上 下
20 / 61
第1章 全ての始まりの記録

abyss:18 ティナ襲撃される①

しおりを挟む

ティナの弟【累と仲間たち】の登場により俺はティナとキスができずに終わった。
残念だ。

キスはできなかったがティナも受け入れていた。
ということはワンチャン邪魔がなければ出来たということだ!
よ、よし!気が早いが明日リベンジしよう!

累と仲間たちと出会ったので自己紹介しあった。
彼らをざっくり紹介しよう。

階堂累かいどうるい ティナの弟。高校二年生の16歳。
不自由ない家庭環境に刺激を求めすぎて荒れた中学生~高校生になる。
地元制覇というくだらない夢を掲げてチームを作ったがティナに更生させられた。
残ったチームメンバーで世直しボランティアチーム【エリュシオン】を結成。
(一応)リーダーにされている。
見た目は金髪で悪そうなナリをしているがチームメンバーみんな同じ進学校に通っている。少し口は悪いが正義感の強い真っ直ぐな性格だ。進学校なのに髪の毛の色や髪型、ピアス開け放題で派手なのは自由な校風だからだろうか。

村山くん
飄々とした話し方、ツイストパーマをあて額にバンダナを巻いている。細身に見えるけどダンスが得意そうな身軽さを持っている。

織田くん
金髪ロン毛を後ろで無造作に束ねてマルメガネのサングラスをかけた長身スリム。ダウナー系なゆっくりした話し方。仲間思いのマインド持ってそうな感じ。

日向くん
緩めのパーマを当てた優しそうな好青年。ちょっと目が据わっている草食系肉食男子。キレたら怖いタイプっぽい雰囲気。

志尊くん
スラリとした肉付きの体躯にギラギラした強そうな表情。彼もリーダーやっていそうなタイプ。ゲームキャラにいそうな髪型をしている。ヘアセットに5時間くらいかけてそう。

なんだかんだでイケメン揃い。絶対ファンクラブある。
弟たちともっと話したいが、彼ら高校生はもうすぐ出歩いちゃいけない時間になるのでティナと一緒に帰ってもらうことにした。
彼らと一緒なら安全だろう。
「また今度なー」と彼らに声を掛けると、
『お二人のキスの邪魔してさーせんしたー!』
と返された。思い出させるな、恥ずかしい!
顔がちょっと引きつる。

独りなって駅のホームを歩いていると母さんから着信がきた。
「ハルキー、もしもーし。いつもあなたを愛している母さんよー」
電話の時のこの言い回しはいつもの元気な母さんだ。
「母さん、何かあった?」
「ごめんね、いろんなことに巻き込んじゃって。父さんの手がかりがようやく掴めかけているの。だけど事情が複雑だし私もわからないことだらけでさ。あまり時間がないからどこから説明していいのか」
「父さんを見つけるためでしょ。事情は終わってからでいいよ。俺は母さんと父さんを会わせて、ちゃんと3人で暮らしたい。だから俺は巻き込まれる覚悟はできている」
「────ありがとう。 本当に───本当に、いい息子に育ってくれて母さん嬉しい」
「うん。何か起きたら俺で対処するから母さんは遠慮なく後悔がないようにやっちゃってよ」
「ハルキ………… あなたにこれまで教えてきたことがあなたを助けてくれる力にきっとなるわ。
向かってくる障害に全力で立ち向かいなさい。何があっても諦めないこと、最適解を導き出して行動すること、いいわね」
「──わかった。母さんこれだけは約束してほしい。絶対に生きて帰ってくること。いい?」
「ふふっ、息子に言われるとはね。約束するわ、母さんはちゃんと生きて帰ってくる
それと───五番目の部屋ルームファイブを開けていいから、そこにあるものは好きに使いなさい。それじゃ!」
母さんの電話が切れた。

ふぅーーーー。
五番目の部屋ルームファイブを開けていいんだ。
相当なミッションですな。
俺の緊張が一気に高まる。
五番目の部屋ルームファイブとは我が家にある母さんの許可なしでは開けられない開かずの部屋だ。鍵のある場所と解除キーの番号は教えてもらっている。一度こっそり開け他ことがあるが、母さんに通知がいく仕組みになっていてバレた。
その時は何も置いていなかった。俺が開けるか開けないか試された。
そんなの思春期真っただ中の高校生なら開けるに決まっているじゃん。
押すなよ! 押すなよ! って言われたら押すでしょ?!

初めて母さんの許可が出た。むしろ使と言っている。
使わないとやられるぞ。ということだ。
となれば一刻も早く家に帰って準備をしなくては。俺はホームから電車に乗り込み帰路についた。

◆◆◆◆

場所が変わってティナの自宅がある最寄駅。

ティナと弟たちは駅から帰り道にある住宅街を歩いていた。
前を村上と織田。真ん中にティナと累。後ろに日向と志尊。
5人はティナと歩く時は周りの鬱陶しいナンパやスカウトを警戒しているためいつもこのフォーメーションになる。
今回は累が隣にいるがメンバーはローテーションでティナの隣は入れ替わっている。
「ねーさん、ハルキさんってすごい人じゃん。こんなに早く会えるとは思っていなかったから嬉しいな!」
累はキラキラ目を輝かせて姉と話していた。
「でしょでしょー! ハルキの良さがどれだけかわかっただろう」
とティナも得意げな顔をしている。
「あの人やばいね。ケンカが強いとかそういうオーラじゃなかった。あの目の本気さはマジで勝てないって一瞬で悟ったよ。ナイフを素手で掴むんだから頭のネジ外れてても不思議じゃねーなって納得した」
と褒めているのかけなしているのかハルキを殺人鬼のような言い回しで表現していた。
「ハルキは一線を簡単に超えちゃいそうな怖いところあるけど、すごく優しいの裏返しだと思うの。彼が自分から敵意を向けることはないし最悪の状況を一瞬で考えちゃって最悪を避けようと全力を尽くす人なのよ。それに彼のお母様に今日会ったんだけどお母様もすごく優しくて強い意志を持っている人だったわ。ハルキに武術を教えたのはお母様なのよ」
「へぇ、ハルキさんより強いってこと?!」
「ハルキが言うには主婦の中では死戦を超えた場数が違いするぎるって言ってた」
「はははは、わけわかんねー何者だ!」
「貿易の仕事しているしか聞けなかったわ」

そこに他のメンバーも話に加わってきた。
「ねーさん、今日は機嫌いいっすね。ずっと笑顔じゃないっすか」
「そーそー、恋する乙女な顔してますよ~」
いつものティナなら彼らに対してゴミを見るような目を向けるところだが、頬に手を当てて顔を赤た。
「あちゃー、拍子抜けですなー。ゴミを見るような目がどこかにいってるっす!」
「ねーさん、可愛いんだから俺らにも笑顔を向けてほしいっす」
おちょくられたティナがいつも彼らに向けるゴミを見るような冷たい目つきに戻る。
「お前らの悪行がどれだけ私を怒らせたか忘れたのか」

唐突に先頭を歩いて笑っていた村山と織田がピタリと足を止め、手でティナと累の前を遮った。
道の真ん中にバーテンダーの格好をした長身の男が一人、不適な笑みを浮かべて立っていた。
村山が
「なぁーーーんか、変なやついるなぁー。おにーさん邪魔だからそこどいてくれる?」
織田も警戒しながら
「俺らあんたに用ないからさ、他当たってよぉ」
バーテンダーは不適な笑みを浮かべたまま口を開いた。
「おやおや、最近の高校生は目上に対する言葉遣いがなっていませんね~。私が用があるのはそちらのお嬢さんだけですのであなたたちは帰ってもらっていいですよ~」
累がティナを後ろに下がらせ日向と志尊が前に出てくる。
織田が指をボキボキ鳴らしながら
「あんた、俺らがエリュシオンだって知ってて喧嘩売ってきてるのわかってんの?」
「エリュシオン? はて、知りませんね。美味しいんですか?」
と小馬鹿にするバーテンダー。
「ちょっと、あなたたちだけで勝てるの?!」
とティナは心配する声をあげたが
「ねーさんは俺たちが守るからそこでスマホゲームでもしててくださいよ」
と頼もしい返事が返ってきたがティナは

「これは死亡フラグのセリフ…………」

とボソっとツッコミを入れていた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

王女、騎士と結婚させられイかされまくる

ぺこ
恋愛
髪の色と出自から差別されてきた騎士さまにベタ惚れされて愛されまくる王女のお話。 性描写激しめですが、甘々の溺愛です。 ※原文(♡乱舞淫語まみれバージョン)はpixivの方で見られます。

今日の授業は保健体育

にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり) 僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。 その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。 ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。

性転のへきれき

廣瀬純一
ファンタジー
高校生の男女の入れ替わり

保健室の秘密...

とんすけ
大衆娯楽
僕のクラスには、保健室に登校している「吉田さん」という女の子がいた。 吉田さんは目が大きくてとても可愛らしく、いつも艶々な髪をなびかせていた。 吉田さんはクラスにあまりなじめておらず、朝のHRが終わると帰りの時間まで保健室で過ごしていた。 僕は吉田さんと話したことはなかったけれど、大人っぽさと綺麗な容姿を持つ吉田さんに密かに惹かれていた。 そんな吉田さんには、ある噂があった。 「授業中に保健室に行けば、性処理をしてくれる子がいる」 それが吉田さんだと、男子の間で噂になっていた。

10のベッドシーン【R18】

日下奈緒
恋愛
男女の数だけベッドシーンがある。 この短編集は、ベッドシーンだけ切り取ったラブストーリーです。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

獣人の里の仕置き小屋

真木
恋愛
ある狼獣人の里には、仕置き小屋というところがある。 獣人は愛情深く、その執着ゆえに伴侶が逃げ出すとき、獣人の夫が伴侶に仕置きをするところだ。 今夜もまた一人、里から出ようとして仕置き小屋に連れられてきた少女がいた。 仕置き小屋にあるものを見て、彼女は……。

処理中です...