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第1章 全ての始まりの記録

abyss:06 これはデートだよね!?

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理事長と別れてそれぞれの授業に出る。

授業の後は二人で新世界都市をブラブラしようかってなった。
ティナと待ち合わせ場所で合流。
まだ俺たちの関係は友達だけど、二人で出かけるのだこれは百歩譲ってデートと言っていいだろう。

この都市の特徴は一から作り直しただけに車道だけでなく歩道も広く作られ事故が起こりにくくなっている。高層区、学園区、商業区にある電柱はほぼ全て地中に埋められており新世界都市外から来ると外国のように錯覚する。実際にここに立ってしまえば街を歩くだけで十分テンションが上がってしまう。遊びにくれば財布の紐が緩むし、ここの企業で働くとなればキャリア、セルフブランディングに繋がるからやる気とやり甲斐になる。

どこかで見た統計だとこの都市にある企業は定時通りに業務を終えているにも関わらず生産性が1.2~2倍ほど高いとか。海外企業が多く入っている部分もありトップや社員に優秀な人材がいる。日本企業の無駄な習慣や無駄な会議、非効率な飲み会、残業することが美学的な古典的な考え方を一切取り入れていないそうだ。
この都市が発展するにつれて古臭い風習の企業の大多数がスピード感についていけず撤退するか、企業内改革をして盛り返しかたの二極化していた。
この都市の経済発展について母さんがどの企業が良い、悪いを教えてくれる。この企業の株を買った、いま投資するならこの企業がいいぞ、ダメになった企業は何がダメだったのかを世間と世界情勢を交えながらレクチャーして情報として教えてくれる。
母さんは株やっているんだった。
なんでもできるなあの人は。

俺とティナのデートは街中のお店をのぞいたり服を見たり食べ歩きしたり、高層商業ビルの屋上展望台に登ったり都市部内を走っている地下鉄と地上バスを乗り継いだり行けるところ、行きたいところとアグレッシブに遊んだ。
夜まで遊んだら、さすがに疲れた。
お腹がすいたので美味しそうなお店があれば入ろうということでお店を品定めしながら歩いているとティナの弟の話題になる。
「でねでね、昨日殺されてたかもしれないことを弟に話したらさハルキに興味持っちゃって会いたがっているの。私の心配は?って聞いたら 
”ねーちゃん強いから死なないじゃん”
っていうのよ。ちょっとくらい姉の心配してくれたっていいのに可愛くないのよ!」
姉の一大事だったのに弟のそのスルースキルなに、怖い。もしかしてティナも俺と同じで毎回こんなトラブルに巻き込まれているの?
「パパはすごく心配していたんだけどツンデレだから顔に出さないの。心配しているの丸わかりなんだけどなー。
パパが助けてくれたお礼に今度一緒にご飯に行こうって言ってたから
”まだお父様に会わせる男性ではないので丁重にお断りします”
って断っておいたイェイ☆」
ティナのパパのご好意に対しての断り方、なんか寂しいなぐすん。

「弟が会いたい理由はお礼を言いたいよりハルキと一回手合わせしたいみたい。すごい興奮してたからあんたじゃ対峙した瞬間に負けるからやめとけって言ってあげた」
対峙しただけで相手が負けるを認めるは割と多い。
ティナは勘が鋭い、俺の実力はどこまで計られているんだろうか。
弟と仲良くしたいのに会ったら手合わせか喧嘩を売られそうだし会いたくないぞ。
「ハルキはお母さんに昨日の言ったの?」
「んー、言っていない。言うか悩んでたんだけど、ローグが母さんの友達だったからもうローグから連絡がいっているかもしれない」
「お母さんが心配するからちゃんとハルキの口から伝えた方がいいんじゃない?
言いたくないの?仲悪いの?あ、ごめん触れちゃいけないところ聞いちゃったかな?!」
その変な気の使い方はやめてくれ。

「言いたくないわけじゃなくて今回は一番心配かけるケースだから…………心配して俺の背後にいてもおかしくなかったりする」
ティナは眉をひそめて
「え、背後にいるの? 何それ、過保護すぎない? 怖っ! 私たちの大学の理事長と友達だったし本当になんの仕事してるの?あの大学、世界各国の協力で作られてるから実はかなりすごい権力持っているのよ」
うん、確かに。ローグも自分で謎の権力とか言ってたし、大学のデタラメな建造物とテクノロジーに驚くしかない。
ティナが言うように新世界都市といえば今世界中で注目されて大企業や外資系の化け物見たいな企業が集まっている。その中で建てられた大学で理事長をやっているローグ。ローグがどれだけのキャリアを持ってあの地位にいるのか想像できない。
「母さんの仕事は貿易関係らしい。家に長くいる時もあれば仕事に行ったら国内外で交渉しているとかで数日~数ヶ月帰ってこなかいことがある」
「ヘぇ~キャリアウーマンなんだ。付き合い長いなことをチラッと言っていたから顔が広いのかもね」

ティナは母のことをキャリアウーマンという一言で片付けた。俺は母の仕事について敢えて聞かないことにしている。これまでの俺に対するサバイバル技術から銃の扱い、経済学や雑学含めて教育してきた博識は大きな仕事をしていないと日常からは得られるものではない。
母は銃をブッ放す時の衝撃が快感でたまらないそうで、あくまで趣味でやっているだけと言っていた。
もし、本当にただの趣味で俺を育てただけなら半分サイコパス入っているだけだ。

「ハルキの素敵なお母様にいつか会ってみたいな~」とティナが俺の顔を覗き込んだ。ティナのお父様に会うのはNGだけど俺の母さんには会いたいのね、うんわかった。近々会わせるから待っててね。
「…………近いうちに会えると思うよ、多分ね」
じぃ~っと、キラキラした目を真っ直ぐ見つめて見たら恥ずかしくなってきた。
「なんで目をそらして言うのよ」

そんな二人のイチャコラした会話をニヤニヤ見ながら背後に付いている人物がいた。
フードで顔は隠れて見えないが口元がニヤリと笑い

「アオハルだねぇ」
とその人物は呟いた。
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