転生したおばあちゃんはチートが欲しい ~この世界が乙女ゲームなのは誰も知らない~

ピエール

文字の大きさ
上 下
80 / 163
第二章

私の名はケイ .8

しおりを挟む


取り敢えず、トラビスルートは潰せた。
これでマリアベルの強い味方が1人は 確保出来た。
あの子に少しでも味方になってくれる人を見つけなければ。

***************

冬の訪れの少し前の夜のこと、雨は霙に変わっていた。
暖炉の火に薪をくべる。

裏門から一頭の馬が、走って入って来た。
何事か?と侍女を見にやる。
闇の中にいても一際輝きを見せる男が立っていた。

アーサーだ!

「コーネリアに会わせてくれ!」
私はマントを脱がせジョージ王の、替えの服に着替えさせてコーネリアに会わせた。

これは、駆け落ちルートかも、、、
そう思った。
それでもいい、
コーネリアが幸せならそれでいい
朝二人で出て行くなら見て見ぬ振りをしようと思った。

朝になり、アーサーはたった一人で出て行った。

二人の間に何があったのかは知らない。
コーネリアは黙っていた。
私も聞かなかった。
そして、その日以来コーネリアは、人が変わっ様に無口になった。

******************

年が変わる前に降嫁させる事になった。

ローガンが挨拶にやって来た。
ゲームの中の人物よりずっと優しそうで、ちょっと気が弱そうな感じのピュアな人物だった。
20歳を過ぎているはずなのに、幼さが残っている。
(そー言えば、結構ローガンファン多かったなぁ)

ローガンは、コーネリアと対面して一目で恋に落ちた。
そんなローガンにコーネリアは「宜しくお願いしますね。」と優しく声を掛けた。
人見知りするあの子が初対面の人と普通に挨拶が出来た事を不思議に思ったものだ。 

そして、冬の暖かな日
あの子はとうとう 私の元からいなくなってしまった。

「寂しなるわね、」そう呟いた。

************************

子供が無事生まれたと連絡が来た。
キラキラの金の輝きを持つ女の子だった。
[マリアベル]と名付けられた

マリアベルが生後五か月になった頃、里帰りが予定されたいた。
しかし、コーネリアの調子がまだ思わしく無いため、筆頭侍女ティーネ達に連れられてマリアベル一人だけの里帰りとなった。
愛機のあるマリアベルは皆んなに可愛がられた。

その翌々日、クラレンスより急ぎの手紙でコーネリアが急変した事を伝えて来た。

私はマリアベルを連れ、ティーネと共にクラレンスへ急いだ。
コーネリアは血の気の無い顔色をしていた。

これはどういう事なの?病気を聞いた
「一昨日から突如出血されて」付き添いの医者が言う。
「ローガン様は?」
「あまりに取り乱しておりましたので鎮静剤を投与して、只今お休みいただいております。」
産後の肥立が悪かったのか?
やはり出産にはまだ身体が若かったのか?

コーネリアはまだ死なない。
まだ、二年ある。
大丈夫、大丈夫、と自分に言い聞かせる。

私は看病のためクラレンス邸に滞在する事にした。

コーネリアが目を覚ました。
しかし貧血が酷く目も開ける事が出来ない。

「お母様?」  そうよ、私よ、

「失敗しちゃった。」  なにを?

「まだ、二年あるから•••大丈夫だと、、、、思ったんだけどなぁ」

(二年?寿命が二年?何故それを?
まさか、貴方、転生者なの?)

「いつから気が付いたの?」
  愛しい我が子の頭を撫でながら聞く。

「アーサーが来た夜。」
  (だから様子がおかしかったのね。)

「駆け落ちルート、になりそう、、だった」
  (あゝ、この子もプレイヤーだったのね)

「そうなのね、駆け落ちしてもよかったのよ 」
  (貴方が望むなら、それでよかったのに•••)

「推し、ローガンなの」
  (まぁ、そうだったのね!)

「だから•••• 誘ったの」
  (出血は、、、、)

「コーネリアは、アーサーが好きだった•••」

「そうね、好きだったわね。」

「アーサーが呼んでるの」
  
「ダメよ、まだ早いわ、まだ二年あるじゃない。」

「もう、保たないかも、」

「お願い、もう少し生きて、お願いだから、、」

「マリアベル、ハピエンある、、から、」

「お母様、そのルート知らないの。
  だからマリアベルのために生きて、」

「フレディ 好感度上げて、、、夜のは、、仲のい、い、、さ、、、、…………. 」

「ダメ、まだダメ、お願い、、逝っちゃ嫌よぉぉ、、、」

コーネリアは昏睡に入った。

一週間後、眠るようにコーネリアは亡くなった。








*********

明日から話は、マリアベルに戻ります。

*********














しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

神による異世界転生〜転生した私の異世界ライフ〜

シュガーコクーン
ファンタジー
 女神のうっかりで死んでしまったOLが一人。そのOLは、女神によって幼女に戻って異世界転生させてもらうことに。  その幼女の新たな名前はリティア。リティアの繰り広げる異世界ファンタジーが今始まる!  「こんな話をいれて欲しい!」そんな要望も是非下さい!出来る限り書きたいと思います。  素人のつたない作品ですが、よければリティアの異世界ライフをお楽しみ下さい╰(*´︶`*)╯ 旧題「神による異世界転生〜転生幼女の異世界ライフ〜」  現在、小説家になろうでこの作品のリメイクを連載しています!そちらも是非覗いてみてください。

【完結】天下無敵の公爵令嬢は、おせっかいが大好きです

ノデミチ
ファンタジー
ある女医が、天寿を全うした。 女神に頼まれ、知識のみ持って転生。公爵令嬢として生を受ける。父は王国元帥、母は元宮廷魔術師。 前世の知識と父譲りの剣技体力、母譲りの魔法魔力。権力もあって、好き勝手生きられるのに、おせっかいが大好き。幼馴染の二人を巻き込んで、突っ走る! そんな変わった公爵令嬢の物語。 アルファポリスOnly 2019/4/21 完結しました。 沢山のお気に入り、本当に感謝します。 7月より連載中に戻し、拾異伝スタートします。 2021年9月。 ファンタジー小説大賞投票御礼として外伝スタート。主要キャラから見たリスティア達を描いてます。 10月、再び完結に戻します。 御声援御愛読ありがとうございました。

幼女と執事が異世界で

天界
ファンタジー
宝くじを握り締めオレは死んだ。 当選金額は約3億。だがオレが死んだのは神の過失だった! 謝罪と称して3億分の贈り物を貰って転生したら異世界!? おまけで貰った執事と共に異世界を満喫することを決めるオレ。 オレの人生はまだ始まったばかりだ!

大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います

町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。

巻き込まれ召喚・途中下車~幼女神の加護でチート?

サクラ近衛将監
ファンタジー
商社勤務の社会人一年生リューマが、偶然、勇者候補のヤンキーな連中の近くに居たことから、一緒に巻き込まれて異世界へ強制的に召喚された。万が一そのまま召喚されれば勇者候補ではないために何の力も与えられず悲惨な結末を迎える恐れが多分にあったのだが、その召喚に気づいた被召喚側世界(地球)の神様と召喚側世界(異世界)の神様である幼女神のお陰で助けられて、一旦狭間の世界に留め置かれ、改めて幼女神の加護等を貰ってから、異世界ではあるものの召喚場所とは異なる場所に無事に転移を果たすことができた。リューマは、幼女神の加護と付与された能力のおかげでチートな成長が促され、紆余曲折はありながらも異世界生活を満喫するために生きて行くことになる。 *この作品は「カクヨム」様にも投稿しています。 **週1(土曜日午後9時)の投稿を予定しています。**

異世界で魔法が使えるなんて幻想だった!〜街を追われたので馬車を改造して車中泊します!〜え、魔力持ってるじゃんて?違います、電力です!

あるちゃいる
ファンタジー
 山菜を採りに山へ入ると運悪く猪に遭遇し、慌てて逃げると崖から落ちて意識を失った。  気が付いたら山だった場所は平坦な森で、落ちたはずの崖も無かった。  不思議に思ったが、理由はすぐに判明した。  どうやら農作業中の外国人に助けられたようだ。  その外国人は背中に背負子と鍬を背負っていたからきっと近所の農家の人なのだろう。意外と流暢な日本語を話す。が、言葉の意味はあまり理解してないらしく、『県道は何処か?』と聞いても首を傾げていた。  『道は何処にありますか?』と言ったら、漸く理解したのか案内してくれるというので着いていく。  が、行けども行けどもどんどん森は深くなり、不審に思い始めた頃に少し開けた場所に出た。  そこは農具でも置いてる場所なのかボロ小屋が数軒建っていて、外国人さんが大声で叫ぶと、人が十数人ゾロゾロと小屋から出てきて、俺の周りを囲む。  そして何故か縄で手足を縛られて大八車に転がされ……。   ⚠️超絶不定期更新⚠️

悪役令息に転生したけど、静かな老後を送りたい!

えながゆうき
ファンタジー
 妹がやっていた乙女ゲームの世界に転生し、自分がゲームの中の悪役令息であり、魔王フラグ持ちであることに気がついたシリウス。しかし、乙女ゲームに興味がなかった事が仇となり、断片的にしかゲームの内容が分からない!わずかな記憶を頼りに魔王フラグをへし折って、静かな老後を送りたい!  剣と魔法のファンタジー世界で、精一杯、悪足搔きさせていただきます!

処理中です...