辺境の賢者バルルーフ

sho

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【1章】

【第三話】賢者

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「着いたぞ。」
そこにはお世辞にも立派とは言えない、質素な小屋があった。
「先生、不思議な方が倒れていたので連れてきたぞ。」
すると中から、長身でほっそりとした男が出てきた。
質素な小屋に住んでいるにもかかわらず、以外にも男は身綺麗みぎれいだった。
男は老人に続いて小屋に入った私を見た。
「ああ、無事辿たどり着きましたか。」
男は私が来ることを知っているかのようだった。
「初めまして、私はバルルーフ。」
「は、初めまして。」
私はバルルーフと名乗る男から視線を外さずお辞儀をした。
警戒けいかいするなと言う方がおかしな状況だろうが、安心してくれカナタくん。」
「なぜ私の名を!?」
「キミを呼んだのは私だからな。」
驚いている私を見て、バルルーフは得意ドヤ顔で言った。
「なんだ先生、お知り合いでしたか。でしたらあとは任せましたよ。」
そう言って老人は畑仕事に戻っていった。
「さて、何から話そうか。」
「こちらとしても聞きたいことが山ほどあるけど整理がつかない。」
私は心に思うことをそのまま声にした。
「そうだろうな。まずここは天国でも地獄でも、キミの住む世界でもない。別次元の世界だ。」
「つまり異界?」
「まあ私からすれば、キミの住む世界が異界なんだがな。」
「それはそうだろうけど。」
「そして、私がキミを転位の魔法でこちらの世界に呼び出した。」
「なんで?もう元の世界には戻れないのか?」
私は矢継やつぎ早に質問をした。
「その質問は後にして、とりあえずこの世界について簡単に説明しよう。」
そう言ってバルルーフは私に、この世界の歴史や社会について丁寧に説明をしてくれた。
しかし初めて聞く言葉ばかりで単語だけが頭の中でぐるぐるとめぐり、ほとんど記憶にとどめられなかった。
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