2 / 20
1
しおりを挟む
「天宮さん、呼ばれてるよ?」
クラスメイトがそう、私に伝えて来た。
……誰だろう?
昼食を中断し教室を出ると可愛らしい男子生徒が居た。
上靴のラインの色からして1年生。
見たこともないし、ましてや、関わったこともない。
私の気のせいか、人の視線が凄い。
ニコニコ笑っている男子生徒は「着いてきて下さい」、そう言って私の腕を引っ張った。
……本当になんなんだろう。
暫く歩いて連れて来られた場所が中庭だった。
私は中庭に在ったベンチに座らせられた。
訳が分からず顔を上げると、
「天宮先輩、僕と付き合ってくれませんか?」
誰もが振り返るような甘い笑顔で男子生徒は確かにそう言った。
ライトブラウンの柔らかそうな髪がサラサラと風によって揺れる。
髪と同じ色をした瞳で真っ直ぐと私を見つめてくる。
「……どこに?と言うか、君は誰?」
「ああ、そうでした。僕の名前は如月奏です。後、どこに、ではなく恋愛対象としてです」
……。
うん、どういう状況なのだろうか。
付き合う、は買い物とかではなく恋愛対象としてだということは分かった。
でも、それがどうして私なのかが全くと言っていいほど分からない。
この男……、如月君の見た目からして女なんて選びたい放題のはずだ。
なのに、それがどうして私になるのだろう。
「取り敢えず、如月君には眼科に行くことをオススメするよ?」
「どうしてそうなるんですか」
ムッとしたような顔をした如月君は私に詰め寄ってきた。
「どうしてって……。自分で言うのもなんだけど、私、自他ともに認めるブスだよ?そんな私を恋愛対象として見るなんて……なんかの罰ゲームなんでしょ?ミッションクリアってことでもう戻ったら?」
中学時代にも罰ゲームで私に告白をするというのが在った。
この如月君もそれと同じだろう。
可哀想に……。
私みたいなブスに罰ゲームとはいえ告白することになったんだから。
「……どうして先輩は罰ゲームだと思うんですか?僕は、本当に…ッ」
「いや、だから、分かってるからもう戻りなよ。私も昼食がまだ食べ終わってないんだよね」
ベンチから立ち上がると如月君を見つめる。
この告白が罰ゲームだとしても嬉しかったことに変わりはないから…。
「如月君、罰ゲームだとしても告白してくれてありがとう。嘘だといえども嬉しかった。でも罰ゲームだからってこういうのはもう止めなね?本当に如月君を好きな人がこれをされたら結構辛いと思うから。じゃあ、如月君も早く教室に戻りなよ?バイバイ」
スタスタと中庭を去る私の背中に向かって、
「知ってる?そんな風にされると余計に僕に溺れて欲しいって思うんだよ、先輩」
そう、如月君が妖艶に微笑みながら言っているとは知らなかった。
あの日から1週間が経った。
それなのに何故か、如月君がいる。
……あれ、可笑しいな。
きちんと罰ゲームはクリアしただろうにどうして此処にいるんだろ。
そして、それと同時に何故また告白をして来るのだろうか。
内心頭を抱えるが、表には絶対に出さない。
ああ、後、如月君のことについて分かったことがある。
……如月君はこの学校で1番人気がある男の子らしい。
顔良し、頭良し、性格も良しの三拍子が揃うという優れもの(?)。
まぁ確かに、如月君はモテるだろう。
いつもニコニコ笑っていて、その顔は可愛らしく愛想も良い。
本当に、なんで如月君は私みたいなものに執着するのか。
……このところ、如月君と一緒にいるせいか女の子の視線が痛い。
それでも慣れというものは恐ろしく、如月君が一緒にいるということが当たり前になって来ている。
私の学校生活は今まで、基本、1人で過ごしていた。
だから、正直この日常が怖い。
きっと、如月君も私から離れて行く時が来るのだろうから。
どうかそれまでは、一緒にいても良いだろうか。
クラスメイトがそう、私に伝えて来た。
……誰だろう?
昼食を中断し教室を出ると可愛らしい男子生徒が居た。
上靴のラインの色からして1年生。
見たこともないし、ましてや、関わったこともない。
私の気のせいか、人の視線が凄い。
ニコニコ笑っている男子生徒は「着いてきて下さい」、そう言って私の腕を引っ張った。
……本当になんなんだろう。
暫く歩いて連れて来られた場所が中庭だった。
私は中庭に在ったベンチに座らせられた。
訳が分からず顔を上げると、
「天宮先輩、僕と付き合ってくれませんか?」
誰もが振り返るような甘い笑顔で男子生徒は確かにそう言った。
ライトブラウンの柔らかそうな髪がサラサラと風によって揺れる。
髪と同じ色をした瞳で真っ直ぐと私を見つめてくる。
「……どこに?と言うか、君は誰?」
「ああ、そうでした。僕の名前は如月奏です。後、どこに、ではなく恋愛対象としてです」
……。
うん、どういう状況なのだろうか。
付き合う、は買い物とかではなく恋愛対象としてだということは分かった。
でも、それがどうして私なのかが全くと言っていいほど分からない。
この男……、如月君の見た目からして女なんて選びたい放題のはずだ。
なのに、それがどうして私になるのだろう。
「取り敢えず、如月君には眼科に行くことをオススメするよ?」
「どうしてそうなるんですか」
ムッとしたような顔をした如月君は私に詰め寄ってきた。
「どうしてって……。自分で言うのもなんだけど、私、自他ともに認めるブスだよ?そんな私を恋愛対象として見るなんて……なんかの罰ゲームなんでしょ?ミッションクリアってことでもう戻ったら?」
中学時代にも罰ゲームで私に告白をするというのが在った。
この如月君もそれと同じだろう。
可哀想に……。
私みたいなブスに罰ゲームとはいえ告白することになったんだから。
「……どうして先輩は罰ゲームだと思うんですか?僕は、本当に…ッ」
「いや、だから、分かってるからもう戻りなよ。私も昼食がまだ食べ終わってないんだよね」
ベンチから立ち上がると如月君を見つめる。
この告白が罰ゲームだとしても嬉しかったことに変わりはないから…。
「如月君、罰ゲームだとしても告白してくれてありがとう。嘘だといえども嬉しかった。でも罰ゲームだからってこういうのはもう止めなね?本当に如月君を好きな人がこれをされたら結構辛いと思うから。じゃあ、如月君も早く教室に戻りなよ?バイバイ」
スタスタと中庭を去る私の背中に向かって、
「知ってる?そんな風にされると余計に僕に溺れて欲しいって思うんだよ、先輩」
そう、如月君が妖艶に微笑みながら言っているとは知らなかった。
あの日から1週間が経った。
それなのに何故か、如月君がいる。
……あれ、可笑しいな。
きちんと罰ゲームはクリアしただろうにどうして此処にいるんだろ。
そして、それと同時に何故また告白をして来るのだろうか。
内心頭を抱えるが、表には絶対に出さない。
ああ、後、如月君のことについて分かったことがある。
……如月君はこの学校で1番人気がある男の子らしい。
顔良し、頭良し、性格も良しの三拍子が揃うという優れもの(?)。
まぁ確かに、如月君はモテるだろう。
いつもニコニコ笑っていて、その顔は可愛らしく愛想も良い。
本当に、なんで如月君は私みたいなものに執着するのか。
……このところ、如月君と一緒にいるせいか女の子の視線が痛い。
それでも慣れというものは恐ろしく、如月君が一緒にいるということが当たり前になって来ている。
私の学校生活は今まで、基本、1人で過ごしていた。
だから、正直この日常が怖い。
きっと、如月君も私から離れて行く時が来るのだろうから。
どうかそれまでは、一緒にいても良いだろうか。
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
ねえ、私の本性を暴いてよ♡ オナニークラブで働く女子大生
花野りら
恋愛
オナニークラブとは、個室で男性客のオナニーを見てあげたり手コキする風俗店のひとつ。
女子大生がエッチなアルバイトをしているという背徳感!
イケナイことをしている羞恥プレイからの過激なセックスシーンは必読♡
彼女の母は蜜の味
緋山悠希
恋愛
ある日、彼女の深雪からお母さんを買い物に連れて行ってあげて欲しいと頼まれる。密かに綺麗なお母さんとの2人の時間に期待を抱きながら「別にいいよ」と優しい彼氏を演じる健二。そんな健二に待っていたのは大人の女性の洗礼だった…
【R18】短編集【更新中】調教無理矢理監禁etc...【女性向け】
笹野葉
恋愛
1.負債を抱えたメイドはご主人様と契約を
(借金処女メイド×ご主人様×無理矢理)
2.異世界転移したら、身体の隅々までチェックされちゃいました
(異世界転移×王子×縛り×媚薬×無理矢理)
【R18】こんな産婦人科のお医者さんがいたら♡妄想エロシチュエーション短編作品♡
雪村 里帆
恋愛
ある日、産婦人科に訪れるとそこには顔を見たら赤面してしまう程のイケメン先生がいて…!?何故か看護師もいないし2人きり…エコー検査なのに触診されてしまい…?雪村里帆の妄想エロシチュエーション短編。完全フィクションでお送り致します!
お嬢様、お仕置の時間です。
moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。
両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。
私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。
私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。
両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。
新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。
私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。
海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。
しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。
海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。
しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる