36 / 51
二章
2 ※
しおりを挟む
無防備なそれは、今やララの目の前でガチガチにそそり勃っていた。
「あー、その、挙兵はどのぐらいの規模を想定している?」
それをそっと掴んで指を這わせた。
「はっ、ごほんっごほん……」
白々しい咳払いがおかしい。
竿をつかんで亀の頭のような丸い先っぽにキスした。
「はぅっ」
それはびくりと震えてますます大きくなった。
唾をつけて指先でくるくると撫でる。男性も女性も、大きさや形が違うだけで基本構造は同じだ。ララも敏感な蕾をこんなふうにされると、たまらない快感がゾクゾクと腰を這いあがる。
「はっ……んん、なるほどなるほど……」
誰も何も言ってない。
ラウルの手が伸びてきて、先っぽを撫でていた右手の指先を掴まれてしまった。
仕方がないから、空いた方の左手で肉棒を掴んで唇をつけた。
ちゅっ
「うっ」
ラウルの腿が震えている。音を立てるのはまずいので、唇が離れないよう気を付けながらそこをねっとりと舐めた。ラウルの脚から力が抜けた。
ララの右手を掴んでいたラウルの手が、肩を強く抑えた。
「で、挙兵はやはり数で圧倒させるのが常識かと思いますが……」
誰かが物騒なことを言っている。
丸い先っぽと竿の部分を分けている溝を舌先でゆっくり確かめた。
「ああ、ダメだっ……ゲホゲホ、お、俺は挙兵には反対だと言ったろう!」
ラウルが大臣の意見に強く反対しているように聞こえなくもない。
ララは今や、ますます膨らんでつやつやと赤黒く光る丸い先っぽを、音を立てないよう唇でいたずらに浅くくちゅくちゅと咥え、舌で執拗に嬲っている。
「はぁ、ん、こ、この問題は……あっく……」
大臣たちが固唾を飲んで王の言葉の続きを待っている。
「──…ふ、大問題である」
言葉に中身がなかった。
ラウルの手がララの口を強引に遮り、己の手で肉棒を隠してしまった。
仕方がないので、ララはラウルの腿に舌を這わせた。そして、ララにしたように強く吸ってキスの跡をつける。
なかなかうまくつかない。ああ、唇をぴったりつけて小さく吸うのか。……うん、うまくいった。
「……っ」
そして、ラウルの指の隙間に舌を差し込み、チロチロと指と竿を舐め、手の向こう側にある柔らかい皮の袋に手を伸ばした。柔らかくそっと揉みながら、舌を押し付けた。
「……んっ」
ラウルの足が震えている。
ララはそれが楽しくて仕方ない。
自分を掴んだ手をうっかり外してしまったラウルは、ララに素早く肉棒を奪い返され、次の瞬間、奥深くまでぐぽっと咥えられてしまった。
「ひゅっ………」
ラウルが喘ぎというより、思わず息を飲んで固まった。
「?? どうされました、陛下?」
「うううぅっ、ぶ、ぶ、舞踏会だ!」
「は?」
閣僚たちが思わずラウルの顔を見た。
「挙兵するより、もみ合っている互いの領主を城に招いて、舞踏会をすることとする!」
「そ、それは……」
「いや、でも案外……」
「でもそれだと……」
閣僚たちが、舞踏会を開催すると言ったきり、目をぎゅっとつむって何かに耐えているラウルを置き去りに、喧々諤々の議論となった。
その騒ぎのテーブルの下では、ララがぐぽぐぽっと遠慮なく淫らな音をさせる。
「う、お、俺が決めたのだ! 以上、会議は終わりだ! みんな舞踏会の準備を直ちに始めろ、解散!」
ラウルの強引な閣議の締めに、大臣たちは呆気にとられたが、王がいうなら仕方がないとばかりに、ぞろぞろと執務室を出て行った。
ラウルはなんとか平静を装って、さっさと出て行けと手を振りながら、椅子に座ったまま大臣を見送った。
全員が出て行ったのを確認すると、ラウルは自分の座っていた椅子を思い切り後ろに引いた。
それにつられて出て来たのは、ラウルを深く咥え、銀色の髪を揺らせているララである。
ラウルはたまらず、ララの腕を掴んで乱暴に立たせた。
「ん、もう少し……」
口元を指先で拭いながら何か言おうとしたララを、くるりと机にうつ伏せに押し倒し、スカートを捲り上げた。
「わ、ラウル、ダメ、フォレスにすぐ帰ると約束したんだ」
ラウルの手が性急にララの下着の紐を解く。
「我慢できるわけないだろ……」
ラウルが指先でララの尻の割れ目をなぞると、そこはすでにトロリと愛液を滲ませていた。指でそこを開き、散々ララに弄られて限界だとわめく肉棒を掴んでララの愛液を存分に絡め、「あん」という可愛い喘ぎを聞きながら一気に奥まで挿し込んだ。
「「ああ……っ」」
二人の喘ぎが重なった。
ラウルの激しい抽挿に、ぐっちゃぐっちゃと淫らな水音が混じる。
「あん、あ、あ、ああん……」
「ララ、俺を舐めながら感じてた? おまえ、すごく濡れてる」
「ちが、う、そういうんじゃ……あぁん―――」
肌と肌が打ち合うパンパンという音がする。
「ああぁ、ララ、イク……」
一層激しく腰を打ち付けながら、ラウルがララに覆いかぶさった。
「あ、あ、あ、ああ……」
ラウルの腰が最後の痙攣をしながら動きを止めた。
「はぁはぁ……」
「はぁ―――…っ」
ラウルが大きく息を吐いたと思ったら、動きを止めたままなかなか離れてくれない。
「……ラウル?」
ララが背中までまくられたスカートの裾をなんとか降ろそうとしながら、背中のラウルの様子をうかがう。
「おまえというやつは………」
ラウルがようやく身を起こし、ズボンを引き上げながら言った。
「俺はな、本来こういう性急で激しいことをするタイプじゃ──…」
「怒っているのか? ではもう二度としない……」
「そっ……」
ララが反省したようにしゅんとしたので、ラウルはなんとも言えない顔でモゴモゴと口の中で言葉を濁した。
「いやその、時と場所を選んでくれたら……」
「すまない。深刻な会議だったものな……」
「い、いや、その、だから逆に興奮したというか……」
ラウルがぶつぶつ言っている間に服装を整えたララが言った。
「ラウル、早く泉の家に行こう」
「……そうだな」
ラウルが短くキスした。
泉の家でまずは二人で最新式の風呂に入った。
泉から水を引き、ゴダールで作られた新型ボイラーで沸かされた湯は、パイプに繋がったバルブを回せば、ふんだんに熱い湯が出てくるようになっていた。
湯桶でラウルの背中に湯をかけながらララが目を見張った。
「わ、すごい、なんだこれ?」
「すごかろ? 湯沸かし器だ」
「へえ、さすが工業国だ……」
「でもおまえの所には、この素晴らしい香りの石鹸がある」
「ふふ、いい匂いだろう。うちの薬剤部のしご…と…」
背中を流していたララの手がふと止まった。
「……ラウル?」
「ん?」
「この傷はどうした?」
もともと傷痕の多い身体だが、右の脇腹をかすめるように、浅いが新しいナイフ傷のようなものがついていた。傷は塞がっているが、赤く盛り上がった傷跡がまだ生々しい。
「ああ、もう治りかけているだろ? 大丈夫だ」
「そんなことを聞いてるんじゃない」
「ララ、今そんな無粋な話はしたくない。ややこしい閣僚会議が終わったところだ……」
「……」
言いながらラウルが、手の中でたっぷりと泡立てた石鹸をララの身体に塗り付けた。
そんな風に言われてしまうと何も言えない。自分といるときは王であることを忘れてほしい。ララがそうであるように。
ぬるぬると敏感なところを滑るラウルの指に負けじと、ララも手の中にある泡をラウルの胸に塗り付けながら足の間の肉茎に塗り付けた。その手でしごくと、そこはたちまち硬く大きくなる。
「はあ……」
「気持ちいい?」
「ああ」
キスしながらラウルの膝の上に乗る。
舌を絡めながら、ラウルが泡のついた肉茎でララの割れ目を執拗に擦った。
「ふ、ぅ……」
ラウルの手がララの乳房の先にある蕾をくりくりと摘まんだ。
「ララ……」
「ん?」
「おまえのせいでせっかくの泡が流れてしまった」
ララの割れ目の間でぬるぬると蠢いていたラウルの大きな肉茎から泡が流れ、粘り気のある液体で濡れている。
「私じゃない。ラウルのせいだ……」
「ふふ、ちゃんと洗ってくれ」
欲情の灯った目つきでそういうラウルのそこに、ゆっくりと湯をかけてぬめりを流した。
「ララ」
「ん?」
「そうじゃない」
言ってラウルは、ララの腰を抱き上げて下から突き上げた。
「ああっ……」
激しい快楽に溺れながら、いつまでこの幸せが続くだろうと思った。
聖王は普通の王より長命だ。
それは、背中に背負う重責がそうさせているからかもしれない。
「あー、その、挙兵はどのぐらいの規模を想定している?」
それをそっと掴んで指を這わせた。
「はっ、ごほんっごほん……」
白々しい咳払いがおかしい。
竿をつかんで亀の頭のような丸い先っぽにキスした。
「はぅっ」
それはびくりと震えてますます大きくなった。
唾をつけて指先でくるくると撫でる。男性も女性も、大きさや形が違うだけで基本構造は同じだ。ララも敏感な蕾をこんなふうにされると、たまらない快感がゾクゾクと腰を這いあがる。
「はっ……んん、なるほどなるほど……」
誰も何も言ってない。
ラウルの手が伸びてきて、先っぽを撫でていた右手の指先を掴まれてしまった。
仕方がないから、空いた方の左手で肉棒を掴んで唇をつけた。
ちゅっ
「うっ」
ラウルの腿が震えている。音を立てるのはまずいので、唇が離れないよう気を付けながらそこをねっとりと舐めた。ラウルの脚から力が抜けた。
ララの右手を掴んでいたラウルの手が、肩を強く抑えた。
「で、挙兵はやはり数で圧倒させるのが常識かと思いますが……」
誰かが物騒なことを言っている。
丸い先っぽと竿の部分を分けている溝を舌先でゆっくり確かめた。
「ああ、ダメだっ……ゲホゲホ、お、俺は挙兵には反対だと言ったろう!」
ラウルが大臣の意見に強く反対しているように聞こえなくもない。
ララは今や、ますます膨らんでつやつやと赤黒く光る丸い先っぽを、音を立てないよう唇でいたずらに浅くくちゅくちゅと咥え、舌で執拗に嬲っている。
「はぁ、ん、こ、この問題は……あっく……」
大臣たちが固唾を飲んで王の言葉の続きを待っている。
「──…ふ、大問題である」
言葉に中身がなかった。
ラウルの手がララの口を強引に遮り、己の手で肉棒を隠してしまった。
仕方がないので、ララはラウルの腿に舌を這わせた。そして、ララにしたように強く吸ってキスの跡をつける。
なかなかうまくつかない。ああ、唇をぴったりつけて小さく吸うのか。……うん、うまくいった。
「……っ」
そして、ラウルの指の隙間に舌を差し込み、チロチロと指と竿を舐め、手の向こう側にある柔らかい皮の袋に手を伸ばした。柔らかくそっと揉みながら、舌を押し付けた。
「……んっ」
ラウルの足が震えている。
ララはそれが楽しくて仕方ない。
自分を掴んだ手をうっかり外してしまったラウルは、ララに素早く肉棒を奪い返され、次の瞬間、奥深くまでぐぽっと咥えられてしまった。
「ひゅっ………」
ラウルが喘ぎというより、思わず息を飲んで固まった。
「?? どうされました、陛下?」
「うううぅっ、ぶ、ぶ、舞踏会だ!」
「は?」
閣僚たちが思わずラウルの顔を見た。
「挙兵するより、もみ合っている互いの領主を城に招いて、舞踏会をすることとする!」
「そ、それは……」
「いや、でも案外……」
「でもそれだと……」
閣僚たちが、舞踏会を開催すると言ったきり、目をぎゅっとつむって何かに耐えているラウルを置き去りに、喧々諤々の議論となった。
その騒ぎのテーブルの下では、ララがぐぽぐぽっと遠慮なく淫らな音をさせる。
「う、お、俺が決めたのだ! 以上、会議は終わりだ! みんな舞踏会の準備を直ちに始めろ、解散!」
ラウルの強引な閣議の締めに、大臣たちは呆気にとられたが、王がいうなら仕方がないとばかりに、ぞろぞろと執務室を出て行った。
ラウルはなんとか平静を装って、さっさと出て行けと手を振りながら、椅子に座ったまま大臣を見送った。
全員が出て行ったのを確認すると、ラウルは自分の座っていた椅子を思い切り後ろに引いた。
それにつられて出て来たのは、ラウルを深く咥え、銀色の髪を揺らせているララである。
ラウルはたまらず、ララの腕を掴んで乱暴に立たせた。
「ん、もう少し……」
口元を指先で拭いながら何か言おうとしたララを、くるりと机にうつ伏せに押し倒し、スカートを捲り上げた。
「わ、ラウル、ダメ、フォレスにすぐ帰ると約束したんだ」
ラウルの手が性急にララの下着の紐を解く。
「我慢できるわけないだろ……」
ラウルが指先でララの尻の割れ目をなぞると、そこはすでにトロリと愛液を滲ませていた。指でそこを開き、散々ララに弄られて限界だとわめく肉棒を掴んでララの愛液を存分に絡め、「あん」という可愛い喘ぎを聞きながら一気に奥まで挿し込んだ。
「「ああ……っ」」
二人の喘ぎが重なった。
ラウルの激しい抽挿に、ぐっちゃぐっちゃと淫らな水音が混じる。
「あん、あ、あ、ああん……」
「ララ、俺を舐めながら感じてた? おまえ、すごく濡れてる」
「ちが、う、そういうんじゃ……あぁん―――」
肌と肌が打ち合うパンパンという音がする。
「ああぁ、ララ、イク……」
一層激しく腰を打ち付けながら、ラウルがララに覆いかぶさった。
「あ、あ、あ、ああ……」
ラウルの腰が最後の痙攣をしながら動きを止めた。
「はぁはぁ……」
「はぁ―――…っ」
ラウルが大きく息を吐いたと思ったら、動きを止めたままなかなか離れてくれない。
「……ラウル?」
ララが背中までまくられたスカートの裾をなんとか降ろそうとしながら、背中のラウルの様子をうかがう。
「おまえというやつは………」
ラウルがようやく身を起こし、ズボンを引き上げながら言った。
「俺はな、本来こういう性急で激しいことをするタイプじゃ──…」
「怒っているのか? ではもう二度としない……」
「そっ……」
ララが反省したようにしゅんとしたので、ラウルはなんとも言えない顔でモゴモゴと口の中で言葉を濁した。
「いやその、時と場所を選んでくれたら……」
「すまない。深刻な会議だったものな……」
「い、いや、その、だから逆に興奮したというか……」
ラウルがぶつぶつ言っている間に服装を整えたララが言った。
「ラウル、早く泉の家に行こう」
「……そうだな」
ラウルが短くキスした。
泉の家でまずは二人で最新式の風呂に入った。
泉から水を引き、ゴダールで作られた新型ボイラーで沸かされた湯は、パイプに繋がったバルブを回せば、ふんだんに熱い湯が出てくるようになっていた。
湯桶でラウルの背中に湯をかけながらララが目を見張った。
「わ、すごい、なんだこれ?」
「すごかろ? 湯沸かし器だ」
「へえ、さすが工業国だ……」
「でもおまえの所には、この素晴らしい香りの石鹸がある」
「ふふ、いい匂いだろう。うちの薬剤部のしご…と…」
背中を流していたララの手がふと止まった。
「……ラウル?」
「ん?」
「この傷はどうした?」
もともと傷痕の多い身体だが、右の脇腹をかすめるように、浅いが新しいナイフ傷のようなものがついていた。傷は塞がっているが、赤く盛り上がった傷跡がまだ生々しい。
「ああ、もう治りかけているだろ? 大丈夫だ」
「そんなことを聞いてるんじゃない」
「ララ、今そんな無粋な話はしたくない。ややこしい閣僚会議が終わったところだ……」
「……」
言いながらラウルが、手の中でたっぷりと泡立てた石鹸をララの身体に塗り付けた。
そんな風に言われてしまうと何も言えない。自分といるときは王であることを忘れてほしい。ララがそうであるように。
ぬるぬると敏感なところを滑るラウルの指に負けじと、ララも手の中にある泡をラウルの胸に塗り付けながら足の間の肉茎に塗り付けた。その手でしごくと、そこはたちまち硬く大きくなる。
「はあ……」
「気持ちいい?」
「ああ」
キスしながらラウルの膝の上に乗る。
舌を絡めながら、ラウルが泡のついた肉茎でララの割れ目を執拗に擦った。
「ふ、ぅ……」
ラウルの手がララの乳房の先にある蕾をくりくりと摘まんだ。
「ララ……」
「ん?」
「おまえのせいでせっかくの泡が流れてしまった」
ララの割れ目の間でぬるぬると蠢いていたラウルの大きな肉茎から泡が流れ、粘り気のある液体で濡れている。
「私じゃない。ラウルのせいだ……」
「ふふ、ちゃんと洗ってくれ」
欲情の灯った目つきでそういうラウルのそこに、ゆっくりと湯をかけてぬめりを流した。
「ララ」
「ん?」
「そうじゃない」
言ってラウルは、ララの腰を抱き上げて下から突き上げた。
「ああっ……」
激しい快楽に溺れながら、いつまでこの幸せが続くだろうと思った。
聖王は普通の王より長命だ。
それは、背中に背負う重責がそうさせているからかもしれない。
0
お気に入りに追加
258
あなたにおすすめの小説
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
【完結】お飾りの妻からの挑戦状
おのまとぺ
恋愛
公爵家から王家へと嫁いできたデイジー・シャトワーズ。待ちに待った旦那様との顔合わせ、王太子セオドア・ハミルトンが放った言葉に立ち会った使用人たちの顔は強張った。
「君はお飾りの妻だ。装飾品として慎ましく生きろ」
しかし、当のデイジーは不躾な挨拶を笑顔で受け止める。二人のドタバタ生活は心配する周囲を巻き込んで、やがて誰も予想しなかった展開へ……
◇表紙はノーコピーライトガール様より拝借しています
◇全18話で完結予定

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
黒の神官と夜のお世話役
苺野 あん
恋愛
辺境の神殿で雑用係として慎ましく暮らしていたアンジェリアは、王都からやって来る上級神官の夜のお世話役に任命されてしまう。それも黒の神官という異名を持ち、様々な悪い噂に包まれた恐ろしい相手だ。ところが実際に現れたのは、アンジェリアの想像とは違っていて……。※完結しました

淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
隠され姫のキスは魔道士たちを惑わせる
じゅん
恋愛
イケメン魔導士たちに唇を狙われる――⁉
山岳地帯の集落でひっそりと暮らす、17歳の少女・アレクサンドラは、実はお姫さま。
ある日、魔法王国の魔道士がやってきて、アレクサンドラの体液には「魔道士の魔力を増幅させる力」があると告げる。
しかも、その力は、国のエネルギーの源である“マナの樹”も元気にするという。
魔道士たちに頼まれて、国を救うためにアレクサンドラは旅立つ。
その途中で“体液”を欲する魔導士たちに唇を狙われたり、恋をしたりと、ハラハラドキドキ。
アレクサンドラは恋を実らせて、国を救うことができるのか。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる