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結局、ずぶ濡れのまま巡回するのは人の目を引くし体を冷やすという理由でアスラルが教官に連絡を入れて、近くの宿屋の風呂を借りることになった。

俺が、あのイガグリ坊主、次会ったらこてんぱんにしてやる…!なんて考えながらタオル一丁で風呂を上がると、無表情で怒った様子のアスラルが待ち構えていてしばらく説教を食らっていたのだが。


「……………」 
「あの~…アスラルさん…?」


宿の店主に適当に着れるものを用意して欲しいと言いつけて風呂に入ったはいいものの、俺は今宿屋のボロいベッドにタオル一丁でアスラルと並んで座っていた。
別に恥ずかしくないよ?だってアスラルとは寮で一緒だからまっぱでも恥ずかしくはない。
だけど俺は今、違う意味で居た堪れなさを感じていた。


「勤務中に気を抜くなと日頃から言ってるだろう」
「…ええ、そうですね」
「お前はよくぼーっとしている。あれが手榴弾だったらどうするんだ、あのまま食らって即死だぞ」
「うん、その通りです。ごめんなさい……」


アスラルから粛々とお説教をくらっている俺は、自分が怒られてることよりも遥かに気になる事由があって、視線を落ち着きなく彷徨わせていた。


「……おい、聞いてるのかシュリ」
「き、聞いてるよ!聞いてはいる、んですけど……あの、アスラル…?」
「なんだ」
「その、………すごーく言いづらいんですが、その、股間………」
「股間…?」
「なんでお前、………勃ってんの……?」


隣で座ってこちらを見ているアスラルの股間が、明らかにおかしい。
巡回服は意外とゆとりのある作りなので、本来股間の形など普通にしてればわからない。
それがどうだろう。
今、欲なんて食欲と睡眠欲くらいしかありません~、みたいな清廉潔白な顔をした同期の股間が服越しでもわかるくらいに盛り上がっている。

え?なぜ???
勃つ要因がどこにあったの?
俺が風呂から上がってきた時にはまだ勃ってなかったよな。
いつの間にかだった。
別に他人の股間をいちいちチェックするような癖はないんだけど、気にならずにはいられない存在感に嫌でも気づいてしまった。

もしかして風呂に入ってる間にエロ本でも見つけたんだろうかと部屋を見てみたけど当たり前のようにそんなものはどこにもない。ここは普通の宿屋であって、色々と致すための宿とは違う。

なら恋人のことでも想像してだんだろうかなんて考えてみたけど、それこそない。
アスラルには恋人を作るほどの器用さも時間もないのは俺が一番知っている。

え、じゃあなに?
疲れマラってやつ??
寮では自分で処理してるとこ一度も見たことがないし、もしかして溜まってるんじゃ…。

そんなことを考えながらアスラルの説教を真面目に聞けるはずもなく、とうとう耐えきれずに聞いてしまった。
アスラルは自分の股間を真顔で見つめた後、表情すら変えず再びこちらを見る。


黒い双眸が俺の体をしっかり上から下まで見てから、ようやくアスラルは口を開いた。


「これ、やっぱりおかしいのか」
「………はい?」
「…時々今みたいに膨らんだり朝起きたら白い液体が出てて、性器の中に膿が溜まってるんじゃないかと不安なんだ。
ただ、医者に見てもらうのも気が進まないからずっと放置していた」
「……へえ……そう……膿………」



しばらく沈黙が部屋に訪れて、ハッと我に帰る。




………いやいやいやいや!!!!
それ、ただの夢精っ!!!
膿ってなに??!

えっ??!!!?
英雄の息子が、夢精っ??!?!

んなバカな!!



「ち、ちなみに抜いたりは……」
「抜くってなんだ?」
「…………」
「シュリ?」


まじで?そんなことある?
アナタ今年で20歳デスヨネ???
抜いたことない???
………いや!いやいや!!
冗談にも程があるだろ!!!
ネタか?!笑った方がいいのか??!
アスラルお前いつの間にボケを学んでたんだ!!?


頭の中は大パニックだが、俺は目を見開いたままアスラルのことをガン見していた。
しばらくすると不安げに揺れ出した瞳に、ハッと意識が戻る。

嘘をついてる顔じゃない。
だけど嘘みたいな話すぎてどこから突っ込めばいいのかわからない。


俺は兄やら友達やらに面白おかしく自分の下の世話のやり方を教えられていつの間にか習得していたけど、でもアスラルにはこういう話をする兄弟も、友人もいなかったんだ。
そういうことも、あり……ありえる、のか…?



「…はは…そっか、いや、まあ、うん……!だ、大丈夫っ!それ病気じゃない!」
「ほんとか?わかるのか?」


不安そうに首を傾げたアスラルに、ぶんぶんと頭を振って肯定する。

おい!天下の英雄様の息子がこんなにぴゅあっぴゅあでどうすんだよ!
優秀な遺伝子残すためにも性教育くらいちゃんとやれよリーフェンシュタイン!!!


泣きたくなりながらアスラルの実家への悪態を垂れているとアスラルが身を乗り出して俺の顔を覗き込んできた。
何事かと固まっていたら、ベッドについていた左手を掬われて握り込まれる。
アスラルの顔面のキラキラしさに一瞬意識が飛びかけた。

顔面が強すぎる……。
なに、なんなんだよ……!


「……シュリ」
「な、なに?」


手を握る力が少しだけ増して、身構えた。


「これ、どうしたらいいか教えてもらえないか」



…………………はい?

信じられない言葉に耳を疑う。

どうしたらいいか教えろ……?


「そんなもん…擦って出せば終わるけど……」



「やり方がわからない」
  

………ああ~!もう!!
そんな不安そうな顔で見るなよ!!

俺より遥かに体格のいい美丈夫に不安げに見つめられて、恥ずかしさよりも哀れみが勝ってくる。 

こいつには俺しかいない。
このまま俺が放置したら、いつかアスラルの金玉が腐り落ちてしまうかもしれない。
そうなったらリーフェンシュタインの血筋が終わる……。

しばらく見つめられて、完全に哀れみが俺のなかで勝った瞬間、バッと立ち上がった。

ええいっ!この際アスラルにちゃんとした性についての知識も俺が教えてやれ!!だって、こいつには俺しかいないんだぞ!!!可哀想だろ!!!

タオル一丁の間抜けな姿で俺はどどんと胸を張った。


「……わかった!!!俺がやり方教えてる!!!」



この時の選択を俺は後になって死ぬほど後悔することになるのだが、その時の俺は安心したように和らいだアスラルの表情に意味のわからない誇らしさすら覚えていた。


俺のバカ!アホ!!考えなしっ!!!








狭い宿屋の一室で、部屋の真ん中に置かれたベッドの上に成人男性が二人。
一方はタオル一丁で、一方は性器を丸出しにしたイケメン………。


ベッドの端に座った状態で俺が身を捩ってアスラルのものを見ているという状況に妙に頭が冷静になっていく。


「………なあ、これだいぶ恥ずかしくないか?」
「別に、シュリに見られる分には俺は何も恥ずかしくはない」
「そうですか……」


目の前にそそり立つワイバーン並みの凶悪な性器を前に、俺は恥ずかしさどころか恐怖すら覚えていますが。

まあそうだよな。
アスラルくらい体格のいいやつなら、これくらい普通なのかもしれない。
うん。多分。

ただ、今この状況の何が面白いかって、こんな凶悪な大きさのものがひっついてる本体が純粋ホワイト仕立てだということだ。
面白すぎて涙が出てきそう。

俺、いまからこれ触るのかぁ……。


……覚悟を決めろよ俺、やるって言ったの自分だろ!
一擦りしてぴゅっと出させたら終わる!
大丈夫!!

そうやって自分を奮い立たせてようやく覚悟が決まったら、アスラルの方を見上げた。
いつも前だけをまっすぐに捉える精悍な瞳が今は少しだけ不安げだ。


「さ、触ってもいい?」
「ああ」


俺がもうすでに戦闘体制に入っているそれにそろそろと手を這わせると、アスラルの膝がピクリと跳ねた。
皮をかぶったまま少しだけ頭を出している先端から優しく撫で下ろしていくと、元々硬かった感触がよりはっきりとしたものになっていく。

先端から浮いた先走りを手にとって、皮をめくろうともう少し強めに握ると、頭上からアスラルの小さな呻き声が聞こえて慌てて手を離した。


「ごめん、痛かった?」
「…いや、痛くは、ない。…なんだか落ち着かなくて」


そりゃあ他人に性器握られてたら落ち着かないだろうな。
当たり前だ!


「普通は、こういうのは自分でやるから。恥ずかしいのは今日だけだからちょっと我慢して」
「……っ、恥ずかしくはない、」
「はいはいわかったわかった」


アスラルの言い分を適当に聞き流して止めていた手の動きを再開する。


「…こうやって擦ってたら硬くなってくるから。そしたら、香油とかこういうので手を湿らせて、」


ずりっ、と皮を引き下ろすと、一瞬だけアスラルの全貌が明らかになって喉が引き攣る。
とんでもないなこれ…。
アスラルとそういう流れになっちゃう女性が未来にいるとしたらきっと大変な思いをするんだろう。
今のうちから手を合わせとこうかな…。

心の中で未来のアスラルのお相手に合掌していると、手を止めた俺に焦れたのかアスラルが俺の頭に指を這わせて耳の辺りをすりすりと擦ってくる。


「ちょっ…それくすぐったい、やめて」


頭をガバッと起こして手から逃れようとしたら、目の前にあったアスラルの顔に心臓が止まりそうになった。


「シュリ…」


悩ましげな表情でこちらを見つめる友人に、再び静かに顔を俯かせる。

……え?!何今の?!!
なんかめっちゃエロい顔してたけど??!
同期のあんな顔見たくなかった!!!

頭をブルブル振って今見たことは忘れようとするけど、懲りずに後頭部に差し込まれた指にそれも邪魔される。

ああもう、やめろよ!俺まで変な気分になるだろ!


アスラルを睨んでやりたい気持ちをグッと堪えて目の前の剛直をイかせることだけに集中する。

段々と皮も捲れて、完全に亀頭が頭を出した頃には元々恐ろしげな見た目だった性器がより生々しくグロテスクな見た目にパワーアップしていた。


「これで、皮が捲れたら…、こうやって擦ったり、先の方ぐりぐりしたりして……ぅっ」


熱い指先が耳たぶを摩り、耳介に触れてくる。
一瞬爪を立てられて肩が鳴った。

気にしたら負けだと息を吐いて、さらに溢れてきた先走りを親指で先端に塗り広げていたら、次は頭にコツンと何かが当たる。

え?何?と呑気に構えていたら頭上から直接降ってきた「すんすん」という音に背筋が凍る。


嗅がれてる!頭!!!
や、やだあ!!それは流石にいや!!
風呂上がりとはいえ人に頭皮の匂い嗅がれるなんて嫌すぎる!!
いや、でも俺もタオル一丁で同期のチンコ扱いてるんだから同罪か?
でもこれ頼まれてやってるだけだから!!


首を竦めて一生懸命アスラルの鼻から逃れようとするが、どこまでも追い縋ってきてとうとう目前に血管の浮き上がった剛直が迫る。
前にも後にも引けなくて目を白黒させていると、さらに追い討ちをかけるように首筋に生暖かいものが這った。


「っ…ぅ、やめっ、それやめてアスラル…」
「はぁ、はーっ……はっ……」


れろっ……。

少し湿って暖かいそれが、舌だと気づいた時、思わずぎゅっと握り込んだアスラルのものから勢いよく白濁が飛び出して、咄嗟に指で押さえたもののぱたたっと数滴顔に掛かった。


「ぶぇっ!」


が、顔射………された……………!!


そして、手に受け止めきれたかった白濁がドロドロと服を汚しているのを見てさらに青ざめる。

溜めすぎだろこいつ!
どんだけ出すんだよ!

竿を伝っていく白濁を慌てて手で拭いあげるとアスラルの腰がぶるりと震えた。 
頭に回されていた手が離れ動きが自由になると、俺は手のひらを皿の形にして溜まったものをアスラルの目前にずいっと差し出した。


「この白いのな、お前が今出したの!別に膿みじゃないの!
これは精液っつってこれが子供つくるためのやつ。また勃ったら、お前のチンコを、その…あれだ、好き同士でするときに相手に入れて、………これ中に出すと、赤ちゃんができるわけ。いい?わかった?定期的に出さないと病気になるから次からは自分でやれよ!!もう俺の手は貸さないからな!!!!」


リーフェンシュタインの皆さん!俺に感謝しろよ!!優秀な遺伝子残す一助になったんだから!!

だけど、捲し立てるようにそう言った俺をふーふーと息をしながらぼーっと見つめるアスラルは全く俺が今説明しているものを見ようともしない。
ただ俺の顔を眺めてぼんやりと顔を赤らめている。

おい、俺今大事な話してるんだけど。


「ふっ、ふーっ…、ふーっ…………」
「……おい、話聞いてる?これ、お前の……うわっ!」


ぐいっと差し出した手を引かれ、バランスを崩した体はアスラルの懐へと入っていく、何が起こったのか理解しないうちに、顔を這った覚えのある感触にひぃっ、と声が漏れた。


舐め、舐めてる…!俺の顔舐められてる!!!
ってかアスラルさんなんか鼻息荒くないっ?!
ん?ちょっと待て。
今、俺の顔ってこいつので汚れてるんじゃ……!!?


ぴちゃぴちゃと音を立てながら顔中を舐めてくるアスラルの胸を慌ててぼかすか殴るがびくともしない。


「だ、だめだアスラル!それは舐めちゃだめ!!」


顔を反らせようと腕を突っ張ってみるも敵わない。
流石訓練で鍛えられているだけはある。
だけど、今はちょっと離れて欲しいかな!!

首だけ回して逃げようとしてもしつこくベロベロと舐められてようやく解放された時には顔中唾液でガビガビになっていた。


「人の話……聞けよぉ……」


暴れ疲れてアスラルの腕の中で半泣きになっていたら、全く悪びれた風もなくぼーっと真顔で見つめられてふつふつと怒りが湧いてくる。

性欲の処理の仕方まで教えて、
性知識も教えてやって、
それなのに俺の話全然聞かないし、
顔射するし、
舐めるし、舐めるし、舐めるし……!!


「………精液って、食べもんじゃないわけ。舐めるもんでもないの。あと人の顔に、かけたりとか、首とか顔舐めるのもだめっ。お前、嫌われるぞ」


息も絶え絶えにそう言ってやると、アスラルは表情のなかった顔を少しだけ崩し崩し、なんというか…捨てられそうな犬みたいな顔で「すまない…」なんてボソボソ言っていた。
そんな顔したって許さないからな。
ゆ、許さ、許さない…。
………うーん…。


「シュリ、すまない。お願いだ、嫌いにならないでくれ」
「………いや、まあ、今回はもういいけどさあ……」
「本当か?」
「まあ………うん……」


正直顔射されたり舐められたのはあんまり許したくはないけど、アスラルは性に関して初心者なのだ。
覚えたてのビギナー時代は誰だって暴走するもんだろう、多分…。
ビギナーにしては結構ハードなことやりやがったけど…。

そう自分の中で納得させてため息を吐き、汚れた手や顔を洗い流そうとベッドから立ちあがろうとしたら、再びぐいっと腕を引かれた。


「……っえ?」


ぼふん、とベッドに投げ出された自分の体に何かが覆い被さる。
しっかり押さえつけられた俺の背後で獣のように息を荒げているアスラルが俺の太もも辺りに何やらぐりぐりと熱くて太くて硬いものを押し付けてきた。

熱くて太くて硬い………。
…………ぅえっ?!



「また、勃った」


掠れた声が耳元で聞こえてさらに硬直する。


また、たった?


言葉の意味を逡巡していると、今の俺の一張羅であるタオルが着々とアスラルの腰にぐりぐりと押し上げられていっていた。
無防備に晒された尻肉に、明らかに他の皮膚とは違う感触のものが押し当てられて喉が引き攣る。
 

「さ、さっき出したじゃん…なんで…」
「…わからない。…また、出したい。シュリ、教えてくれ。これ、シュリの中に出すにはどうしたらいい?」
「中に出す?!!俺に??!!」


何言ってんのお前?!

アスラルのとんでも発言に目を向いて首だけでなんとか振り返ると、アスラルの目が据わっていた。

やばいやばいやばい!!
性欲を知ってしまった猛獣ビギナーが絶賛暴走中だ!


「俺、男!!お前も男!!!中出しだめ絶対!!!??」
「好きな、相手に入れるって言っただろう」
「………おい、まて、待て待て待て!!それちがう!かんちがい!好きの種類ちがうでしょ!お前が言ってんのはライク!俺が言ってんのはラブの方!!!!」


自分の命運がかかっているのだからおれだって必死だ。
訓練で鍛えられているのはアスラルだけではない!

そうやって精一杯の力を込めてアスラルの体の下から這い出そうともがくと、どんどんドツボに嵌っていく。

尻の肉に押し付けられていた先端がズリっとずれて割れ目にピッタリくっついてきた。
目の前の鉄砲に照準を合わせられたみたいな恐怖に震え上がる。


「ひぇぇっ……!」


情けない声を発しながらジタバタ暴れる俺に、アスラルは「俺のことが嫌いなのか……?」なんてしっかり押さえつけながら呟いていた。

好き嫌いの話じゃないから!!
入らないから!物理的に!
俺の尻には出口しかないの!入口はありません!!!
っていうかこいつどこに入れるかわかってんのか??!


「お前に嫌われたら…俺はもう…」
「あああああ~!!わかったわかった!!好き好きっ!!嫌いじゃないって!!だけど今はそう言う話じゃないだろ!」
「好き同士ならいいじゃないか。シュリが言ったことだろう。好き同士で入れて中に出したら子供ができるって」
「曲解…!」


まずいまずい。
なんだか流されている気がする。
のしかかってくる重さも増して身動き取れないし、さっきからネチョネチョしたものが俺の尻の穴付近を彷徨っている。

ここでアスラルを心の底から拒否れば俺の貞操は守られるけど、俺という唯一の友人を失ってしまったアスラルは完全ぼっちまっしぐらだぞ。
可哀想じゃないか。
今だって俺に嫌われたくないとかなんとか言って、………いや、待て、そうなると俺の尻が可哀想なことになるぞ!

断れ!穏便に!!できるだけ優しく!!!


「ア、アスラル…?あのな、友達同士で抜き合いっこぐらいなら可愛いもんだけど、こういうのってもう、セックスなわけ。俺に入れるってお前言ってるけど、俺には入れるとこなんてないの。ね……?わかる……??」
「…………でも、ここ、入りそうだ」


ぷちゅっ。


「ひっ…!?」


尻の間にある穴にぷちゅっと触れた硬い感触に背中が粟立つ。
ぐりぐりと縁を押し込まれて体におかしな感覚が走った。

これは、…本格的にやばい!!


「わ、わかった!!俺の中、出していいからっ!!でも、今すぐは無理だから!!ちゃんと調べてからやろうっ??!!!」


あほー!何言ってんの俺ーー!!!!

真っ白になった頭で捲し立てるようにそう言った俺に、アスラルはようやく体を離した。
自分の口から放たれた言葉に放心して固まっていると、アスラルに体を起こされてベッドの上で向き直される。
真剣な表情のアスラルも、目を点にして放心している俺もタオルがはだけて下半身は素っ裸である。
なんとも間抜けな光景のなかで、アスラルがこの状況に不釣り合いな凛とした声で話し始めた。


「本当だな?」
「……へ…」
「本当に調べたら中に出していいんだな?」
「……は、はぃぃ…」
「わかった。勉強する」



そんな真面目な顔で言われても………。


ここから俺の地獄の日々が始まった。




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