7 / 32
トンカツはどこにある。
城内
しおりを挟む
「ぷはぁぁぁ」
「お口にあったようでなによりです。」
恵国の王、ロロが笑顔で言う。
お腹がいっぱいになったら眠くなってきた。
「ふぁぁあうううお」
大きなあくびをした。
王の前で失礼かとあくびをしたあと顔色を伺ったがどうやらなにも問題はないようだ。
「魔導師様!城下町の散策はいかがいたしましょう?今日はおやすみになられますか?おやすみになられますか?」
軍団長が聞いてきた。
(うーん…ねむいなぁ…もう外もくらいし…城下町も気になるけど…)
「今日は寝ます!」
「分かりました。お部屋をご用意いたしますのでその間、是非恵国城自慢の湯に浸かってください。」
(また風呂かぁ…めんどくさいな…)
そう思ったが食事も、部屋も用意してくれるのだ。
断れない。
「わかりました。」
面倒だとさりげなく伝わる声で答えた。
「カイロ!風呂の用意を!」
軍団長がカイロに命じカイロはまた走っていく。
(カイロっていう人大変そうだな…)
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「お風呂の準備ができました!」
カイロがまたまた走ってやってきていった。
待ってましたと立ち上がりカイロについていく。
(歩くの本当に辛いのに…)
ぶつぶつ文句を言いながらとぼとぼ歩く。
「こちらになります!」
ダルかったがとりあえず開かれた扉の先を見た。
「ほぉぅわぁっ」
変な声が出てしまった。
脱衣場は日本の大浴場と変わりはなかった。
だがお風呂の大きさが尋常ではなかった。
五十メートルプールほどの大きさはあるだろう。
急いで服を脱いだ。
(早く入りたい!)
その一心だった。
興奮で疲れは感じなかった。
服を脱ぐとすぐに扉の向こうへといく。
(すぐにお風呂に入りたい!…でもさすがにだめだよね…)
シャワーを浴びにいくと、日本式ではないようだった。
(…え?立つの?ムリムリムリムリムリ。座らせてくれ…)
とにかく立っていたくなかった。
「ソース!」
魔法で座る椅子を出した。
ゆっくりと座る。
(あぁ…本当につかれた…)
ジャーー
シャワーを浴びた。
興奮で汗も書いていたためちょうどよかった。
まず頭を洗う。
シャンプーはどこにあるのか分からなかった。
だからもうシャワーを浴びてお風呂に浸かろうとした瞬間。
「お背中をお流しいたします。」
後ろから声が聞こえた。
ビックリして振り向くと、物凄くきれいな女の人がタオルを巻いている。
「えっ?…えっ!?」
「お背中をお流ししてもよろしいでしょうか?」
ダメなわけないだろ!とは言えるはずもない。
もう目はおっぱいにしか集中していない。
「あ!やっぱりダイジョブ…デ…ス…」
ダメな理由が一つあった。
いや、出来てしまった。
さすがに大人の女性に見られるわけにはいかない。
体を洗い終えると座ったままお風呂へと移動した。
もちろん、瞬間移動 で。
とんでもなく広い風呂に浸かっているといろんな事が疑問に思えてきた。
夢なのにお腹がすくのか。
コータとはどんな動物か。
なぜ、トンカツがないのか。
そもそも本当に夢なのか。
(明日、町案内を軍団長に頼もう。あ、でも夢覚めるかな…)
風呂を出る。
瞬間移動で。
脱衣場へ行くがふと思う。
(あ、パジャマ…変えたいな…)
(服も魔法で出せるかな…?)
「ソース!」
真っ裸だった体にパンっと服がまとわりつく。
魔法とはなんと便利なものだと感心しているとカイロがやってきた。
「魔導師様、お部屋のご準備をいたしました。こちらです。」
もう本当に歩くのは無理だ!心から思った。
「すいません、部屋をイメージしてください。」
「ん?あ、あぁ。はい。わかりました。」
カイロは一瞬なんのことかわかっていない様子だったが、すぐに理解を示してきた。
「マヨネーズ」
一瞬で部屋についた。
そこは中世ヨーロッパのイメージのままのような部屋だった。
天井にはシャンデリア、床には見るからに高価そうな絨毯、壁には絵画…
(そういえば…さっきご飯食べたところにはもっと大きいシャンデリアがあったっけ…食べるのに必死すぎて…)
自分の食欲に理性が負けたことを恥ずかしく思いながらもベッドへ向かう。
「疲れたぁー!!」
ドスンッ
ベッドに倒れこんだが思ったよりも固かった。
床に倒れているような感覚だった。
「い…いてぇ…ふふっふふっふっ」
自分のことがバカらしすぎて思わず笑ってしまった。
柔らかいベッドがいいと一度立ち上がる。
「ソース」
ふかふかのベッドがそこにはあった。
「疲れたぁー!!」
今度はしっかりふかふかだった。
そのまま僕は深い眠りについた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
中世ヨーロッパ風の部屋に机と柔らかそうなベッド、天井にはシャンデリアがある。
ベッドには一人の少年が寝ている。
窓から朝日がこぼれる。
「ふぁ~、朝かぁ~」
眠い目を擦りパジャマ姿の少年は驚いた。
目の前に広がるのは中世ヨーロッパの世界観そのものだった。
「ま…まだ夢…?」
(どういうこと…?夢の中で寝たってこと…?それとも…)
イタッ
疑問だらけだったが筋肉痛でそんなことはどうでもよくなった。
体が、足がとにかく痛い。
運動不足を強く痛感した。
そして、運動しようと心に決める。
ギュルルルルルル
(お腹すいたなぁ…)
悩む。
瞬間移動で昨日のご飯を食べたところへ行くか、
それともカイロが来るのを待つか。
昨日の場所へいったとして人はいるのだろうか。
あの場所は宴の時しか使わないという可能性もある。
カイロが来ないという可能性もある。
どうするべきか。
(携帯あればなぁ……)
そう考えても仕方ない。
どうするべきか。
「魔法使っちゃうか!」
恐らくだがイメージすれば何でもできる気がした。
そもそも瞬間移動ができるのだ。
人を呼ぶくらいならなんとかなる気がした。
心の中で呟く。
(カイロさん来て、カイロさん来て、カイロさん来て…)
返事はなかった。
だめだったかと、別の方法を考えようとしたがその必要はなくなった。
バタンッ
「魔導師様!お呼びでしょうか!」
鎧を着たカイロが扉を勢いよく開け、ハキハキと喋る。
「え…えっと…」
戸惑った。
魔法でさきほどのメッセージが伝わったのか、それともたまたまか。
戸惑う姿を見てか、カイロが続けた。
「魔導師様の声が聞こえた気がしたのですが…」
(!!!)
魔法はなんでもできるのかという思いと自分はなんでもできるという思いが込み上げた。
「それで…なにかご用ですか?」
カイロは顔色を伺っているようだった。
呼ばれていないのにドアを開けたことに後悔でもしているのだろうか。
「お腹が空いて…朝御飯を…」
カイロの顔が明るくなった。
「わかりました!すぐに準備をいたします!昨晩と同じ場所でよろしいでしょうか?」
軽く頷いた。
「では、昨晩の場所にご準備いたします。いつでもよろしいのでおいでになってください。」
「わかりました。」
カイロはそういうとドアを閉めようとした。
「ありがとうございます!」
バタンッ
(ありがとうございます?なんかしたっけ?)
不思議に思ったが、なんのことか聞く前にカイロは行ってしまった。
とりあえずご飯を食べることを優先しようと思った。
「マヨネーズ」
昨日と同じ場所に移動した。
幾人かメイドのような、お手伝いさんのような人が驚いているが気にしない。
とりあえず座って周りを見た。
しかし、昨日とは別の場所に思えた。
朝と夜だからではない。
昨日はとにかく食べることに頭が一杯だった。
今、冷静に見てみると物凄くきれいだ。
シャンデリアだけではない。
テーブル、座っている椅子、絵画、すべてが現実のものとは思えないほどきれいだった。
(あ、これ夢だったか…)
自分で自分につっこんだとき誰かが入ってきた。
「おはようございます!魔導師様!よく眠られましたか?」
カイロと軍団長だった。
軍団長は朝なのにきっちりと白銀の鎧を着ている。
(格好いいなぁ…)
「お、おはようございます。よくねむれました。」
「今日はどうされますか?」
「町を見てみたいです。」
「わかりました。朝食後、案内させて頂きましょう。」
軍団長が椅子に腰かけるくらいのタイミングで料理が運ばれてくる。
食パンにスクランブルエッグ、ウインナー…ベーコン…
それらによく似たものが目に入る。
それらはほとんど自分が知っているものと大差はなかった。
ベーコンを口にしたとき、目を丸くした。
(あ、ベーコンそのままだ。ベーコンだ!)
目の前にあるベーコンはベーコンの味がするベーコンだった。
「こ…これ!ベーコンですか?」
興奮ぎみで聞いた。
「そうですよ。」
ベーコンはあるんだと、嬉しく思い朝からお腹に入るだけベーコンを食べた。
(ベーコンがあるなら…豚っぽい生き物がいるのかな…パンもあるし…トンカツ作れるじゃん!)
お腹一杯になるまでベーコンを食べ続けた。
朝からこんなにも食べられるのかと自分でも驚くほど食した。
ふと、周りを見た。
軍団長とカイロ、メイドのような…使用人という言葉が適切だろうか、とにかく幾人かが今、この場にいるがそのすべての視線が自分にあることに気づいた。
(あれ…みんなもう食べ終わったんだ…)
「ごちそうさまでした!」
恥ずかしく、すぐに食べるのをやめた。
食べ終えたのを確認したのか、軍団長が話しかけてきた。
「魔導師様、カイロに城下を案内させます。」
そういうと、カイロは会釈した。
「余すところなく、案内させて頂きます!準備ができましたら、また、先ほどのように、呼んでいただけますでしょうか?」
ハキハキとした声で話す。
軍団長が案内してくれるものだと思っていたため、少し驚いたが、
軍団長は暇ではないと思い、頷いた。
「では!また後程!」
「我が国をお楽しみください!」
軍団長とカイロは出ていった。
使用人と自分だけになった。
少し気まずかった。
「マヨネーズ」
すぐに自室に戻った。
まず、今すぐやるべきことがある。
「服装…魔導師…どうしようか…」
魔導師の服装がわからなかった。
スーツは違うし、着たこともない。
漫画のイメージだと帽子やフードを被りローブを着て不思議な杖を持っているイメージだ。
(とりあえず…着てみるか…)
「ソース、ソース」
鏡が部屋にはなかったため鏡も出した。
鏡に映る自分の姿を見て言葉がでなかった。
あまりにも似合っている。
真っ黒のローブは白の縁取りがしてあり、腕には金のラインが入っている。
ローブの間から見える服は白であり、対比が美しかった。
(僕も案外捨てたもんじゃないな…)
しかし自分だけの評価では少し心許なかった。
カイロに見てもらえばいいと、自分のなかですぐに完結した。
カイロに見てもらう前に、杖をどうにかしなければならなかった。
ローブだけでは格好がつかなかった。
(まぁ…杖は…カイロさんに聞こう)
「さぁ…いくか。」
(カイロさん、どこにいますか?)
心の中で呟く。
(あ、魔導師さま!城門です!今からそちらへ向かう…)
カイロの声が聞こえた。
(そこにいてください、今からいきます。)
「マヨネーズ」
目の前には目を丸くさせているカイロがいた。
「お口にあったようでなによりです。」
恵国の王、ロロが笑顔で言う。
お腹がいっぱいになったら眠くなってきた。
「ふぁぁあうううお」
大きなあくびをした。
王の前で失礼かとあくびをしたあと顔色を伺ったがどうやらなにも問題はないようだ。
「魔導師様!城下町の散策はいかがいたしましょう?今日はおやすみになられますか?おやすみになられますか?」
軍団長が聞いてきた。
(うーん…ねむいなぁ…もう外もくらいし…城下町も気になるけど…)
「今日は寝ます!」
「分かりました。お部屋をご用意いたしますのでその間、是非恵国城自慢の湯に浸かってください。」
(また風呂かぁ…めんどくさいな…)
そう思ったが食事も、部屋も用意してくれるのだ。
断れない。
「わかりました。」
面倒だとさりげなく伝わる声で答えた。
「カイロ!風呂の用意を!」
軍団長がカイロに命じカイロはまた走っていく。
(カイロっていう人大変そうだな…)
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「お風呂の準備ができました!」
カイロがまたまた走ってやってきていった。
待ってましたと立ち上がりカイロについていく。
(歩くの本当に辛いのに…)
ぶつぶつ文句を言いながらとぼとぼ歩く。
「こちらになります!」
ダルかったがとりあえず開かれた扉の先を見た。
「ほぉぅわぁっ」
変な声が出てしまった。
脱衣場は日本の大浴場と変わりはなかった。
だがお風呂の大きさが尋常ではなかった。
五十メートルプールほどの大きさはあるだろう。
急いで服を脱いだ。
(早く入りたい!)
その一心だった。
興奮で疲れは感じなかった。
服を脱ぐとすぐに扉の向こうへといく。
(すぐにお風呂に入りたい!…でもさすがにだめだよね…)
シャワーを浴びにいくと、日本式ではないようだった。
(…え?立つの?ムリムリムリムリムリ。座らせてくれ…)
とにかく立っていたくなかった。
「ソース!」
魔法で座る椅子を出した。
ゆっくりと座る。
(あぁ…本当につかれた…)
ジャーー
シャワーを浴びた。
興奮で汗も書いていたためちょうどよかった。
まず頭を洗う。
シャンプーはどこにあるのか分からなかった。
だからもうシャワーを浴びてお風呂に浸かろうとした瞬間。
「お背中をお流しいたします。」
後ろから声が聞こえた。
ビックリして振り向くと、物凄くきれいな女の人がタオルを巻いている。
「えっ?…えっ!?」
「お背中をお流ししてもよろしいでしょうか?」
ダメなわけないだろ!とは言えるはずもない。
もう目はおっぱいにしか集中していない。
「あ!やっぱりダイジョブ…デ…ス…」
ダメな理由が一つあった。
いや、出来てしまった。
さすがに大人の女性に見られるわけにはいかない。
体を洗い終えると座ったままお風呂へと移動した。
もちろん、瞬間移動 で。
とんでもなく広い風呂に浸かっているといろんな事が疑問に思えてきた。
夢なのにお腹がすくのか。
コータとはどんな動物か。
なぜ、トンカツがないのか。
そもそも本当に夢なのか。
(明日、町案内を軍団長に頼もう。あ、でも夢覚めるかな…)
風呂を出る。
瞬間移動で。
脱衣場へ行くがふと思う。
(あ、パジャマ…変えたいな…)
(服も魔法で出せるかな…?)
「ソース!」
真っ裸だった体にパンっと服がまとわりつく。
魔法とはなんと便利なものだと感心しているとカイロがやってきた。
「魔導師様、お部屋のご準備をいたしました。こちらです。」
もう本当に歩くのは無理だ!心から思った。
「すいません、部屋をイメージしてください。」
「ん?あ、あぁ。はい。わかりました。」
カイロは一瞬なんのことかわかっていない様子だったが、すぐに理解を示してきた。
「マヨネーズ」
一瞬で部屋についた。
そこは中世ヨーロッパのイメージのままのような部屋だった。
天井にはシャンデリア、床には見るからに高価そうな絨毯、壁には絵画…
(そういえば…さっきご飯食べたところにはもっと大きいシャンデリアがあったっけ…食べるのに必死すぎて…)
自分の食欲に理性が負けたことを恥ずかしく思いながらもベッドへ向かう。
「疲れたぁー!!」
ドスンッ
ベッドに倒れこんだが思ったよりも固かった。
床に倒れているような感覚だった。
「い…いてぇ…ふふっふふっふっ」
自分のことがバカらしすぎて思わず笑ってしまった。
柔らかいベッドがいいと一度立ち上がる。
「ソース」
ふかふかのベッドがそこにはあった。
「疲れたぁー!!」
今度はしっかりふかふかだった。
そのまま僕は深い眠りについた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
中世ヨーロッパ風の部屋に机と柔らかそうなベッド、天井にはシャンデリアがある。
ベッドには一人の少年が寝ている。
窓から朝日がこぼれる。
「ふぁ~、朝かぁ~」
眠い目を擦りパジャマ姿の少年は驚いた。
目の前に広がるのは中世ヨーロッパの世界観そのものだった。
「ま…まだ夢…?」
(どういうこと…?夢の中で寝たってこと…?それとも…)
イタッ
疑問だらけだったが筋肉痛でそんなことはどうでもよくなった。
体が、足がとにかく痛い。
運動不足を強く痛感した。
そして、運動しようと心に決める。
ギュルルルルルル
(お腹すいたなぁ…)
悩む。
瞬間移動で昨日のご飯を食べたところへ行くか、
それともカイロが来るのを待つか。
昨日の場所へいったとして人はいるのだろうか。
あの場所は宴の時しか使わないという可能性もある。
カイロが来ないという可能性もある。
どうするべきか。
(携帯あればなぁ……)
そう考えても仕方ない。
どうするべきか。
「魔法使っちゃうか!」
恐らくだがイメージすれば何でもできる気がした。
そもそも瞬間移動ができるのだ。
人を呼ぶくらいならなんとかなる気がした。
心の中で呟く。
(カイロさん来て、カイロさん来て、カイロさん来て…)
返事はなかった。
だめだったかと、別の方法を考えようとしたがその必要はなくなった。
バタンッ
「魔導師様!お呼びでしょうか!」
鎧を着たカイロが扉を勢いよく開け、ハキハキと喋る。
「え…えっと…」
戸惑った。
魔法でさきほどのメッセージが伝わったのか、それともたまたまか。
戸惑う姿を見てか、カイロが続けた。
「魔導師様の声が聞こえた気がしたのですが…」
(!!!)
魔法はなんでもできるのかという思いと自分はなんでもできるという思いが込み上げた。
「それで…なにかご用ですか?」
カイロは顔色を伺っているようだった。
呼ばれていないのにドアを開けたことに後悔でもしているのだろうか。
「お腹が空いて…朝御飯を…」
カイロの顔が明るくなった。
「わかりました!すぐに準備をいたします!昨晩と同じ場所でよろしいでしょうか?」
軽く頷いた。
「では、昨晩の場所にご準備いたします。いつでもよろしいのでおいでになってください。」
「わかりました。」
カイロはそういうとドアを閉めようとした。
「ありがとうございます!」
バタンッ
(ありがとうございます?なんかしたっけ?)
不思議に思ったが、なんのことか聞く前にカイロは行ってしまった。
とりあえずご飯を食べることを優先しようと思った。
「マヨネーズ」
昨日と同じ場所に移動した。
幾人かメイドのような、お手伝いさんのような人が驚いているが気にしない。
とりあえず座って周りを見た。
しかし、昨日とは別の場所に思えた。
朝と夜だからではない。
昨日はとにかく食べることに頭が一杯だった。
今、冷静に見てみると物凄くきれいだ。
シャンデリアだけではない。
テーブル、座っている椅子、絵画、すべてが現実のものとは思えないほどきれいだった。
(あ、これ夢だったか…)
自分で自分につっこんだとき誰かが入ってきた。
「おはようございます!魔導師様!よく眠られましたか?」
カイロと軍団長だった。
軍団長は朝なのにきっちりと白銀の鎧を着ている。
(格好いいなぁ…)
「お、おはようございます。よくねむれました。」
「今日はどうされますか?」
「町を見てみたいです。」
「わかりました。朝食後、案内させて頂きましょう。」
軍団長が椅子に腰かけるくらいのタイミングで料理が運ばれてくる。
食パンにスクランブルエッグ、ウインナー…ベーコン…
それらによく似たものが目に入る。
それらはほとんど自分が知っているものと大差はなかった。
ベーコンを口にしたとき、目を丸くした。
(あ、ベーコンそのままだ。ベーコンだ!)
目の前にあるベーコンはベーコンの味がするベーコンだった。
「こ…これ!ベーコンですか?」
興奮ぎみで聞いた。
「そうですよ。」
ベーコンはあるんだと、嬉しく思い朝からお腹に入るだけベーコンを食べた。
(ベーコンがあるなら…豚っぽい生き物がいるのかな…パンもあるし…トンカツ作れるじゃん!)
お腹一杯になるまでベーコンを食べ続けた。
朝からこんなにも食べられるのかと自分でも驚くほど食した。
ふと、周りを見た。
軍団長とカイロ、メイドのような…使用人という言葉が適切だろうか、とにかく幾人かが今、この場にいるがそのすべての視線が自分にあることに気づいた。
(あれ…みんなもう食べ終わったんだ…)
「ごちそうさまでした!」
恥ずかしく、すぐに食べるのをやめた。
食べ終えたのを確認したのか、軍団長が話しかけてきた。
「魔導師様、カイロに城下を案内させます。」
そういうと、カイロは会釈した。
「余すところなく、案内させて頂きます!準備ができましたら、また、先ほどのように、呼んでいただけますでしょうか?」
ハキハキとした声で話す。
軍団長が案内してくれるものだと思っていたため、少し驚いたが、
軍団長は暇ではないと思い、頷いた。
「では!また後程!」
「我が国をお楽しみください!」
軍団長とカイロは出ていった。
使用人と自分だけになった。
少し気まずかった。
「マヨネーズ」
すぐに自室に戻った。
まず、今すぐやるべきことがある。
「服装…魔導師…どうしようか…」
魔導師の服装がわからなかった。
スーツは違うし、着たこともない。
漫画のイメージだと帽子やフードを被りローブを着て不思議な杖を持っているイメージだ。
(とりあえず…着てみるか…)
「ソース、ソース」
鏡が部屋にはなかったため鏡も出した。
鏡に映る自分の姿を見て言葉がでなかった。
あまりにも似合っている。
真っ黒のローブは白の縁取りがしてあり、腕には金のラインが入っている。
ローブの間から見える服は白であり、対比が美しかった。
(僕も案外捨てたもんじゃないな…)
しかし自分だけの評価では少し心許なかった。
カイロに見てもらえばいいと、自分のなかですぐに完結した。
カイロに見てもらう前に、杖をどうにかしなければならなかった。
ローブだけでは格好がつかなかった。
(まぁ…杖は…カイロさんに聞こう)
「さぁ…いくか。」
(カイロさん、どこにいますか?)
心の中で呟く。
(あ、魔導師さま!城門です!今からそちらへ向かう…)
カイロの声が聞こえた。
(そこにいてください、今からいきます。)
「マヨネーズ」
目の前には目を丸くさせているカイロがいた。
0
お気に入りに追加
31
あなたにおすすめの小説

システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。
大国 鹿児
ファンタジー
輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった!
でも神様から便利なチートグッズ(笑)の詰め合わせをもらって、
他の星に転生しました!特に使命も無いなら自由気ままに生きてみよう!
主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!?
はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!?
いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。
色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。
*** 作品について ***
この作品は、真面目なチート物ではありません。
コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております
重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、
この作品をスルーして下さい。
*カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。

一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫
むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。

婚約破棄?一体何のお話ですか?
リヴァルナ
ファンタジー
なんだかざまぁ(?)系が書きたかったので書いてみました。
エルバルド学園卒業記念パーティー。
それも終わりに近付いた頃、ある事件が起こる…
※エブリスタさんでも投稿しています

このやってられない世界で
みなせ
ファンタジー
筋肉馬鹿にビンタをくらって、前世を思い出した。
悪役令嬢・キーラになったらしいけど、
そのフラグは初っ端に折れてしまった。
主人公のヒロインをそっちのけの、
よく分からなくなった乙女ゲームの世界で、
王子様に捕まってしまったキーラは
楽しく生き残ることができるのか。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――

もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。

聖女の娘に転生したのに、色々とハードな人生です。
みちこ
ファンタジー
乙女ゲームのヒロインの娘に転生した主人公、ヒロインの娘なら幸せな暮らしが待ってると思ったけど、実際は親から放置されて孤独な生活が待っていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる