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32.あけみさん解放大作戦 番外編
ジング氏、リャオと語り合う
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1話にまとめました。内容はおバカです。リャオのモノローグ。
--
出発前日、また私は“あきお君”でトモと飲んだ。
トモは泡盛を舐めながら語る。
「大阪で3ヵ月ぐらい頑張って慣れてきたら、サーコを呼び寄せます」
「……そう」
私は言葉を失った。
この日が来ることは、わかっていたはず。サーコはトモのものなんだから。
「リャオ、約束を守ってくれて、ありがとう」
私たちはグラスを合わせる。ガチャンと音がする。視界が涙でかすむ。
この涙は何だろう。
あけみとして、トモと離れるのもつらいし、
あきおとして、サーコと離れるのもつらい。
二人とも行ってしまうんだ。私を置き去りにして。
私は泡盛のロックの一杯目を飲み干し、グラスの氷を足した。
「二人の生活が落ち着いてきたら、遊びに行ってもいい?」
トモもまた泡盛を飲み干し、うなずいた。氷がカランと音を立てる。
「……来年の今頃くらいですかね」
私は彼のグラスを取って泡盛を注ぎ、彼の手に渡した。彼は私から泡盛のボトルを取り、私のグラスへ注ぐ。
「2、3年日本で働いて、その後どうなるか、見当もつかなくて」
今更ながら私は愕然とする。
韓国人と一緒になる以上、サーコが日本から去るかもしれないなんてどうして想定しなかった?
心が揺すぶられているのがわかる。
どうしよう。二人の門出を祝福したいのに、言葉が見つからない。
「彼女のお母さんが、とても怒っているんです。会ってもくれない」
2杯目のロックを飲みながらトモは語り出した。
「ここまで苦労して育ててきて外国人と一緒になるとは何事だって」
そうか。さつきさん激怒してるのか。彼女の気持ちもわかる。離婚してようやく一人前になりつつあるサーコが、まさか沖縄から出て行くなんて想像だにしなかったはずだ。
「時間をかけて説得してみたら?」
私の言葉にトモはうなずいた。右の顎のあたりをポリポリ掻いている。
「それしかないですね。韓国の両親も日本人との結婚には乗り気で無いんです」
そうかもしれない。
「私の母が養父と一緒になるときもいろいろあったらしい。でも、もう天国へ行っちゃったから」
「リャオのお母さん、クリスチャンだったって本当ですか?」
私は首を振った。
「わからない。彼女の遺品に中国語の聖書はあるけど」
「中国は宗教弾圧がひどいですから」
「私は中国でのことをほとんど思い出せないの。記憶が欠落してて。12歳までいたのにね」
トモは黙って相づちをうち、こう言った。
「お父さん、亡くなったんですよね。そのショックのせいかも」
なるほどね。SARSで、ちゃんとしたお葬式もできなかったはずだから。
「ねえリャオ」
トモが尋ねる。
「いつまで、“あけみさん”でいますか?」
私は正面を見つめ、投げるように答える。
「わかんない」
「ずっと、“あけみさん”でいるつもりですか?」
「そうねえ。時期が来たら止めると思うよ。化粧がうまくのらないとか、首にしわが目立つようになるとか」
「まだ手術しようと思ってる?」
「いや。前は、もう、自分の身体なんてどうにでもなれって半分ヤケになってたけど。今は副社長として仕事があるし」
するとトモは私を突っついた。そして、彼に向けた私の顔をのぞき込んだ。
“In reality, you want to be with Asako.”
何だって?
“What are you trying to say? You're going to Osaka with Asako, aren't you? That's where you're going to be with her. ”
"Yeah. I'll take Asako to Osaka and we will be together.”
“Then, you should be happy there. Don't be asking me. ”
“Liao,”
トモはグラスの泡盛を飲み干し、音を立ててグラスをテーブルへ置いた。
“Asako is mine. I never give you her. Never!”
“I know!”
私もグラスを空にした。でも次は水を注ぐ。氷がカランと音を立てる。
「私はもう飲まないよ。明日があるから」
私はグラスを振って少し口に含んだ。トモは自分で泡盛のボトルを取ったが、私は取り上げた。
「手酌は良くない。入れたげるよ」
「……どうも」
半分入れたところでトモはグラスを持ち上げる。
「もういい、ありがとう」
トモはそう言ってグラスの泡盛を舐めた。
「大阪は物価が高くて。自分がどれだけやっていけるか、不安です」
そうだね。沖縄より賃金は高いけど、住むこと自体が大変だよね。
「サーコにも働いてもらって、でも、ギリギリかも」
そしてトモはうつむいた。吐くようにつぶやいた。
「一緒になれて嬉しいはずなのに、心から喜べないんです」
トモはとても苦しそうだ。どう励ましたらいいんだろう。
「今から思い詰めてもしょうがないよ。うちの会社だっていつM&Aされてもおかしくないんだから」
私はそう言って彼の肩を叩いた。
「あんた、宣教師でしょ。神様の言葉を語る人間がそんな弱気でどうすんの?」
「そうですね。軍隊にいたときは通信教育の勉強は全然できませんでしたから、また始めないと」
よし、元気づけてやろう。私は彼に告げた。
「トモがディプロマ取れたら、私、教会行っても良いわよ」
するとトモは素っ頓狂な声をあげた。
「リャオ、本当に?」
「うん。考えとく」
「本当ですよね? 必ず、行ってくださいよ」
トモ、笑顔になってるよ。そんなに嬉しいのかな? 参ったな。でまかせ言うんじゃ無かった。
「リャオが洗礼するときは連絡ください。私が司式を執ります」
げげっ。マジかよ。トモの奴、さっきとは打って変わってご機嫌になっちゃって。さあ弱ったぞ。
「変な洗礼名つけたりしないでよ。私、マグダラのマリアがいい」
「それは女性名じゃないですか!」
「あ、私の座る席がない? なら、教会行かない」
「リャオ、男性として生きた方がいいんじゃないの?」
「勝手に決めつけないでよ!」
「やれやれ、私がいない間に少しは成長したと思ってたんですけど」
「あんた年上に向かって何てこと言うのよ? だいたいね、私がどんな思いでサーコを韓国へ連れて行ったか、あんた考えたことある? それなのに、トモはあけみに全然構ってくれなかったでしょ?」
私はトモの腕を引っ張った。トモ、あんた逃げる準備をしているね?
「おいこら、逃げるな!」
私はタックルしトモの脚を抱え込んだ。
「そんなことしたら動けないじゃないですか」
トモは私の髪の毛を引っ張る。あがが!
「やだ、もうトモもサーコも大阪へやらない。こうやってずっと抱え込んどく」
「リャオ、離して、君は飲み過ぎだから!」
両手で私を制するトモに私は食ってかかった。
「うるさい! お望み通り教会行ってやるから、一度くらいあんたとキスさせろ!」
不意にゴンという音と共に後頭部に衝撃が走り、私は気を失った。
実のところどうやって事務所へ帰ったのか記憶が定かではありません。トモの奴、ゴーヤーチャンプルーが入ってた大皿で私を殴ったらしい。その後、彼が「告解の祈り」をしたかどうかは不明。
気がついたら私は事務所のリビングでトモと雑魚寝していた。夜が白々と明けたあと、素面に戻った我々は準備を整え、荷物を持って空港へ移動したのだった。
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出発前日、また私は“あきお君”でトモと飲んだ。
トモは泡盛を舐めながら語る。
「大阪で3ヵ月ぐらい頑張って慣れてきたら、サーコを呼び寄せます」
「……そう」
私は言葉を失った。
この日が来ることは、わかっていたはず。サーコはトモのものなんだから。
「リャオ、約束を守ってくれて、ありがとう」
私たちはグラスを合わせる。ガチャンと音がする。視界が涙でかすむ。
この涙は何だろう。
あけみとして、トモと離れるのもつらいし、
あきおとして、サーコと離れるのもつらい。
二人とも行ってしまうんだ。私を置き去りにして。
私は泡盛のロックの一杯目を飲み干し、グラスの氷を足した。
「二人の生活が落ち着いてきたら、遊びに行ってもいい?」
トモもまた泡盛を飲み干し、うなずいた。氷がカランと音を立てる。
「……来年の今頃くらいですかね」
私は彼のグラスを取って泡盛を注ぎ、彼の手に渡した。彼は私から泡盛のボトルを取り、私のグラスへ注ぐ。
「2、3年日本で働いて、その後どうなるか、見当もつかなくて」
今更ながら私は愕然とする。
韓国人と一緒になる以上、サーコが日本から去るかもしれないなんてどうして想定しなかった?
心が揺すぶられているのがわかる。
どうしよう。二人の門出を祝福したいのに、言葉が見つからない。
「彼女のお母さんが、とても怒っているんです。会ってもくれない」
2杯目のロックを飲みながらトモは語り出した。
「ここまで苦労して育ててきて外国人と一緒になるとは何事だって」
そうか。さつきさん激怒してるのか。彼女の気持ちもわかる。離婚してようやく一人前になりつつあるサーコが、まさか沖縄から出て行くなんて想像だにしなかったはずだ。
「時間をかけて説得してみたら?」
私の言葉にトモはうなずいた。右の顎のあたりをポリポリ掻いている。
「それしかないですね。韓国の両親も日本人との結婚には乗り気で無いんです」
そうかもしれない。
「私の母が養父と一緒になるときもいろいろあったらしい。でも、もう天国へ行っちゃったから」
「リャオのお母さん、クリスチャンだったって本当ですか?」
私は首を振った。
「わからない。彼女の遺品に中国語の聖書はあるけど」
「中国は宗教弾圧がひどいですから」
「私は中国でのことをほとんど思い出せないの。記憶が欠落してて。12歳までいたのにね」
トモは黙って相づちをうち、こう言った。
「お父さん、亡くなったんですよね。そのショックのせいかも」
なるほどね。SARSで、ちゃんとしたお葬式もできなかったはずだから。
「ねえリャオ」
トモが尋ねる。
「いつまで、“あけみさん”でいますか?」
私は正面を見つめ、投げるように答える。
「わかんない」
「ずっと、“あけみさん”でいるつもりですか?」
「そうねえ。時期が来たら止めると思うよ。化粧がうまくのらないとか、首にしわが目立つようになるとか」
「まだ手術しようと思ってる?」
「いや。前は、もう、自分の身体なんてどうにでもなれって半分ヤケになってたけど。今は副社長として仕事があるし」
するとトモは私を突っついた。そして、彼に向けた私の顔をのぞき込んだ。
“In reality, you want to be with Asako.”
何だって?
“What are you trying to say? You're going to Osaka with Asako, aren't you? That's where you're going to be with her. ”
"Yeah. I'll take Asako to Osaka and we will be together.”
“Then, you should be happy there. Don't be asking me. ”
“Liao,”
トモはグラスの泡盛を飲み干し、音を立ててグラスをテーブルへ置いた。
“Asako is mine. I never give you her. Never!”
“I know!”
私もグラスを空にした。でも次は水を注ぐ。氷がカランと音を立てる。
「私はもう飲まないよ。明日があるから」
私はグラスを振って少し口に含んだ。トモは自分で泡盛のボトルを取ったが、私は取り上げた。
「手酌は良くない。入れたげるよ」
「……どうも」
半分入れたところでトモはグラスを持ち上げる。
「もういい、ありがとう」
トモはそう言ってグラスの泡盛を舐めた。
「大阪は物価が高くて。自分がどれだけやっていけるか、不安です」
そうだね。沖縄より賃金は高いけど、住むこと自体が大変だよね。
「サーコにも働いてもらって、でも、ギリギリかも」
そしてトモはうつむいた。吐くようにつぶやいた。
「一緒になれて嬉しいはずなのに、心から喜べないんです」
トモはとても苦しそうだ。どう励ましたらいいんだろう。
「今から思い詰めてもしょうがないよ。うちの会社だっていつM&Aされてもおかしくないんだから」
私はそう言って彼の肩を叩いた。
「あんた、宣教師でしょ。神様の言葉を語る人間がそんな弱気でどうすんの?」
「そうですね。軍隊にいたときは通信教育の勉強は全然できませんでしたから、また始めないと」
よし、元気づけてやろう。私は彼に告げた。
「トモがディプロマ取れたら、私、教会行っても良いわよ」
するとトモは素っ頓狂な声をあげた。
「リャオ、本当に?」
「うん。考えとく」
「本当ですよね? 必ず、行ってくださいよ」
トモ、笑顔になってるよ。そんなに嬉しいのかな? 参ったな。でまかせ言うんじゃ無かった。
「リャオが洗礼するときは連絡ください。私が司式を執ります」
げげっ。マジかよ。トモの奴、さっきとは打って変わってご機嫌になっちゃって。さあ弱ったぞ。
「変な洗礼名つけたりしないでよ。私、マグダラのマリアがいい」
「それは女性名じゃないですか!」
「あ、私の座る席がない? なら、教会行かない」
「リャオ、男性として生きた方がいいんじゃないの?」
「勝手に決めつけないでよ!」
「やれやれ、私がいない間に少しは成長したと思ってたんですけど」
「あんた年上に向かって何てこと言うのよ? だいたいね、私がどんな思いでサーコを韓国へ連れて行ったか、あんた考えたことある? それなのに、トモはあけみに全然構ってくれなかったでしょ?」
私はトモの腕を引っ張った。トモ、あんた逃げる準備をしているね?
「おいこら、逃げるな!」
私はタックルしトモの脚を抱え込んだ。
「そんなことしたら動けないじゃないですか」
トモは私の髪の毛を引っ張る。あがが!
「やだ、もうトモもサーコも大阪へやらない。こうやってずっと抱え込んどく」
「リャオ、離して、君は飲み過ぎだから!」
両手で私を制するトモに私は食ってかかった。
「うるさい! お望み通り教会行ってやるから、一度くらいあんたとキスさせろ!」
不意にゴンという音と共に後頭部に衝撃が走り、私は気を失った。
実のところどうやって事務所へ帰ったのか記憶が定かではありません。トモの奴、ゴーヤーチャンプルーが入ってた大皿で私を殴ったらしい。その後、彼が「告解の祈り」をしたかどうかは不明。
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