちは地球へと帰還した。火星の洞窟は、青く輝いていた。
瞬間移動魔法陣に乗るのは少し怖かった。皆も同じ気持ちだったらしく、クヌードさんが先に入り、また帰ってきてくれて、安心して乗ることができた。
地球に帰ってきたという感覚は薄かった。どの惑星も地球とあまり変わらない風景だったからかな。植生は違ったけれど、人が暮らしていて、モンスターがいる世界なのは変わらなかった。
「さあ、皆様。おかえりなさい」
クヌードさんはお辞儀をした。
「これから、デクストラタウンに戻りますが、ここからご自宅が近い方はここで帰っても大丈夫ですよ」
「私たちは途中のドロワ村で降りても大丈夫ですか」
セイアが言った。クヌードさんは了承する。
「姉さんはどうする?」
「このまま出発したいけど、アキラは一回故郷に帰りたいわよね」
「いや、俺はこのまま出発していいぜ。多分、母さんはわかってるよ」
アキラがそう言うのならいいのかな。
「杏奈たちは、デクストラタウンには行かないの?」
セイライが聞いてきたので、そうだと答えた。
「今度、ドロワ村にも遊びに来て。お母さんがいるかは、わからないけれど」
「うん! ぜひ、行きたいわ」
話していると、氷龍とラミハルがやって来た。
「杏奈。どこかに行くのか?」
「うん。旅に出ようと思ってね」
「俺はデクストラタウンにいるから、いつでもお嫁さんに来ていいよ」
「ふふふ。考えておくね」
ラミハルは嬉しそうに頷いた。
「色々とありがとう。私はこのままノール自由同盟の龍の里に、戻るわ」
「龍の里?」
「そう。この水晶を渡しておくわ。これがあれば、龍の里の結界を避けて入れるから」
氷龍は、紐がついている水晶を渡してくれた。私は、それを首に下げる。
「こんな大事なもの、もらっていいの?」
「友だちだもの。遊びに来て」
「うん!」
私は、氷龍と握手をした。
「では、こちらでお別れの方々、今回は当ツアーに参加していただき、ありがとうございました。また、お会いできることを待っています」
クヌードさんが、馬車の中からそう言うと、馬車が出発した。
セイライ、セイア、ラミハルたちが手を振っている。私たちは、それが見えなくなるまで、手を振った。
馬車が見えなくなり、氷龍とも別れて、私たちは……。
「まず、どこから行く?」
「決まってないのかよ!」
「き、決まっているわよ。私の前の代の唯って人は、ウエスト王国出身ってことを聞いたの」
「じゃあ、まずは西だな」
アキラがそう言って、地図を出した。
「このエスト王国の地図だよ。ウエストとの国境に行こう」
私たちは、森の入り口から西へと進むことにした。
少し歩いたところ、丘の上に一本の木があり、休憩することにした。
「今日中には、近くの町に着くな」
「今日は宿屋で眠れそうね……きゃっ」
突然、地面が揺れた。地震だ。
水星でも地震があったな。
「揺れが長いわ……え?」
突然、周りの景色が歪み始めた。
ぐにゃりと歪んだ空や地面。
「なんだ!」
皐月とアキラが、私を囲むように立つ。
「瞬間移動魔法みたいな感じだな」
「でも、魔法陣がないぜ」
「何が起きているの!」
視界は完全におかしくなり、周りは暗くなった。
キャット・トリップ・ワールド シーズン3に続く
「おはよう。体調はどう?」
「もう大丈夫よ」
氷龍は、服を着替え始めたので、私も着替えることにした。
私たちは着替え終わり、食堂へと行った。
皆、もう食事をしていた。
「姉さん。おはよう。今日は少し遅かったな」
「昨日は色々あって疲れたからね」
「今日で旅行も終わりだな」
座って食事をしているアキラがそう言って、私を見上げる。
「火星では、観光らしいことはできなかったけどね」
食事を終えた後、荷物を準備して、クヌードさんの後について門の前に行った。
「火星から、地球に帰るための洞窟へと向かいます。火星では、観光ができなくて、申し訳ありませんでした」
「クヌードさんのせいではないですよ」
「ありがとうございます。河川さんたちには、事件を解決していただきましたしね」
「大したことではないですよ。救えなかった命もありました」
「一人の人ができることは、多くはないです。それでも、何かを成し遂げようとしたのは大切なことです」
クヌードさんはにっこりと笑った。
馬車に乗った後、私は今回の旅行を振り返っていた。
氷龍、セイライ、セイア、ラミハルとの出会い。ラミハルは最初はあんなに噛み付いていたのが懐かしい。
水星では、オーロラと空と会い、お祭りを楽しんだ。モンスターが出た時は驚いたけど、オーロラが戦えたことにもすごく驚いたな。
マーキュリーにイヴだと言われた時は、やっぱり何のことだがわからなかったが、マーズに色々聞けて良かった。ビーナスも何も教えてくれないのだもの。
金星では、灯子と恵に会えて、種族の違いについて考えたなあ。私たちが、種族差を感じていなくても、たくさんの人たちはそうではないのね。
火星でも色々あったな。佐乃によって、たくさんの人たちが傷つき、亡くなり、宇治原さんは化け物に変えられて亡くなってしまった。
イヴ……自分がイヴだとは今でも思わないけれど、イヴの力は欲しい。火星での出来事も、今までもの事もイヴの力があれば、私にも何かできたんじゃないかと思う。地球に帰ったら、イヴの力を探らないと。
火星の洞窟につき、私たちは地球へと帰還した。火星の洞窟は、青く輝いていた。
瞬間移動魔法陣に乗るのは少し怖かった。皆も同じ気持ちだったらしく、クヌードさんが先に入り、また帰ってきてくれて、安心して乗ることができた。
地球に帰ってきたという感覚は薄かった。どの惑星も地球とあまり変わらない風景だったからかな。植生は違ったけれど、人が暮らしていて、モンスターがいる世界なのは変わらなかった。
「さあ、皆様。おかえりなさい」
クヌードさんはお辞儀をした。
「これから、デクストラタウンに戻りますが、ここからご自宅が近い方はここで帰っても大丈夫ですよ」
「私たちは途中のドロワ村で降りても大丈夫ですか」
セイアが言った。クヌードさんは了承する。
「姉さんはどうする?」
「このまま出発したいけど、アキラは一回故郷に帰りたいわよね」
「いや、俺はこのまま出発していいぜ。多分、母さんはわかってるよ」
アキラがそう言うのならいいのかな。
「杏奈たちは、デクストラタウンには行かないの?」
セイライが聞いてきたので、そうだと答えた。
「今度、ドロワ村にも遊びに来て。お母さんがいるかは、わからないけれど」
「うん! ぜひ、行きたいわ」
話していると、氷龍とラミハルがやって来た。
「杏奈。どこかに行くのか?」
「うん。旅に出ようと思ってね」
「俺はデクストラタウンにいるから、いつでもお嫁さんに来ていいよ」
「ふふふ。考えておくね」
ラミハルは嬉しそうに頷いた。
「色々とありがとう。私はこのままノール自由同盟の龍の里に、戻るわ」
「龍の里?」
「そう。この水晶を渡しておくわ。これがあれば、龍の里の結界を避けて入れるから」
氷龍は、紐がついている水晶を渡してくれた。私は、それを首に下げる。
「こんな大事なもの、もらっていいの?」
「友だちだもの。遊びに来て」
「うん!」
私は、氷龍と握手をした。
「では、こちらでお別れの方々、今回は当ツアーに参加していただき、ありがとうございました。また、お会いできることを待っています」
クヌードさんが、馬車の中からそう言うと、馬車が出発した。
セイライ、セイア、ラミハルたちが手を振っている。私たちは、それが見えなくなるまで、手を振った。
馬車が見えなくなり、氷龍とも別れて、私たちは……。
「まず、どこから行く?」
「決まってないのかよ!」
「き、決まっているわよ。私の前の代の唯って人は、ウエスト王国出身ってことを聞いたの」
「じゃあ、まずは西だな」
アキラがそう言って、地図を出した。
「このエスト王国の地図だよ。ウエストとの国境に行こう」
私たちは、森の入り口から西へと進むことにした。
少し歩いたところ、丘の上に一本の木があり、休憩することにした。
「今日中には、近くの町に着くな」
「今日は宿屋で眠れそうね……きゃっ」
突然、地面が揺れた。地震だ。
水星でも地震があったな。
「揺れが長いわ……え?」
突然、周りの景色が歪み始めた。
ぐにゃりと歪んだ空や地面。
「なんだ!」
皐月とアキラが、私を囲むように立つ。
「瞬間移動魔法みたいな感じだな」
「でも、魔法陣がないぜ」
「何が起きているの!」
視界は完全におかしくなり、周りは暗くなった。
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