転生したおばあちゃんはチートが欲しい ~この世界が乙女ゲームなのは誰も知らない~

ピエール

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第二章

マリアベルとお祖父様

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キングスバリー公爵家から馬車に乗り一時間、

御者さんが、
「もうじき到着です。
ほら、皆様お出迎えしておられますよ。
窓から覗いてみて下さい。
あの、大きなグレーの門のお宅ですよ」

門の前には壮年の夫婦が立って手を振っている。
後ろに、使用人さん達も立っている
わぉー、熱烈歓迎だわ!

馬車を降りたら、
いきなり、壮年夫婦が私の手を取り、
「マリアベル様、私達が至らぬばかりに苦労おかけしました。
本当に申し訳ありません。」
と謝られてしまった。

ところで、こちらの方は?誰でしょう?
助けてを求めてキングスバリーから付いてきてもらった護衛の方を見た。

「ノーザンコート伯爵ですよ、
クラレンス侯爵のお父上様にあたります。」

旦那様のお父様?
では、大旦那ではないですか!
どうして、私が頭を下げられなければならないの?

「大旦那様、頭をお上げ下さい。私のようなものに、、、こちらこそ申し訳ごさいません」

「大旦那様などとは、、、
あの子達は、一体どんな扱いをしてきたのだ、おいたわしや、、、マリアベル様」
逆に、また、謝られた。

もう、訳が分からない。
どうすればいいの?
そーいえば、私 前妻の娘だったのだわ。

「あの、大旦那様、つかぬ事をお聞きしますが、、、
私の母は前王の娘で、旦那様の前妻でよろしいでしょうか?
では、私の父は旦那様?
そして、大旦那様はお祖父様になるのでしょうか?」

「そうですよ!貴女様はわたくし達の孫なのですよ!」
「何と言う事だ、あやつは、自分の娘に、それも王家の血筋の娘に、自分を旦那様などと呼ばせていたのか•••何という無礼な、、、」

玄関前で頭下げ合戦が続いた。

私の言葉で局面は打破した。
「お祖父様、お婆様、初めまして。
マリアベルと申します。」
サリバン先生から習った血族に対する最上の礼をとった。

「マリアベル様、わたくし達を許して下さるのですね、ああ、何と尊い御心をお待ちなの•••」
「マリアベル様、重ね重ね申し訳ない」

打破できなかった••••

こー言う時は話の流れを変える!
孫の話、子供の話、嫁の話、どれもダメだわ、、、、
ふと、目を逸らすとそこにはフリフリピンクの薔薇が、あら、フリル咲きね。綺麗だわ。
…………
そうよ!退職したら庭の話 と、相場は決まっているじゃない!そうよ!

「お婆様、話の腰を折って失礼な娘とお思いにならないで下さいましね。」
ソフィアを真似て 前置きを言ってみる。
「あそこの薔薇がとても綺麗で気になってしまって••• 近くて見てもよろしいでしょうか?」

お婆様、釣れた!
「まあ、マリアベル様、あれはミスクイーンズハートと言う新品種なのよ!」

「フリル咲きがとても美しいですわ。
それにピンクから白のグラデーションがとても際立っていて素晴らしいですね。」

ふぅ、なんとか 会話を 薔薇に持っていけた。

そこで負けじとお祖父様 参戦!
「マリアベル様、王都で評判の菓子を、取り寄せたのだよ、さあ、こちらの庭が見える席で、私とお茶でも如何かな?」
お祖父様、エスコートポーズをする。
私は手を添えて、
「では、お祖父様、エスコートをお願いしますわ」
お祖父様ニコニコである。

よーし、完全に風向きが変わったわ。

三人で軽く軽食のついたお茶会を楽しんだ、
が、
風向きが変わってしまった。
お菓子を侍女に下げわたそうとして、お祖父様 気が付いてしまった。
「マリアベル様、其方、侍女の一人も付いておらぬのか、なんと言う事だ•••」

マズイ、また謝罪合戦に突入か、
と思いきや、お婆様が助け船を出してくれた。

「アナタ、マリアベル様は午後には出発されないと、今日の夜までには予定した宿には付けませんよ。
侍女でしたらうちの子を、出したらよろしいではないですか。」

「 クシュン、、、」
後ろで誰かがクシャミをした。
振り返ってみたけど、誰も居ない。
人がいた気配がしたけど•••• 気のせいかしら?

二人の間で話しはまとまり、無事ノーザンコート邸を後にする事が出来た。

馬車に乗り、窓から手を出す。
「お祖父様、お婆様、名残惜しゅうございます。」

「大丈夫だ!遅れて私もクラレンス領に参るでな。
マリアベル一人では心細かろう。待っておれ。」

私は幸せ者だ!
こんな素敵は祖父と祖母がいてくれて•••
こんなに気を遣っていただけるなんて、とても嬉しく思った。












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