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第16話 『ジョン・レノン 失われた週末』にみるMIGEKAの法則(多少ネタバレあり)
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今回は日本中で公開している映画『ジョン・レノン 失われた週末』についてみげか診断の立場から語ります。
9/23月曜日にNHK-Fmで、クルミさんが第05話で診断したバランス型のお二人(杉真理さんと和田唱さん)がダブルDJを務める「ディスカバービートルズ2」の特番が放送されこの映画にも触れていらっしゃいました。ですから、こちらで多少ネタバレしても映画の魅力が損なわれることはないと思われます。
ビートルズから離れソロアルバムをリリースしていたジョンでしたが、ベトナム反戦運動のカリスマ的存在に祭り上げられたことでアメリカ政府から警戒され、公私ともに監視下に置かれていました。精神的にダメージを受けたジョンを見て妻・ヨーコは別居を言い渡します。そして二人の個人的秘書だった中国系アメリカ人のメイ・パンにこう提案するのです。
「あなたがジョンと一緒になるのがいいと思うの」
もちろん最初、メイは断ります。
「彼はあなたの夫ですよ?!」
しかし、ヨーコの強い要望に半ば折れ、メイはジョンと過ごすことになりました。
ここからがみけが診断です。
ジョンが創造型ということは第01話で述べました。この先は推測ですが、おそらく最初の結婚相手であったシンシアは再現型、オノ・ヨーコは共感型です。
創造型のジョンは自身が思い立ったら止まらない、動き続け暴走する傾向が強いことを重々把握していたので「無意識に」船の碇のような存在になりえる再現型のシンシアを配偶者に選びました。息子のジュリアンに恵まれたことで、安らぎの場として穏やかな家庭を持つジョンの夢は叶ったかのように思えました。
が、しかし、創作活動に行き詰まったある日、ジョンはヨーコと邂逅します。ストレートに前衛的な芸術作品を発表し続ける共感型なヨーコの存在は、創造型であるジョンを刺激するのに十分でした。ヨーコが妊娠したこともあって(流産してしまうのですが)ジョンはシンシアと離婚しヨーコと芸術的な共同生活を送るようになります。「ベッドイン」というイベントを反戦活動に結び付けることができたのも、ヨーコの共感性の賜物と言えるでしょう。
さて、冒頭に戻ります。
ジョンはFBIからの監視に神経をすり減らしていました。ヨーコの目の前で他の女性とセックスするなどかなり荒れていたようです。
共感型のヨーコが恐れたのは、ジョンがイギリスへ戻って前妻で再現型でもあるシンシアの元へ戻ることでした。そこでヨーコは苦肉の策として、再現性を持つ若い秘書・メイにジョンの相手をお願いしたのです。
船の碇になりえるのはあくまで再現性の高い存在です。もちろんヨーコにも再現性は少々あるのですが、メイやシンシアの方が再現性が高い。しかも当時メイはまだ20代でジョンを惹きつける若さとエネルギーがあった。シンシアへ戻るリスクを抑えつつ、また彼女の若さゆえに、ヨーコには配偶者であるジョンの心を自分がつかみ続けることが可能だという計算もあったようです。
ところが。
メイは再現性と共感性を併せ持つ「最強の実行者」なのです。このタイプはゴシップに強く立ち直りが早い。相手に共感を示しつつ自分の再現性でスケジュールや金銭の管理を手早く行える戦士です。シンシアにもヨーコにも見いだせなかった利点をメイに見出したジョンの元へ、ヨーコとはウマが合わなかったかつての仲間たちがやってくるようになります。そのなかにはビートルズメンバー3名もいました。
そして、なんと前妻シンシアと息子であるジュリアンもメイを頼ってジョンの元へやってきました。これはメイ自身が語るように、両親の離婚に傷ついたジュリアンの心を修復する「最大の功績」でありました。
「ディスカバービートルズ2」では、ジュリアンがジョンと過ごす海のシーンでバックに掛かった曲がジュリアンの"Saltwater"であることに触れています。ジョンのヒット曲の旋律を取り入れ、ジョージハリソンのギター監修の元でジョンそっくりな声による歌唱を聞く限り、ジュリアンもまたシンシア同様再現型と診断します。
(ちなみにジョンとヨーコの息子であるショーン・レノンは周囲との融和を重んじる共感型です。)
なかなか自分の元へ帰ってこないジョンに対するヨーコの態度は、共感型ならではの不安定さが目立ちます。「いますぐ謝れ」とばかりに注文ばかり送りつけるヨーコにジョンはすっかり嫌気が差します。この辺りは同じ共感型のクルミアルクにとっても自分自身の嫌な面を見るようでした。
ジョンはメイをマネージャーに据えあちこちのミュージシャンとジョイントし始めました。「最強の実行者」であるメイはジョンの良いところを上手に引き出しながら次々とアルバムづくりやコンサートを成功させていきます。このあたりは共感型再現型ハイブリッドの面目躍如といったところでしょう。
とはいえ、夫婦とはなかなか奇妙な運命共同体なのでしょうか。ヨーコはその後、再びジョンを呼び寄せた。メイは嫌な予感がしたのですが「すぐ戻る」と告げたジョンを送り出します。ですが、数週間後にメイの前に現れたジョンはもう以前のジョンではありませんでした。結局ジョンはヨーコを選んだのでした。
とはいえ、以後もジョンとメイはことあるごとに逢い、以前のようにベッドを共にした夜もままあったようです。そしてジョンはメイに変わらぬ愛を語り、「一緒に暮らそう」という話も出ていた。そうメイは証言しています。
1980年12月8日。ジョンは凶弾に倒れ帰らぬ人となりました。メイの悲しみはひとかたならぬものでしたが、彼女にとってはむしろ良かったのかもしれません。本心からではなかったでしょうが結論としてジョンはメイを裏切り続けた。メイはジョンとの仕事で知り合った男性と結婚し2児をもうけ、ジュリアン・レノンとも良好な関係を保ち続けています。
一方ジョンの死後、配偶者のヨーコは共感型らしい、ジョンの生きざまを最大限に誇示した声明を発表しました。これは当時若かったメイには難しかったでしょう。ジョンが現在も絶大な「ロックのカリスマ」として語り継がれる最大の要因はこの時のヨーコのアピールにあった。そう言っても過言にはなりますまい。
みげか診断で人間関係をすべて語ることはできませんし、善悪の判断をつけることもできません。ただ、ジョン・レノンをめぐるいろいろなタイプの人々が織りなす人間模様がさまざまな名作を生み出す原動力となったことは確かなことで、その断面を「みげか」の力学から分析することはとても有用だとクルミアルクには思えるのです。
9/23月曜日にNHK-Fmで、クルミさんが第05話で診断したバランス型のお二人(杉真理さんと和田唱さん)がダブルDJを務める「ディスカバービートルズ2」の特番が放送されこの映画にも触れていらっしゃいました。ですから、こちらで多少ネタバレしても映画の魅力が損なわれることはないと思われます。
ビートルズから離れソロアルバムをリリースしていたジョンでしたが、ベトナム反戦運動のカリスマ的存在に祭り上げられたことでアメリカ政府から警戒され、公私ともに監視下に置かれていました。精神的にダメージを受けたジョンを見て妻・ヨーコは別居を言い渡します。そして二人の個人的秘書だった中国系アメリカ人のメイ・パンにこう提案するのです。
「あなたがジョンと一緒になるのがいいと思うの」
もちろん最初、メイは断ります。
「彼はあなたの夫ですよ?!」
しかし、ヨーコの強い要望に半ば折れ、メイはジョンと過ごすことになりました。
ここからがみけが診断です。
ジョンが創造型ということは第01話で述べました。この先は推測ですが、おそらく最初の結婚相手であったシンシアは再現型、オノ・ヨーコは共感型です。
創造型のジョンは自身が思い立ったら止まらない、動き続け暴走する傾向が強いことを重々把握していたので「無意識に」船の碇のような存在になりえる再現型のシンシアを配偶者に選びました。息子のジュリアンに恵まれたことで、安らぎの場として穏やかな家庭を持つジョンの夢は叶ったかのように思えました。
が、しかし、創作活動に行き詰まったある日、ジョンはヨーコと邂逅します。ストレートに前衛的な芸術作品を発表し続ける共感型なヨーコの存在は、創造型であるジョンを刺激するのに十分でした。ヨーコが妊娠したこともあって(流産してしまうのですが)ジョンはシンシアと離婚しヨーコと芸術的な共同生活を送るようになります。「ベッドイン」というイベントを反戦活動に結び付けることができたのも、ヨーコの共感性の賜物と言えるでしょう。
さて、冒頭に戻ります。
ジョンはFBIからの監視に神経をすり減らしていました。ヨーコの目の前で他の女性とセックスするなどかなり荒れていたようです。
共感型のヨーコが恐れたのは、ジョンがイギリスへ戻って前妻で再現型でもあるシンシアの元へ戻ることでした。そこでヨーコは苦肉の策として、再現性を持つ若い秘書・メイにジョンの相手をお願いしたのです。
船の碇になりえるのはあくまで再現性の高い存在です。もちろんヨーコにも再現性は少々あるのですが、メイやシンシアの方が再現性が高い。しかも当時メイはまだ20代でジョンを惹きつける若さとエネルギーがあった。シンシアへ戻るリスクを抑えつつ、また彼女の若さゆえに、ヨーコには配偶者であるジョンの心を自分がつかみ続けることが可能だという計算もあったようです。
ところが。
メイは再現性と共感性を併せ持つ「最強の実行者」なのです。このタイプはゴシップに強く立ち直りが早い。相手に共感を示しつつ自分の再現性でスケジュールや金銭の管理を手早く行える戦士です。シンシアにもヨーコにも見いだせなかった利点をメイに見出したジョンの元へ、ヨーコとはウマが合わなかったかつての仲間たちがやってくるようになります。そのなかにはビートルズメンバー3名もいました。
そして、なんと前妻シンシアと息子であるジュリアンもメイを頼ってジョンの元へやってきました。これはメイ自身が語るように、両親の離婚に傷ついたジュリアンの心を修復する「最大の功績」でありました。
「ディスカバービートルズ2」では、ジュリアンがジョンと過ごす海のシーンでバックに掛かった曲がジュリアンの"Saltwater"であることに触れています。ジョンのヒット曲の旋律を取り入れ、ジョージハリソンのギター監修の元でジョンそっくりな声による歌唱を聞く限り、ジュリアンもまたシンシア同様再現型と診断します。
(ちなみにジョンとヨーコの息子であるショーン・レノンは周囲との融和を重んじる共感型です。)
なかなか自分の元へ帰ってこないジョンに対するヨーコの態度は、共感型ならではの不安定さが目立ちます。「いますぐ謝れ」とばかりに注文ばかり送りつけるヨーコにジョンはすっかり嫌気が差します。この辺りは同じ共感型のクルミアルクにとっても自分自身の嫌な面を見るようでした。
ジョンはメイをマネージャーに据えあちこちのミュージシャンとジョイントし始めました。「最強の実行者」であるメイはジョンの良いところを上手に引き出しながら次々とアルバムづくりやコンサートを成功させていきます。このあたりは共感型再現型ハイブリッドの面目躍如といったところでしょう。
とはいえ、夫婦とはなかなか奇妙な運命共同体なのでしょうか。ヨーコはその後、再びジョンを呼び寄せた。メイは嫌な予感がしたのですが「すぐ戻る」と告げたジョンを送り出します。ですが、数週間後にメイの前に現れたジョンはもう以前のジョンではありませんでした。結局ジョンはヨーコを選んだのでした。
とはいえ、以後もジョンとメイはことあるごとに逢い、以前のようにベッドを共にした夜もままあったようです。そしてジョンはメイに変わらぬ愛を語り、「一緒に暮らそう」という話も出ていた。そうメイは証言しています。
1980年12月8日。ジョンは凶弾に倒れ帰らぬ人となりました。メイの悲しみはひとかたならぬものでしたが、彼女にとってはむしろ良かったのかもしれません。本心からではなかったでしょうが結論としてジョンはメイを裏切り続けた。メイはジョンとの仕事で知り合った男性と結婚し2児をもうけ、ジュリアン・レノンとも良好な関係を保ち続けています。
一方ジョンの死後、配偶者のヨーコは共感型らしい、ジョンの生きざまを最大限に誇示した声明を発表しました。これは当時若かったメイには難しかったでしょう。ジョンが現在も絶大な「ロックのカリスマ」として語り継がれる最大の要因はこの時のヨーコのアピールにあった。そう言っても過言にはなりますまい。
みげか診断で人間関係をすべて語ることはできませんし、善悪の判断をつけることもできません。ただ、ジョン・レノンをめぐるいろいろなタイプの人々が織りなす人間模様がさまざまな名作を生み出す原動力となったことは確かなことで、その断面を「みげか」の力学から分析することはとても有用だとクルミアルクには思えるのです。
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2サイトのURLを紹介しておきます。
・みげか3タイプ診断(すきづきん) https://coconala.com/services/2758631?ref=profile_top_service
・創造と再現と共感のあいだ https://novelup.plus/story/323748347
・みげか3タイプ診断(すきづきん) https://coconala.com/services/2758631?ref=profile_top_service
・創造と再現と共感のあいだ https://novelup.plus/story/323748347
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