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14話
しおりを挟む 翌朝、僕たちはヘリで帰宅した。
アスカさんからは、僕がダンジョンをクリアしたことやガイドのことは周りには言わない方がよいと言われた。
確かにバレれば良からぬ者に狙われるかもしれない……
レベルアップできる人間は僕だけだなのは秘密になった。
両親には今後しばらく、冒険者の手伝いをするということでなんとなく納得してもらえた。
「ふー、やっと帰ってこれたなぁ」
僕は部屋のベッドに寝転ぶ。
色んなことがあったな。
初めてのダンジョン、初めてのモンスターとの対決。
そして、レベル0の僕がレベルアップできるようになった。こんなに嬉しいことはない。
そして、1番の変化は……
「ここがキモオタ君の部屋ですか……」
ジロジロと僕の部屋を見渡すガイド。僕から離れられないガイドはこれから僕と一心同体のようだ。
「あんまり見ないでくれよ」
僕の部屋を興味津々な様子で探検するガイド。
「なんというか……」
部屋中に貼られたアイドルポスターを渋い顔で眺めるガイド。
「キモ……ま、まあ……趣味は人それぞれですね……それにしても汚い……なんか臭いですね? どこからかイカのような匂いが……」
ガイドがゴミ箱を漁ろうとする。
「や、やめろ! もういいだろ!」
「あ、この子がアスカさんの妹のサクラちゃんですか?」
ガイドは部屋のど真ん中に貼られたサクラちゃんのポストを指さす。
「ああ、そうだよ」
「なるほど……確かにアスカさんに似て……くっ、美人ですね」
どこか言いたくなさそうにガイドが言う。
「ちょっと家の中を冒険してみていいですかね?」
「まて! この部屋からは出るな! 母さんがいるんだから!」
こんな飛び回る精霊を見たら大騒ぎになる。
「えー、じゃあ、とりあえずベッドの下を探索してみましょうか!」
「や、やめろ!! そこだけはまずい!」
なんでそんなピンポイントで見られたらまずい所に興味を持つんだ!
精霊との奇妙な共同生活の始まりだ。
ガイドの存在は隠さないといけないというのに、こんなことで大丈夫だろうか……
「さあ、ガイド。さっそくレベルを上げる方法を教えてくれないか?」
僕は早くレベルアップしたい!
アスカさんを安心させてあげたいんだ。
「……でも、今日は学校ってやつじゃないですか?」
「学校なんて行ってる時間はない! サクラちゃんが……アスカさんの妹の命がかかってるんだ!」
呪いにはタイムリミットがあるのだ。のんびりしてなどいられない。
『ピピピピ』
その時、僕のケータイが鳴る。母親以外からの電話なんか滅多にないのに。
見慣れない番号だ。
「も、もしもし?」
『お、木本君か?』
「その声は、ア、アスカさん!?」
電話はまさかのアスカさんからだった。
「ど、どうしたんですか?」
『言い忘れていたが、学校にはちゃんと行くんだぞ?』
「え……?」
ドキッとする僕。
『君のことだ。学校そっちのけでトレーニングをしようと思ってくれてるんだろうが……それはダメだぞ!』
「でも……」
『ダメだ! 妹のために頑張ってくれるのはありがたいが学業をおろそかにしてはならんぞ!』
「は、はい……」
やれやれ、アスカさんには全部お見通しか……
僕はトレーニングを諦め、登校の準備をする。
「おお! それが制服ってやつですね! 楽しみですね、学校!」
「え? ガイドも来るの……?」
「当たり前じゃないですか! 離れたら契約が切れて私、死んじゃうですよ?」
「そっか……くれぐれもバレないようにしてくれよ!」
嫌な予感しかしないよ……
アスカさんからは、僕がダンジョンをクリアしたことやガイドのことは周りには言わない方がよいと言われた。
確かにバレれば良からぬ者に狙われるかもしれない……
レベルアップできる人間は僕だけだなのは秘密になった。
両親には今後しばらく、冒険者の手伝いをするということでなんとなく納得してもらえた。
「ふー、やっと帰ってこれたなぁ」
僕は部屋のベッドに寝転ぶ。
色んなことがあったな。
初めてのダンジョン、初めてのモンスターとの対決。
そして、レベル0の僕がレベルアップできるようになった。こんなに嬉しいことはない。
そして、1番の変化は……
「ここがキモオタ君の部屋ですか……」
ジロジロと僕の部屋を見渡すガイド。僕から離れられないガイドはこれから僕と一心同体のようだ。
「あんまり見ないでくれよ」
僕の部屋を興味津々な様子で探検するガイド。
「なんというか……」
部屋中に貼られたアイドルポスターを渋い顔で眺めるガイド。
「キモ……ま、まあ……趣味は人それぞれですね……それにしても汚い……なんか臭いですね? どこからかイカのような匂いが……」
ガイドがゴミ箱を漁ろうとする。
「や、やめろ! もういいだろ!」
「あ、この子がアスカさんの妹のサクラちゃんですか?」
ガイドは部屋のど真ん中に貼られたサクラちゃんのポストを指さす。
「ああ、そうだよ」
「なるほど……確かにアスカさんに似て……くっ、美人ですね」
どこか言いたくなさそうにガイドが言う。
「ちょっと家の中を冒険してみていいですかね?」
「まて! この部屋からは出るな! 母さんがいるんだから!」
こんな飛び回る精霊を見たら大騒ぎになる。
「えー、じゃあ、とりあえずベッドの下を探索してみましょうか!」
「や、やめろ!! そこだけはまずい!」
なんでそんなピンポイントで見られたらまずい所に興味を持つんだ!
精霊との奇妙な共同生活の始まりだ。
ガイドの存在は隠さないといけないというのに、こんなことで大丈夫だろうか……
「さあ、ガイド。さっそくレベルを上げる方法を教えてくれないか?」
僕は早くレベルアップしたい!
アスカさんを安心させてあげたいんだ。
「……でも、今日は学校ってやつじゃないですか?」
「学校なんて行ってる時間はない! サクラちゃんが……アスカさんの妹の命がかかってるんだ!」
呪いにはタイムリミットがあるのだ。のんびりしてなどいられない。
『ピピピピ』
その時、僕のケータイが鳴る。母親以外からの電話なんか滅多にないのに。
見慣れない番号だ。
「も、もしもし?」
『お、木本君か?』
「その声は、ア、アスカさん!?」
電話はまさかのアスカさんからだった。
「ど、どうしたんですか?」
『言い忘れていたが、学校にはちゃんと行くんだぞ?』
「え……?」
ドキッとする僕。
『君のことだ。学校そっちのけでトレーニングをしようと思ってくれてるんだろうが……それはダメだぞ!』
「でも……」
『ダメだ! 妹のために頑張ってくれるのはありがたいが学業をおろそかにしてはならんぞ!』
「は、はい……」
やれやれ、アスカさんには全部お見通しか……
僕はトレーニングを諦め、登校の準備をする。
「おお! それが制服ってやつですね! 楽しみですね、学校!」
「え? ガイドも来るの……?」
「当たり前じゃないですか! 離れたら契約が切れて私、死んじゃうですよ?」
「そっか……くれぐれもバレないようにしてくれよ!」
嫌な予感しかしないよ……
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