MIGEKAのとびら

第09話 共感と再現のハイブリッド「最強の実行者」

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さて今回は過去再現型と現在共感型、2タイプのハイブリッドについてお話します。
このタイプは「最強の実行者」と呼ばれます。「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」はドイツの名宰相であるオットー・ビスマルクの名言ですが、歴史＝過去、経験≒現在と置き換えると、大衆を納得させる2大要素とも捉えることができます。

「最強の実行者」でクルミアルクが最初に思い浮かべるのは日本プロレス界を長年率いてきたジャイアント馬場さんです。プロレス界を切り開き戦後日本に明るさをもたらした創造型である力道山の弟子で、アントニオ猪木さんと共にプロレス界のレジェンドともいえる存在です。
「十六文キック」などに代表される古風な持ち技や、全日本プロレスを長年にわたりリードしてきた点で見た目はどちらかというと過去再現型とおもわれがちですが、若い頃は巨人軍のピッチャーでした。他の球団へ移籍をお考えになるタイミングで大けがをなさりプロ野球を引退しています。再現特化であれば心が折れてなかなか回復できないであろうアクシデントであったにもかかわらずそれを自らの肥しにできたのは共感型の要素あってこそでしょう。
また馬場さんはよくCMやバラエティー番組にも出演なさっています。共演者への心配りも評価が高く、多くの方に慕われました。まさに名実ともに「最強の実行者」であり続けたのでした。

それから、伊東四朗さん。こちらもかっちりした演技や努力型の芸風から過去再現特化型に見えてしまうことが多いですが、てんぷくトリオ時代に創造型である三波伸介の暴走を許容しつつ自らの活動の幅を広げ、小松政夫さんとコンビを組み「ベンジャミン伊東」名義で電線音頭で大ブレイクといった辺りは共感型の片鱗を思わせます。「白子のり」「タフマン」のCMでも生真面目な演技とコミカルさとのバランスを体現される「最強の実行者」です。ちなみに長年コンビを組んだ小松政夫さんは練りに練ったギャグを繰り出す再現型でした。

少々かわった例では、さだまさしさん。「関白宣言」などご自身の作品のみならず他アーティストへの提供曲（山口百恵さんの「秋桜こすもす」など）でビックヒットを飛ばす堅実な曲作りに定評があります。作家としても活躍の幅を広げている点などは揺るぎなき再現型を思わせるのですが、さださんは何よりコンサートのコミカルなMCがかなり、かなり評判です。再現型ではなかなか出来ない脱線ぶり、「最強の実行者」たる所以です。
似た路線ではスターダスト・レビューの根本要さんも「最強の実行者」と言えるでしょう。さださん同様のコミカルなMCにハマってしまうファンは後を絶ちません。特に根本さんは若手アーティストとの交流の多さも人気の原動力になってます。

ほかにもピアノとものまねを組み合わせたピン芸で活躍する清水ミチコさん、作曲家でバイオリニストの葉加瀬太郎さん、CNNニュースキャスターを務めたタレントの光岡ディオンさんを挙げることができます。光岡さんのパートナーである宮沢和史さんは「島唄」などのビッグヒットで沖縄に傾倒しつつも「ウチナーンチュではない視座」を大切にする創造型。また葉加瀬さんのパートナーである高田真由子さんは多趣味な共感型です。自らにない持ち味を他のタイプと共に歩む「みげか」の法則がここでも発揮されています。