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第一章
16話
しおりを挟む帰ってきたのはまだ16時頃。
レティシャと母は屋敷の中でゆっくりしているだろう。
シャンドラは怒鳴り散らすのはいつも深夜なのに
何故、既に凄まじい顔で玄関で待ち伏せていたんだろう
「ナーシャ。グランデ令嬢を怒らせたそうじゃないか」
…ついさっきのことを既に知ってるのね。
シャンドラは誰からこれを聞いたのかしら…。
いつもならシャンドラから怖くて怯えながらその場を終わらせるためだけを考えメイシーに泣きついていた。
けれどもうその時の私はいないんだ。
「私が黒いドレスを選んだことによってアイリスたちが決めたと勘違いされたから言い返しただけのことですわ。わたしだけのことならば黙っていたと思います。ですけど彼女がアイリス達のことを貶めるようなことを仰ったので。お義父様もアイリス達の力になってあげろと仰ったじゃありませんか」
「なに!?」
ぶたれる…!!ギュッと目を瞑り下を向く。
ところがシャンドラはどこか落ち着いている…。
「メイシー。キミから聞いた話とは少し違う。どういうことだ」
「は…はい。私は…お嬢様のお好きなクッキーを買いに行くところ、馬車でおかえりだったグランデ令嬢から引き止められてお聞きしたまでで…」
「どういうことだ?」
「わ…私は……。レビア様がいつも私のことを気にかけて下さっていたので…その」
メイシーがグランデ令嬢とばったり遭遇したなんて話がうますぎるわ。メイシーはこうなることを予想してグランデ令嬢を待ち伏せていたんじゃ……
「…私から今日の出来事を全てお伝えしてもいいでしょうか」
「ああ。メイシー…キミは呼ばれるまで部屋に戻って君の仕事を続けておきなさい」
…メイシーはここまでと思ったのか俯き悔しそうに唇を噛み私を睨んだ…。
「…かしこまりました」
私はロアンとアイリスと3人で話したこと以外今日あった出来事を全て説明した。
「ナーシャ。今聞いた話ではキミは何も悪くなかった。だが少し聞かせてくれ」
「はい…」
「私達はメイシーから日々報告を受けている。もちろんレティシャが生まれる前からだ」
「……」
だからなんだと言うの?自分のやってきた事が間違っていたと今更謝るつもり?
「だが私の出張中の話しはレティシャやレアロナ とメイシーの言ってことが合わず不思議に思い始めていた…。そこでナーシャ…君からも話を聞きたい」
シャンドラは下を向きながら私に問いかけた
「私は…何かを間違えているのか?……キミはレティシャや私を嫌っているわけでは無かったのか……?」
今はあなたを恨んでるわ。なんて言えないように肩を落とすシャンドラに私はなんと言えばいいか分からない…
メイシーから何を言われてきたのか分からない。だけど…だからって今まで私に何をしてきたか分かっていてこんな事を聞いてるの?
「……メイシーから今まで何を聞いていたかは分からないです…。だけど……私はレティシャを恨んだりした事は1度もなありません。」
「……なんてことだ……。」
シャンドラが項垂れる中、私とシャンドラの話を聞いていたであろうお母さまが向かってきてシャンドラの肩を優しく支える
「シャンドラ…大丈夫…大丈夫よ。ナーシャは優しくて純粋な私の子だもの…。まだやり直せるわ。今日はレティシャはお友達のお誕生日パーティに行ってるの。だからゆっくり話しましょう。」
???
お母様は…知ってたの…?
どういうこと…?お母様は今までのことをしってて黙ってたの?今何が起こってるの…?
「ナーシャ…お義父さまはレティシャが生まれる直前からメイシーにナーシャの気持ちを聞いていたの…」
お母様はそう言ってその頃あったことを話し始めた。
「 シャンドラ様、ナーシャ様に「ナーシャ様の妹がお生まれですよ。赤ちゃんはビックリしちゃうから静かに近寄って上げてくださいね」とナーシャ様にはお伝えしておきました。ですが…お嬢様はレティシャ様がお生まれになったことでお母さまが自分のものでなくなることがお辛いようで。レティシャさまなんて居な……これ以上は私からお伝えするにはもう…」と泣きながらメイシーはお義父さまに伝えたらしい。
初めはナーシャがそんなこと思うはずない。
そう信じていたけれど
ナーシャがレティシャに向かって大きな声で「可愛い赤ちゃん」と走って向かってきてね…。その後メイシーから驚かせてはいけないと聞いているはずのあなたが不満そうな顔が見えて…お義父様はレティシャを守らないといけないと思ったの。。
その後…初めてレティシャを守るためにの頭に血が昇ったとはいえ…ナーシャに怪我をさせてしまったとお義父さまは後悔して私に謝り、泣き疲れて眠ったであろうナーシャの怪我を治しに行ったわ。
ナーシャはお義父さまのことを信頼していたのに…。
私達は再婚してからも愛情を込めて育ててきたのに。
あなたがそんな風に思うはずない。
私もお義父様もずっとあなたを信じようと思ってたの。
だけどナーシャは…私たちと見る時いつも不満そうに見えた。
部屋から出ることのないナーシャに付きっきりメイシーは…扉から出る度につらそうで、私たちに話す度に涙を流していたわ。
レティシャがいなければ私は部屋を出られるのに…。
私は怒られる必要がないのに。
レティシャを殺してと頼まれた。
メイシーは私の頼みを一つも聞いてくれないって怒られてしまった…って。
メイシーはそれでもあなたの肩を持って…あなたに向き合おうとしているのにあなたはメイシーを困らせて泣かせ続けていた。
私たちはレティシャの夜泣きも酷くて毎日寝不足で
メイシーからの話を鵜呑みするしかなかったの…。
レティシャが歩くようになってからも
書籍部屋に向かうナーシャを見かけてはレティシャはナーシャのことが大好きであなたに向かって駆け寄って行くレティシャに死角で足を引っ掛けたりしたって…
ナーシャがそんなことをするなんて怖くて仕方なかった…
それでもあなたを大好きだというレティシャが可哀想だったわ。
お義父さまのやり方が悪いのは分かっていたけれど…
お義父さまはレティシャに対するナーシャの負の感情を許すことは出来なかったの。
私は…どうしても自分の妹に対して酷い感情をもつあなたが怖くて目を伏せた…。
レティシャが大きくなって話せるようになった頃にはそんな意地悪は収まり…けれどメイシーに無理なワガママを言い続けて困らせるナーシャを私とお義父さまは怖く思っていたわ…。
それでも…レティシャが生まれてナーシャは愛情が不足しているんだ。そう思ってレティシャはナーシャが大好きなのよ。私はナーシャの事を大切に思ってるのよ。と伝え続けてた。
だけどこの間から…
どうみてもわたしとレティシャに話すナーシャは昔の純粋で…誰にでも優しくて…相手を思いやるナーシャだった。
だけど最近はメイシーの言うこととどこか違うような気がして…
この間初めてお義父様が疫病が流行ったせいで出張に出ないといけなくなって初めて違和感が確信に変わったの。
…お母さまは一体何をはなしているの?
私は今までなんのために……
何が起こっているのか分からず体の力が抜けて気が遠くなってゆく
「ナーシャ…!!」
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