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しおりを挟むくらくらとする視界のなか、ガルの綺麗な笑顔だけがやけにはっきりと見えて吊られてヘラっと笑ってしまう。
ガルが笑ってる……。
笑ってくれて、嬉しいなぁ…。
嬉しくて頬を擦り寄せようとした僕の顔は途中でガルに顎を掴まれて動きを止められた。
なんで…?
なんで止めるの?
「っは、なんちゅー顔してんだよお前」
ガルの声が離れた場所から聞こえてくるみたいに遠く聞こえる。
ガルが遠い。
もっと近くに行きたいのに、なんで。
ぐずった子供のように泣き出した僕を見て、ガルは瞳を優しく細めて僕の顔を引き寄せた。
瞼やら目尻やら、わざと唇を避けるように降らせてくるキスにますます不満が募る。
ちがう、そこじゃない。
焦ったくて自分からガルの唇を迎えに行こうとしたら、ばちん、と尻を叩かれた。
「あぅっ…?!」
「勝手に動くな。キスもダメ。ユパは俺と結婚するって言っただろ?お嫁さんになるんなら、旦那さんの言うことちゃんと聞けるよな?」
痛みのせいでじんじんと熱を持って来た尻に泣きそうになりながらこくこくと必死に頷いていると、ガルはまた満足そうに頬にキスをしてきた。
お嫁さん…?
旦那さん…。
あ、そっかあ、僕、ガルと結婚したいって言ったんだった。
嬉しいなぁ。
…うーん、僕、本当に嬉しいのかな?
嬉しいはずなのに、なんだかすごく不安で、この場から逃げ出したいような衝動に駆られる。
……。
…………。
ばちん!
「あっ」
「ぼーっとすんな」
「ぁ…い、ごめ、なさ」
「お前が起きてないと意味ないんだから、ちゃんと俺のこと見てて。好きだろ?俺の顔」
「す、き。好きぃ」
「そうだよなぁ。じゃあ俺のことは?」
「だいすき…!」
「じゃあセックスするよな?」
聞かれてることが理解できていないのに、ガルに見つめられていると頭に靄がかかったみたいにガルに好かれることしか考えられなくなって、僕は馬鹿みたいに笑いながら頷いて見せた。
「可愛いな、ユパ」
「…んっ、がるぅ…ガル、キスしたいっ…」
「まだダメだっつってんだろ」
「でも、さっきはしてくれたぁっ…」
「あれは恋人のキス。夫婦になる前には誓いのキスがいるだろ?」
「ちかいの、きす…?」
「そうそう。俺と結婚したいならもうちょっと我慢しろよ」
そう言うとガルは膝に乗っていた僕をソファーの上に仰向けに寝かせて、真上からじっと眺めるように僕のことを見てくる。
シャツ一枚しか着ていないせいで下半身がスースーして、恥ずかしくなってもじもじしているとそれもまた「動くな」と言ってぴしゃりと怒られた。
それでもやっぱり心許なくて足を閉じようとしたけど股の間にいるガルのせいでそれも叶わない。
「ユパ」
「……?な、に…」
優しい声で名前を呼ばれて、ガルから外していた視線をおずおずと合わせる。
怒ったのかと思ったけど、ガルの表情は想像していたよりずっと穏やかだった。
「…俺な、ずっとずーっと、お前とこうしたかったんだ。お前、思ってたよりメンタル強くて手こずったけど、これでやっと俺のものになる」
?、なんの話だろう。
「昔、この山小屋でお前の将来の夢聞いたことあっただろ?」
そんなことも、あっただろうか。
「あのヘンテコな夢。森で一人で静かに暮らすってやつ。笑うよな、お前は一人じゃなんにもできない、愚図でノロマな木偶の坊なのに」
「ひ、ひどい……」
「酷い?事実だろ。お前は小さい頃からぼんやりしてて鈍臭くて、ちょこまかちょこまか俺の後ろをついて回ってた」
ああ、そういえばそうだったな。
自分よりはるかに一人でなんでもできるガルがかっこよくてキラキラして見えて、僕もそんなふうになりたかった。
一人でも生きていけるような人間に。
ガルのことをジッと見つめていると、瞳が苛立たしげに歪められる。
「…それなのにお前の目には俺なんてうつってない。それが無性にムカつくんだよ。ヘラヘラヘラヘラ俺に引っ付いてくるのに、お前の頭んなかには根本的に俺がいない」
「……ガル…?」
「不公平だろ?俺にはお前しかいないのに、お前は俺に対する興味も薄かった。そもそもお前は他人に興味がないよな。だから今日みたいに簡単に故郷を捨て ようなんてできる」
「なあユパ、お前俺がどんな魔法使えるのか知ってるか?なんで俺が家族の中で一人だけ目が赤いのか考えたことある?」
ガルは珍しい魔法持ちで、それをみんなが羨ましがってたのを僕は見ていた。
ガルの父親と母親は綺麗な青の瞳だけど、ガルだけがあの美しい赤色の瞳を持ってる。
僕のなかでは、ガルはそういう人間で、それ以上も、以下も、どうしてかなんて考えたこともなかった。
「俺が街の奴らに怖がられてるのだって気づいてないんだろ、お前」
「そんなわけ……」
「変だと思わなかったのか?お前は最初から嘘なんて一つも言ってないのに、だーれも信じてくれない。みんな俺の味方だった。でも普通、一人くらい信じてくれる人間がいたっておかしくないだろ。なあ?なんでだろうな?」
ガルは薄く笑いながら僕の頬を優しく包んだ。
脳みそを上滑りするみたいに、聞かされる言葉が右から左に流れていく。
ぼーっとガルの瞳を見あげていると、ガルはゆっくりと僕の肩に顔を埋めた。
金色の絹糸のような髪の毛が首に当たって少しくすぐったい。
「…俺は魔女に呪われてるんだ。この目を怖がって、誰も俺を見てくれない。お前だけ…お前だけなんだ。真っ直ぐ俺の目を見てくれたのは」
消え入りそうな声でそう言ったガルの背中は周りの全部を拒絶するみたいに丸まっている。
なんだか放っておけなくて、ガルの背中に腕を回すとピクリと小さく体が跳ねた。
しばらく肩口にぐりぐりと頭を押し付けられて、僕はどうしたらいいのか分からずに好きなようにさせていた。
「…好きなんだ、ほんとに。愛してる。俺にはお前だけだから、
それなら…お前の唯一も俺じゃなきゃ、不公平だろ」
レロ、と鎖骨に生暖かいものが這った。
次の瞬間ぢゅうっと強い力で吸われて、チクリとした痛みが走る。
「いたっ」
直接鎖骨を這っていたガルの舌は、段々下へと降りて行って、すでに少しだけ浮き上がった突起をシャツの上からくにくにと押しつぶしてくる。
そんな場所で感じられるはずがないのに、と頭はどこか冷静なのに、体温は徐々に上がっていった。
シャツが汚れちゃう。
そんなことを考えながら自分でシャツのボタンに手を伸ばすと、ガルは舌を這わせたままこちらを見上げ、鼻で笑って容易くその手を僕の頭上に縫い付けた。
「見ろよ。お前の乳首、シャツに張り付いてすっげーエロい」
「や、やめてよ…」
「目ぇ逸らすな。ちゃんと見てろ」
ちゅくちゅくとシャツを濡らしていくガルの唾液が、空気に触れて余計に突起が膨れ上がる。
恥ずかしい、恥ずかしい、目を閉じたいのに、ガルから目が離せない。
チロチロと見える真っ赤な舌と目を伏せると見える金色の睫毛、神様が手ずから作ったような極上の姿の男が僕なんかの体を舐めて頬を上気させている様子に僕の目は釘付けになっていた。
反対側の突起もシャツの上から指先で掠めるように表面を撫でられて、指を追いかけるように胸を逸せてしまう。
「っふ、く……」
「ははっ、お前、何やってもダメダメだけどこっちの才能はあるんじゃないか?初めてなのに胸で感じるとかすげぇじゃん」
「ちがっ」
違う、と言おうとしたところでぐにっと根本から突起を強い力で掴まれて、声にならない悲鳴をあげた僕をガルは満足そうな顔で見下ろす。
痛いやら恥ずかしいやらで浮かんできた涙が視界を遮るが、ガルが目元を指で拭ってくれた。
「んっ…」
冷たい指先が熱くなった身体に気持ちよくて顔を傾けると、ガルは優しく僕の瞼を撫でてくる。
…みんなが怖がっている、なんてガルは言っていたけど、ほんとにそうなんだろうか。
だって、今僕を見つめる赤い瞳は本当に愛おしいものを見ているかのように優しい。
「…これから、俺とお前で《約束》をする。ずーっと一緒にいるための、夫婦になるための約束だ。そのために俺とお前は今からセックスする」
「約束…?」
「そう、破ったら死ぬ」
…そんな物騒な約束、しちゃっていいんだろうか。
約束したら、ガルとずっと一緒?
それって良いことなんだっけ。
でも、大好きなガルと一緒にいられる。
まわらない頭でぐるぐると意味のない考えをめぐらせてぼーっとしていた僕の尻に何やら熱くて硬い感触を感じて下半身に視線をおろしていくと、そこでは、いつの間にかズボンを寛げて顕になったガルの熱い剛直が僕の股の間をヌルヌルと行き来していた。
既に反り返っているそれは僕のものとは違って、どくどくと脈打っているのが肌越しに感じられるくらい固く、凶悪な見た目をしている。
寝ている間に解されていた穴がそれが掠めるたびにヒクッと収縮する。
あまりに卑猥な光景に喉で息がつっかえて、ようやく吐き出した息がハァ、と無意識に熱くなった。
ゆるゆると行き来していたそれは、尻の肉の感触をひとしきり味わったあと、ぴとりと一点で止まる。
戸惑いながら顔を上げると、息を荒く顔を上気させているものの、どこか余裕そうに笑いながらギラギラした光を放つガルの瞳。
目があった瞬間腰をがっちりと固定されて息を呑む。
ーーーえ?
「ガル…?が、…ーーーへっ?。…ぁっ~~~~~ッ!?い゙っ、あぁあああ?!」
ばちゅん!と一気に突き入れられて、襲って来た凄まじい痛みに視界がぐるんと回った。
あ、え?
あ、ああぁぁあ、あ゙っ…!!?
痛い痛いいたいいたいっ!!
指なんかとは比べ物にならないくらいの質量に無理矢理体内を割り開かれて、体が裂けそうになるような痛みに息をすることすらできなかった。
「っ…きつ、い。おいユパ、っ息しろ」
「い゙た、っ…あ゙、ッ!」
「くそっ、おい、気絶すんな」
ガルが何か言いながら頬をペチペチと叩いてくるのをどこか他人事のように感じながら痛みに体をばたつかせて身を捩っているとナカにはいった剛直が、ゴリぃっとある場所を抉った。
「ひっ……!?」
痛みで焼けたように熱かった体にビリビリと刺激が走り、その刺激でさらにカァッと熱くなる。
思わず腰が引けた僕の動きを、ガルは見逃してはくれなかった。
「っ、ここか」
「やめっ、っぁーーーッぐ……??!」
ズリっ、ズリっ、と慣らすように小さく動く肉棒が痛みとは確実に違う感覚を生み出したその場所を的確に抉る。
痛みはいつのまにか快感に塗り替えられて、じわじわと体中に広がって行った。
なんだこれ、僕、ガルにチンコ突っ込まれてるのに、お腹のなかジンジンするのが止まらない。
しばらくの間ずっと同じ刺激を与えられて、少しだけ収縮が緩んだ隙を縫いガルのものがまたさらに奥へと進んできた。
「ぁ゙ー…ちょっと、緩んできた。おい、あとちょっとで…全部、入るから、息しろ、」
「え゙っ、ーーーッ~…」
「はい、吸って」
「っは、っぅ、はぁっ」
「吐いて~」
「ふぅっ、ぅゔ~~~ッ?!」
はくはくと口を開け閉めするだけの僕の口からガルの指が舌を引き出して、ようやく息を吐き出せたかと思ったら、ぐうぅっ、とガルが押し進んで来て再び息が止まる。
クゥンっと自分の喉から聞いたことのない音が聞こえて、一瞬意識がぼやけた。
「おい、ちゃんと目ぇ開けとけ。お前が気絶したらまた最初っからやり直しだぞ」
「あ゙ぁあ、がる、ッやだぁっ、これいじょ、はいら゙ないっ……!!」
「入る入る、だいじょうぶっ」
ずぷぷぅっ。
「~~ぅうゔっ……!」
「…ほら、っ全部、入っただろ」
ガルの肌が僕の尻にぴったりくっついていた。
先程の痛みで吹き出た僕の汗がガルとの僅かな隙間も埋めるように染み込んでいく。
体の中まで隙間なく埋められて、完全にガルと繋がっている。
「うごくぞ」
「…ぁ、んっ…」
少しだけナカに馴染んだガルの肉棒がぷっくりと腫れ始めたナカのあの場所を時々コリコリと押しながら長いストロークで腸壁を擦る。
ぱちゅん、ぱちゅん。
そして徐々に滑りが良くなってくると、ガルは容赦なく中を穿ち始めた。
打ち付けられるたびにじわじわと脳が痺れるような快感が襲ってくるのに、決定的な刺激はやはりソコでは感じられない。
ふと視線を移すと既に立ち上がった中心がガルの服に擦れて糸を引いていた。
触りたい、出したい、出したいっ。
幼馴染の前だぞ恥ずかしくないのかとか、今更すぎる疑問なんてすぐに頭の隅に消えて行って、僕は朦朧としながら自身のものに手を伸ばした。
「おい、何勝手に触ってんだ」
「あっ、や」
ふうふうと鼻で息をしながらくちくち自分で鈴口を捏ねていたら、伸びて来たガルの大きな手が僕から奪うようにぎゅっと陰茎を取り上げた。
なんでっ…。
手を払いのけられて泣きそうになっていると呆れたような表情のガルが深くため息をつく。
「セックス中にオナニーしだす嫁がどこにいんだよ」
「っ…ご、ごめ」
「俺のチンコはお前がオナニーするための玩具じゃねえんだけど?」
「そなこと、思ってな…」
「じゃあちゃんとこっちに集中しろよ、っ」
ぐちゅん!
「ッ~~~ぁ゙うっ」
勢いよく突き入れられても、もう痛みなんてかけらも感じなかった。
たまらず目の前にあったガルの肩口に頭を擦り付けていたら、ピストンの度に押し出されたみたいにトロトロと先走りが溢れてくる僕の先端を「お仕置きだな」なんて言ってガルにぐっと押し込まれ、太腿に力が入る。
「っ~~~…いだっ、や、ぁっ、!はなしてっ」
「お仕置きなんだから我慢しろ。あと、俺昔から何度も言ってるだろ。頼み事する時は土下座しながら泣いて頼めって。ま、今はそれもできないけどな」
今土下座なんてできるわけがない。
ガルから離れて意地悪く歪められたガルの瞳を見ていたら涙が溢れてきた。
「ぅぐっ、ぐすっ……やだ、っ、もうやだぁっ」
なんで優しくしてくれないんだ。
夫婦になるって言ったのはガルなのに。
そんなことを考えながらぎゅっと目を瞑って揺さぶられるまま泣き喘いでいると、チッという大きめな舌打ちとともにガルの動きが止まった。
僕の中心を握っていた手も離れて、恐る恐る目を開くとガルがこちらをジッと見ていた。
なんだろう。
次は何をする気なんだろう。
不安気に視線を彷徨わせる僕に、ガルは口を開いた。
「抜かずに体だけ起こせ」
「…っ、ぇ」
「はやくやれ」
「ひぁっ…!」
ぱちゅん。
急かすように打ち付けられた刺激に慌てて起きあがろうとするが、脚の自由が効かないせいでもたもたしていたらガルの手が腰の下に差し入れられてそのままグイッと抱き起こされる。
膝の上に乗せられた状態はつい先ほどの体勢と変わらないけど、今僕のなかにはガルがいる。
そうなると、重力に従って沈んだ体にその分ガルの剛直も入り込んでくるわけで。
ずっ、…ずぷぷっ。
「……ぁ、っあぅゔ~~~…!」
先程より深く穿たれて、背筋がのけ反った。
グリグリとガルが腰を動かすせいで余計に深く入り込んでくる。
ーーーっ、これ、奥まで、届いてっ…。
「は、はふっ…はぁ、あっ…」
腰をヘコヘコと揺らして急に襲って来た快感を逃す僕を見ながら、ガルはプチプチと手早く僕のシャツのボタンを外して、あっという間に脱がさせてしまう。
肌に直接触れる空気の冷たさに、小さく震えた。
「…これならユパのちんこと胸、どっちも可愛がってやれるだろ。
その代わりちゃんと自分で立てよ。そんなぐらぐらしてたらひっくり返るぞ」
「ぁっ、い、」
「あと俺の服も脱がせて。それくらいできるよな」
「は、ぁっ…ん」
「…感じてないで答えろ」
ぱちん!
尻に刺すような痛みが走ってはじめて、また叩かれたことに気づいて咄嗟に答えた。
「っ、できっ、できる、っ」
「ならはやくしろ」
言われるままシャツに手を掛けるとガルが再びゆるゆると律動を始めたかと思ったら、僕の中心にも手を沿わせた。
ぐちゅぐちゅと下から聞こえてくる卑猥な音と頭に突き抜けていく快感に、手元がおぼつかない。
ボタンを外そうとした端から下から突き上げられて、しばらく経っても僕はまだひとつもはずせていなかった。
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