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最終章
諾否
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白い太陽の陽射し
乾燥する空気
肌を掠める風
今年最後の年末大売出しに
活気づく大通り沿いと違い
シャッターを閉める店舗が列なる
閑散とした商店街
アーケードの中を
低速で走る自転車と
すれ違う関は
錆びれた商店街を眺め
両腕を天井へ伸ばし
大欠伸をかいた
関係者出入口から
店舗倉庫へ向い
新年福袋用の景品を
ビニール袋に詰め込む
毎年恒例の行事だが
年末まで作業を遅らせる
手際の悪さに苦笑する関は
景品になる在庫処分品を握り
再度 大欠伸をかいていた
「店長」
不意に声を掛けられ
欠伸を噛み砕く関は
不細工顔のまま振り向き
バイトの女子学生が
笑いを堪える
「お客様が 店長に用事があると
両替所で お待ちです」
片手を上げ 了解を伝える関は
見当がつく来客者に
景品を詰める手を止める事はなく
袋の中へ押し込んでいた
店内に入り両替所を見渡すが
久我の姿は無く
トレンチコートを着た若者が
関に深々と頭を下げた
「嶽宮清人の兄です」
清人とは似ても似つかぬ
精悍な顔立ちの若者は
冷静かつ冷酷な眼差しで
関の顔を眺める
「御要件は?」
関の言葉に 一瞬 間を置き
胸元の財布から学生証を抜き
関へ差し出す
学生証と隆行の顔を確認する関は
学生証を隆行へ返し
関係者出入口の方へ
案内する合図を示した
関の後を追う隆行からは
全く覇気を感じず
冷静沈着な装いに
不気味さすら漂う
薄暗い店舗倉庫前で
事務所へ連絡を入れる関
「神城隆行が来ました」
名前を告げられ
一瞬 体を強ばらせる隆行が
喉元を微かに震わせ
唾液を飲み込む仕草を見せ
関は鉄仮面の下に隠す
隆行の内情を炙り出していた
鈍い動作で開くエレベーター扉
古呆けたゲーム喫茶の案内板
濁る暖色系の照明
軋みながら上昇する
異質なエレベーター内で
再度 生唾を飲み込む隆行の表情に
焦りの色が浮かび上がった
「神城
御託を並べず
真実を語れ」
隆行に背を向けたまま
蓮斜めに顔を傾ける関は
深く息を吐き出す
隆行を確認し
事務所前の通路へと
足を踏み出した
外された社名プレート
静まり返る通路に
鉄製ドアを叩く音が響く
開放されたドア越しに
曇らせた白い窓を背負う
篠崎の黒々とした姿影が
鎮座ましましていた
乾燥する空気
肌を掠める風
今年最後の年末大売出しに
活気づく大通り沿いと違い
シャッターを閉める店舗が列なる
閑散とした商店街
アーケードの中を
低速で走る自転車と
すれ違う関は
錆びれた商店街を眺め
両腕を天井へ伸ばし
大欠伸をかいた
関係者出入口から
店舗倉庫へ向い
新年福袋用の景品を
ビニール袋に詰め込む
毎年恒例の行事だが
年末まで作業を遅らせる
手際の悪さに苦笑する関は
景品になる在庫処分品を握り
再度 大欠伸をかいていた
「店長」
不意に声を掛けられ
欠伸を噛み砕く関は
不細工顔のまま振り向き
バイトの女子学生が
笑いを堪える
「お客様が 店長に用事があると
両替所で お待ちです」
片手を上げ 了解を伝える関は
見当がつく来客者に
景品を詰める手を止める事はなく
袋の中へ押し込んでいた
店内に入り両替所を見渡すが
久我の姿は無く
トレンチコートを着た若者が
関に深々と頭を下げた
「嶽宮清人の兄です」
清人とは似ても似つかぬ
精悍な顔立ちの若者は
冷静かつ冷酷な眼差しで
関の顔を眺める
「御要件は?」
関の言葉に 一瞬 間を置き
胸元の財布から学生証を抜き
関へ差し出す
学生証と隆行の顔を確認する関は
学生証を隆行へ返し
関係者出入口の方へ
案内する合図を示した
関の後を追う隆行からは
全く覇気を感じず
冷静沈着な装いに
不気味さすら漂う
薄暗い店舗倉庫前で
事務所へ連絡を入れる関
「神城隆行が来ました」
名前を告げられ
一瞬 体を強ばらせる隆行が
喉元を微かに震わせ
唾液を飲み込む仕草を見せ
関は鉄仮面の下に隠す
隆行の内情を炙り出していた
鈍い動作で開くエレベーター扉
古呆けたゲーム喫茶の案内板
濁る暖色系の照明
軋みながら上昇する
異質なエレベーター内で
再度 生唾を飲み込む隆行の表情に
焦りの色が浮かび上がった
「神城
御託を並べず
真実を語れ」
隆行に背を向けたまま
蓮斜めに顔を傾ける関は
深く息を吐き出す
隆行を確認し
事務所前の通路へと
足を踏み出した
外された社名プレート
静まり返る通路に
鉄製ドアを叩く音が響く
開放されたドア越しに
曇らせた白い窓を背負う
篠崎の黒々とした姿影が
鎮座ましましていた
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