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第13話 朝ドラにみる「みげか」〜再現特化型女性を中心に
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今回は、NHK連続テレビ小説で放映された中から、女性が再現特化型の例を2つご紹介します。
現在放映中の連続テレビ小説『虎に翼』。日本で初めて女性として弁護士、判事、裁判所長それぞれを務めた三淵嘉子をモデルにしたドラマです。
ヒロイン佐田寅子が夜中に「(お母さんと)キャラメルが食べたい」と甘えてきた娘を見て、亡き夫を思い返すシーンがありました。寅子は娘とキャラメルを食べながら亡き夫のことをこう語ったのです。
「お父さんはすぐ「ごめんなさい」する人だった」
「言いたいことは全部押し殺して人に合わせて謝っちゃう」
「でも随分たってからぽろっと本音をこぼして「えっ、それ今言う?」ってなるの」
そして寅子は夫のことを「不器用で優しかった」と述懐しました。
コラムの読者のみなさんは、裁判官である寅子が「再現(特化)型」で夫だった佐田優三が「共感型」であることにお気づきかと思います。冒頭に紹介した箇所以外にも寅子が優三について語る箇所がドラマ中には散見されるのですが、抑え目な表現が目立ちます。
再現型女性が共感型男性と一緒になるケースはそれほど珍しいことではありません。感情を表に出すことが苦手な再現型のガラスのようにもろい心を、共感型は包み込む性質があるのです。
ただ、奥さんがしっかりしている家庭を日本では「甲斐性がない旦那」「妻が夫を尻に敷く」などと半ば否定的に取り上げ、東海林太郎さんが描くサラリーマン漫画などで格好の題材となってきた歴史的いきさつがあります。そのために別居や離婚など悲劇的な結末を迎えてしまう家庭も数多くありました。
近年ようやく多様性という言葉が叫ばれるようになり、家庭第一主義の男性をマイホームパパと称するなど共感型男性にエールを送れる社会づくりが進んだのは誠に喜ばしいことです。人間関係の潤滑油の役割を演じる共感型が生きやすい社会は間違いなく活性化へ導かれるからです。
少々脱線しますが、芸能界で活躍する共感型男性の例としてみげか=2:5:3の伊集院光さんがいらっしゃいます。たぐいまれな情報力を持ち、また自他ともに認める「雑学の鬼」です。テレビではソフトでにこやかなイメージを振りまく一方で深夜の毒舌ラジオ番組でコアなファンを惹きつけ長い人気を誇ります。その一方で奥様の篠岡美香さんはどうやらしっかり者の再現型らししく、伊集院さんは結婚前から現在にいたるまでずっと首ったけのご様子です。伊集院さんが芸能界の荒波にもまれつつも傍目から軽やかにサーフィンを楽しむように見えるのは、この奥様の支えがあってこそと推察します。
朝ドラに話を戻して、もう一つの例『らんまん』をみてみましょう。高知県出身の植物学者・牧野富太郎の人生をモデルとしたドラマです。
槙野万太郎は植物が大大大好きで造り酒屋の家業も継がず、妻・寿恵子と東京で生活する道を選びます。東京大学植物学教授の田邊にプラントハンターになるよう望まれますが、それを断り、自らの植物学雑誌を作りたいとの意志を通します。
普通の配偶者なら怒り出すところですが、この再現型特化な奥様・寿恵子さんは全然違いました。当時目の玉が飛び出るほど高額な石版印刷機を購入するよう逆に提案するのです。しかもこの後、子育てと家事に奔走しつつ料亭の中居として働き、茶屋の経営にまで乗り出します。たまげた奥様でいらっしゃいます。
いくつかの新種の植物を発見しながらも在野の研究者である万太郎は資金難に苦しみ続けますが、それも寿恵子の内助の功で窮地を脱し続けました。紆余曲折あってで万太郎は理学博士号を受けることが決まります。その時、寿恵子が重い病であることが分かり、万太郎は周囲の人たちの助けを借りて図鑑完成を急ぐのです。
ドラマでは万太郎が北海道の講演の帰りに訪れた仙台で「スエコザサ」を発見、それを収めて完成した「槙野 日本植物図鑑」を夫婦で手にとって喜び合う様子が放映されました。ですが実際は子供の数も5名でなく13名とのことですし、寿恵子のモデルとなった壽衛さんは出版前に逝去されています。脚本家の長田育恵さんは「寿恵ちゃんに図鑑を持たせたかった」と語っています。
万太郎こと牧野富太郎は言うまでもなく創造型、そして寿恵子さんこと壽衛さんは再現特化型の女性です。明治・大正という時代もあるでしょうがまさに夫唱婦随の人生を歩まれました。植物学者・牧野富太郎の名声を支え続けた壽衛さんの生き方は現代を生きる我々の心も揺さぶり続けています。
ところでこの2つのドラマですが。
『虎に翼』ヒロインは再現特化型、夫は共感型、主題歌を担当している米津玄師さんはみげか=5:1:4の司令官型です。
『らんまん』ヒーローは創造型、妻は再現特化型、主題歌を担当したあいみょんさんは「愛」にこだわり表現し続ける共感型、なのです。
主人公夫妻に足りない要素を主題歌担当者がこれほど見事に持ち合わせている。やはり、ヒットの要因は「みげか3タイプ」なのですね。
現在放映中の連続テレビ小説『虎に翼』。日本で初めて女性として弁護士、判事、裁判所長それぞれを務めた三淵嘉子をモデルにしたドラマです。
ヒロイン佐田寅子が夜中に「(お母さんと)キャラメルが食べたい」と甘えてきた娘を見て、亡き夫を思い返すシーンがありました。寅子は娘とキャラメルを食べながら亡き夫のことをこう語ったのです。
「お父さんはすぐ「ごめんなさい」する人だった」
「言いたいことは全部押し殺して人に合わせて謝っちゃう」
「でも随分たってからぽろっと本音をこぼして「えっ、それ今言う?」ってなるの」
そして寅子は夫のことを「不器用で優しかった」と述懐しました。
コラムの読者のみなさんは、裁判官である寅子が「再現(特化)型」で夫だった佐田優三が「共感型」であることにお気づきかと思います。冒頭に紹介した箇所以外にも寅子が優三について語る箇所がドラマ中には散見されるのですが、抑え目な表現が目立ちます。
再現型女性が共感型男性と一緒になるケースはそれほど珍しいことではありません。感情を表に出すことが苦手な再現型のガラスのようにもろい心を、共感型は包み込む性質があるのです。
ただ、奥さんがしっかりしている家庭を日本では「甲斐性がない旦那」「妻が夫を尻に敷く」などと半ば否定的に取り上げ、東海林太郎さんが描くサラリーマン漫画などで格好の題材となってきた歴史的いきさつがあります。そのために別居や離婚など悲劇的な結末を迎えてしまう家庭も数多くありました。
近年ようやく多様性という言葉が叫ばれるようになり、家庭第一主義の男性をマイホームパパと称するなど共感型男性にエールを送れる社会づくりが進んだのは誠に喜ばしいことです。人間関係の潤滑油の役割を演じる共感型が生きやすい社会は間違いなく活性化へ導かれるからです。
少々脱線しますが、芸能界で活躍する共感型男性の例としてみげか=2:5:3の伊集院光さんがいらっしゃいます。たぐいまれな情報力を持ち、また自他ともに認める「雑学の鬼」です。テレビではソフトでにこやかなイメージを振りまく一方で深夜の毒舌ラジオ番組でコアなファンを惹きつけ長い人気を誇ります。その一方で奥様の篠岡美香さんはどうやらしっかり者の再現型らししく、伊集院さんは結婚前から現在にいたるまでずっと首ったけのご様子です。伊集院さんが芸能界の荒波にもまれつつも傍目から軽やかにサーフィンを楽しむように見えるのは、この奥様の支えがあってこそと推察します。
朝ドラに話を戻して、もう一つの例『らんまん』をみてみましょう。高知県出身の植物学者・牧野富太郎の人生をモデルとしたドラマです。
槙野万太郎は植物が大大大好きで造り酒屋の家業も継がず、妻・寿恵子と東京で生活する道を選びます。東京大学植物学教授の田邊にプラントハンターになるよう望まれますが、それを断り、自らの植物学雑誌を作りたいとの意志を通します。
普通の配偶者なら怒り出すところですが、この再現型特化な奥様・寿恵子さんは全然違いました。当時目の玉が飛び出るほど高額な石版印刷機を購入するよう逆に提案するのです。しかもこの後、子育てと家事に奔走しつつ料亭の中居として働き、茶屋の経営にまで乗り出します。たまげた奥様でいらっしゃいます。
いくつかの新種の植物を発見しながらも在野の研究者である万太郎は資金難に苦しみ続けますが、それも寿恵子の内助の功で窮地を脱し続けました。紆余曲折あってで万太郎は理学博士号を受けることが決まります。その時、寿恵子が重い病であることが分かり、万太郎は周囲の人たちの助けを借りて図鑑完成を急ぐのです。
ドラマでは万太郎が北海道の講演の帰りに訪れた仙台で「スエコザサ」を発見、それを収めて完成した「槙野 日本植物図鑑」を夫婦で手にとって喜び合う様子が放映されました。ですが実際は子供の数も5名でなく13名とのことですし、寿恵子のモデルとなった壽衛さんは出版前に逝去されています。脚本家の長田育恵さんは「寿恵ちゃんに図鑑を持たせたかった」と語っています。
万太郎こと牧野富太郎は言うまでもなく創造型、そして寿恵子さんこと壽衛さんは再現特化型の女性です。明治・大正という時代もあるでしょうがまさに夫唱婦随の人生を歩まれました。植物学者・牧野富太郎の名声を支え続けた壽衛さんの生き方は現代を生きる我々の心も揺さぶり続けています。
ところでこの2つのドラマですが。
『虎に翼』ヒロインは再現特化型、夫は共感型、主題歌を担当している米津玄師さんはみげか=5:1:4の司令官型です。
『らんまん』ヒーローは創造型、妻は再現特化型、主題歌を担当したあいみょんさんは「愛」にこだわり表現し続ける共感型、なのです。
主人公夫妻に足りない要素を主題歌担当者がこれほど見事に持ち合わせている。やはり、ヒットの要因は「みげか3タイプ」なのですね。
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2サイトのURLを紹介しておきます。
・みげか3タイプ診断(すきづきん) https://coconala.com/services/2758631?ref=profile_top_service
・創造と再現と共感のあいだ https://novelup.plus/story/323748347
・みげか3タイプ診断(すきづきん) https://coconala.com/services/2758631?ref=profile_top_service
・創造と再現と共感のあいだ https://novelup.plus/story/323748347
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