上 下
96 / 163
第二章

トラビス王の回想

しおりを挟む

こんな雪混じりの夜更けには、叔父君の事を思い出させる。
叔父と会ったのは あれが最後であった。
荒れた天気の中、馬を飛ばしてコーネリアに逢いに来た叔父。
衰弱しても尚も輝くように美しい叔父アーサー
父王に挨拶をしてすぐさま神殿に帰ってしまった。
「父上、叔父君をこのままお返ししてもよいのでしょうか?」あの弱り様では危険だと思い進言した。

「あれが、アーサーの選択なのだ! 私達は送り出すしかないのだ。私はそれしか出来ないのだよ••••」

王となってみて、今なら少しは理解出来る。
自分の選択の重みを、、、

「叔父君•••」
叔父の為に今日は祈ろう。


(一部の救いはあります。幸せな終わりが、、、、)
誰だかが呟く。誰だったか、

はっ、と目が覚めた。

フレディだ!フレディがキーワードだ!

そうだ!ケイ様は[マリアベルがフレディと良好な交友関係を築く事が何が別の選択に進む可能性がある]と、亡くなる前におっしゃっていた!

何故、忘れていたのか?
もう、絶対に忘れてはいけない、と紙に書き留めた。



今回の呪いには二つの道があるの。
一つは不幸になる終わり。
一つは幸福になる終わり。
私は不幸になる終わりしか 知らないの。
幸福ルートを探しているうちに生を終わらせてしまったから•••
でも、確かに幸福になる道は存在する。
それにハワードの長子が、フレディが関係するらしいの。
全て、推測だけど、暗い未来だけでは無い。
お願い、あの子を、私の孫を、幸せに導いて•••




そうだ!ケイ様は死に際にそうおっしゃったではないか!!!
こんな重要な事を何故忘れいたのだ!
そして、それをこの時期に思い出すとは•••
やはりこれは、神の介入なのか••••

コーネリアは傾国だった。
関わった男は彼女を欲してしまう。
あの美貌、あの風情、あの声、
父王とケイ様が隠したのも当然だと思う。
あれが社交界に出たなら、至る所で騒ぎが起き、国が乱れてしまっていただろう。
あの堅物のテオですら「妻子を捨てる!」と言い出したくらいだからな!

その母と、全ての女性を虜にする程麗しい叔父 との間に生まれた娘、マリアベル。
隠さずにはいられないのは 当たり前の事だろう。
私はそう思い カツラを用意し 厳重に[視覚誤認]の魔法陣を施した。

それがいけなかったのか?
マリアベルの気配を変えさせた為に、息子達三人が 彼女を誤解してしまったのではないのか?

ノーザンコートからの連絡によると、最近ではその魅力はカツラでは押さえ切れなくなっているらしい。
既に、マリアベルのファンクラブが存在しているとの事だ。

アクセサリーなどで誤認の重ね付けをした方がよいやも知らぬなぁ

いずれは、あの、銀に輝く金の髪をさらして社交の場にでなければならない。
日に日に 花がほころぶように 美しくなっていくマリアベル。
その時、私達はあの子を守りきれるか???

「やはり、塔に閉じ込めて置いたほうがよいのでは••••」

いけない、一体なぜこんな風に考えてしまうのか••••

明日、[ケイ様の遺言]を思い出した事を伝えてなければ、
一筋の光を見出した私はワクワクと子供のように浮かれ、その後はなかなか寝付けなかった。










しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

みんなで転生〜チートな従魔と普通の私でほのぼの異世界生活〜

ノデミチ
ファンタジー
西門 愛衣楽、19歳。花の短大生。 年明けの誕生日も近いのに、未だ就活中。 そんな彼女の癒しは3匹のペット達。 シベリアンハスキーのコロ。 カナリアのカナ。 キバラガメのキィ。 犬と小鳥は、元は父のペットだったけど、母が出て行ってから父は変わってしまった…。 ペットの世話もせず、それどころか働く意欲も失い酒に溺れて…。 挙句に無理心中しようとして家に火を付けて焼け死んで。 アイラもペット達も焼け死んでしまう。 それを不憫に思った異世界の神が、自らの世界へ招き入れる。せっかくだからとペット達も一緒に。 何故かペット達がチートな力を持って…。 アイラは只の幼女になって…。 そんな彼女達のほのぼの異世界生活。 テイマー物 第3弾。 カクヨムでも公開中。

ざまぁされるための努力とかしたくない

こうやさい
ファンタジー
 ある日あたしは自分が乙女ゲームの悪役令嬢に転生している事に気付いた。  けどなんか環境違いすぎるんだけど?  例のごとく深く考えないで下さい。ゲーム転生系で前世の記憶が戻った理由自体が強制力とかってあんまなくね? って思いつきから書いただけなので。けど知らないだけであるんだろうな。  作中で「身近な物で代用できますよってその身近がすでにないじゃん的な~」とありますが『俺の知識チートが始まらない』の方が書いたのは後です。これから連想して書きました。  ただいま諸事情で出すべきか否か微妙なので棚上げしてたのとか自サイトの方に上げるべきかどうか悩んでたのとか大昔のとかを放出中です。見直しもあまり出来ないのでいつも以上に誤字脱字等も多いです。ご了承下さい。  恐らく後で消す私信。電話機は通販なのでまだ来てないけどAndroidのBlackBerry買いました、中古の。  中古でもノーパソ買えるだけの値段するやんと思っただろうけど、ノーパソの場合は妥協しての機種だけど、BlackBerryは使ってみたかった機種なので(後で「こんなの使えない」とぶん投げる可能性はあるにしろ)。それに電話機は壊れなくても後二年も経たないうちに強制的に買い換え決まってたので、最低限の覚悟はしてたわけで……もうちょっと壊れるのが遅かったらそれに手をつけてた可能性はあるけど。それにタブレットの調子も最近悪いのでガラケー買ってそっちも別に買い換える可能性を考えると、妥協ノーパソより有意義かなと。妥協して惰性で使い続けるの苦痛だからね。  ……ちなみにパソの調子ですが……なんか無意識に「もう嫌だ」とエンドレスでつぶやいてたらしいくらいの速度です。これだって10動くっていわれてるの買ってハードディスクとか取り替えてもらったりしたんだけどなぁ。

転生受験生の教科書チート生活 ~その知識、学校で習いましたよ?~

hisa
ファンタジー
 受験生の少年が、大学受験前にいきなり異世界に転生してしまった。  自称天使に与えられたチートは、社会に出たら役に立たないことで定評のある、学校の教科書。  戦争で下級貴族に成り上がった脳筋親父の英才教育をくぐり抜けて、少年は知識チートで生きていけるのか?  教科書の力で、目指せ異世界成り上がり!! ※なろうとカクヨムにそれぞれ別のスピンオフがあるのでそちらもよろしく! ※第5章に突入しました。 ※小説家になろう96万PV突破! ※カクヨム68万PV突破! ※令和4年10月2日タイトルを『転生した受験生の異世界成り上がり 〜生まれは脳筋な下級貴族家ですが、教科書の知識だけで成り上がってやります〜』から変更しました

残念ながら主人公はゲスでした。~異世界転移したら空気を操る魔法を得て世界最強に。好き放題に無双する俺を誰も止められない!~

日和崎よしな
ファンタジー
―あらすじ― 異世界に転移したゲス・エストは精霊と契約して空気操作の魔法を獲得する。 強力な魔法を得たが、彼の真の強さは的確な洞察力や魔法の応用力といった優れた頭脳にあった。 ゲス・エストは最強の存在を目指し、しがらみのない異世界で容赦なく暴れまくる! ―作品について― 完結しました。 全302話(プロローグ、エピローグ含む),約100万字。

無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す

紅月シン
ファンタジー
 七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。  才能限界0。  それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。  レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。  つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。  だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。  その結果として実家の公爵家を追放されたことも。  同日に前世の記憶を思い出したことも。  一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。  その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。  スキル。  そして、自らのスキルである限界突破。  やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。 ※小説家になろう様にも投稿しています

転生したら唯一の魔法陣継承者になりました。この不便な世界を改革します。

蒼井美紗
ファンタジー
魔物に襲われた記憶を最後に、何故か別の世界へ生まれ変わっていた主人公。この世界でも楽しく生きようと覚悟を決めたけど……何この世界、前の世界と比べ物にならないほど酷い環境なんだけど。俺って公爵家嫡男だよね……前の世界の平民より酷い生活だ。 俺の前世の知識があれば、滅亡するんじゃないかと心配になるほどのこの国を救うことが出来る。魔法陣魔法を広めれば、多くの人の命を救うことが出来る……それならやるしかない! 魔法陣魔法と前世の知識を駆使して、この国の救世主となる主人公のお話です。 ※カクヨム、小説家になろうにも掲載しています。

~クラス召喚~ 経験豊富な俺は1人で歩みます

無味無臭
ファンタジー
久しぶりに異世界転生を体験した。だけど周りはビギナーばかり。これでは俺が巻き込まれて死んでしまう。自称プロフェッショナルな俺はそれがイヤで他の奴と離れて生活を送る事にした。天使には魔王を討伐しろ言われたけど、それは面倒なので止めておきます。私はゆっくりのんびり異世界生活を送りたいのです。たまには自分の好きな人生をお願いします。

前世は悪神でしたので今世は商人として慎ましく生きたいと思います

八神 凪
ファンタジー
 平凡な商人の息子として生まれたレオスは、無限収納できるカバンを持つという理由で、悪逆非道な大魔王を倒すべく旅をしている勇者パーティに半ば拉致されるように同行させられてしまう。  いよいよ大魔王との決戦。しかし大魔王の力は脅威で、勇者も苦戦しあわや全滅かというその時、レオスは前世が悪神であったことを思い出す――  そしてめでたく大魔王を倒したものの「商人が大魔王を倒したというのはちょっと……」という理由で、功績を与えられず、お金と骨董品をいくつか貰うことで決着する。だが、そのお金は勇者装備を押し付けられ巻き上げられる始末に……  「はあ……とりあえず家に帰ろう……この力がバレたらどうなるか分からないし、なるべく目立たず、ひっそりしないとね……」  悪神の力を取り戻した彼は無事、実家へ帰ることができるのか?  八神 凪、作家人生二周年記念作、始動!  ※表紙絵は「茜328」様からいただいたファンアートを使用させていただきました! 素敵なイラストをありがとうございます!

処理中です...