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第二章
お父様の秘密
しおりを挟む医者が呼ばれた。
診察したところ、体には異常はなかった
ただ、動揺が激しく鬱状態にあるとの事。
心の病い、と診断された。
「セバスチャンを、セバスチャンを頼む」
倒れてから食事を取っていない父はゲッソリと痩せ細っていた。
せめて父におまじないをと思ったのだが、「私には会えない。合わす顔が無い」
と会ってくださらない。
セバスチャンがやっと到着した。
セバスチャンは父の寝室に入り、長い間 話をしていた。
「旦那様、お嬢様、ローガン様からお話があるそうです。」
私たちは寝室に赴いた。
父はポツリ、ポツリと話し始めた。
「あの日はお前の里帰りで侍女達がいなかった。
コーネリアにいつものお休みの挨拶に行き、、、、
そして、その日私達は本当の夫婦になった。
いつもなら、お休みのキスだけして部屋に帰るのだが、その日は、なんだか一緒にいたくて•••
それなのに、彼女は、気が付いたら出血して、白いシーツが真っ赤に染まって、
あ、あー、私が殺してしまったのだ。
私が焦ったばかりに、、、
マリアベル、すまぬ、すまぬ、すまぬ
お前から母を奪ってしまった。」
セバスチャンは言った。
「隠したのは私でございます。私が血で汚れたシーツを変え、寝巻きを着替えさせ、営みで出血した事を隠すために偽装しました
罪は私にあります。罰するなら私を」
そうだったのかぁ、産後出血が酷かったのか。
出産は命がけ。医療の進んでいないこの世界では、大変だったでしょうに。
私の里帰りって出産後五か月経過している。
そこで多量出血はおかしいわよね。
もともと子宮の血管が切れていたんじゃないのかしら?
なんか、そう聞いた事あるわ。
でも、それはお父様のせいでは無い。
だって五か月も我慢したんですもの。
偉いと思う。
泣く父の手を取って私は言った。
「お父様、もう重荷を下されては如何ですか?
多分、お母様は 自分の命を悟っておいでだったのです。
たから、お父様と せめて一夜だけでも夫婦になりたかった。
私はそう思うのです。」
でも、でも、、父はグズグズ言っている。
「お父様、女は出産すると母になり そう言う気持ちには、なかなか成りずらいものなのです。
なのにお父様を受け入れた。
それは、お母様の本意だったのですわ、
これは絶対です。娘の私が保証します!
ですので、お父様もシャンとする。ねっ!
二人は相愛の夫婦だったのですからね。」
父は私をキツく抱きしめて言った
「私を許してくれるのか、おまえは、、、」
「お父様、大好きですわ。」
父の背中をトントンした
私の体と父の体に銀の雨が、降り注いだ。
祖父は呟いた。「ああ、この事だったのか•••」
「ケイ様のご遺言だ。」
「ローガンが自分を責めて落ち込んでいたら、貴方のせいでは無いのと 慰めてあげて。
コーネリアが貴方を愛したせいだから。と言ってあげて。」
父がは泣きに泣いた。
全てを洗い流すように声を上げて泣いた、まるで赤子のように、、、
**********************
その夜、ノーザンコート伯爵の書斎にて、セバスチャンは寝酒の準備をしていた。
この事が ローガンのトラウマになっていたのか!
申し訳ございません、あの時は私も気が動転していて、隠さなければと思い必死でした。
ワシに言ってくれておれば、
みすみす アイラに付け入る隙を与えてしまった。
イヤ、同じ事か••• ローガンは女々しいからなぁ~
同じ兄弟でも、兄の方はあれだけしっかりといておるに。
申し訳ございません。
なんとかローガン様を庇おうと、私の浅知恵でした。
でも、マリアベルは何故あんなに達観的なのだろうか?
さあ、マリアベル様ですからねぇ、
あれと話していると、時々祖母と話しているような気になって仕方ないのだ。
大旦那様、流石に先先代様に例えるのはマリアベル様がお可哀想ですよ!
でもなぁ、あの年では 出産後の気持ちなんて、普通は 分からんだろうに???
それが、マリアベル様なのでしょう。
そうだな、可愛い孫だな。
私は、肩の荷が1つ降りてホッとした。
(デュカスの娘、一緒にいたのはターナーの娘か•••、あの性悪めが!)
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