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第一章 おばあちゃん編
サリバン先生の暗躍.1
しおりを挟む侯爵令嬢マリアベル
私が聞いた彼女の噂は
「我儘で召使いに暴力を振るい子供ながら男に媚びを売る色気狂い」
「知能に問題があり 自分を男と思い行動する間抜け女」
「人と接する事が出来ず引きこもってお菓子ばかり食べブクブク太ったメス豚」
悪評がこれでもかと出て来る。
でも、なぜか実際の彼女を見た者は誰もいない。
では、噂の出所はと言うと
某公爵夫人の従姉妹のお茶会で××伯爵令嬢の召使いから△△子爵の侍女が聞いたとか
侯爵家に出入りしている業者が〇〇伯爵家の召使いに酒のツマミとして話した とか
信憑性が非常に薄い。
マリアベル嬢はお茶会など公の場に出た事が全く無い
忘れられた侯爵家の長女
母は庶民の血を引く捨てられた王家の穢れた姫「コーネリア」
コーネリア姫は王家のカーテンから出た事が無くデビューすらしていない。
彼女自体が存在しないのではないかと言う噂も飛び交っていた。
全くもって異常な扱いである。
我がサリバン子爵家は爵位こそは低いが 代々王家のマナー師範役
年頃のレディ達には恐れと敬意をもってミセス•エチケットと呼ばれている
私は幼少の頃 母に連れられ登城した際 迷ってしまい奥へ奥へと進んでしまった。
そこで、天使を見た
銀の髪がキラキラと輝き 白い肌は透けて儚げな風情
深い海を思わせる澄んだ瞳
実態感の無い佇まい。
余りの美しさに言葉が出ない
そして天使が私に気付き声を掛けて来た
「ねぇ、お花好き?」
天使が喋った。
「こっちに来て」
天使が私の手を引いて花壇に引き寄せた。
人の体温を感じて彼女が人間だと認識した。
それがたった一度だけのコーネリア姫との出会いだった。
彼女と出会った事自体が夢のように思えてならない
私が「お花、綺麗ね!」と言葉を返した時の嬉しいそうな微笑み
吸い込まれそうな深い海の底の様な瞳の奥から湧いて出る銀色の煌めき
余りの美しさに忘れる事が出来ない
「コーネリア姫」という存在を、、、
数年後、
一大ニュースが社交界に飛び交った
コーネリア姫が伯爵家の次男と結婚して侯爵家を受け継ぐ。
存在すら知られていなかった姫の結婚
遠い昔に断絶した侯爵家の復活
式も挙げず お披露目のパーティーも無い
異例づくめの結婚。
そして月足らずの出産、コーネリアの死亡
大きなスキャンダルとして社交界で一斉を風靡したが、時間とともに風化していった。
そして何故か侯爵家の長女は「頭がおかしい」と言う噂だけが残った。
*******************
トラビス王から、急な呼び出しが掛かった
「急用に付き直ちに登城せよ」
取るものもとりあえず大急ぎで謁見した。
「クラレンス侯爵家の長女マリアベルは我が姪である。
悪い噂が飛び交っておるが真偽を確かめ もし事実であったならその方が教育し厚生させよ」
「恐れ多くも我が王、マリアベル様はかの姫様の娘様で有らせられますか?」
「其方コーネリアには一度会った事があるであろう。
我が姪はコーネリアと同じ瞳を持ち
髪色は王家の金にコーネリアの銀の輝きだ
直ちに侯爵家に向かう算段を付けよ!」
私は侯爵家に王家の依頼により出向く手紙をしたためた。
しかし帰って来た返事は
「我が娘マリアベルは病気の為 精神が安定せず勉学出来る状態では無い。
陛下にその旨を伝え 娘をそっとして置いて欲しい」
「せめて面会だけでも」
「面会しても同じ事 貴方様の貴重なお時間を無駄に使うだけです。
娘を哀れに思うならせめて捨て置いて下さい」
あやしぃ~
私の勘が何かを警告している
明らかに嘘を付いている
このままでは埒があかない。
私は陛下に書状をお願いした。
「マリアベルに余の方からサリバン子爵夫人を教師として送る。」
侯爵家に前触れを出し陛下から届いた勅命を携え面会を取り付けた。
勅命を受け侯爵は青くなり渋々マリアベル様の家庭教師として受け入れてくれた。
長かった
やっとここまで漕ぎつけた。
待ってなさい、マリアベル様
貴女がどんな娘であろうとも私がきちんと導いて見せるわ!
鼻の穴を膨らませ やる気マンマンなアニー•サリバン であった
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