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十六歳
少女
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昨夜の停電が
嘘の様に
電飾が街を彩り
塾講師は
白いボートを
マジックの文字で
埋め尽くす
既に家庭教師から学んだ
解り切った方程式に
隆行は 欠伸を噛み殺した
定期的な全国模試を
優先的に受けられる塾
塾へ通う理由のひとつは
全国の成績順位を
父親に報告する為で
十六歳になった隆行は
東大入試の過去問題を
解けるだけの学力を
身につけている
正直 退屈を潰す時間に
飽き始めた隆行は
くだらない日々に
刺激を求めていた
終業時間まで
腕時計の針を眺め
進みの遅い秒針に
項垂れる
開放間近に
配られたプリントは
塾講師の自己満足な異物
隆行は鞄に押し込み
足早に塾の階段を駆け下り
タクシー乗場へ向かった
駅ビルの歩道橋下に
昨夜の少女の後ろ姿を
反対車線から確認し
タクシー乗場を
素通りした隆行は
少女の居場所へと
足を向けた
俯きスマホを操作する少女
「幾ら?」
隆行が 声を掛けると
不機嫌な顔で
頭を上げた少女は
再度 スマホに目を戻し
「泊めてくれるならって
言ったでしょ?」
疑問形の返答をした
隆行は 肩に掛けた
鞄の紐を握り締め
口篭りながら
言葉を刻む
「家に…
来て…くれないか」
少女は 昨夜とは
別人に成り代わる
隆行の態度に
持っていたスマホを下ろし
「どうしたの?」
少女と目を合わせず
横を向く隆行の頬に
手を添えた少女は
「何か あった?」と
隆行の顔を覗き込む
隆行は少女の腕を掴み
震える指先で
か細い腕を軽く撫でた
「いいよ 行こう」
指を絡め握り
乗り込んたタクシーの中
理由のない涙を
片手で隠す隆行の頭を
少女は自分の肩に寄せた
嘘の様に
電飾が街を彩り
塾講師は
白いボートを
マジックの文字で
埋め尽くす
既に家庭教師から学んだ
解り切った方程式に
隆行は 欠伸を噛み殺した
定期的な全国模試を
優先的に受けられる塾
塾へ通う理由のひとつは
全国の成績順位を
父親に報告する為で
十六歳になった隆行は
東大入試の過去問題を
解けるだけの学力を
身につけている
正直 退屈を潰す時間に
飽き始めた隆行は
くだらない日々に
刺激を求めていた
終業時間まで
腕時計の針を眺め
進みの遅い秒針に
項垂れる
開放間近に
配られたプリントは
塾講師の自己満足な異物
隆行は鞄に押し込み
足早に塾の階段を駆け下り
タクシー乗場へ向かった
駅ビルの歩道橋下に
昨夜の少女の後ろ姿を
反対車線から確認し
タクシー乗場を
素通りした隆行は
少女の居場所へと
足を向けた
俯きスマホを操作する少女
「幾ら?」
隆行が 声を掛けると
不機嫌な顔で
頭を上げた少女は
再度 スマホに目を戻し
「泊めてくれるならって
言ったでしょ?」
疑問形の返答をした
隆行は 肩に掛けた
鞄の紐を握り締め
口篭りながら
言葉を刻む
「家に…
来て…くれないか」
少女は 昨夜とは
別人に成り代わる
隆行の態度に
持っていたスマホを下ろし
「どうしたの?」
少女と目を合わせず
横を向く隆行の頬に
手を添えた少女は
「何か あった?」と
隆行の顔を覗き込む
隆行は少女の腕を掴み
震える指先で
か細い腕を軽く撫でた
「いいよ 行こう」
指を絡め握り
乗り込んたタクシーの中
理由のない涙を
片手で隠す隆行の頭を
少女は自分の肩に寄せた
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