大好きな母と縁を切りました。

むう子

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第二章

38話

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私たちは宿屋に戻ることになった。

私はルークの部屋でルークが目を覚ますのを待つ。
本当はロアンの目のこともあるから屋敷に戻れるのが1番だったけど…。
けど屋敷にはお母様がいる。
お母様はメイシーに同情したと言っていたけど…
お母様はどこまでメイシーに手を貸していたんだろう。
私を思い通りにしたかっただけなのかもしれないけれどロアン様の被害を思えば流石にメイシーに騙されていただけではもう済まないだろう。

でも今回のことでドルーラ公爵とグランデ公爵の悪事も、あ父様があの二人に狙われて死んだ理由も公になりお父様を殺した奴らを捕らえられることになる。

そして私の婚約破棄を皇帝陛下に言い渡してもらうことになるわ。
それどころか私はお母様の娘だから…カルノス家の娘ではなくなるだろうな…。
それでも私に悔いはないわ。 

コンコン
「ナーシャ。ロアンの手当は済んだよ。応急処置する時に眼球を取り出されたあとすでに出血しないよう焼かれていたために神経などはすでに生きてなかったからもう視力を戻すことは出来ないが…目を覚ませば義眼で光くらいは見えると思う。今も令嬢がロアンの傍に着いてるが安心して大丈夫だ。」

「そう……。ありがとうお義父様…。」

「ナーシャ。ロアンの失明は君のせいでは無い。だから君の思うままに生きなさい。」
私の気持ちを察するように話しながらルークの体調を診るお父様。
「ええ…。」

「うむ。ルークの方も体調にはなんの問題もないね。それじゃあ私は部屋に戻るよ」

私はそっと頷いた。
「…私のせいじゃない…か…。」

ルークが目を覚ますのを待っているうちにいつの間にか私は眠っていた。
「ん…んん」
目を開くとルークの顔が近くにありビックリして顔が赤くなる。
寝顔見られてたの?ヨダレなんて垂れてなかったわよね!?
恥ずかしすぎる!!
「ナーシャ。心配をかけたね。」

「ルーク。ほんとに心配したのよ?」

「はは。ごめんよ。もう君に会えないかと思うと本当に怖かった。」
ルークは私を力強く抱きしめる。前にもあったけど不思議と痛みもなく凄く安心する。
私たちは惹かれるようにキスをした。

「ナーシャ…愛してる」

「ルーク…私もルークを愛してます」

お互いふふっと微笑みもう一度抱き合った。

「そういえば…ウィンやティエラ達はどこに?」

「ルーク…1度ウィンから聞いてない?スペラケーション…呪術師がまたスペラケーションを使ったの。それでそのまま精霊界に…」

「そうだったのか…。じゃあもう一度召喚しよう。でも少しだけ…少しだけ2人で過ごさせて欲しい。」

「ふふふ。そうね。」

私たちはこれからのことを少し話しながらもゆっくり過ごした。
「そろそろ3人に会いに行かない?」

「そうだね。そろそろ行こうか。」

私達は目を閉じ陣を描きまた2人で手を繋ぎリーツを高めながらみんなに会えるよう願った。
「ナーシャ。目を開いて」

ぱっと目を開くと精霊界にいた。

「ティエラ!ソラン!」
私は二人に抱きついた。

"精霊界に迎えに来てくれたのね。リーツが今まで以上のに高まってるわよ"

"ああ、びっくりするくらいのリーツだ。もしかしてベリストを割ったのか?"

「ええ。ベリストに大きなヒビが出来てもうあなた達に会えないと思うと耐えられなくて…」

"ナーシャよくやったわね!"

「ナーシャ・カルノス。貴方のことはみていました。」

「あなたが……ルーシー様…?」
精霊達が頭を下げだし私達も咄嗟に頭を下げる。

「気にせず頭をあげなさい」

「ありがとうございます。」

「ナーシャ、君がベリストを割った時からここに来る日を楽しみにしていたよ。僕以来の実力者だからね。少し向こうで話せるかな」

「そんな…私にはルーシー様程のお力は…。」

「ははは。謙遜なんてしなくていいよ。着いてきてくれ。」

「はい。」

「君たちは人間界にボリスを召喚させずよく頑張ってくれたよ。」

「お褒めのお言葉、感謝いたします」

「畏まらないでもいい。僕も元は人間だったからね。」

「いえ…それでもあなたは精霊達の管理者様ですから。それで…私にどんな用が…」

「ははは。じゃあ早速本題に入ろう。君もここの管理者にならないかと思ってね。もちろん人間界が上手くいかなかった場合にでもいいんだよ。君の母君が捕まれば君の立場も変わってくるだろう。その変が心配でね。ここにも逃げ場があるんだよと伝えておきたかったんだ。頭に入れておいておくれ。」


「…ルーシー様…ありがとうございます。ですが私は…」


「そうか。そう言うと思ったよ。まあ生きてる間はいつでもここに遊びに来なさい。」

「ルーシー様…ありがとうございます。」

「あ。そうだ。一つだけ。もう一度ティエラとソランと契約するには問題ないんだがこの子とも契約し育ててやって欲しいんだが頼まれてくれるかな。」
ルーシーさまの手の中に子猫サイズの新たな精霊が眠っていた。
「どういうことですか?」

「ははは。いや。僕が手をかけてやりたいんだがちょっとバタバタしていてね。そんな中、新たな精霊が生まれてね。この子は大地精霊なんだ。」

そっか。私がティエラとソランと契約しちゃったら、まとめる精霊王が居ない今、新たな精霊を育てるのは大変ってことなのかな?

「こんなに可愛い子猫のような精霊様を私に育てさせてもらえるなんて…嬉しいですわ!」

「そう言ってくれて助かるよ。ではこの子は別として、君たちの契約は前のままでいいのかな?」

「はい。」

「なら。契約はこちらで済ましておこう。人間界に戻すよ。」

パチンっ

___________

「ナーシャ!あれ、君がルーシー様と話にいって僕はウィン達と話して…あれ?まだ契約は済んでないはずだけど」

「ふふふ。ルーシー様が忙しいからって契約は済ましておくよってそのまま人間界に戻されたみたい。」

「そうだったのか…それでこの子猫は?」

"ルーシー様ったらこの子の面倒押し付けたわね!?"
ティエラがぱっと現れ怒り出す。
「え?」

"はは。さすがルーシー様だな!ティエラに言っても断られると思ってナーシャにたのんだのか"

「ソラン?どういうこと?」

"ティエラが戻ってから新たな精霊が生まれてさ、この子だけまだすっごい甘えん坊なんだよ。それでティエラに押し付けようとしてもティエラはナーシャを待つからルーシー様に押し付けてたんだ(笑)"

「それでルーシー様、契約しておくからって追い出したって訳か」

「あれ?ルーク、ティエラとソランが声に出さなくても聞こえてるの?」

「あ、ほんとだ。」

"ルーシー様は僕たち皆でこの子を見てくれって事かな"

ウィンがそおっと子猫の姿の精霊を撫でる。

「ふふふ。そういうことかもしれないわね。この子の名前は何にしようかな」

「ナーシャが決めて。」

「ん~そうね。この子の名前は同じ大地精霊のティエラの名前を少し貰ってルーシー様が私とルークに託した子だからティルナ!」


"いい名前じゃないティルナ。甘えん坊のティルナね"


 
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