転生したおばあちゃんはチートが欲しい ~この世界が乙女ゲームなのは誰も知らない~

ピエール

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第二章

ジェイコブのお詫び行脚 後日談

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部屋に入ると美味しそうな匂いが鼻腔をくすぐる。
テーブルにはご馳走(王宮とは程遠いが)が並んでいた。
「お帰りなさい、守備良く行きましたか?」
ハロルドが帰りを待っていてくれたのだ

「美味そうだが••、私は そんなにもう 払う金はないぞ。」ジェイコブはご馳走を横目で見ながら残念そうに言った。

「嫌だなぁ。ジェイコブさん、僕を守銭奴みたいに言わないで下さいよぉ~。
今日はお祝いだから僕からのプレゼントですよ!」

 「お祝い?何のお祝いなのだ?」
ジェイコブは首を傾げた。

「だって、ジェイコブさん 頭を下げたの初めてだったんでしょ!だからです。
今まで、"すまない"とは言った事はあっても頭は絶対に下げなかった。
そう言う育ちの人なのだと思っていました。」

(お前の目にはそんな風に映っていたのか•••)
「済まなかった」
ジェイコブは土下座をしようと膝を折った。

「こう言う時は土下座じゃなのよ、頭をペコンと下げるの!」
マリアベルはジェイコブを立たせ、背中をポンポンした。

( そうか、頭の下げ方にも色々あるのだな。
世の中は、知らない事だらけだ••• )
ジェイコブはまた1つ賢くなった。


***********************

ジェイコブは疲れていたのか深い眠りに陥っていた。

「ねえ姫様、ジェイコブさんヤバくない?」

ハロルド、貴方もそう思う?

「あの人、このまま大人になったら誰かに騙されるよ。」

素直で、純粋で、真っ直ぐで、疑う事を知らない••••
「危険だわ!どうしよぅ••• 」

ハロルドとマリアベルは頭を抱えた。

*******************************


次の日、ザビーネ王妃は、サウスベリー侯爵夫人を お茶に招待していた。

「侯爵夫人、愚息が本当に申し訳ない事を•••」王妃は頭を下げた。

「 王妃様、頭をお上げ下さい。
謝罪でしたら、昨日 殿下とマリアベル様から沢山していただきましたわ、
御二方から平伏の謝罪を受けましたの。
もう、それはお釣りがくるほど丁寧な謝罪でしてたわ。」

  ( あの、選民意識の強いジェイコブが、平伏して謝罪を口にした••• )
王妃はとても驚いた。

「 マリアベル様が殿下の頭を “ハリセン” と言う物で、スパーンと、、、
ウフフ、爽快でしたわ!

わたくしもノーザンコート伯に頼んで ハリセンを注文いたしましたのよ。
主人が身勝手な事を申したら、アレで <スパーン> としようと思いましてね!オホホ  」

「そうなのよ!マリアベルから、ハリセンという物で叩いてもよいか? と打診が来てましたのよ。」

王妃はマリアベルとの会話を話して聞かせた。

「子供を叱る時に、ご自分の手を揚げる事は大変躊躇されると思うのです。
 かと言って、他人に代わりに叩かせると、虐待となり子供の心に傷が残る事があります。
 この <ハリセン> でしたら叩いても痛くない。でも、[叩かれた=注意された]と子供の心に残ります。
 叩いた私達の方も、直接叩かずにすむので 罪悪感が薄らぎます。鞭より人道的ですよ!」

「本当に面白い事を考える娘ですわ。
あーいう頭の良い娘が、ジェイコブと結婚してくれるとわたくしも安心なのですが•••
マリアベルとでは 血が近すぎるでしょ!残念だわぁ、、、」

「そうですわね、三親等ですものねぇ、、、
そうそう、マリアベル様と[夜の王]との御婚約は如何なさいますの?
今、その話題で持ち切りですのよ。
トレシンジャー将軍の未亡人なんて、先日、パーティーで大泣きしてらしたわ!」

「まあ、そうなの!
ドゥラーク卿はおモテになるから•••」
(あの方、将軍の未亡人とも関係があったのかしら?)

王妃ザビーネは王の駄々を思い出した。
そして、マリアベルの今後の事を考えると頭が痛くなり、思わず、こめかみをグリグリとした。

*******************

マリアベルが納めたお詫びの純金コイン

ノーザンコート伯爵が特別に作られた物だった。
コイン表面にはマリアベルに似せた女神の彫像。
コイン裏面にはウレクラの花とシリアルナンバーが刻印させていた。

[お祖父様曰く]
 普通、こういう品物は売却をせず保管しておくものなのだ。
 もし、市場に出回るとしたら、金に困っているか、もしくは我が家に敵意がある、とみなされる。
 まぁ、なにも考え無しの、馬鹿者もいるがな!

出回っても番号が振ってあるから誰が流したかわ直ぐ分かる、、、



流石、お祖父様!考えにスキが無い。
生き馬の目を抜くとは正にこの事だわ。尊敬しちゃう。

「 お祖父様、大好き♡チュッ 」

マリアベルは祖父に尊敬の念を、ほっぺに示したのであった。



ノーザンコート伯チャールズは、
この件を 皆に自慢しまくったのは、言うまでもない•••

*****************






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