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二章
初恋 ※
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あのケダモノに襲われかけて、危ういところでラウルに助けてもらった。
ラウルは表情をなくし、青い顔色で震える指先でララの腫れ上がった頬をそっと撫でる。今にも泣き出さんばかりだ。ラウルはまるで、ララの代わりに傷ついてしまったみたいだ。あなたのお陰で私は大丈夫だと、どうすれば伝わるのだろう。
気づくと自分から彼に口づけをしていた。
傷だらけの逞しい裸を見て、このひとの傷を慰められるなら何でもささげようと思った。
それなのに、ラウルの愛撫に溺れてゆくのは自分だけなのだ。
「ラウル……」
欲望の熱にきらめくラウルの黒い瞳が、彼の落とす愛撫に悶えるララの表情を、余すことなく捕えようと見つめてくる。その視線が恥ずかしくて、両腕で自分の顔を隠すとその腕を外される。
「隠すな」
「で、でも、私、みっともない顔をして……」
「キレイだ。おまえは俺が知るどの女より一番きれいでかわいい……」
言いながら、ラウルがララの中を一杯にしている肉茎でかき回す。
淫らな湿った音が二人を繋いでいる場所から聞こえてくる。
「ああっ、あ、あん……」
「はぁはぁ、ケリーもっと乱れろ……」
ラウルの形のいい眉が苦しそうに歪む。
半ば意識が飛んだ頭で、ララはケリーとは誰のことだっけと思う。酸素を求めてはくはくと動く口は、ラウルの唇に塞がれる。
ラウルに注がれる唾液を飲み、舌を絡め混ざり合ってあふれる唾液が唇の端から零れる。
全身を撫でるラウルの大きな手が気持ちいい。
ララの身体はもっともっととラウルを求めている。
私はこんなに淫らな女だったのか―――。
「はぁはぁ、ああ……」
ラウルがララに深く挿入したまま身体を起こし、短い毛に埋もれたララのもっとも敏感な蕾を指でつまんで擦った。くねくねと転がしトンと小さく叩く。
そのたびに鋭い快感の電流がララの全身を駆け上がり、鼻先で弾ける。
「ああっ、ダメ、ラウルっ――」
「はう、締まる――…」
ラウルの動きがさらに激しさを増す。肌と肌が打ち合うパンパンという音がする。
自分で自分の身体がもうどうにもコントロールできない。意識を保っていられない。快感が弾ける真っ白な世界に飛んで行く。
ああ、息ができない、苦しい、怖い、気持ちいい、愛おしい―――
ラウル、私を離さないで―――
まるで修行僧のように何かに耐えているラウルの顔が、一瞬弾かれたように解放された悦びを浮かべた。
ララの中で何かがびくびくと震える。
「ああぁ、ケリー、おまえは俺のものだ―――…」
ララは声もなく、ラウルにただしがみつくだけだった。
激しい営みを終えると、草地のマントに二人で寝ころんで、夕暮れの空を見ながらラウルの凄惨な記憶の断片を聞いた。
ラウルの記憶を呼び起こしたのは一閃の稲妻だ。
トト……。
どういう経緯だったのか、ララと同じようにラウルを救ったのもまたカリアとシンだったのだ。
自分の胸の中で安らかに眠るラウルを抱きしめながらララはひとりごちた。
ラウルはトトだったのだ。晴れた空に瞬く稲妻はシンの合図だ。すぐそばまで来ている。
だが、その話を聞いてララもトトのことを思い出した。
ラウルの身体に刻まれた無数の古傷の中に、左の首根っこに残る見覚えのある薄い小さな傷が何よりの証明だ。
ふと、眠っていたと思ったラウルが、何を思ったかララの身を起こすと膝の上に乗せた。
「……ん?」
「春の柔らかい草地だとはいえ、マントだけでは背中が痛かろう?」
え……と思う間もなく、今度は下から突き上げられた。
「あう……」
身体の奥深くを貫く快感に思わずのけ反った。
その身体をラウルの腕が支える。
「ああっ」
ラウルがララの胸に顔を埋める。
「ラ、ウル、は、どこで…あう、こんなこと…覚えたのだ……?」
ラウルに下から激しく突き上げられながら、ララが途切れ途切れに言う。
「え……?」
ラウルが意表を突かれたように動きを止めてララを見つめた。
ララは快感に潤んだ目でラウルの目を覗き込みながら答えを待った。
「……ふ、そんなことを聞いてどうする?」
ラウルが短く苦笑する。
「私に経験があれば、もっとラウルを悦ばせられるのにと思った……」
ラウルの手が頬を包み、キスされた。
「ふふ、バカ、ケリー、おまえはこれから俺が仕込むんだ。その楽しみも全部俺だけのものだ……」
ララはキスを返しながら、でもそれはもう無理なんだ……という言葉を飲み込んだ。
そうする代わりに、ぎゅっと首にしがみついた。
「ああ……」
ラウルが喘ぎを漏らし、それは同時にララの唇からも漏れる。
どうやら、どうあがいても主導権が取れないようだ。
ラウルがまるでしがみつくようにララの背中を抱きしめ、掠れた喘ぎを漏らしながら身体の中の奥深くで再び震えるのを感じた。
この瞬間のラウルがたまらない。
ラウルの汗ばんだ顔がララの胸を押しつぶし、胸の間に熱い吐息が溢れる。
後々、ララはこの時のラウルの掠れた短い喘ぎを何度もふいに耳元で思い出しては、胸をぎゅっと甘く掴まれる痛みに震えた。
私はどうして、あんなにも大好きだったトトのことを忘れていたのだろう
今夜はまだ暖かい。
ラウルを起こさないよう、そっと起き上がって泉に足を入れた。
凍りつくような冷たい水で身体を洗う。
ララはシンの女王になるんだよ―――
幼い頃から周囲の大人たちにそう言い聞かされて育ってきた。
だから、そういうものだと思ってきたしそうするつもりでいた。
それに何より、王にしか作れない薬というのは、鱗や爪や唾液といった、シンの身体の一部を原料にしたものなのだ。
それが作れなければ、大勢の人が病で苦しむことになる。シンを失うわけにはいかない。
うちに帰ろう―――
でも、今度は絶対に忘れない。
月を見上げながら、ラウルとの別れを決意した。
あの壮絶な炎の中で身の危険を顧みず幼いララを救い、育て、愛し、慈しんでくれたそれが、おばあさまやみんなへの恩返しだとララは思っている。
このまま何も言わずに行こう───…。
岸辺の木に繋いである馬のところへ行き、着替えを持ってきてくれと書いたメモを轡に挟み、手綱を解いて首を撫でながら馬に話しかけた。
「いい子だから、タリサ村に戻って、ラウルといつも一緒にいるじいやをここへ案内してきておくれ」
ラウルの白い馬は、首を何度か振って小さくブルルと嘶くと、ゆっくりと街道の方へ向かって歩き始めた。
その後ろ姿を見送りながら、もう一度ララはラウルを見た。
ラウルの安らかな寝息が今は寂しい。
ケリーでいる時間はもう終わりだ。
森の奥で白い影が揺れている。迎えはそこでララを辛抱強く待っている。
早咲きのシロツメグサを見つけて花冠を作った。それをラウルの頭に乗せた。最後に四つ葉を髪に結んでキスした。
「さようなら、トト……」
幼い頃のあの王宮の庭では、ラウルもララも何者でもなくただの子供だった。たくさんの生き物や植物に囲まれ、泥にまみれて遊びまわり、お腹が空けば大人が出してくれたご飯を食べればよかった。
でも今の二人が背負うものは重く、養わなければならないものは多く、どれも大切なものばかりだ。
私たちは、なんて遠くまで来てしまったんだろう―――…。
背負い慣れた荷物を肩にかけると、その重みがずしっと身体にこたえた。
そこから一時間ほど歩いた待ち合わせ場所に行くと、シンがその真っ白な巨躯を深い緑の中でくねらせた。
ララのそばまでやって来て、いつものように鼻先を首の所に擦り付けると、ふんふんと鼻をひくつかせ黄金の目を細めた。
〈………トトがいたのか〉
頭の中でシンの声が響く。
なぜわかったのかとギョッとした。
幼い頃からシンの声は時々聞こえた。おばあさまはそんな経験は一度もないと言ったが、シンに言わせると、自分はみなに等しく話しかけていると言うから、聞こえる者と聞こえない者がいるらしい。
ここ最近、おばあさまの具合がいよいよ悪くなってさらにシンの声がよく聞こえるようになった。それが何を意味するかと考えただけで、憂鬱になる。
「覚えているのか?」
〈……昔、背中に乗せたことがある〉
ラウルが母親に殺されそうにあったあの日のことなのだろう。
ああ、そしてその帰りだ―――。
「王宮に帰ろう」
〈ああ……〉
「おばあさまの具合は?」
〈………〉
「なんでお前はいつも、大事なこととなると口をつぐむ」
少しイラっとしてつい声を荒げてしまった。
シンはまるで気にしない様子で静かに言った。
〈お前もわかっているだろう?〉
「…………」
今度はララが口をつぐんだ。
ラウルは表情をなくし、青い顔色で震える指先でララの腫れ上がった頬をそっと撫でる。今にも泣き出さんばかりだ。ラウルはまるで、ララの代わりに傷ついてしまったみたいだ。あなたのお陰で私は大丈夫だと、どうすれば伝わるのだろう。
気づくと自分から彼に口づけをしていた。
傷だらけの逞しい裸を見て、このひとの傷を慰められるなら何でもささげようと思った。
それなのに、ラウルの愛撫に溺れてゆくのは自分だけなのだ。
「ラウル……」
欲望の熱にきらめくラウルの黒い瞳が、彼の落とす愛撫に悶えるララの表情を、余すことなく捕えようと見つめてくる。その視線が恥ずかしくて、両腕で自分の顔を隠すとその腕を外される。
「隠すな」
「で、でも、私、みっともない顔をして……」
「キレイだ。おまえは俺が知るどの女より一番きれいでかわいい……」
言いながら、ラウルがララの中を一杯にしている肉茎でかき回す。
淫らな湿った音が二人を繋いでいる場所から聞こえてくる。
「ああっ、あ、あん……」
「はぁはぁ、ケリーもっと乱れろ……」
ラウルの形のいい眉が苦しそうに歪む。
半ば意識が飛んだ頭で、ララはケリーとは誰のことだっけと思う。酸素を求めてはくはくと動く口は、ラウルの唇に塞がれる。
ラウルに注がれる唾液を飲み、舌を絡め混ざり合ってあふれる唾液が唇の端から零れる。
全身を撫でるラウルの大きな手が気持ちいい。
ララの身体はもっともっととラウルを求めている。
私はこんなに淫らな女だったのか―――。
「はぁはぁ、ああ……」
ラウルがララに深く挿入したまま身体を起こし、短い毛に埋もれたララのもっとも敏感な蕾を指でつまんで擦った。くねくねと転がしトンと小さく叩く。
そのたびに鋭い快感の電流がララの全身を駆け上がり、鼻先で弾ける。
「ああっ、ダメ、ラウルっ――」
「はう、締まる――…」
ラウルの動きがさらに激しさを増す。肌と肌が打ち合うパンパンという音がする。
自分で自分の身体がもうどうにもコントロールできない。意識を保っていられない。快感が弾ける真っ白な世界に飛んで行く。
ああ、息ができない、苦しい、怖い、気持ちいい、愛おしい―――
ラウル、私を離さないで―――
まるで修行僧のように何かに耐えているラウルの顔が、一瞬弾かれたように解放された悦びを浮かべた。
ララの中で何かがびくびくと震える。
「ああぁ、ケリー、おまえは俺のものだ―――…」
ララは声もなく、ラウルにただしがみつくだけだった。
激しい営みを終えると、草地のマントに二人で寝ころんで、夕暮れの空を見ながらラウルの凄惨な記憶の断片を聞いた。
ラウルの記憶を呼び起こしたのは一閃の稲妻だ。
トト……。
どういう経緯だったのか、ララと同じようにラウルを救ったのもまたカリアとシンだったのだ。
自分の胸の中で安らかに眠るラウルを抱きしめながらララはひとりごちた。
ラウルはトトだったのだ。晴れた空に瞬く稲妻はシンの合図だ。すぐそばまで来ている。
だが、その話を聞いてララもトトのことを思い出した。
ラウルの身体に刻まれた無数の古傷の中に、左の首根っこに残る見覚えのある薄い小さな傷が何よりの証明だ。
ふと、眠っていたと思ったラウルが、何を思ったかララの身を起こすと膝の上に乗せた。
「……ん?」
「春の柔らかい草地だとはいえ、マントだけでは背中が痛かろう?」
え……と思う間もなく、今度は下から突き上げられた。
「あう……」
身体の奥深くを貫く快感に思わずのけ反った。
その身体をラウルの腕が支える。
「ああっ」
ラウルがララの胸に顔を埋める。
「ラ、ウル、は、どこで…あう、こんなこと…覚えたのだ……?」
ラウルに下から激しく突き上げられながら、ララが途切れ途切れに言う。
「え……?」
ラウルが意表を突かれたように動きを止めてララを見つめた。
ララは快感に潤んだ目でラウルの目を覗き込みながら答えを待った。
「……ふ、そんなことを聞いてどうする?」
ラウルが短く苦笑する。
「私に経験があれば、もっとラウルを悦ばせられるのにと思った……」
ラウルの手が頬を包み、キスされた。
「ふふ、バカ、ケリー、おまえはこれから俺が仕込むんだ。その楽しみも全部俺だけのものだ……」
ララはキスを返しながら、でもそれはもう無理なんだ……という言葉を飲み込んだ。
そうする代わりに、ぎゅっと首にしがみついた。
「ああ……」
ラウルが喘ぎを漏らし、それは同時にララの唇からも漏れる。
どうやら、どうあがいても主導権が取れないようだ。
ラウルがまるでしがみつくようにララの背中を抱きしめ、掠れた喘ぎを漏らしながら身体の中の奥深くで再び震えるのを感じた。
この瞬間のラウルがたまらない。
ラウルの汗ばんだ顔がララの胸を押しつぶし、胸の間に熱い吐息が溢れる。
後々、ララはこの時のラウルの掠れた短い喘ぎを何度もふいに耳元で思い出しては、胸をぎゅっと甘く掴まれる痛みに震えた。
私はどうして、あんなにも大好きだったトトのことを忘れていたのだろう
今夜はまだ暖かい。
ラウルを起こさないよう、そっと起き上がって泉に足を入れた。
凍りつくような冷たい水で身体を洗う。
ララはシンの女王になるんだよ―――
幼い頃から周囲の大人たちにそう言い聞かされて育ってきた。
だから、そういうものだと思ってきたしそうするつもりでいた。
それに何より、王にしか作れない薬というのは、鱗や爪や唾液といった、シンの身体の一部を原料にしたものなのだ。
それが作れなければ、大勢の人が病で苦しむことになる。シンを失うわけにはいかない。
うちに帰ろう―――
でも、今度は絶対に忘れない。
月を見上げながら、ラウルとの別れを決意した。
あの壮絶な炎の中で身の危険を顧みず幼いララを救い、育て、愛し、慈しんでくれたそれが、おばあさまやみんなへの恩返しだとララは思っている。
このまま何も言わずに行こう───…。
岸辺の木に繋いである馬のところへ行き、着替えを持ってきてくれと書いたメモを轡に挟み、手綱を解いて首を撫でながら馬に話しかけた。
「いい子だから、タリサ村に戻って、ラウルといつも一緒にいるじいやをここへ案内してきておくれ」
ラウルの白い馬は、首を何度か振って小さくブルルと嘶くと、ゆっくりと街道の方へ向かって歩き始めた。
その後ろ姿を見送りながら、もう一度ララはラウルを見た。
ラウルの安らかな寝息が今は寂しい。
ケリーでいる時間はもう終わりだ。
森の奥で白い影が揺れている。迎えはそこでララを辛抱強く待っている。
早咲きのシロツメグサを見つけて花冠を作った。それをラウルの頭に乗せた。最後に四つ葉を髪に結んでキスした。
「さようなら、トト……」
幼い頃のあの王宮の庭では、ラウルもララも何者でもなくただの子供だった。たくさんの生き物や植物に囲まれ、泥にまみれて遊びまわり、お腹が空けば大人が出してくれたご飯を食べればよかった。
でも今の二人が背負うものは重く、養わなければならないものは多く、どれも大切なものばかりだ。
私たちは、なんて遠くまで来てしまったんだろう―――…。
背負い慣れた荷物を肩にかけると、その重みがずしっと身体にこたえた。
そこから一時間ほど歩いた待ち合わせ場所に行くと、シンがその真っ白な巨躯を深い緑の中でくねらせた。
ララのそばまでやって来て、いつものように鼻先を首の所に擦り付けると、ふんふんと鼻をひくつかせ黄金の目を細めた。
〈………トトがいたのか〉
頭の中でシンの声が響く。
なぜわかったのかとギョッとした。
幼い頃からシンの声は時々聞こえた。おばあさまはそんな経験は一度もないと言ったが、シンに言わせると、自分はみなに等しく話しかけていると言うから、聞こえる者と聞こえない者がいるらしい。
ここ最近、おばあさまの具合がいよいよ悪くなってさらにシンの声がよく聞こえるようになった。それが何を意味するかと考えただけで、憂鬱になる。
「覚えているのか?」
〈……昔、背中に乗せたことがある〉
ラウルが母親に殺されそうにあったあの日のことなのだろう。
ああ、そしてその帰りだ―――。
「王宮に帰ろう」
〈ああ……〉
「おばあさまの具合は?」
〈………〉
「なんでお前はいつも、大事なこととなると口をつぐむ」
少しイラっとしてつい声を荒げてしまった。
シンはまるで気にしない様子で静かに言った。
〈お前もわかっているだろう?〉
「…………」
今度はララが口をつぐんだ。
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