大好きな母と縁を切りました。

むう子

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第二章

37話

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「ううっ…」

「ナーシャ!!目を覚ましたか」

「お義父様…大丈夫だった?ルークとレビア令嬢は…?」

「私が来たからもう大丈夫よ!ラベルとメイシーは私の力で縛り上げてるわ!」

「私…どれくらい眠ってたの!?」

「ほんの10分程だ。ナーシャが気を失ってすぐにテミニエル様が来てくれてすぐにナーシャにかかった術も解いてくれたんだ。レビア令嬢は今はロアンについてるよ」

「そうだったの…ルークは?ルークの術は解けたの?」

「ダメね…縛ってはいるけどこればっかりは本人の気持ちが無ければ抜け出せないわ。」

「そんな……ルーク…!ルークをギュッと抱き寄せる。ルーク…目を覚まして!お願い。私は無事よ!!」

「うっううう…ナ…シャの…ない…世…なん……」

「…ルーク……」

「ルーク…大丈夫…大丈夫よ。幻覚を見てるだけなのよ…お願いだから…私の声が届いて…」
私は涙が溢れ出す。

「ルークももう少したら目が覚めるはずよ。だから大丈夫。ルークを信じてあげなさい」

私は頷きテミニエル様の方を見た。
「テミニエル様…来てくださって助かりました。ほんとに感謝致します」

「魔法界から戻ってカルノス公爵の元へ向かったらカルノス公爵はいないわ。したらすぐ精霊達の気配が消えて私も焦ったわよ。まあほとんど仕上げ状態で良かったわ。」

「ソラン達はスペラケーションされて精霊界に戻されたみたいで…」

「ああ。そういうことだったのね。でもナーシャ、あなた前よりも精霊使いとしての力をつけたでしょ?」

「え…ええ」

「さっきよりもすっごい力で溢れてるわよ。あなたならすぐに2人を呼び戻せるわ」
「チッ」
ラベル先生から舌打ちが聞こえる。
「ふふ。呪術師さん?もがいても無駄よ?その手錠は呪術師向けに作られたはめると呪術が使えない貴重な手錠を持ってきてげたから~。顔がイケメンなのに残念な呪術師で勿体ないわね。」

「そんな手錠があったのですね…」

「ああ、これは魔法界のものなのよ。これを取りに行ってたってわけ。まぁ本当は私は貴方たちに渡すだけのつもりだったんだけどね。」


「テミニエル様が居なかったら私たちはどうなっていたか…」

「ふふふ。私が今回の正義のヒーローってところかしら。」

「ふふ。そうですわね。」

「ウゥッ……ウぐっ」
「ルーク!!」

ルークから大粒の涙がこぼれる。
「ルーク!ルーク目が覚めたのね!」

「ああ………酷い夢を見ていたようだ…」

「呪術師に幻覚を見せられてたのよ。ルークが目を覚めて良かったわ!!」

「そういうことか…僕はまだ動くのが厳しいみたいだ…」

「大丈夫。大丈夫よっ。あなたがラベル先生を刺した後、テミニエル様が来てくれて先生を捕まえてくれたわ。」

「そうか…良かった。ならもう少し…休ませてもらうよ…」

ルークが目を閉じるのを確認しそっと寝かせて私は立ち上がった。


「メイシー!あなたのしたことへは皇帝陛下が必ず裁いてくださるわ。それでもあなたに直接聞きたいの。どうしてこんなことをしたの?」

「そんなのもちろん私がこの世界を動かすために決まってるでしょう?私はあなたのせいで爵位を失ったのよ。あなたは覚えてないでしょうけど。」

「…覚えてるわ。昔ジェノシーの河原でドルーラ公爵とグランデ公爵が奴隷の少女を馬車に連れ込もうとしたことでしょう。」

「そうよ。そのせいでラクロアス公爵が調べてまず初めに伯爵の身分であるお父様のせいになった。公爵は自分たちに手が回る前に手を回してラクロアス公爵を戦死にした手上げたようだど私のお父様はその犠牲になったのよ。」

「それは、あなたのお父様が悪いことをしてきたからでしょう?私やお父様は何も悪いことをしてないわ。罰を受けて当然のことでしょう。」

「昔からその考え方が嫌いなのよ。ただ私に助けられ溺れ死ぬ事のなかった運がいいだけの令嬢の癖に」
メイシーの弄れてようにもう驚くこともなく私は返事をする気にもならずため息をつく。
「なら…どうしてレビア令嬢を使うような真似をしたの。あなたを助けてくれたのは公爵なんでしょう?」

「公爵が助けてくれた?グランデ公爵達はあの事件を公にされるのを恐れて私を手元に置いただけよ。公爵が何をしてるか見ていた私を知ってるものね。お父様にぶつかられて川で溺れたあなたを助けた私をね。」

「そう。ただそれだけのためにこんなことを…」

「ただそれだけ?お父様は爵位剥奪されて逃げる他なく私を置いて海外へ行き、私はどんな惨めな生活をしたと思ってるのよ。あんたのお母様は私に同情してくれたわ。だからこんなに手を貸してくれてたのだから。」

「言いたいことはそれだけ?あなたは救いようがないわ。お父様…お願い。ラベル先生、あなたは何故メイシーに?」
お義父様は頷き魔法石を地面に叩きつけた。

「私があなたに話す事はありません。」

「…先生は私に悪い噂が流れていた時も私の肩を持ってくれた事があったわ。なのにどうしてメイシーと手を組んでるの?」

「……。私は初めからあなたの味方では無い。それだけの事です。」

「…そう。あの頃私は先生から言われた言葉に救われたのよ。」

「私はあなたになんの感情等なにもありません。私はメイシー様の傍にいるために。ただそれだけです。それよりロアン様の看病に向かえばどうです?彼はもう一生外の景色を見ることも出来ないでしょうから」


ドタドタドタドタ!

「皇帝陛下の意志の元、使いとしてここに来た!ここで何があったか調べさせてもらうぞ!!」

「なっ…あんた何したのよ!!」
メイシーを無視しお父様が話し出す。
「先程魔法石を壊そうとしたのは私です。エンドラ様、あなたを呼び出すためとはいえ魔法石に傷をつけ申し訳ございません」
エンドラ様…ルークのお父様が皇帝騎士として来てくれたのね…。それなら少し安心ね。私は少しホッとした。敵はドルーラ公爵やグランデ公爵だからそちら側の人間が皇帝騎士として来ればこの問題は隠蔽を企む可能性もあるから。

「これはカルノス公爵!お久しぶりです。それよりこれは何事で。令嬢やテミニエル様まで…」
国王騎士のエンドラ様はルークの方を一瞬見つめたが息をしていることに安心したように目を逸らした。

「…この魔法石が物語っておりますわ。」

「レビア公爵令嬢。あなたもこちらに居られたのですか…。」

「ええ。そちらの魔法石は衝撃で映像や音声が全て映らないかもしれません。ですがこちらの魔法石は衝撃もなにもなく一部始終全て見ることが出来るはずです。ロアン様や私達は一応カルノス公爵が応急処置をしてもらっています。」

「ご協力感謝致します。ですがなぜこの魔法石を令嬢が…」

「それは私から詳しく話そう…。だがまずはここに居るもの達を。」
エンドラ様は手錠をされたメイシーとラベルの方を見つめる。

「ハッ。皆の者。2人を捕らえろ!」
エンドラ様は後ろの護衛たちに命ずる。

「あ、この男は呪術師だからその手錠を外したらダメよ。あなた達なら分かってるでしょうけど魔法界の手錠だからね」
テミニエル様はエンドラ様のついでのように言い足す。

「との事だ。絶対外してはならんぞ。」
「ハッ。」

「公爵様、この魔法石で全て今回のことを把握することは可能かと思いますが確認に時間がかかると思われますので1度お屋敷にお戻りください。申し訳ありませんが息子のルークやロアンさまのことも公爵におまかせしてよろしいでしょうか。後日皇帝へ来ていただく事になるかと思います。」

「ああ。その辺は安心してくれ。だが屋敷ではなくジェノシーの宿屋へ戻る。念の為にまだこの事は外に出さないように頼んだ。」

「わかりました。私も1度確認し皇帝陛下へ返事を委ねましょう。ご協力感謝いたします。」

「じゃあ私はこの騎士たちと皇帝陛下の元へついて行こうかしら」

「テミニエル様!感謝いたします。」

スっ


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