横暴な幼馴染から逃げようとしたら死にそうになるまで抱き潰された

戸沖たま

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一人が好きだ。
一人で暮らすのは、きっとすごく快適だろう。

誰にも邪魔されず、好きなことを好きなだけする。
誰の目にも晒されない場所で大きな犬とのんびり暮らせたら、きっと僕の人生はすごく幸せなものになるだろう。

ただ一人で、ゆったりと生きていたい。

きっと初めは単純に、一人が好きなだけだったとおもう。




あの街にいると、どこにいても人の目が気になった。
誰も彼もが僕を嘘つきだと決めつけて、ありもしないことまで噂されて。

愚図だ、ノロマだ、役立たず、嘘つき。

全部全部、言われる度に本当にそう思えてきてしまって、自分のことがどんどん嫌いになっていく。


数少ない仲の良かった友達も、厳しくても優しかった両親も、公正だった教師たちも、僕の話なんて誰一人聞いてくれない。
みんなみんな僕から離れて行った。

嘘つき、と何度言われても泣いたことはなかったけれど、信じてもらえないとわかる度に心はどんどん抉られていく。
こんな思いをするくらいなら、最初から人との関わりなんて欲しくなかったと心底思った。

抉れた心はどんどん生気を失って、いつも僕の目に映っている景色は灰色で。
好きだった花を見ても、面白いと気に入っていた冒険物語を読んでも、道端で奏でられる楽しげな音楽を聴いても、なんにも心には響かなくなって、気づかないうちに何かに興味を持つことも出来なくなっていた。




 
ガルと初めて会ったのは、父さんに連れられて領主様に挨拶をしに行っていた時だ。

もともと人見知りをする子供だった僕は自分から人に話しかけたことなんて数えるくらいしかなかったのに、領主様からは少し離れた屋敷の柱の向こうからこちらをジッと見つめていたあの赤色の瞳が、母さんが読んでくれた絵本に出てくる宝石みたいにキラキラしていたから、もっと近寄って見たくなって駆け寄った。


近所の子が、「領主様の息子の目は魔女の目。見てしまったら心を覗かれてしまうらしい」と実しやかに噂していたのを聞いたことはあったけど、ガルの瞳を見た瞬間、そんな話は頭から綺麗さっぱり消え去った。
それくらいガルの瞳を美しいと思った。


憎まれ口を叩きながらも僕が瞳を見つめて笑いかける度に硬かったガルの顔が少しだけ解れる瞬間が僕は好きだった。 
運動も勉強もなんだって一人で上手にできて、魔法なんていう特別な力も持っているのに「ユパは鈍臭くてしょうがないから」なんて不器用なことを言いながら転ばないように僕の手を引いて前を歩くガルが僕の憧れだった。   
ガルみたいに一人でも強く生きていける人間になりたかった。



僕が周りから嘘つきだと呼ばれ出したのは、街の学校に入学してからしばらく経った頃だ。

その頃は、いつも以上に当たりが強いガルにいつもいつも愚図だノロマだと詰られて、その声には以前のような優しさなんてなく、僕は耐えられなくなって父さんと母さんにそのことを言った。
ガルくんがそんなこと言うはずない。お前の聞き間違いだ。嘘をつくなんて信じられない。
僕は嘘なんてついてないのに口を挟む隙も与えられず、何を言おうとしても両親は全く聞く耳を持ってくれなかった。

折檻のために殴られ蹴られ、そのまま家の外に放り出されて、近所にはすぐに噂は広まった。

ガルのせいで、次々と僕の居場所がなくなっていく。



もうあの宝石のような瞳を見ても、あの頃のように心から美しいとは思えなくなっていた。











ふわふわする。

頭のなかのピースが無理矢理めちゃくちゃに掻き回されたみたいに、考えたいことが考えられない。



ーーーっ…あ、ぅ、がる、きもちい…、すきっ好き、ぃっ…。



誰の声だろう。
鼻にかかった甘えるような声色に嫌悪感がする。
気持ち悪い。

肌を湿らせるくらい周囲に満ちた熱気とはっはっと興奮した獣のような息遣い。
全部自分が感じている感覚のはずなのに、頭と体が別々に分かれてしまったみたいにどこか他人事のように思えた。

肌と肌が合わさるような音に一体なんの音なんだろうかとぼんやり考えていると、なにかに口を塞がれた。



ーーーっふ、ぅ…んんっ…。



柔らかくて温かい感触がぬるぬると僕の唇を撫で、しばらくして割り開くように進んできたそれに僕はあっけなく咥内を明け渡してしまう。
侵入してきた熱塊は上顎の歯列の内側をザリザリとなぞると何かを探るように動き回り、奥へ引っ込んでいた僕の舌先にツンと当たった瞬間それを絡めとるような動きに変わった。   

くちゅくちゅと音を立てながら追いかけてくる動きは執拗で、息苦しさとその背後にある気持ちよさから逃げるように顔を背けようとしたけれど、がっちり何かに固定されているせいでそれも叶わない。


ーーーっはぁ、…ユパ…。


誰かが僕を呼んでいる。

おかしいな、僕、一人で小屋にいたはずなのに。

……そっか、そうだ、僕、街から出て行こうとしてたんだ。


ーーー………ははっ、今日ほど自分の力に感謝したことなんかない。やっと、やっと俺のものになったっ……。なあ、お前も、嬉しいだろ?


ぐちゃぐちゃだった頭が徐々にピースを揃え始めて、体と頭が一直線上に並んでいく。
そうすると、どこか遠くに感じていた感覚が段々はっきりしてきて違和感が大きく膨れ上がってーーーー…



「ーーーーーー…ッ…んんっ、は、ぁ…っん………っふ…?ぁ、え゙
っ………???」


ぶちゅっ、ぐちゃっ、ずちゅっ、ずちゅうぅっ。


「…い、ぁ゙っ………あ……っ?」


信じられない光景に、瞳が大きく見開かれる。

恥ずかしげもなく晒されたどろどろの性器。
それはぷるぷると嬉しそうに揺れながら汚い白濁を撒き散らして、自分の体を汚していた。
腹の上には何回吐き出したのか、乳白色の模様がまだらに散って、ところどころに赤い鬱血が薄く生っ白い腹を彩るように浮かんでいる。


ぴゅっ。ぴゅっ。


「はぁっ、ハッ、ハッ、あ゙っ…?はあ、……っ!」



なんだこれっ、なんだこれ、なんだこれ…!?

全身がぶるぶる震えて、小屋の窓から入って来た薄暗い月光がぼんやりと照らし出すものだけでも僕の頭はあっという間にいっぱいいっぱいになった。

自分に覆い被さる影が動く度に体の奥から迫り上がってくる熱に、ぐるぐると目がまわる。


ーーとちゅっ!
パンパンパンパンっ。


「やっ、ッ~~~~??!?あぁ、ッアあ゙ぁっ、な、っや゙め、こ、れ゙っ!!なんで、ぇっ…??!」 
「…っあ゙ぁ?いまさら何言ってんだっ」
「はぁ…はあっ、は、はっ……な、…なん、な…っで、声っ、ああ、ぁっ?えっ??」


聞き覚えのある高圧的な低音。
小さな頃から、この声で怒鳴られてしまえばすぐに体がすくんで動けなくなる。

いつも僕のことを、愚図だ、ノロマだって罵って、嘲るように見下ろして、命令されるのが大っ嫌いな、僕の、横暴な幼馴染の声に似ていた。


早まる心音に脳みそまでがぐわんぐわんと揺れだして、なにか嫌な予感に顔を強張らせて重たい頭をなんとか持ち上げる。

均整のとれたしなやかな体躯、僕の腰に伸びる筋張った腕と大きな手、そして、あの…ーーーー宝石みたいな真っ赤な瞳。


「……………っ、ガル………?」


端正な顔に玉のような汗を浮かべ、額に張り付いた金髪を邪魔そうに片手で掻き上げながらこちらを見下ろす赤い瞳が、一瞬小さく見開かれた。

その様子から目が離せなくて、口からはぱくぱくと意味もなく空気が抜けていく。

間違いなくガルだった。
あんなに美しい色をした瞳を、僕はガル以外に知らない。


じゃあ、なんでガルが?


僕は逃げようとして、
小屋で眠りそうになって、
それで、
誰かが扉を開けて、


…開けて?


「………ーーーーー、あ、………っあああ…!!!」


全てを思い出した瞬間、ブワッと全身の毛が逆立った。


「ひっ、……な、な゙んでっ!!?なんで、ガルがっ…や、っやだ、やだやだやだぁっ、離せ!!離せよっ!!!」


振り回した腕やら脚が周りに置いてあったものにぶつかってガタガタと倒れていくのも気にせず、とにかく暴れまくってガルの手から逃れようともがく。


「ふっ、ふぅっ…ぐ、…っなし、はなして…ッ!ガっ…ル……、……………っあ゙、~~~~ッ??!」


起きあがろうと急いで横向きに身を捩った瞬間、全身に駆け回った見知らぬ感覚に目を見開く。

一拍置いて目に飛び込んできた光景に、血の気が引いて、喉がきゅうっと引き締まった。


太ももから尻にかけてが、何かに叩かれ続けたように薄桃色に腫れて酷く痛々しい。

そして、自分の体からちゅぽんと間抜けな音を立てて抜けていった猛り立つ他人の赤黒い性器。
それを追う様に後孔からとろりと溢れ出した生温い白濁が今まで自分とガルが一体どんな行為をしていたのかを克明に教えてくれた。


呼吸することも忘れて硬直していると、再びのしかかって来たガルにいとも呆気なく押し倒される。
頭上にある瞳が三日月型に細められていく様子が、やけにゆっくり見えた。


「おはようユパ。

お前、本当に俺のもんになっちゃったね」


心底嬉しそうに笑ったガルが死刑宣告するように放った言葉に、開いたままの口がわなわな震えた。
その言葉の意図するところはわからないのに、体が「真実だ」と訴えてくる。

硬く握りしめたまま放り出されていた左手を冷たいガルの指先が掬い上げ、僕の目の前まで持ってきて、そのまま王子様がお姫様にしてみせるようにキスをして見せた。
きっと女の子たちが見ていたなら黄色い悲鳴が上がっただろう。

だけど実際僕の口から出たのは絞り出すように酷く掠れた、弱々しい声だった。


「な、に、……っこれ…」


左手の薬指の根本、ガルがちゅっと口付けた部分の皮膚が、火傷したみたいに醜く爛れている。
よく見れば縄の模様のようにも見えるそれは、指を一周ぐるっと取り囲むように繋がって、まるで結婚指輪のようだった。

ガルの手から左手を引き抜き、何度も何度もひっくり返して、それが火傷なんかではなく、痣のようなものだったとわかっても、心を占める不安はどんどん大きくなっていく。


「それは、俺とお前、ずっと一緒にいられる二人だけの鎖だ。…綺麗だろ?」


見たことがないくらいうっとりとした表情で幸せそうにそこを見つめるガルの言葉に耳を疑った。


綺麗?
これが?
ミミズが這ったようなこの醜い痣が?
それに、鎖って、ずっと一緒って、なんだ。


目の前で笑うガルのことが恐ろしい。
あの赤く光る瞳も、本当に「魔女の目」なんじゃないかと疑うくらい怖かった。

ーー早く逃げなきゃ、ガルから逃げないと、僕はきっと一生逃れられなくなってしまう。


………キィィイィィン。


「……っ……!」


そう思った瞬間、激しい耳鳴りに襲われて、次の瞬間には薬指に激痛が走った。


「あ゙っ………!い゙ぃっ、痛っ…!!」


針金のような何かに指がちぎれてしまいそうなくらいギリギリと締め付けられている。

咄嗟に指を見てみると、あの痣のついた部分の肉がミチミチと食い込み指先が真っ赤になって震えていた。

その様子を見たガルは笑みを消して、恐ろしいほど表情を無くしていく。
耐え難いほどの痛みに苦しむ僕の頬を掴んだガルはそのまま無理矢理僕の顔を自分の方に引き寄せた。


「く、ぅっ…」
「お前、今何考えた」
「……な、にって」
「なに考えてた」
「なんで、そんなことっ…」
「いいから聞いてることに答えろ」


ひたすらに冷たい声はだんだんと強さを増して、見開かれた瞳が僕を突き刺す様に睨みつける。
痛みと恐怖に震える手で自分の顔を掴むガルの手を外そうと必死に抗った。


「やめて、はなしてよガルっ…!」
「…お前、『逃げよう』とか考えたんじゃねぇだろうな」
「っ…!」
「そうか、考えたんだな」


パッと顔から手が離れて、解放された。
今がチャンスだと、気持ちを奮い立たせて鈍く痛む重たい腰を上げた。

両手でガルをつき飛ばすと以外と軽く体が離れて行って、戸惑いながらも必死にガルの下から這い出て床に転がる。
べしゃりと顎から落ちて酷い痛みに涙が滲んだけれど、なりふり構わず扉まで走った。
指を締め付ける力はどんどん強まって、もう指先の感覚はほぼない。

そして、あと少しで取手に手が届くと思ったその時。

背後から頭を押されて、僕の体は扉にガタッと押さえ付けられた。


「ーーー…残念だったなユパ。もうお前、俺から逃げらんねぇよ」


耳元で囁かれた言葉を理解しないうちに、後孔にあてがわれたものに息が止まる。
逃げないと、なんとかしないと、そう思ったときにはもう何もかも手遅れだった。


熱く硬い剛直がミチミチと肉壁をかき分けて侵入してくる。
僕の体に途中まで入り込んだそれに、後は予告なく、一気に貫かれた。


「っ、ああ゙っ…!」


先程まで咥え込んでいたであろう場所は簡単に最後までガルのものを飲み込んでしまった。

っほんとに、入ってる…!

自分の知らぬ間に散々慣らされた孔は、意思とは関係なく待ち侘びていたかのようにきゅうきゅうと締め付けて精を強請っている。

扉についた両手を一つに纏めて背後からさらに縫い付けられて、自分の乳首と性器が壁と体に押しつぶされた。


「っはは、……逃げようとしてたのにチンコ入れられただけで大人しくなっちゃうダメダメな体で、お前一体どこに逃げるわけ?」
「ぅ、あ、っふ…ふぅ、~~~~っ、きもちっ、………あ゙っ、ちがう、っやだ……!」
「気持ちいって言う練習たくさんしたもんな。体はもうすっかり俺のチンコ気に入ってる」


どすっ、と下から突き上げられて足が浮く。
爪先立ちで壁にもたれかかると擦れた胸にじわりと快感が湧いた。


「な、っんで…、」


そんな場所で快感を拾うようになっている自分の体が信じられない。
先端は赤く膨れ上がり、触って欲しそうにぷっくりと腫れていた。

混乱で目を回すなかどすどすと打ち付けられる腰に、口から漏れる声がわかりやすく甘くなっていく。
その事実が受け入れられなくて首を左右に振っていると、背後から舌打ちが聞こえてきた。


「ひっ、ああ…っ!やあ゙っ…んんっ」
「逃げようと、すんなっ!」
「はっ、あ゙っ………!?」


ばちゅん!と勢いよく叩きつけられて視界がパチパチと弾け回る。
うしろから強く押しつぶされて、情けなく萎んだ中心に痛みが走った。


「っが、ガル…!や、やめっ…つぶれるっ…チンコ潰れちゃう、っ~~~~!」
「…っいいんじゃねぇの、別に。使う予定、ないだろっ」
「あ゙うっ…!」


酷すぎる。

それでもガルは本気でそう思っているのか、僕の体を押し付ける力を緩める気は更々ないようだった。

痛みから逃れるために腰を突き出すと、自然と剛直の入ってくる深さが深くなって無意識にへこへこと腰を揺らす羽目になってしまう。


「腰揺らして、もうただの淫乱だな」
「な゙っ…あ、ちが、ちがう、ぅっ…!」
「違わないだろ」


ばちんっ!


「あ゙っ……」
「尻叩かれて感じる奴がどの口で言ってんだ。
あと、いやだとかちがうとか言うなって教えたよな俺」


ばちん!!


「挙句逃げようとか考えやがって。お前みたいなクソ淫乱の愚図はどこに行ったって野垂れ死ぬだけだっての」
「ふ、ぅ…っぐす…」
「おい聞いてんのか!」


パンっ!


「ぁああ゙っ、ごめ、なさっ」
「結婚したいって言ったの、お前だろ?
やだとかやめてとか言う権利もないし逃げるとか論外だろ」
「すいませ…っ…!」
「謝るくらいなら泣いて頼めよ。逃げようとしてごめんなさい僕のお尻気持ち良くしてくださいって」


言えるわけない。
それにさっきから、身に覚えのないことばっかり言われて頭がこんがらがる。
そんなこと教えられた覚えなんてないし、結婚なんてしらない。

でも、ガルに命令されて、今まで抗えた試しがない僕は、いつもいつも最終的にはもう、癖みたいにガルの言葉通りに口も体も動かしてしまうようになっていた。


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