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第二章

マリーちゃんクラブ

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マリアベルの考案した品物はベル印を付けて販売されている。
今回の[ナンキー編みすだれ]も、そうだ。
これは、あのステージを見ていた壮年の貴族達から火がついた。
ノーザンコート伯爵に、マリアベル嬢の持っていた不思議な伸びる物 を教えて欲しいと言う要望が舞い込んで来た。
すぐさま作ってマリアベルの肖像画がついた箱に入れ販売してみた。
これが、売れた!大変売れた!
そして、あの不思議な音楽と 奇妙だが乗りの良い口上も教えて欲しいとの依頼が沢山来た。
それもマリアベル直々にと••••

(マリアベルはオジサンのアイドルと化していたのだ!
あの、舞台を見ていたオジサン達はマリアベルに魅了された、つまりファンになったのであった。)

これは冬休みにでも[編みすだれ講座]を開いた方がよいなぁ~
ノーザンコート伯爵はそう考えていた。

「父上、すだれの試作品ができて来ました」

「おお、そうか
これは、夏販売だからそう急がなくてもよいな。
いや、色を付けて絵でもかいて、結ぶ紐を華美にして、房飾りを付けたら 貴族にもいけるかも?
それも試作もしてみるか、」

「マリーは本当に素晴らしい娘ですね。
ローガンが粗末にするなら、うちの子にするつもりでしたよ!」

「なぁ、お前もそろそろ直接会ったらどうだ?」
伯爵はシガーの口を綺麗に整えながら言った

「ククク、いつになったら気がつくかなぁ?と思って、、、」

「でも、お前の視覚誤認は大したものだよ。」

「まあ、私は自分で意識して誤認を狙っていますからね、マリアベルのカツラとはちょっと違うかな?
最近、マリアベルの 『人を引きつける魅力』はカツラでは隠し切れなくなっていますよ。
王に進言しておかなければ!」

「まあ、今の処は年寄りばかりが夢中になっているがなぁ。」

「ああ、それはそうと•••
デュカスの娘の仕返しは私がしてもよいですか?」

「好きにしてよいぞ!」
ノーザンコート伯爵は、ニヤッと笑って男を見た

「やったー、久しぶりの悪戯だ」
そう言って男は、子供のように小躍りしながら去っていった。



その男は、モーリス
ノーザンコートの後継 モーリス•ノーザンコートである。
人は変わり者のモーリスと言う
トラビス王の魔道具友達であり、気配を消すのが得意な男である。
影が薄いと言われるが意識して薄くしているのだった。
そして稀代の悪戯好き
パーティでは女性の髪飾りを左右刺し替えたり、男性のチーフを抜き落としたり、
コッソリとコーヒーに塩を入れたり、

そんな彼が仕返しという悪戯の許可を得た。
久しぶりに大掛かりなイタズラが出来るとワクワクしていた。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


[Mの悪戯]


「シー•キュー シー•キュー. こちらM、どうぞ」

「こちら、B. ターゲット外出します。
行先 ブディック•カノン、どうぞ」

「 カノン裏待機、どうぞ」

「こちらK <鷹> 到着どうぞ」

「こちらM、ただちにカノンに向かう」

これは私が開発した魔導無線だ、使用者全員で1つの魔石に風魔法を注入して。声を風に乗せて運ぶ。
これを人数分用意する。
なかなか 大人数での魔石の魔力共有が難しく、かなりの数の魔石を無駄にしてしまったが••••
まあ、ご愛嬌ということで、、、

モーリスことMは カノン洋裁店へ向かった。

「シキュー.シキュー マルタイINどうぞ」

待つ事1時間

「マルタイ出ます スタート」よし、始まりだ

  <鷹 >、向かえーー

 <鷹>がカミュの純金の髪留めを取って飛ぶ
「待って、わたくしのよーー」

 <鷹>、待機している作業員に化けた手の者の側に 髪留めをポトンと落とす。
 「穴掘るっペー」
ガンガン、ガンガン、ツルハシで叩く
あれ?これ?金じゃないぞ?模造品?

 デュカス親子追いついて髪留めを探す

「探し物は、オモチャですかい? 」
作業員に扮した手の者が声を掛けた

「オモチャじゃないわよ、純金とルビーよ、早く探しなさいよ!」

「イャぁ、確かにこれですよ!髪留めを渡す」

カミーユ、唖然
「お父様、わたくしを騙したのですか?これ偽物じゃないのー」
「いや、出来上がりが間に合わなくて•••その、支払いの関係で、その、、」
デュカス侯爵、しどろもどろになる。

親子喧嘩をしている最中に、
(こちらの手の者の)馬車が通り泥水がバシャとはねる
「きゃー、イャァー」
デュカス親子泥まみれ。

回りにいた人々に囲まれて ゲラゲラ笑われている。

「きゃー、どうにかしなさいよ!
庶民のくせに、わたくしを笑い物にするなんて、ムチで叩いておしまい!」
カミーユ、ヒステリックに叫びまくる。
デュカス侯爵「早く馬車を呼べ!!!」怒鳴りまくる。

騒ぎを聞いて警ら隊駆けつける。
「なんの、騒ぎですか?」

「侯爵たる私に泥水をかけたヤツがいるのだ、早く捕まえて処刑しろ。」
「わたくしの 髪留めを壊した庶民がいるの、早く捕まえて。」

「泥水がはねたぐらいで 処刑とは、、
髪留めを壊したって、オモチャのですか?
どこに、そんな人が•••
取り敢えず事情をお聞きします。」

泥まみれになったデュカス親子は、警ら隊詰所に徒歩で連行されて行った。

回りから笑い声がこだました。
 「馬鹿野郎、ザマーみろ、ザマーみろ、」




モーリス隊長、上手く行きましたね!

いゃぁー、<鷹 >1回使ってみたかったんだよなぁ。

髪飾り 純金だなんて 娘に嘘ついて、貧乏なんっスかねぇ?

面白かったですね。また、やりましょうね!

「全く、うちの マリーちゃんをイジメるなんて、ふてぇー野郎だ!」

参加者全員、ノーザンコートの「マリーちゃんクラブ」所属メンバーであった。



**************

今まで話の中で

訳も無く、ドアが開いたり、、、

吹き出したり、、、

人の気配がしたり、、、

それは、モーリスでした!!!

***************















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