160 / 163
第二章
マリアベルの両親と加護
しおりを挟むマリアベルが、神殿と共に立ち上げた [女性保護団体] の書類がやっと形になった。
「ちょっと見切り発車的な所もあるけど、形にはなったわね。
皆様、ありがとうございます。」
クレイ法務大臣の長男、ジャスティン•クレイは書類の束を纏めていた。
「これを30部作ってありますので、明日にも評議会に提出して来ます。
取り敢えず、認可をもらいましょう。
それから、また、改訂して行けば良いでしょう。」
「じゃあ、クレイ様、提出お願いしますね!」
「では、また後日、」
そう言うとジャスティン•クレイは事務所に、帰って行った。
************
「 さて、私も始めましょうか !」
私はそう言うと、ドレスを脱ぎ、肩にケープを巻いて、ドレッサーの前に座った
「マリアベル様、お化粧直しでしょうか?」
侍女3人組が、私の側に来て聞いてきた。
私はハサミを持ち、髪をチョキンと切った
「キャー、マリアベル様、おやめください、
誰かー、マリアベル様がー、止めてーー」
私は、ハサミを持つ手を押されられた。
ガブリエルが飛んで来た。
「どうされましたか?」
私の、髪の毛を見たガブリエルは
「プププ、お嬢様、やっちゃいましたねー!髪がガタガタですよ!
私が整えましょうか?」
「 ダメです、これ以上は切らないでぇー」
侍女さん達は悲痛な声で言った。
でも、切っちゃったものは仕方ない。
「ガブリエル、揃えてくれるかしら?
これくらいに揃えたいの。お願いね!」
私は顎先位の場所を手で示した。
「ガブリエル様、やめて下さいぃぃぃ」
「 お嬢様が切りたいと言うんだから、切らせてあげればいいだろう、なあ、メリッサ 」
メリッサは、コクコクとうなずいた。
ガブリエルはノリノリでチョッキン チョッキン、とハサミを、走らせる。
「さあ、出来上がりましたよ。」
ケープを外すと、左右の長さが違っていた。
「アハハハ、ガブリエル下手っぴー!!!」
「おかしいなぁ、ちゃんと切ったつもりなんだけどなぁ、、、」
「やっぱり、専門の髪切り職人を頼んできますね!」
ガブリエルがそう言ったので、私は、ついでに茶の染め粉も頼んだ。
「あれ、染めるんですか?
その長さに、茶の髪、昔みたいですね!」
「ガブリエル様、姫様を、止めて下さい、お願いします、、、」
侍女達が泣きながらガブリエルの足にしがみ付いた。
ガブリエルは言った
「 お嬢様は思いつきで暴走されますが、それには絶対に何が訳があります。
ねえ、お嬢様!」
「 さっすが!ガブリエル。よくわかっているわぁ~♡
金のマリアベルはいなくなるのよ!必要なのは ”ただの女神の依代の娘”
それには、普通の外見がいいのよ!
金持ちの我儘娘が、女性の保護を説いても、ただの金持ちの道楽だ思われるだけだわ!」
「 それにね、もうカツラかぶるのイヤなのよぉねー 」
あれ、暑いし、頭蒸れちゃうし、重いし、痒いと掻けなしい、、、、
私は独り言のように、ブツブツ文句を言った
~~~~~~~~~
マリアベルは、前世の女性活動家を真似て見ようと思ったのだ。
断髪でスーツでカッコ良かった!
“ ウーマンリブ ” そう呼ばれていたアメリカの女性解放の活動家
さすがに、スーツは無理だけど、ワンピースじゃなくてセパレーツ型にして、スカートはシンプルなAラインがいいわね!
[ 女性解放の母 マリアベル•クラレンス ]
うふふ、素敵な響きだわぁ~
マリアベルは、ちょっと妄想にふけっていた
~~~~~~~~~~
マリアベルが一生懸命にプレゼンの練習をしていると、来客の前触れがあった。
トラビス王の訪問である。
私は、衣服を整え、いつもの金のカツラをかぶる
「髪を切った事はナイショよ!」
皆に口止めをした。
陛下は大きな絵を持参していた。
人払いをした陛下は絵に掛かっていた布をは外した。
私は息を呑んだ
黄金色の巻毛の男性の肖像画であった。
博物館にあるアポロン像を、そのまま漫画にしてそれを擬人化したような•••
トラビス王は言った。
「 麗しいだろう。これがアーサーだ、
お前の本当の父親だ。」
ああ、陛下は私にこれを見せたかったのね!
でも•••
私この人知っている、誰だっけ?どこで見たんだっけ?
そして陛下は、胸元から懐中時計を取り出して、後ろ側の蓋を開けて見せた
「そしてこれが、お前の母、コーネリアだ」
これって、ギリシャ旅行に行った時見た”アルテミス像”ソックリ
アポロンとアルテミスは、たしか、何とか島で生まれたって、ガイドさんが言ってたけど•••
これって女神さまだよね?
私の母親って女神様のソックリさん?
確かに2人とも異常に綺麗なんだけど、、、
何だか漫画っぽい。
やっぱり、知っている気がする
「アーサーはな、太陽王の生まれ変わりと
言われていた程の美男子だったのだよ。」
(ふむふむ、そりぁ、アポロンそっくりだもんね)
「 そして、コーネリアは女神様の再来といわれておった」
( まー、アルテミスだからねー、そーだよね
)
「そして、コーネリアはケイ様の腹にいた時から銀の煌めきを漂わせていた。
お前もコーネリアの腹にいた時は、金の煌めきを出していたと言う。」
「じゃあ、私がキラキラするのは母からの遺伝なんですね!」
私がそう聞くと王は答えた。
「 金はアーサーから、銀はコーネリア、
これから運命に飲み込まれる娘に、2人は最大の加護を残したのであろう。
まだ、ハッキリとした事は分からんが、私はそう思っておる。」
そうだったのか!
加護はギフト、いただき物だとアビゲール様が言っていた。
私の煌めきの加護は、実の父と母からのプレゼントだったのか••••
顔を見ることも出来ない娘の為に、、、
自分で育てる事が出来ない娘を案じて、、、
そう思ったら胸が熱くなり涙が浮かんで来た。
陛下は私の手を掴み、以前贈った三連リングを撫でた。
「 お前のこの指輪、黒にはケイ様の髪、銀にはコーネリアの髪を芯に入れ込んであると以前言ったであろう。
金にはアーサーの髪が入っているのだよ。
皆の加護があるようにとな、、、」
本来なら、本物のマリアベルちゃんが受け取るべき指輪。
私でよいのだろうか?
私がマリアベルになってもよいのであろうか•••
女神様が ”好きに生きてよい” と言ってくれた。
そうよ!私は、マリアベル•光子•クラレンス
女神様からマリアベルの生を引き継いだのよ!
だから、過去もこれからの未来も引き継ぐ。
そう心に決めたのだった。
「 陛下、私の幸せは沢山の人によって支えられてきたのですね!」
私は陛下の手を握り返した。
「 確かに、皆が支えて来たが、掴み取ったのはお前だ!
お前自身の決断が “幸せな結末” を掴み取ったのだよ。」
「私、まだ人生長いんですのよ!
離婚もしましたし、これから女性の会の設立もあります。
人生の結末なんてまだまだ先の話ですわよ。」
何となく、吹っ切れたように感じた
「ハハハ、それもそうだな、」
「 ケイ様が未来を語った日記があるのだ。
その写しがノーザンコートにある。よかったら見せてもらいなさい。
神の国の言葉で書かれてあるので読めないのだかな!
お前の祖母の日記だ!是非目を通しておきなさい 」
「 はい 」
(神の国の言葉?どんな字なのかしら)
~~~~~~~~~~~~~
夜、布団に入って眠りにつく。
ウトウトとして、、、、
あっ、あれ?、あれだ!
孫が見せてくれた携帯の待ち受け写真
キラキラとして 雪の中で、幸せそうに抱き合っている男女の絵
確か、ゲームの一場面だって言っていた。
これが欲しくて、課金したとか••••
あれ、コーネリアとアーサーだ!!!
てっ、ことは? コーネリアとアーサーはゲームの中の人???
でも私、生きて動いているし••• 変な感じ。
この世界、やっぱりゲームと同じ世界なのかしらね!
てっ、ことは、やっぱり私が悪役令嬢?
悪役令嬢は修道院に行くから、、、
やっぱりそうよねぇ、決まりだわ!
[悪役令嬢マリアベル]
フフフ、だから私、学園で嫌われてたのね。
まぁ、思い出したから安心したわ。
明日も忙しいからもう寝なくっちゃ
( 真実に近づきつつも、やっぱり異世界転生の意味がよく分かっていない、おばあちゃんであった)
~~~~~~~~~~~~~~~~
0
お気に入りに追加
173
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
異世界成り上がり物語~転生したけど男?!どう言う事!?~
繭
ファンタジー
高梨洋子(25)は帰り道で車に撥ねられた瞬間、意識は一瞬で別の場所へ…。
見覚えの無い部屋で目が覚め「アレク?!気付いたのか!?」との声に
え?ちょっと待て…さっきまで日本に居たのに…。
確か「死んだ」筈・・・アレクって誰!?
ズキン・・・と頭に痛みが走ると現在と過去の記憶が一気に流れ込み・・・
気付けば異世界のイケメンに転生した彼女。
誰も知らない・・・いや彼の母しか知らない秘密が有った!?
女性の記憶に翻弄されながらも成り上がって行く男性の話
保険でR15
タイトル変更の可能性あり
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
[完結]前世引きこもりの私が異世界転生して異世界で新しく人生やり直します
mikadozero
ファンタジー
私は、鈴木凛21歳。自分で言うのはなんだが可愛い名前をしている。だがこんなに可愛い名前をしていても現実は甘くなかった。
中高と私はクラスの隅で一人ぼっちで生きてきた。だから、コミュニケーション家族以外とは話せない。
私は社会では生きていけないほどダメ人間になっていた。
そんな私はもう人生が嫌だと思い…私は命を絶った。
自分はこんな世界で良かったのだろうかと少し後悔したが遅かった。次に目が覚めた時は暗闇の世界だった。私は死後の世界かと思ったが違かった。
目の前に女神が現れて言う。
「あなたは命を絶ってしまった。まだ若いもう一度チャンスを与えましょう」
そう言われて私は首を傾げる。
「神様…私もう一回人生やり直してもまた同じですよ?」
そう言うが神は聞く耳を持たない。私は神に対して呆れた。
神は書類を提示させてきて言う。
「これに書いてくれ」と言われて私は書く。
「鈴木凛」と署名する。そして、神は書いた紙を見て言う。
「鈴木凛…次の名前はソフィとかどう?」
私は頷くと神は笑顔で言う。
「次の人生頑張ってください」とそう言われて私の視界は白い世界に包まれた。
ーーーーーーーーー
毎話1500文字程度目安に書きます。
たまに2000文字が出るかもです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
最底辺の転生者──2匹の捨て子を育む赤ん坊!?の異世界修行の旅
散歩道 猫ノ子
ファンタジー
捨てられてしまった2匹の神獣と育む異世界育成ファンタジー
2匹のねこのこを育む、ほのぼの育成異世界生活です。
人間の汚さを知る主人公が、動物のように純粋で無垢な女の子2人に振り回されつつ、振り回すそんな物語です。
主人公は最強ですが、基本的に最強しませんのでご了承くださいm(*_ _)m
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
没落した建築系お嬢様の優雅なスローライフ~地方でモフモフと楽しい仲間とのんびり楽しく生きます~
土偶の友
ファンタジー
優雅な貴族令嬢を目指していたクレア・フィレイア。
しかし、15歳の誕生日を前に両親から没落を宣言されてしまう。
そのショックで日本の知識を思いだし、ブラック企業で働いていた記憶からスローライフをしたいと気付いた。
両親に勧められた場所に逃げ、そこで楽しいモフモフの仲間と家を建てる。
女の子たちと出会い仲良くなって一緒に住む、のんびり緩い異世界生活。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
異世界で魔法が使えるなんて幻想だった!〜街を追われたので馬車を改造して車中泊します!〜え、魔力持ってるじゃんて?違います、電力です!
あるちゃいる
ファンタジー
山菜を採りに山へ入ると運悪く猪に遭遇し、慌てて逃げると崖から落ちて意識を失った。
気が付いたら山だった場所は平坦な森で、落ちたはずの崖も無かった。
不思議に思ったが、理由はすぐに判明した。
どうやら農作業中の外国人に助けられたようだ。
その外国人は背中に背負子と鍬を背負っていたからきっと近所の農家の人なのだろう。意外と流暢な日本語を話す。が、言葉の意味はあまり理解してないらしく、『県道は何処か?』と聞いても首を傾げていた。
『道は何処にありますか?』と言ったら、漸く理解したのか案内してくれるというので着いていく。
が、行けども行けどもどんどん森は深くなり、不審に思い始めた頃に少し開けた場所に出た。
そこは農具でも置いてる場所なのかボロ小屋が数軒建っていて、外国人さんが大声で叫ぶと、人が十数人ゾロゾロと小屋から出てきて、俺の周りを囲む。
そして何故か縄で手足を縛られて大八車に転がされ……。
⚠️超絶不定期更新⚠️
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
神様に与えられたのは≪ゴミ≫スキル。家の恥だと勘当されたけど、ゴミなら何でも再生出来て自由に使えて……ゴミ扱いされてた古代兵器に懐かれました
向原 行人
ファンタジー
僕、カーティスは由緒正しき賢者の家系に生まれたんだけど、十六歳のスキル授与の儀で授かったスキルは、まさかのゴミスキルだった。
実の父から家の恥だと言われて勘当され、行く当ても無く、着いた先はゴミだらけの古代遺跡。
そこで打ち捨てられていたゴミが話し掛けてきて、自分は古代兵器で、助けて欲しいと言ってきた。
なるほど。僕が得たのはゴミと意思疎通が出来るスキルなんだ……って、嬉しくないっ!
そんな事を思いながらも、話し込んでしまったし、連れて行ってあげる事に。
だけど、僕はただゴミに協力しているだけなのに、どこかの国の騎士に襲われたり、変な魔法使いに絡まれたり、僕を家から追い出した父や弟が現れたり。
どうして皆、ゴミが欲しいの!? ……って、あれ? いつの間にかゴミスキルが成長して、ゴミの修理が出来る様になっていた。
一先ず、いつも一緒に居るゴミを修理してあげたら、見知らぬ銀髪美少女が居て……って、どういう事!? え、こっちが本当の姿なの!? ……とりあえず服を着てっ!
僕を命の恩人だって言うのはさておき、ご奉仕するっていうのはどういう事……え!? ちょっと待って! それくらい自分で出来るからっ!
それから、銀髪美少女の元仲間だという古代兵器と呼ばれる美少女たちに狙われ、返り討ちにして、可哀想だから修理してあげたら……僕についてくるって!?
待って! 僕に奉仕する順番でケンカするとか、訳が分かんないよっ!
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
神の加護を受けて異世界に
モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。
その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。
そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す
紅月シン
ファンタジー
七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。
才能限界0。
それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。
レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。
つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。
だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。
その結果として実家の公爵家を追放されたことも。
同日に前世の記憶を思い出したことも。
一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。
その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。
スキル。
そして、自らのスキルである限界突破。
やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。
※小説家になろう様にも投稿しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる