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第一章
7話
しおりを挟む次の日もティエラに引っ張られてたくさん遊んであっという間に3日が過ぎた。
今日はラベル先生が来る日で勉強もいつもよりも楽しくラベル先生には「今日は顔色がとてもいいですね。」なんて言われた。
「ふふ。最近とっても体調も良くて、4日後にはリベラ嬢のお茶会に出席するんです♪」
「それはとてもいい事ですね。部屋に閉じこもり気味だったナーシャお嬢様もとうとう他のご令嬢との交流を持つのですね♪あの噂は偽物だということも皆直ぐにわかってくださるはずですよ♪」
ラベル先生は喜んで応援してくれた。
「先生、そういえば…その噂って誰から…」
「えっと…出元は分かりませんけれど私がお聞きしたのはレビア・グランデお嬢様だったかと思います。ただ、レビア様が誰からお聞きしたかまでは。。」
「そう…」
「ナーシャお嬢様、誰からの噂であろうと事実が違うと分かれば必ず皆、気がつく時が来ます。だからお嬢様は気にする必要はないのですよ。いつも通りのお嬢さまであればあんな噂は直ぐに消えるでしょう。」
私は深く頷き、なんだかお茶会が上手くいくような気がした。
-----お茶会当日-----
「お嬢様っドレスをご用意してました。こんな感じでどうでしょう♪」
青いレースがたっぷりのドレスで胸元にはネックラインには細やかな宝石、ウエストには白のレースの大きなリボンがついているシンプルでキレイだけど可愛さも忘れないドレスに私は目を輝かせる。
「ふふふお嬢様のためですもの。本当は青いレースだけのドレスだったんです。けれどここにリボンがあれば絶対お嬢様にも似合うだろうなって想像しちゃって手わ加えたんです♪」
「素敵ーーー!メイシーのセンスは本当に素敵だわ。用意してくれてありがとう」
わたしはメイシーに抱きついた。
「お嬢様が喜んでくれて私もとっても嬉しいです」
なんて用意していた時間が懐かしい…。
(ねぇ…あれ…
(私にはあんな令嬢の顔を潰すようなこと出来ないわ
(まぁお美しいのはお美しいですけど
(シッそれとこれとは別ですわ
(あのお噂は案外本当かもしれませんわね
なんて令嬢達から白い目で見られてる。
…噂を挽回するどころか悪循環もいいところだ。
それに何故こんなに陰で色々言われているのかも分からない…。
ひとりで私に向かって歩いてくる令嬢。この令嬢はたしか…レビア・グランデ令嬢…。
あの噂を流したとかいうレビア・グランデ令嬢も来てたなんて…。
「あなたがカルノス公爵令嬢かしら。初めてお茶会にいらっしゃるとお聞きしていましたけれどまさかここまで酷いご令嬢だなんて、思いもしませんでしたわ」
「えっと…私が何を…」
「まぁ。あなた。このドレスはカルメル家から出た新作のドレスだってことを知らなかったとでも言うのかしら」
え……!?
そんなドレスだったの…?
お茶会のマナーやカルメル家の事は事前に調べた時はドレスを扱ってるなんて無かったはず…。
たしかカルメル侯爵は首都の宝石店を持っているけれどドレスは……
"やられたなナーシャ…やっぱりあいつは信用出来ないだろ"
「ナーシャお嬢様…ごめんなさい…本当に申し訳ありません…まさかこのドレスが…お嬢様の顔を潰してしまうなんて…」
メイシーは震えながら誰にも聞こえないくらいの小声で私に謝る。
"ソラン…そんなまさか…メイシーがわざとやったなんて考えられないわ…"
"ナーシャ…信じたい気持ちは分かるけどここまでされてるのよ?メイシーは1度もドレスを選んだことの無い人間なの?"
……そんなことは無い…。
普段はボロボロのドレスを着ていてもラベル先生や家にお客様が来る日は念の為とまともなドレスを着る。
"ナーシャ。今はメイシーのことを考えてる時間はないわよ"
私は小さく頷いた。
「ごめんなさい…私はこうやってお茶会に出るのも初めてで…このドレスがカルメル家から出たドレスだなんて知らなかったのです…」
(まぁ、知らなかったですって
(それもカルノス公爵令嬢が分からないなんて通用するのかしら
「レビア様、わたしは何とも思っていませんわ。カルノス令嬢もお気になさらないで」
オレンジ色の胸元に宝石が散りばめられた 私の着ているドレスとよく似たドレスを来ている令嬢が私の前に立つ。
「まぁ!!私はリベラ様のことを思って。リベラ様の顔に免じて黙りますけどこんな陰湿なことをする方は好きになれませんわ」
グランデ公爵令嬢や周りの人は納得いかないようだ。
「レビア様、私の為を思っていただいてありがとうございます。
確かにこのドレスは私の作ったドレスです。
お父様の宝石店ではやっぱり大きな宝石だけが美しいと思われてるの。でもわたしは大きな宝石だけが美しいわけじゃないと思って作りましたの。だから私はそこに手を加えたデザインのドレスでも着ていただけるだけで私にとっては嬉しいことです。だから気になさらないで。
カルノス令嬢、ようこそお越しくださいました。是非こちらにお座り下さい」
"ナーシャ…あいつの顔を見ろよ"
"残念だけどあれが本性よ…。ナーシャ大丈夫。私たちがいるからね"
メイシーは悔しそうな顔をして下を向いていた。
本当にメイシーは私のことを悪く仕向けようとしたの…?
なんで。第二のお母様のようにしたっていたメイシーが…。
今、ソランやティエラが居なければ私は泣き崩れていただろう…。それにメイシーの顔にも気づくことなんてなかったわ。
辛い気持ちを抑え、カルメル侯爵令嬢に謝り直しその場は何とか収まった。
それでもやはり私の悪い噂と今回の事であまりいいようには思われずに話しかけてくれる令嬢は少なかった。
そんな中でカルメル侯爵令嬢は「お固くなさらないで。私のことはリベラとお呼びください♪」と天使のような笑みで話しかけてくれ、マナーを勉強しておいたおかげで話も弾み、リベラの周り人とも名前で呼び合う仲になれた。
帰りの馬車が迎えに来た時
リベラの周りにいたアイリスの迎えの馬車も来たようで
アイリスとまた、会いましょうと挨拶をした。
無意識にパッと振り返るとアイリスの方を見ると黒髪の落ち着いた感じの方がアイリスに手を貸していた。
こちらの目線に気がついて、黒髪の男はニコッと会釈して乗り込んで行った。
あの方はアイリスのフィアンセかしら…。
少し羨ましく思いつつ初めてのお友達の幸せを願いながら屋敷に帰った。
ふぅ。今日は色々あったなぁ~
なんて一息つくまもなく「ナーシャ様!!本当に今日は申し訳ありませんでした!!私が弁解出来れば良かったんですが怖くて声が出せなくなってしまって…。」
「メイシー…」
あの悔しそうな顔を思い返すと何か言ってしまいたくなった。
だけど…。家の中での唯一の味方だったメイシーにわたしは何も言うことが出来なかった。
「…大丈夫よ。メイシーの言った通り、リベラがとっても優しいお方で良かったわ。」
「今後はこのような事にならないように気をつけます」
泣きながら訴えるメイシーに今までなら信じきっていたけれど今はもうメイシーを信じることすらできずにいる。
この泣き顔の下もきっと…。
"ふん。嘘くさいヤツめ"
"ソラン!!本当空気が読めない男なんだから"
"なっっティエラ、お前も男だろ!?"
「え!?」
"ナーシャ、知らなかったのか。こいつは"
"ソランお黙り!"
"なんで俺が黙るんだ"
「ど…どうされましたか、お嬢様」
「あ、いや、ドレスにクッキーがこぼれてしまったみたいで…あはは、恥ずかしいわ」なんて適当にごまかした。
その間もソランとティエラは
"精霊に性別なんてないわ"
"性別はあるだろう"
"ムキーッ!!もう知らないんだから"
なんて言い合って
怒ってティエラが消えていった。
"ソラン?ティエラを傷つけちゃダメよ"
"アイツがそんなことで傷つく訳がない"
"ソラン?"
"分かったよ"
後を追うようにソランも消えていった。
2人のおかげでメイシーの事で考え込むことも無く家に着いた。
だけどこれからメイシーとどう接したらいいのだろう。
いきなり素っ気なくも出来ないし。
メイシーがシャンドラの手下ってことよね。
それなら私のやることや伝えてきたことも何もかも全てシャンドラに筒抜けってことなのね。
ということはメイシーに何も言わなければシャンドラから罵声を浴びる日も減るわね。
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